2020年3月1日、韓国の「独立万歳運動（三・一独立運動）」記念式典での文在寅（ムン・ジェイン）大統領演説を読んで

　　

昨年2019年3月1日に、「韓国の「独立万歳運動（三・一独立運動）」100周年記念日を日本人も韓国人と一緒に祝おう。」という記事を出しました。

■韓国の「独立万歳運動（三・一独立運動）」100周年記念日を日本人も韓国人と一緒に祝おう。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-7762.html
2019/03/01 11:00

私は今年もその気持ちに全く揺るぎはなく、今年の「三・一運動」記念式の文在寅（ムン・ジェイン）大統領演説を読みました。

●聯合ニュース
＜「三・一運動」記念式の文大統領演説全文＞
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200301000400882
2020.03.01 11:55

こちらは要約と解説です。

●徐台教 - 個人 - Yahoo!ニュース
文大統領「内はコロナ克服、外は朝鮮半島平和」…3.1記念演説で　日本には「共に危機に勝とう」と
https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20200301-00165488/
徐台教 | ソウル在住ジャーナリスト。「コリアン・ポリティクス」編集長
2020/3/1(日) 15:03


次のような一節に心動かされます。

「１９１９年、１年間で実に１５４２回にわたり行われたデモで全国でおよそ７６００人が死亡、１万６０００人がけがを負い、４万６０００人が逮捕・拘禁されました。
世界的にも例を見ないことでした。日帝の弾圧は厳しいものでしたが、わが同胞の意気は決してくじけることがありませんでした。」

（引用ここまで）

「日韓併合は韓国側が望んだ」、「日本は韓国に良いこともした」というようなことを主張する一群の日本人がいますが、韓国側が望んだなら、そして、日本が韓国に対して善政を行なったとするなら、どうしてこんなに抵抗が起こるのか、という単純な疑問は誰でも持つはずです。私は、大日本帝国の圧政のもとでもくじけなかった当時の韓国の人々に心からの敬意をおぼえずにはいられません。私も韓国の人々と同じ気持ちです。人間として当然の気持ちです。だから、昨年3月1日に、「韓国の「独立万歳運動（三・一独立運動）」100周年記念日を日本人も韓国人と一緒に祝おう。」という記事を出したのです。

さて、今年2020年はコロナウィルスがアジアを中心に猛威をふるっており、文在寅（ムン・ジェイン）大統領はこの演説の中、大日本帝国の圧政に抗した闘いから、コロナウィルス対策へと話を移します。こんな一節に心動かされます。

「全州韓屋村とモレネ市場から始まった賃料引き下げキャンペーンが全国あちこちの市場や商店街でも展開され、銀行や公共機関も自主的に商店街の賃料を下げて苦しみを分かち合っています。

大企業は義援金を送り協力会社の中小企業に共生の手を差し伸べ、今この瞬間にも多くの医師と看護師の皆様が防護服に身を包み隔離病棟で奮闘されています。

苦しみを分かち合い希望を育んでくださいました皆様に深い尊敬と感謝の拍手をお送りいたします。」

（引用ここまで）

「賃料引き下げキャンペーン」！　こういう社会的連帯のアクションが企業側から出てくるのか、と目を開かされます。日本でもこういうアクションを参考にした社会的連帯はできないものでしょうか。そして、このような社会的連帯を示す動きに深い尊敬と感謝を表明することは、苦難の中にある社会と人々を治癒するための、国民の代表である政治指導者の重要な役割であると改めて思わされます。日本も他国のコロナウィルス対策を積極的に取り入れていけばいいのに、と思いますが、「やってる感」を醸し出す演出だけに熱心な安倍晋三氏が政権から退かないとなかなか難しいと思わざるをえません。

そして、対日外交については、コロナウィルス対策についての多国間協力を念頭に、文在寅（ムン・ジェイン）大統領はこんなことを言っています。

「日本は常に最も近い隣国です。

安重根義士は日本の侵略行為に武力で立ち向かいましたが、日本に対する敵対を目指したものではなく、共に東洋の平和を実現することが本意であることをしっかり明かしました。

三・一独立運動の精神も同じでした。

過去を直視してこそ傷を克服することができ、未来へと進むことができます。

過去を忘れることはありませんが、われわれは過去に留まることもありません。

日本もまた、そのような姿勢を見せてくれることを願います。

歴史をかがみとして互いに手をつなぐことが東アジアの平和と繁栄への道です。

共に危機を克服をし、未来志向の協力関係に向けて共に努力していきましょう。」

（引用ここまで）

日韓関係の改善のための手がかりがここにあると感じます。日本が大日本帝国史観を克服できておらず、当時の大日本帝国が当時韓国と韓国民に対してなした加害への反省と謝罪意識を持つことが難しく、そのために韓日外交関係の改善が図れない現状であっても、国を問わず共通の脅威であるコロナウィルスへの対策を多国間で協力してすすめることはできるはずなのです。

国境のない脅威であるコロナウィルスへの対策を行なうにあたって、他国と「共に危機を克服」していこうという姿勢はどうしても必要でしょう。日本以外の他国が行なっているように積極的に検査を行なって感染が広がらないようにすることは、感染したことがわかった人の数を増やすことにはなります。しかし、2020年東京オリンピックに影響が出ないようにしようとしているためか、今の日本がやっているように感染者数を隠しても、問題が後から重篤になる危険性を高めるでしょう。

日本国と日本人には、歴史認識問題や外交問題などだけでなく、コロナウィルス対策についても、問題を直視して行動することが全世界から求められていると言っても過言ではないでしょう。そんなことまで感じさせられた2020年3月1日の、韓国の「独立万歳運動（三・一独立運動）」記念日なのでした。



記事公開前の追記。
この大統領演説と関係はありませんが、現実に、韓国と日本のコロナウィルス対策の違いについて次のような比較分析が出ています。日本にとって参考になるはずですので、取り急ぎここにメモしておきます。

日韓コロナ対策をソウル在住の「日韓境界人」が比較分析。韓国の方が対応が早く情報公開も徹底し遥かに民主的で健全だと断定している。市民は政府をある程度信頼し各々が自分でできることを模索しているという。日本はいつの間にか社会の成熟度で追い抜かれたかもしれない。https://t.co/sqEGA3Q0h3

— 鮫島浩 (@SamejimaH) March 1, 2020

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