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民主国のはずの日本にふさわしい国旗国歌の教え方とは (3)



前回の記事、「民主国のはずの日本にふさわしい国旗国歌の教え方とは (2)」の続きです。

前回は社会科の中での提案をしましたが、今回は音楽科の中での提案です。音楽の授業としてどうするか、というアイデアです。

「国歌への尊重を教えること」を「国旗国歌強制肯定論者」は強制の理由としてかかげるので、それに沿ったアイデアです。そうです。いろいろな国歌の演奏や歌唱を音楽の授業に取り入れるのです、簡単なことですが。自国の国旗国歌は尊重するが他国の国旗国歌は尊重しなくてよいと「国旗国歌強制肯定論者」はまさか言わないと思いますので、賛成を得られるものと思います。

(注意: 自国の国旗国歌への「尊重」(はい、カギカッコ付きの「尊重」です)、あるいはずばり自国への「尊重」(はい、カギカッコ付きの「尊重」です)の態度が他国の国旗国歌への尊重(こちらはカギカッコ無しの本来の「尊重」です)、あるいはずばり他国への尊重につながらないことは、すでに「『愛国心』と排外的態度の相関関係」という記事で書いているとおりです。)

というわけで、君が代だけではなく、できるだけ多くの国の国歌を取り上げるのが筋でしょう。というか、できるだけ多くの国の国歌を取り上げることこそが重要です。他国のことを知らずにどうして他国への尊重を体感できるでしょうか、ということです。もちろん、歌詞の意味や国歌ができたいきさつの説明も必要でしょう。たとえば、フランスの「ラ・マルセイエーズ」だったら、歌詞が好戦的なように見えることの背景として、当時の圧政との闘いがあったことを説明するわけです。

そうして、各国の国歌演奏や合唱の練習をさせるのです。オリンピックやサッカーワールドカップで他国の国歌演奏のときに起立しない日本人は失礼である、と「国旗国歌強制肯定論者」が主張してやまないなら(ていうか、あえて起立しない人は目立つほど多くないでしょうし、大会場で誰も注意を払いませんよねえ)、各国の国歌について、そこまで詳しく教えることに反対はないと思います。さらに言えば、日本の学校に通っている在日中国人や在日韓国人、その他の移民系外国人にまで日本の国旗国歌を有無を言わさずに強制するなら、日本の生徒もぜひ中国や韓国などの国旗国歌を直接学び、尊重しなければならないでしょう。

そうそう、国歌を歌ってみたい国を生徒に選ばせるというのもいいかもしれません。それと同時に、日本の隣国とのつきあいを考える上でも、韓国、北朝鮮、中国、ロシアの国歌については優先的に必ず教えることも一考に値すると思います。隣国と上手に付き合うためには隣国を知らなければなりませんから、その知識を得るためにも、隣国の国歌について学ぶことも重要なことだと思います。

とはいえ、何度も繰り返すようですが、日本の国旗国歌であれ、他国の国旗国歌であれ、強制はいけません。知識は教えますが、積極的に歌わなければ処罰を与える、なんてやってはだめです。だけど、他国の国歌を学ぶなんて嫌だ、なんて言う方は「国旗国歌強制肯定論者」の中にいらっしゃるんでしょうか。

えぼりさんのこの↓記事を読むと、「世界の国歌を歌ってみよう」というこのカリキュラムはけっこう楽しいものだと思えますよ。^^

●漂流生活的看護記録
よりどころ
http://eboli.exblog.jp/7154941/

いずれにしても、こういった「第二の国歌」を聴いていて思うのは「ああ、これはラブソングだな」ということ。あなたのこんなところがよくて、こういうところが好きで、と相手に向かって語りかけている感じ、もちろんプライベートで。それに対して公式の国歌は同じ愛を表す言葉だとしても、いわば「結婚式の誓いの言葉」みたいなもんで、語りかけるのは相手にではない。まあその「誓いの言葉」もちゃんと恋愛した上で、愛を語れるだけ語り倒した相手になら、多少の欠点はあろうが「別に誓ってもええんちゃうかな」ぐらいで抵抗なく自然に言えるんだろうけどねえ。あ、もちろんこれも単なるたとえ話だけど。

(引用ここまで)

さて、上級カリキュラムとしては、国歌をいろいろなアレンジで歌ったり演奏したりする、ということはどうでしょうか。Youtubeなどを見ると、国歌をいろいろなアレンジでやっているのを聴くことができますね。ソロ歌手がそれぞれの個性で歌っています。ロックギタリストが国歌のメロディを演奏しています。君が代のメロディを日本のロック系ギタリストがソロ演奏しているのも見ました。ただ、最初から最後までゆっくりしたメロディを無伴奏のエレキギターソロで演奏するとなんか間延びした感じで、私の好みではありませんでした。

いずれにしても、なぜ「国旗国歌強制肯定論者」が式典で起立して斉唱するだけのものに国歌を閉じ込めるのか、そして、そのことに疑問を持つ人たちを「国旗国歌強制肯定論者」が執拗に叩くのか、何度も繰り返すようですが、私はそれが不思議でなりません。主権者として、国旗国歌はもっと自由にとらえていいのではないでしょうか。

話は変わりますが、国旗国歌にまつわるいろいろなことを調べていて、「君が代をジャズ調に演奏したことで分限免職になった」先生がいたことを知りました。現在Youtubeで君が代のメロディーをロックギタリストがソロ演奏している映像があるのに、君が代をジャズ調に演奏しただけで免職!えーん、君が代怖いよママン。国旗国歌の強制は不寛容の精神と暴政の温床ではないか、と私は思いました。見つけた資料をちょっと引用。

●都教委情報メールニュース
九州「日の丸・君が代」処分小史
http://blog.livedoor.jp/suruke/archives/50981477.html

◆1979年 福岡県立高校の教員、「君が代ジャズ伴奏事件」で分限免職。

(引用ここまで)

●自由のための「不定期便」
『君が代問題について』(1)
http://adat.blog3.fc2.com/blog-entry-302.html

若松高校の音楽の先生が、卒業式で君が代をジャズに編曲してピアノ伴奏したのだ。 先生も生徒も、まさかこれが大事件になるとは思っていなかった。

(引用ここまで)

忌野清志郎のパンク版君が代があったり、初音ミクのジャズ調の君が代が平気で動画サイトにある現在、君が代をジャズ調に演奏してクビになるなんてなんて恐ろしい。えーん、君が代怖いよママン。クビにすることに賛成する人たちは「不祥事」と言うけど、どこが不祥事なのかわかりません。君が代の強制指導を徹底せよという通知を1985年に出した文部省の高石邦男初等中等教育局長がその後リクルート汚職で賄賂を受け取ったことが不祥事というならわかりますけど...。君が代を強制肯定論者から解放しよう!

さてさて、もう一つ、参考にしたい海外の「事件」があります。君が代ジャズ事件と同じ1979年、フランスでレゲエ版「ラ・マルセイエーズ」事件(?)というのがありました。フランスではこの話は語り草になっていますので、当時を生きていなくても、たいていのフランス人が知っています。これがその曲。

●フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」レゲエ版
http://www.dailymotion.com/video/x3nzfr_serge-gainsbourg-aux-armes-et-ceate_music

タバコを持った無精ヒゲのおっちゃんがこのレゲエ版「ラ・マルセイエーズ」の仕掛け人です。セルジュ・ゲンスブールといって、フランスでは有名な人です。(セルジュ・ゲンズブール、セルジュ・ゲーンズブール、セルジュ・ガンズブールという日本語表記もあります。)

このおっちゃんについてはこちら↓を参照してください。日本語記事はフランス語記事のサイドカラムからたどってください。ユダヤ系フランス人のこのおっちゃん、一筋縄ではいかない人物ですが、今回の記事に関係のある1979年のところだけ訳してみましょう。

●Serge Gainsbourg(フランス語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Serge_Gainsbourg

キングストンで録音された彼の新作は数ヶ月でプラチナディスクとなる売り上げをあげた。レゲエ版「ラ・マルセイエーズ」は保守紙ル・フィガロのジャーナリスト、ミシェル・ドロワにショックを与え、ドロワはほとんど反ユダヤ主義的な攻撃的記事を書いた。セルジュ・ゲンスブールは「ドロワさんほどにこんな愚かになるわけにはいかない」と題した記事で応答した。彼がコンサートをすることになっていたホールは軍人たちによって荒らされた(その混乱はあまりにもはげしく、(ジャマイカから来た)黒人ミュージシャンたちは舞台に出ることを拒んだほどであった)。それにもかかわらず、ボブ・マーリーのコーラス隊、「アイ・スリーズ」と有名なスライ・アンド・ロビーを含むレゲエミュージシャンたちとのツアーは大成功を収めた。

(翻訳引用ここまで)

このコンサートでは、怒った右翼によってコンサートが大混乱になろうとしたとき、ゲンスブール本人がステージに出て、握りこぶしをかかげて正調「ラ・マルセイエーズ」を歌い、右翼とともに大合唱になった(笑)、という伝説も聞いています。いずれにしても、それから30年近くたった今、このレゲエ版「ラ・マルセイエーズ」に対してミシェル・ドロワのような激しい敵意をむき出しにする人はフランスにはほとんどいなくなっていると思います。サルコジーあたりは国歌を教育の場で強調したいと思っているようですが、フランスでは今の日本のように国旗国歌への特定の態度を強制する教育はおこなっていません。有力な政治家の中でも、国旗国歌を強制することに反対することを明言する人がきちんといます。(たとえば、こちらを参照してください。)そもそも、何人かのフランス人にきくと、日本のように国旗国歌を強制しようとしてもフランスの教職員は従わないだろう、ということです。

あ、私の今回の記事の趣旨に合った正調「ラ・マルセイエーズ」の一例として、こんなのはいかがでしょう。

●La Marseillaise
http://www.dailymotion.com/relevance/search/La%2BMarseillaise/video/x114wg_marseillaise-a-capella_sport

「武器を取れ 市民らよ
組織せよ 汝らの軍隊を
いざ進もう! いざ進もう!
汚れた血が
我らの田畑を満たすまで」

という「血の気の多い」歌をここまで美しく歌っていいんでしょうか。(笑)ちなみに、ゲンスブールのレゲエ版では、女声コーラスが歌うこのサビの部分は、「武器を取れ、以下省略(エトセトラ)」と改変されていて、その脱力ぶりがレゲエ版の魅力なわけです。

レゲエ調であれ、美しいコーラスであれ、国旗という記号、国歌という音波に何を見るか、何を聞くか、どう思うかは完全に各個人にゆだねるもの。処分を振りかざして君が代を強制することは国歌に対する恐怖心や単なる服従心を人々の心に残すだけの行いです。君が代に対する敬意を育てたいのであれば強制は最も愚かな方法であると、スウェーデンのコーラス隊がフランス語で歌うこの「ラ・マルセイエーズ」を聞いて改めて思いました。



管理人から: 国旗国歌問題についての記事は、それが教育の場面での問題でもあるので、サイドカラムのカテゴリー分類では、「歴史問題、国家主義、「愛国心(国家意識)」と、「教育問題」の両方に入っています。当秘書課広報室への意見としてコメントやトラックバックを私に届けたい方は、私の過去の記事もお読みの上、それを踏まえてお願いいたします。

●News for the People in Japan
国旗・国歌 資料
http://www.news-pj.net/siryou/kokki-kokka/index.html





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5件のコメント

[C4484] 思い出した事が

ありました。
携帯電話からのアクセスで申し訳ありませんが、PCの調子が不安定なのでご容赦願います。
さて、ウヨ連中に一つ聞きたい事がありまして。
坂本九をどう評価しているのか?を聞きたいのです。
日航機墜落事故で亡くなられた、あの坂本九ですね。
まず殆どの方が「いい人だった」と思っておられるでしょうし、実際いい人でした。
ただ、一度大問題になった事がありまして。
確かボクシングの試合で日本人が世界チャンプを破り優勝したときに、君が代を坂本九が歌ったのですが、あがってしまったのかうわずってしまったのかは分かりませんがなんか「妙な」調子で歌ってしまったのです。
当時大問題になったようなのですが、実際に聞いた訳でもないので判断しかねるのですけどね。
ジャズアレンジは流石に体制にとっては都合が悪かろうと思いますが(もとは白人支配に対しての抵抗の唄ですからね(笑))
でもまぁ、たかがジャズアレンジでガタガタ抜かすなんざぁ私に言わせりゃ粋な遊びを全く判らない野暮天連中にしか見えないんですけどねぇ。
がっちり固める中に敢えて「遊び」を入れる洒落っ気がないと人間やってて息苦しくてたまらねぇと思うのですが。
  • 2008-07-14
  • 投稿者 : おさふね
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[C4487]

>他国のことを知らずにどうして他国への尊重を体感できるでしょうか、ということです。

そんなことをいちいち知ろうが知るまいが、普通に他国の国旗や国家くらいそれなりにひとつの礼儀として尊重できるでしょうなあ。
「尊重」とは、なにかの信仰ではないよ。
同じことは個人的な人間関係でも言えるね。 



>日本の学校に通っている在日中国人や在日韓国人、その他の移民系外国人にまで日本の国旗国歌を有無を言わさずに強制するなら、日本の生徒もぜひ中国や韓国などの国旗国歌を直接学び、尊重しなければならないでしょう。


日本人は別に移民や在日にあわせて相手の国家国旗などを学ばなければならない理由は全く見当たらないよ。
基本的に学ぶ必要や義務があるとすれば、向こうから日本へ来る人間の側なのだから。
同じことは、海外へ出かけて行く日本人にも言える。
外国に住む日本人が現地の国旗国歌について学ぶ義務が発生したとしても、その対価としてこちら側のものを押し付ける理由など全くないね。


さっぱり分からんねえ、これは。
  • 2008-07-14
  • 投稿者 : abcd
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[C4492] いまだ滅びず

そのプログラムがあるなら、一番最初にポーランド国歌を選ぶでしょうね。ポーランド語はもうほとんど忘れてしまいましたが今でもサビ部分はちゃんと歌えます、素晴らしい歌です。現大統領の双子の兄、ヤロスロワ・カチンスキの歌う国歌もいまやポーランド名物(しかも歌詞が微妙に間違っている)
Były premier, Jarosław Kaczyński i jego hymn
http://www.youtube.com/watch?v=qzLEF0kChOw

この歌は強制どころか、歌うことを100年近く禁じられた歴史もありますが、それでもポラン族の「民族の歌」として水面下で脈々と受け継がれてきました。全ての領土を失くしたポーランド人たちが「ポーランドはまだ滅びてはいない」と、どんな気持ちで歌い続けてきたのか。強制までして歌わせるような国歌に果たして同じだけの力があるのか、ちょっと考えてしまいますね。

国旗に関しては、アルゼンチンからの帰国子女noraさんの「ある帰国子女のブログ」に面白いことが書かれていましたので、どうぞ。
「nora también es argentina ノラもアルゼンチン人です(nora mo aruzenchinjin desu)」
http://unajaponesaenjapon.com/?p=991
  • 2008-07-15
  • 投稿者 : えぼり
  • URL
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[C4527] ウヨですけど、いいんじゃないすか

オサフネ様、妻からは右翼よばわりされてますけど、いいと思いますよ。なんか、すごく右翼を敵視してますけど、いいんじゃないですか。国歌を編曲するのも粋であれば結構。(無理矢理下品にしたり、下品な歌詞で替え歌にしなければ、という意味ですよ。)
多くの国の国歌とか学ぶのいいことだと思いますよ。でも、「日本の学校に通っている在日中国人や在日韓国人、その他の移民系外国人にまで日本の国旗国歌を有無を言わさずに強制するなら、日本の生徒もぜひ中国や韓国などの国旗国歌を直接学び、尊重しなければならないでしょう。」のくだりはおかしいですけどね。日本の学校で授業の内容が強制と思うこと自体、おかしいけど、それで、他国の「国旗国歌を直接学び」って、どういう展開? 直接ってどういう意味?
  • 2008-07-21
  • 投稿者 : シロップ
  • URL
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[C4532] はじめまして。

以前から拝読させていただいております。様々な国の国歌を教える、というのは良いアイデアですね。目からウロコでした。

ちなみに、セルジュ・ゲンズブールのエピソードは辻仁成氏のエッセイ集「ガラスの天井」で読んだことがあります。それによると、一人臆することなく「ラ・マルセイエーズ」を歌いきったゲンズブールに対し、押し寄せた右翼たちはその勇気に感服し、敬礼をしたのだそうです。
  • 2008-07-21
  • 投稿者 : gurugurian
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Author:村野瀬 玲奈
日本の民主主義化運動のため、国会議員、行政機関、マスメディアに主権者、納税者、生活者の声を届けるお手伝いをするサイバー政治団体(笑)「世界愛人主義同盟」秘書。護憲派アマゾネス軍団労働組合所属(笑)。派遣秘書としてこちらにもときどき勤務(笑)。
この秘書課広報室備え付けの国会議員の政党別・委員会別・都道府県別などの名簿の一覧と使い方はこちら。たとえば、非正規労働を正規化せよと民主党幹部に要望の投書をするなど、ご活用ください。名簿の最終更新日は2008年1月23日。
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