「選挙対策」であることが浮き彫りになった、舛添「一議員」による後期高齢者医療制度「廃止」宣言

舛添要一大臣が「後期高齢者医療制度を廃止する」と言い、麻生太郎氏も了解したという報道がされました。9月19日から今日20日にかけてのことです。この件について読んでいくと、これは政府自公与党としての（少なくとも今は）正式な方針ではなく、舛添要一氏という一議員の発言にすぎないようです。最初にトラックバックで知らせてくださった境港市議、定岡敏行さんが記事でおっしゃるように「総選挙対策」にすぎないということです。

さて、天木直人さんのブログで紹介されているテレビ番組での与野党の政治家の発言を聞くと、別の問題が浮かび上がります。（引用中太字は当ブログ管理人によるものです。）

●天木直人のブログ
後期高齢者医療制度見直しを突然言い出した舛添大臣の波紋
http://www.amakiblog.com/archives/2008/09/20/#001149

ところが今朝の朝ズバッを聞いて、とんでもない発言であった事を知った。

　　ゲスト出演していた舛添大臣に対し、自民古川、公明山口、民主長妻、社民福島と政事評論家岩見が、みのもんたと一緒になって舛添大臣の発言の真意についてたたみかけた。

　　そこではっきりした事は、この発言は政府の方針でも舛添厚労相としての発言でもなく、一議員の意見の表明でしかなかったという事だ。

　　しかし、報道ではあたかも制度見直しが決まったかのように流れた。

　　これを聞いた高齢者は喜んだはずだ。やはり間違った制度であった、と思ったはずだ。

　　ところが発言の趣旨は、これから皆で見直しについて議論をしていこう、と言っただけだという。

　　私が驚いたのは次の点だ

　　この舛添大臣の発言を自民古川、公明山口はまったく知らされていなかった。いままで後期高齢者医療制度は正しい、国民への説明不足だから一生懸命説明しなくてはならない、と必死に弁護させられてきた彼らは、はしごをはずされて、カンカンに怒っていた。

　　後期高齢者医療保険制度に一貫して反対してきた政事評論家岩見は、その判断を歓迎するが、解散秒読みの今、大臣を辞める直前にこんな発言をするのは無責任だ、しかも一議員の発言であることがわかった。これは世論を惑わすものだ、と怒っていた。

　　長妻、福島は、解散、総選挙の前に国会で審議をし、この問題についての新政権の考えをたださなければならない、衆院選の大きな争点にしなければならない、と詰め寄っていた。

（引用ここまで）

世論の怒りを前に、自公与党の中に亀裂が走っている様子が垣間見えると思うのは私だけでしょうか？

もう一つ思うのは、自民古川議員、公明山口議員の「怒り」についてです。彼らは内心「後期高齢者医療制度」に疑問を持っていたのに与党から「後期高齢者医療制度」を弁護するように言われて仕方なく「後期高齢者医療制度」を弁護していたのか、それとも、「後期高齢者医療制度」は良い政策だと彼ら自身心から信じていたのか、という疑問です。

前者だとしたら、政治家としての信念または良心が欠けている、あるいは、与党内で誤った政策を正させる責任ある態度が欠けている、あるいは、政府与党内全体での政策立案に誠実さが欠けていることを示していることになります。一方、後者だとしたら憲法25条の生存権の重要性を軽視していることになるという意味で政治家としての見識そのものを問われることになります。

自民古川議員、公明山口議員、あなた方自身が進めたこの"姥捨て山"制度にまつわるこの与党内不一致について、いまさらあなた方が怒ることはみっともないですよ、自公与党が下野するべきであるということをこの与党内不一致はまたしても示したのですよ、と私は言いたいと思います。

おなじみ「大脇道場！」さんの記事も読みましょう。

●大脇道場！
NO.605 後期高齢者医療制度、抜本見直しも・・・（？）　国民の声が政治を動かす。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-671.html

道理ある声は共産党たった一人から、国民の声になり、野党共同の声になり、いまや政府も認めざるをえなくなった。

　しかし、制度が実施され、国民の世論に押されて参院で野党の共同提案に参加したとは言え、もともと後期高齢者医療制度に道を開いたのは、共産党を除く政党、自公に加え民主、社民だった事を知っておくべきだろう。

　特に政権交代を願う民主党支持の皆さんは、政治の中身を事実で検証することが求められているのではないか。数が多いからと民主に白紙委任するのは、国民のためになるのか。

　こんな事実もある。
　東京都議会厚生委員会は１６日、後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める陳情を、自民/公明党に加え、国会で廃止法案を提出している民主党も反対して、不採択にしました。日本共産党と生活ネットは陳情の採択を求めました。（赤旗９・１９）

（引用ここまで）

私は単一の政党だけを支持しているのではなく、「基本的人権の尊重」、「国民主権」、「平和主義」、「立憲主義」などに沿った、安心できる国民生活や公正な民主主義の拡大のためのまともな政策を支持しているつもりです。そういう政策の実現のためには一つの政党だけに頼ってはいけないし、そもそも一つの政党だけに頼っては実現しない、という考えでいます。

ただ、現実には民主党が自民に次ぐ第二の勢力であることから民主党を無視することはできないという意味で、自公政治に緊急のストップをかけるために、どうしても民主党の「後押し」（カギカッコ付きの「後押し」です）をする機会が必然的に多くなります。しかし、民主党という「組織」の持つ「自民党政治との親和性」を薄めながら民主党内の良質な議員の発言力を強めることを後押し（カギカッコ無しです）できるようになりたいとも常に願っています。

大脇道場の友さんもおっしゃるように、国民の声が政治を動かします。いつも言っていることですが、今のこの局面で、民主党に意見することが大切だと思います。もちろん、共産党、社民党、国民新党にも。

自公主導で後期高齢者医療制度廃止ができるわけはないことは明らか。共産党主導でそこに民主党と社民党と国民新党がついてくるような形で後期高齢者医療制度が廃止されればベストなのですが、特に共産党には「上手な」立ち回りを求めたいところです。

あ、自民党には、「総裁選劇場」は公職選挙法に違反の疑いが濃いのではないですか、総裁選宣伝のためにNHKの力を借りるのは放送法にも違反しているんじゃないですか、少なくとも、総裁選効果を総選挙に利用しようというのはあまりにもさもしい根性ですよ、と一言言うだけでいいですね。笑

■自公政権の退場を望むなら、その代わりに望む政策をどしどし民主党に伝えよう
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-792.html


もう一つ、植草一秀さんの胸のすくような記事も必読です。（変換ミス、少し直しました。「追求」→「追及」とか。）

●植草一秀の『知られざる真実』
舛添厚労相は即刻辞任すべし
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-9b19.html

「選挙の時だけ有権者に媚（こび）を売る政治屋」を信用してはいけない。年金記録問題が最大の争点になった２００７年の参議院選挙のときに、自民党政権の責任者は有権者に何を約束したか。

（中略）

これらの約束が守られなかったことは言うまでもない。

公約を守らなかったことについて町村信孝官房長官は、昨年１２月の記者会見で、「来年３月までにやるのは、５０００万件の（記録の）解明をすることだ。来年４月以降も精力的にやっていこうということで、最後の一人、一円まで（払うことを）全部、来年３月までやると言ったわけではない」と釈明した。

町村官房長官は、

「選挙中だから『年度内にすべて』と縮めて言ってしまった」

とも発言した。

（中略）

自民党政治家が言葉に対する責任感を決定的に失ったのは、小泉元首相が次の発言を示してからだ。

２００３年１月２３日の衆議院予算委員会総括質疑で小泉首相は、国債発行額を絶対に３０兆円以上発行しないとの公約を果たせなかったことを追及され、

「その（公約）通りにやっていないと言われればそうかもしれないが、総理大臣としてもっと大きなことを考えなければならない。大きな問題を処理するためには、この程度の約束を守らなかったというのは大したことではない」

と答弁した。結果に対する責任、「責任倫理」が日本中で失われる契機になった。子に「約束は守れ」と教育しようとしても、子が「この程度の約束を守れなかったのは大したことではない」と堂々と反論するようになる。

（引用ここまで）

子に「約束は守れ」と教育しようとしても、子が「この程度の約束を守れなかったのは大したことではない」と堂々と反論するようになる。

子どもの教育を根底から破壊する自民党政治に大爆笑！！

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●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2008-09-12　豊洲調査の捏造疑惑への弁明書が公開されましたが、弁明になっていません
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10138243557.html

■2008-09-14　呆れてものの言えないオリンピック招致「TOKYO体操」（踊るイシハラ氏）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10139012680.html

■2008-09-15　1粒で幾度もおいしい？「ブラウンフィールド原位置浄化」の平田座長本・その価格構造と工法執筆分担
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10139181246.html

■2008-09-15　【リンク再掲と抜粋】 築地の売り飛ばし構想とサブプライム破綻（またちらつく米国系金融機関）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10139770335.html

■2008-09-17　【転載希望】都庁で9月24日に豊洲新市場対策の中止の都知事要請行動（記者会見も開催）
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