
元ハンセン病家族訴訟で政府は控訴しないと安倍首相が表明しました。この訴訟で国側が控訴しないことは良いことではありますが、言っておかなければならないこと、被害者となる可能性のある日本国民が意識しておかなければならないことがいくつかあると思います。
まず、この報道を一つ記録することから始めましょう。
●朝日新聞デジタル元ハンセン病家族訴訟、控訴しない方針 安倍首相が表明
https://www.asahi.com/articles/ASM792T42M79UTFK002.html2019年7月9日09時24分
そして、この報道に先立って、複数の政府関係者が国側の控訴の意向を報道機関に伝えていたことも報道されていました。国側が首相の指示で控訴の意向を撤回したことで「国側が控訴の意向」という最初の記事は取り消しとなったわけです。しかし、たとえそうであっても、もともと国側は控訴の意向を持っていたということを覚えておくことは重要なことです。
●朝日新聞デジタル
誤った記事おわびします 元ハンセン病家族訴訟
https://www.asahi.com/articles/ASM793W3QM79UEHF003.html
2019年7月9日12時29分
元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた熊本地裁判決について、朝日新聞は9日朝、複数の政府関係者への取材をもとに「国が控訴へ」と報じました。しかし、政府は最終的に控訴を断念し、安倍晋三首相が9日午前に表明しました。誤った記事を配信したことをおわびします。
(転載ここまで)
そもそも、日本政府は政府の政策や行為によって一般国民に被害が生じた場合、全く責任を認めようとしないことがほとんどであり、被害者への補償も多くの場合不十分であることは、被害者側になる可能性のある国民側は忘れてはなりません。日本人は日本政府を安易に信用してはならないと私が考える大きな理由です。
この種の行政訴訟では日本政府は被害者側の一般国民ととことん戦って、国の責任を一切認めず、誤った政策を反省とともに改めるよりも、税金を使って被害者側を疲弊させることが定番です。私はそのことについて、日本政府に対して非常に苦々しい思いを持っています。多くの人もそうだと信じます。
それが言っておきたいことの第一点。
言っておきたいことの第二点は、今回の件での国側からの控訴取りやめは、2019年参院選直前のタイミングで行なわれており、しかも、安倍首相の好意で被害者を救済することにしたという恩着せがましさというか選挙に向けた印象操作のにおいが強くするということです。
こう書くと、安倍晋三主義原理主義の立場に立つ人々が、安倍首相や自民党政府のやることなら何でもケチを付けたがる奴だ、と私に言ってくるかもしれません。
しかし、ここではっきりと意識すべきことは、第二次大戦敗戦後もほぼ切れ目なく政権にあり続けた自民党政府がハンセン病に対する差別的政策を長い間そのままにしてきたのであり、そのことについての明確な反省がないままの今回の安倍首相の「英断」をほめることはできないということです。こういう指摘があります。
そうです。ハンセン病患者への差別的取り扱いをやめさせたのは自民党単独政権の時ではなく、自社さ連立政権の時であったことは覚えておくべきところ。当時の菅直人・厚生大臣がこう述べています。
●菅直人公式サイト
ハンセン病家族の集団訴訟勝利
https://n-kan.jp/blog/190629/
2019年6月29日菅直人ブログ
昨日熊本地裁でハンセン病家族が、隔離政策による差別助長の国の責任について訴えた訴訟で、国の責任を認める判決が言い渡されました。
実は私が厚生大臣に就任した1996年の最初の仕事がらい予防法の廃止でした。ハンセン病の治療薬が進歩し強制隔離は必要なくなった後も長く強制隔離政策が続けられていました。その根拠となっていたらい予防法を廃止したのです。当時私も地元にあった国立療養所多摩全生園をはじめ多くの国立ハンセン病療養所を訪れました。鹿児島県の星塚敬愛園を訪れた時には一泊泊めてもらい、患者の皆さんとお風呂に一緒に入り、喜んでもらいました。翌日の新聞にその様子が大きく報道されたのには驚きました。
患者の皆さんはもとより、家族の皆さんも長く差別を受けてこられました。それに対する国の責任を問うのが今回の裁判です。判決は国の責任を認め賠償を命じました。大変すばらしい判決だと思います。国として控訴しないように働きかけていきたいと考えています。
(転載ここまで)
自民党以外の政党が政権に参加しなければハンセン病への差別的取り扱いを日本政府はやめなかっただろうと考えれば、安倍首相が元ハンセン病家族訴訟での国側の控訴をやめることを決断したと言っても、ハンセン病差別を反省したうえでのことではないと思わざるを得ないのです。そう思わざるをえない根拠が、まさに、安倍首相がハンセン病をめぐる訴訟についての述べた会見の中において、言葉遣いとしてあらわれているわけなのです。
●首相官邸ホームページ
令和元年7月9日
ハンセン病をめぐる訴訟についての会見
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201907/09kaiken.html
令和元年7月9日、安倍総理は総理大臣官邸で会見を行いました。
総理は、ハンセン病をめぐる訴訟について次のように述べました。
「今回の判決内容については、一部には受け入れ難い点があることも事実であります。しかし、筆舌に尽くし難い経験をされた御家族の皆様の御苦労を、これ以上長引かせるわけにはいきません。その思いのもと、異例のことではありますが、控訴しないことといたしました。この方針に沿って検討を進めるよう関係大臣に先ほど指示いたしました。」
(転載ここまで)
元ハンセン病家族訴訟を長年闘ってきた患者やその家族の「御苦労を、これ以上長引かせるわけにはいきません」と安倍首相や日本政府が本当に考えているのなら、自民党が長い間ハンセン病への差別的政策をそのままにしたことへの反省を語るべきですが、そういう反省の言葉はありません。その代わりにあるのは、「今回の判決内容については、一部には受け入れ難い点があることも事実であります」という、政府に責任はないと言いたげな、患者とその家族にとってはトゲのある一文です。患者そとの家族を慰労し、政府の過去の不適切な政策について謝罪とともに語らなければならないはずのメッセージにあってはならない一文だと言わざるをえません。このように、どうしても自分が掌握している権力側の過ちを認めたくないという幼児性が口を開けば安倍首相からは漏れてしまうのです。
さらに、この会見の短いメッセージの中にあるもう一つの言葉が私の注意をひきました。「異例のことではありますが」という一言です。この言葉は、今回国側が控訴をしないことはあくまでも例外のことであって、他の行政訴訟では日本政府・自民党は引き続き行政や政治の過ちを一切認めない態度を取り続けるという宣言に聞こえます。
ちょっとした言葉遣いの中にその人の本音が見えるという好例を安倍首相は今回見せてくれました。
今回の控訴断念はハンセン病患者とその家族にとっては喜ばしいことであり、それ自体は良いことです。
しかし、安倍首相の決断をたたえる報道は、上に書いたような、自民党政権のもとでハンセン病への差別的政策が温存され、それがやっと廃止できたのは自民党以外の政党が政権に参加したからであるという歴史的事実を思い出さない報道、安倍首相や自民党政権が本当にハンセン病への差別的政策についての反省をしているとは言えないのではないかと読み解けない報道は私にとっては全く物足りないものであるということもあわせて言っておきたいのです。
安倍首相の選挙対策としてこの件が利用されたと改めて思わされました。
●国会議員への投書のための「議員一覧ポータルサイト」 (1)→
国会議員いちらんリスト - 政治家(衆議院議員475名 & 参議院議員242名)に声を届けたい人のためのサイト ; (2)→
http://publistella.jp/●メディア一覧 - 私たちの声を国会へ→
http://rpj-action.jimdo.com/%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E4%B8%80%E8%A6%A7/●他の社会系ブログに行くにはうちの「私的リンク集 (適宜更新)」経由で→
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-136.html
- 関連記事
-
スポンサーサイト
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entewkefc「所得の不平等の原因と結果:グローバルな視点」という論文が経済格差の拡大は経済成長を止めると示唆している。自民党の日々の政治が日本の経済成長を止めていると認識しましょう。グローバル vs ローカル?続けての投稿、すみません。
「グローバル」は、ローカルがあってこそ・ローカルに資するもの(←言い方は他にもいろいろあるだろうけど)、でないといけないと思います。
一津木野宇佐儀「所得の不平等の原因と結果:グローバルな視点」という論文が経済格差の拡大は経済成長を止めると示唆している。自民党の日々の政治が日本の経済成長を止めていると認識しましょう。コンパクトかつ地域循環!!格差はもう行きつくところまで行ってしまったかな、と地方・田舎から見ていて思います。
経済、だけでなく教育、人口等は昔から大都市圏、特に首都圏に集中していて、地方(津木野宇佐儀入管難民法改悪案阻止のため立憲民主党が法務大臣への問責決議案を出したことを評価する。#立憲ボイス @izmkenta @saito_yoshitaka #改悪入管法の強行採決反対冷笑系…>アンドリュー・バルトフェルドさん
「冷笑系」の人々がいつでも転落するのが今の日本の状況だと、泥臭くても言い続けていく必要はあるかと思います。
私自身うつ病で挫津木野宇佐儀軍拡財源法案は許せない。軍拡財源法案に強く反対しない立憲民主党は軍拡反対の有権者に支持されたくないのか? いわゆる私のような生粋の左翼に「支持されたくない」のは本当でしょうね。
左翼票を喪っても連合の組織票と冷笑系の浮動票で挽回できると踏んでいるのでしょう。左翼左の人「江戸しぐさ」という歴史偽造 (メモ) 江戸しぐさなどと揶揄される江戸時代はそんなにひどかったのか。 江戸時代は暗黒の徳川家専制の時代,明治はその暗黒を取り除いたと明治政府は公言しました。たしかに江戸時代は言論の自由も表現の自由もなく,身分制度もあり素晴らしいTakeshi東京都人権部は、過去にあった凄惨な人権蹂躙を検閲して隠すという歴史への蛮行を、税金を使って始めた。強く抗議します。カチンの森事件の隠蔽という悪事 日本に酷似 1940年4月,5月に25000人以上のポーランド市民がソ連内務人民委員部(NKVD)によって銃殺されました。犠牲者は大部分が陸軍将校であったものの,知識人,大学教授,学校Takeshi法的根拠のない「国葬」を日本国民が止められないなら、自民党による戦争や暴政を止められるのだろうか。だから #国葬反対 #今からでも国葬中止を #国葬を国民の力で葬ろう権力者は身の危険に対して鈍感 安倍晋三は,たしか身の安全をはかるようにと国会で野党議員から助言されていたかと思いますが無視しました。岸田文雄も安倍の前例があるにもかかわらず,まさか自分が狙Takeshi#奪マスク #脱マスク を他人に強制しようとするな。徹底的に抵抗する。まだまだコロナには注意が必要,マスクも必要私の先輩で高齢の友人が新型コロナに感染しました。夫婦二人暮らしで推奨されるワクチンはすべて接種していました。喉に死ぬほどつらい痛みがあり,何をする気力もなく,こTakeshi入管難民法改悪案阻止のため立憲民主党が法務大臣への問責決議案を出したことを評価する。#立憲ボイス @izmkenta @saito_yoshitaka #改悪入管法の強行採決反対冷笑系を唾棄したいFAXによる請願で、件の政策秘書と同様に「そんなのをやっていたら市民運動の言うことを誰も聞かない」などと喚き散らすのが見られます。
そういう冷笑バカは、「対案を出アンドリュー・バルトフェルド小規模市民運動のためのヒント(メモ)No title「サイレント」と聞いてグレタ・トゥーンベリさんが真っ先に頭に浮かびます。
彼女は一人で運動をはじめ、それが世界にまで広がっていった…すごいですよね。津木野宇佐儀「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」はずなのに拷問を行なう入管は憲法違反。解体・廃止が妥当。No title『「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」はずなのに拷問を行なう入管は憲法違反。解体・廃止が妥当。』に対する意見
http://muranoserena.blog91.fc2.ewkefc国会前で #入管法改悪に反対 した5500人(2023年6月5日)No titleでも
5500人の方々が集まってくださったことは、一筋の光明だと思います。
地方在住でパニック発作もあり、なかなかデモには参加できないのですが、地方からもできるだ津木野宇佐儀「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」はずなのに拷問を行なう入管は憲法違反。解体・廃止が妥当。No title全くそうですね。
戦後の長年の保守政権、その流れをくむ自民の憲法軽視(アベ以降は憲法無視!)が、戦前からの「拷問及び残虐な刑罰」的体質を矯正するどころか、許し続け津木野宇佐儀「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」はずなのに拷問を行なう入管は憲法違反。解体・廃止が妥当。No title もともと入管当局というのは特別高等警察の残滓みたいな組織でした。周知のように特高とは大日本帝国の暗黒面を代表するような組織であり、多くの人々を拷問にかけ痛めつクテシフォンまた核発電所大規模事故を招くもとになる可能性のある原発回帰推進法の自国維公による可決に抗議する原発回帰推進法の可決に強く抗議する選挙で信を問うこともなくGX脱炭素電源法が政府与党とその補完勢力である維国の賛成で可決されました。
GX脱炭素電源法とは名ばかりその実は原発回帰推進法そのもので閉口#入管法改悪に反対 #法務大臣の問責決議を #法務大臣の解任を #改悪入管法の強行採決反対 つまり、国際的に当たり前の人権政策を日本政府に求めているだけです。#改悪入管法の強行採決反対入管法改悪をめぐって政府与党の問題が次々と明るみに出ています。
難民審査「1年半で500件」は可能なのか、不可能なのかについて齋藤法相は答弁を180度転換、ただただ閉口閉口#入管法改悪に反対 #法務大臣の問責決議を #法務大臣の解任を #改悪入管法の強行採決反対 つまり、国際的に当たり前の人権政策を日本政府に求めているだけです。No title立憲は、「てめえを踏みつけている奴らに媚び売ってどうすんだ」というのを何度も思います。
泉が平熱パニックおじさんの番組で飲みながらヘラヘラやっていたし、枝野がプアンドリュー・バルトフェルド津野香奈美著「パワハラ上司を科学する」(ちくま新書)No title日本では「上司」=管理職が何たるものかが理解されずにずっーと来ましたよね。
「仕事ができる=管理職=出世」ではなくて、労務管理能力のある人が管理職なんですけど。津木野宇佐儀デモの精髄を、フランスの年金カイカク反対デモに学ぶ。「もし私たちが私たちの両親の年金のために闘わなかったら、誰が私たち自身の年金のために闘ってくれる?」 (2)No title日本でもかつて「売上税」阻止をデモとメディアの攻勢で廃案に持ち込んだことがありましたよね。
本当は日本でもできた・「できる」ことなのですが…
日本国、否、自民国JAP津木野宇佐儀#入管法改悪反対アクション に取り組む人々の姿が、辛うじて日本国の人権意識の消滅を防いでいる。No title 週刊新潮や産経新聞の記事は、これらのメディアが人権など一顧だにしない事、ひたすら保守政権の後押しをする集団であることを如実に示しています。予想通りの行動を採るクテシフォン国会議員の居眠りについての自民党・河野太郎の言い訳(メモ)自分達の事ばっかり何から何までろくでもない野郎ですね。
主張する事は、常に自分達特権階級の擁護ばっかり。
庶民が、病院でマイナカードの不具合で受診できまいがお構い無しで、不具合隠K.Mina相模原市の障がい者虐殺事件の容疑者が釈放されてニュースキャスター長谷川豊の名でネットメディアで「透析患者を殺してもよい」と言っているのかと思った。精神障害者である自分を肯定する人もいる。 昔は精神分裂病と言われた統合失調症は100人に1人がかかるごく一般的な疾患なのだそうです。日本の人口が1億2000万人であれば120万人が罹患していることになります。発祥Takeshi自国維公が国民の医療アクセスの命綱を切る作業を本格化させた2023年6月2日。民主主義者にとって自国維公に殴られ始める屈辱の日。 #保険証廃止法案の成立に抗議しますNo title>ブログ主様
>まだまだ闘わなければ日本の民主化は成し遂げられません。あきらめた時が負けです。
>決して腐ることなく、戦い抜きましょうと、多くの人に呼びかけ津木野宇佐儀自国維公が国民の医療アクセスの命綱を切る作業を本格化させた2023年6月2日。民主主義者にとって自国維公に殴られ始める屈辱の日。 #保険証廃止法案の成立に抗議します私はマイナンバーカードを持ちません。 私もマイナンバーカード取得強制に反対でコメントを2日前から投稿したのですが,F2ブログからはねられていました。よくあることですが。
私のもとには過去に市役所Takeshi問題なく使われている現行健康保険証廃止は自国維公(地獄行こう)から日本国民への暴力的攻撃。抗議と反対を続ける。 #保険証廃止法案の採決に抗議します まだまだ使えて誰も不便に思ってない道路をわざわざぶっ壊して新しい道路を作るようなことは東日本大震災の被災地ではよく見る光景です。復興という錦の御旗があれば無駄左の人問題なく使われている現行健康保険証廃止は自国維公(地獄行こう)から日本国民への暴力的攻撃。抗議と反対を続ける。 #保険証廃止法案の採決に抗議します朝日の劣化ここ数日で「朝日は滅びろ」というのが強くなりました。
成果が疑わしいG7の報道でも「何を食った」とどうでもいいことをやっていて「核軍縮」の退行を流しもしない。
最アンドリュー・バルトフェルド首相公邸で遊ぶ岸田文雄一族。 (2)くだらん擁護が悪目立ち青瓦台で同じことがあれば、トチ狂ったように連日報道業者が喚き散らします、絶対に。
「他人の振り見て我がふり直せをやったら死んじゃう病患者」が余りも多すぎる証左にアンドリュー・バルトフェルド入管法改悪は自民党政府による外国人へのさらなる虐待のようなものです。 #入管法改悪反対No title 立法事実(その法律が必要とされる社会的事実)が存在しない法律は、それだけで憲法違反となるというレベルのものです。内容面でも問題だらけの法律案ですが、それを無理やクテシフォン