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裁判員制度の「ねらい」はこれ? (ブログ「Afternoon Cafe」から) ((裁判員制度、大丈夫とは言えない気がします... (11))



「裁判員制度、大丈夫とは言えない気がします...」シリーズ、第11回です。

裁判員選定のための呼び出し状が間もなくみなさんのところに届くこのタイミングに、いつもとてもお世話になっている秋原葉月さんのブログ、「Afternoon Cafe」で興味深い雑誌記事が紹介されていたので、私も紹介。裁判員制度に疑問を持っている方には必読の記事です。

雑誌「現代思想」の2008年10月号の内容の紹介が主なのですが、秋原葉月さんによる文章のところを中心に少し引用します。多くの人に読んでもらえることを願って。

●Afternoon Cafe
■現代思想10月号より、裁判員制度を考える(1)ー「司法はポピュリズムの暴風にさらされている」
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-55.html

「かつては法廷という限られたスペースが刑事司法の舞台だった。ところがこの十数年、危機管理意識が高揚する過程と並行して、悪を断罪せよとの民意がとても強くなってきた。だからメディアはこのドラマの一部始終を中継する。しかもメディアによって提供されるストーリーは、たった一人で闘う健気な被害者遺族と、凶悪な悪を庇う二十数人の悪辣な弁護士軍団という構図に終始した。
こうして噴出する勧善懲悪的な民意が、刑事司法の場に強いバイアスをかけています。
以前はそうではなかった。裁判官ももっと独立した判断ができた。でも今はそうはいかない。
極論すれば判決は事前からきまっていた。メディアと民意によって。刑事司法は大きくかわりつつあります。ある意味で死にかけている。」(森氏)

安田弁護士も、司法が全体として大きくかわってしまっていたことを認識していませんでした。そこは反省する点であるとしても、じゃあ、どうすればいいのか。
残念ながら答えは今の所見いだせません。なぜなら裁判所はもう被告人、弁護人のほうを見ず、検察、メディア、市民、社会、被害者しか見ないのですから。
刑事弁護を社会に合わせたところで勝てやしない。社会は「救え」でなく「殺せ」と言ってるのだから、手の打ちようがないのです。

「刑事司法は死んでしまったのだと実感させられています。」という安田弁護士の言葉に、現在の刑事司法の絶望的な心停止状態をひしひしと感じます。

森氏は言います。
かつてのやり方が通用するのが本来の司法のあり方だ。民主主義を担保する要因として、もっとも変わってはいけない司法がポピュリズムの暴風にさらされている。この流れを本当はとめなくてはならない。弁護士は闘い方を変えるべきじゃない。それは司法のこの激しい劣化を認めてしまうことになる。

■現代思想10月号より、裁判員制度を考える(2)ー「司法はポピュリズムの暴風にさらされている」
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-59.html

在野であるべき弁護士が体制にくみこまれ在野でなくなってきたー橋下氏などはその先頭を行ってるのでしょう。
また、国民がピラミッド構造に組み込まれ国家に対する従属度が強くなることによって、 国民自身が強者、支配者の論理に立ち、自分と同じであるはずの被支配者層、社会的弱者を攻撃するようになります。
さきのエントリーであげた私学助成金カットをやめるよう陳情にきた高校生を橋下氏と同じ目線で甘えていると決めつけたり、個人の財産権という人権を無視した代執行を、2週間早く芋掘りをしなかった園が悪いと責任転嫁するのがそれでしょう。

■現代思想10月号より、裁判員制度を考える(3)ー「司法はポピュリズムの暴風にさらされている
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-86.html

前エントリーで「近年国民は国家に対する従属度が強くなった。ピラミッド構造に組み込まれ,国家権力、権威に逆らわず、批判しようとしない。」と記載しましたが、近年の国家に従順な国民作りのからくりの一端が、この「統治者意識を持たせること」だと思います。

飛行機の操縦席にちょっと座らせてもらい良い気分になる。ほんとは操縦などしていないのに、偉くなったような錯覚に陥り、上から目線になり、結局は国家の側にたったものの見方をするようになり、上手に騙されて統治されてしまう、といった感じでしょうか。なんとなく裸の王様チックです。
(中略)
たとえば母親が子供を虐待死させた事件を考えてみるとき、殺された子にとってはほんとに痛ましく許されざる行為であるには違いないのですが、それとはまた別の視点として、加害者の母親が置かれていた状況とか、社会的な背景なども細かく考察していかないと、何故こうした犯罪が起きたかを理解し、未然に類似の犯罪を防ぐことには繋がりません。
ところが、この犯罪がおこった背景を考え加害者に同情するような要素を斟酌する事は、不当に人権人権と犯罪者を甘やかしているだけだという主張が往々にして起こります。。犯罪者の弁護など犯罪者をつけあがらせるだけの不要なものだとなじる。
加害者の立場に立ってみることは必ずしも被害者を軽視するものではない、それとこれとはまた別ということがわからない。(ちなみに、こういう短絡的、単純な図式化もネトウヨ思考の特徴です)

犯罪者に人権などいらん、社会背景だ?甘えるな、社会のせいにするな、殺された子供の身になってみよ、問答無用で厳罰に処せ、抹殺してしまえ、という一方的で感情的な思考になる。

完全に裁く側と裁かれる側で分断しているのがよくわかります。
裁く側は、勧善懲悪で気分すっきり、非常に簡単で悩まなくてすむので居心地がいいから、この分断化からはなかなか抜け出せないでしょう。

統治主体意識にうまいこと絡め取られた例は、ネトウヨ思考に典型的に見ることができます。
統治、被統治という相対立するベクトルにおいて、統治側は人権を抑圧したい、被統治側は人権を主張したい、という一般的な力学が働きます。
ところがネトウヨは人権を主張することを「人権教だ」と蔑みバカにし、敵視するんですね。明らかに自分たちの利益に反しているのに。自分らは人権いらんのかと不思議でしょうがないのですが。(人権いらない弾圧してくれと言ってるも同然で、究極のMというか、これぞ自虐的・・)
これは、いわば自分たちは国家側、統治側にいるんだという「大いなる勘違い」をしているわけです。

(引用ここまで)

裁判員制度の対象は、一般人の生活に関係が深くて、あるべき社会や行政をつくりあげる助けになる行政訴訟のようなものではなく、ほとんどの一般人が縁がなくて専門家でも判断のむずかしい凶悪犯罪に限られています。このことからは、裁判員制度が、(たとえば行政訴訟を通じて)社会の問題点を市民の視点で改善するためというよりも、犯罪者(裁判の時点では被疑者、被告ですが)を断罪する国家公認の快感を市民に味わわせて「統治者意識」あるいは「強者意識」を持たせることで、強者から弱者への統治を容易にする役割を持っていると考えることができます。意識的にそういう目的をめざしたのか、自然にそうなったのか、偶然なのかはわかりませんが、少なくとも、結果としてそうなっていることが、「現代思想」の2008年10月号と秋原葉月さんの記事から読み取れました。

日常会話やインターネット上で散見するような、裁判での犯罪者(被告)への一方的で過剰な攻撃や断罪的態度だけが広まることを私は真剣に憂えています。

犯罪者の断罪だけで人々が満足して、犯罪を起こりやすくする社会環境の改善を人々の意識から忘れさせることになることを私は真剣に憂えています。


裁判員選定のための呼び出し状が間もなくみなさんのところに届くというこの時期、裁判員制度に疑問がある方は、当秘書課広報室の過去記事のうち、これをもう一度お読みください。

■裁判員選任面接で何を言えばいいんだろう? (裁判員制度、大丈夫とは言えない気がします... (8))
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-854.html

秋原葉月さんのこのテーマの記事も続くそうです。ブログ「Afternoon Cafe」に引き続き注目をお願いします。



築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守ろうと情報を伝えるRolling Beanさんへの応援よろしくお願いします。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2008-10-29 【重要】 豊洲新市場の地質調査捏造の証拠(東京都自身の「平成18年地盤解析報告書」から)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10157581149.html

■2008-11-17 農中・イシハラファンド・ゴールドマンサックスと築地「廃止」(参院財政金融委での大塚耕平議員質問)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10165676041.html

■2008-11-24 土壌汚染対策法「改正」案へのパブコメ募集中(12/13まで)・東京都の構想の連動あり
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10168856322.html

■2008-11-27 イシハラ都政の横暴に萎縮する区政の態度を正面から質す、中央区議小坂さんの一般質問(築地関係抜粋)
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10170179552.html



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■世界の片隅でニュースを読む 「税制」カテゴリー
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■NO.540 消費税増税反対関連エントリー集。
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■自公政権の退場を望むなら、その代わりに望む政策をどしどし民主党に伝えよう
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5件のコメント

[C5435]

こちらこそとてもお世話になっております。いつも大変良質なエントリーに学ばせていただいてます。

拙ブログを紹介していただきありがとうございました。

先日友人としゃべっていたときにこの裁判員制度の話になり、私が「疑わしきは被告人の利益に」という言葉を知っているかと尋ねたところ、知らないという答えが返ってきました。そりゃそうでしょう。

また、ある模擬裁判では裁判員役をやってくれた一般の方(年配の方だったそうですが)が、無罪か有罪かを争っているのに、この裁判は「有罪の被告人」の量刑を裁くものだと最後まで信じ切っていて、もしかしたら無罪かもしれないという発想というか、そういう前提についぞ気付くことはなかったそうです。
こんな裁判員に裁かれたらたまったものではないのですが、これが刑事裁判とは無縁に過ごしてきたごく普通の一般市民のモデルかもしれません。

ヤメ蚊さんのエントリーによれば、裁判員向けのガイドブックでは刑事裁判でもっとも大事な鉄則「疑わしきは被告人の利益に」についてのまともな説明はされてなかったようです。
もし裁判所がこの鉄則を裁判員にみっちり伝授しないのであれば、弁護人が弁論の度に裁判員にむかってこの鉄則の説明を分かりやすくとうとうと講義するよりほかありません。
これは刑事訴訟法を学べば初期の段階でいやほど学ぶことなので、実践できていないとはいえ、そこにいる検察官や裁判官にはわかりきった退屈な話になります。でも弁護人は裁判員のために裁判の度に初歩入門編の講義に弁論の時間を割かねばなりません。
しかし初耳の裁判員が一回話を聞いただけでその重要性や意味合いを正しく理解するのは困難でしょうね。
これも裁判員制度にしてしまったがための無駄な労力のうちの一つかと思います。

現代思想10月号は非常に濃い内容で是非皆さんによんでいただきたいと思います。
ほんとは全部転載しちゃいたいくらいですけど著作権がありますから、筆力のない私では内容をまとめるのに時間がかかってしまいカメレスになってます^^;
また今夜にでも書こうとおもいますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
  • 2008-11-28
  • 投稿者 : 秋原葉月
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[C5453] 裁判員制度はアメリカ陪審制度のコピー??

裁判員制度って、アメリカ陪審制度のコピー??物まね。マスゴミ報道を見る限りそんな感じがする。多くの混乱と弊害を招く制度で、日本に会わない制度が押し付けられる感じがする。
  • 2008-12-01
  • 投稿者 : ぶじこれきにん
  • URL
  • 編集

[C5464] 来ちゃった!

な~んと!
私のとこに、最高裁判所からの「封筒」が来ちゃいました!
私を選ぶなんてまったく不届き千万!

まだ、本当に呼ばれるかどうかわかりませんが、呼ばれたら実況中継しちゃうかも!
  • 2008-12-02
  • 投稿者 : すぺーすのいど
  • URL
  • 編集

[C5466] 私は基本的に賛成

この件は、左右関係なく議論が出来る面白いテーマですね。

私は、基本的に陪審員制度に賛成なんです。その問題点も山ほど認識した上で、以下の点で、現状よりマシだと思うからです。

1.明らかに市民感覚からでは無罪と思える案件まで有罪となっており、現状の99.9%が有罪という現状は裁判所が無いに等しい状況。例えどんな市民が陪審員になったとしても、これより悪くなるとは思えない。

2.最初は重い刑事事件のみが対象だが、汚職事件や国家賠償請求訴訟などにこそ陪審員制度が導入されるべきと考えており、その突破口と現状を捉える。

3.死刑を思想・信条の理由から認められない人にまで、死刑判決を出させる、つまり、殺人許可を強要する事になる現行法が、そのままで済むはずが無い。冤罪で死刑となる例も今後も出てくる。この苦しみを市民に強いることは明らかな人権問題。よって陪審員制度を続けるなら、死刑廃止を検討せざるを得なくなるだろう。

4.長い目で見て、市民を民主主義の構成員として鍛える機会となる。冤罪を出してしまったことも大事な教訓としてね。

等々です。
つまり、現行の陪審員制度の問題点は山ほど認識しているのですが、長い目で見ると現状よりは遙かにマシで、司法の現状を前向きに転換させる可能性を秘めていると考えているわけです。

なので、通知が届くのを期待していたのですが、私は選ばれませんでした。残念!
  • 2008-12-03
  • 投稿者 : Looper
  • URL
  • 編集

[C5472] 訂正

>基本的に陪審員制度に賛成なんです

ありゃりゃ、「裁判員制度」の間違いです・・・
失礼しました。

ついでに私の考えを要約すると、そんな問題だらけでとんでもない現行の裁判員制度も、司法が完全に死んでいる現状よりは遙かにマシで、それを抜本的に改革する起爆剤(皆が最初は大迷惑するが・・・)として期待する、といったところでしょうか。
  • 2008-12-04
  • 投稿者 : Looper
  • URL
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村野瀬 玲奈

Author:村野瀬 玲奈
日本の民主主義化運動のため、国会議員、行政機関、マスメディアに主権者、納税者、生活者の声を届けるお手伝いをするサイバー政治団体(笑)「世界愛人主義同盟」秘書。護憲派アマゾネス軍団労働組合所属(笑)。派遣秘書としてこちらにもときどき勤務(笑)。
この秘書課広報室備え付けの国会議員の政党別・委員会別・都道府県別などの名簿の一覧と使い方はこちら。たとえば、非正規労働を正規化せよと民主党幹部に要望の投書をするなど、ご活用ください。名簿の最終更新日は2008年1月23日。
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憲法は国の誤りと暴走から国民を守る基本法

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「壊れる前に...」のうにさんのアイデアをもとに「Gazing at the Celestial Blue」の碧猫さんが作製。一方、国民主権や基本的人権を制約することをめざす自民党新憲法草案全文(2005年10月28日発表)はこちら。(1946年現憲法との比較付き。) 自民党新憲法草案(2005年10月28日発表)と現憲法(1946年憲法)とを読み比べするシリーズ記事はこちら。 ジャッカルさんによる自民党新憲法草案全文(2005年10月28日発表)徹底検証はこちら。 護憲派アマゾネス軍団で遊びたい方は、まずこちらの案内をお読みの上、こちらこちらでお待ちしています。

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(↑Please read this link, so that the world-famous Tsukiji fish market should not be relocated to an old gas works site at Toyosu, highly polluted with multiple contaminants.)

Think of these children in Gaza

children_of_gaza_by_shady111

(from deviantART "Gaza")

「世界愛人主義同盟」(笑)は死刑に反対です

『司法の現実の中では、死刑とは何でしょうか。12人の男女の陪審員。2日間の審問。事件にまつわることがらの奥底まで触れることは不可能。そして、数十分、時には数分で罪悪性についての非常にむずかしい問題に断定的に判断をくだす。それ以上に、ほかの人の生死を決定するという恐ろしい権利もしくは義務。12人の人が、ある民主主義国で、次のようなことを言う権利があるというわけです。「こいつは生きていてよい、こいつは死ななければならない!」と。私ははっきり申します。この司法の構想は、自由の国のそれではありえません。』

1981年9月17日、フランス国民議会、死刑廃止法案の審議における、法務大臣ロベール・バダンテール Robert Badinter の演説から引用)
死刑についての当秘書課広報室の記事はこちら
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