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雨宮処凛さんが北朝鮮に行った時のこと



ささやかながら当秘書課広報室でもサイドカラムで自主的に宣伝に協力しているホームレス支援の雑誌、「ビッグイシュー」で雨宮処凛さんが「世界の当事者になる」という連載記事を書いています。

もう一ヶ月くらい前の号ですが、雨宮さんが北朝鮮に行った時のことが書いてありました。短い一節ですがたいへん興味深く思ったので、その部分を書き留めておきます。

●ビッグイシュー日本版 2008年5月1日 94号
「世界の当事者になる」(23ページ)

北朝鮮では、日本の常識と正反対の価値観に面食らった。彼らは「資本主義社会に生きる日本人」に心から同情していたからだ。

(引用ここまで)

「ひええ、北朝鮮では人々は西欧流の民主主義を求めているのに金正日の有無を言わさぬ圧政のもとで苦しんでいるわけではなくて、むしろ満足している人も当たり前にいるの?」とこれを読んでびっくりしたわけです。アジア的国家主義メンタリティでは、国家の政策によって苦しめられていてもそれに気づかないのか、あるいは苦しめられているからこそますます「強い国家」を求めるということなのか、「敵は外にいる。われわれは愛国心を強化して外敵から祖国を防衛しなければならない」と皆で信じているのか、などといろいろと想像します。あるいは、北朝鮮政府が人々を「パンとサーカス」で満足させていて、国家主義的圧政にもかかわらず人々が「自分たちは満足している」と思いこんでいるということでしょうか。人々は苛酷な圧政に苦しんで民主主義と自由経済を求めているのでしょうか、人々は外敵の脅威に屈しない強い北朝鮮政府に頼って満足しているのでしょうか、それともその両方なのでしょうか。想像の難しい、不思議な国、かもしれません。

でも、日本でも自民党政権による生活基盤破壊の政治にもかかわらず、内閣支持率は上下を繰り返すものの自民党そのものの支持率は一定水準以下にはなかなか下がりません。それを裏書きするように、当秘書課広報室秘書である私の周りにはいろいろな人がいます。福祉な労働政策は自助努力で各人が手当てすべきで国家は軍事力で国民を外敵から守るだけでいいと信じてそれを国家に求める人。主権者であるのに「日本に住まわせてもらっている」と言う謙虚な人。国策を批判することは反愛国的だという考えを持つ人。日本にそのような人たちがかなり多いのなら、北朝鮮でも国家への信頼や忠誠が強くて、生活が貧しいのは金正日のせいだとは考えずに周辺の仮想敵国の軍事的脅威のせいだと思っている人がいても不思議ではありません。きっと、「北朝鮮に住まわせてもらっている」と金正日に感謝している人々もいるにちがいありません。

さらには、北朝鮮でも日本でも国旗国歌への忠誠を国家が国民に要求することからしても、北朝鮮も日本と似たメンタリティと社会構造がある、という言い方もできるでしょう。

雨宮さんのコラムに戻ると、雨宮さんのこの一文だけで北朝鮮のすべてがわかった気になってはいけないでしょう。でも、日本で増殖するおどろおどろしい北朝鮮情報だけをもとに、北朝鮮は日本と全くちがう抑圧的な恐ろしい国だと考えることは二重の意味で誤りだとも想像します。北朝鮮と日本は鏡に映る自分の姿のようによく似ているかもしれない、という意味で。そして、北朝鮮政府が抑圧的政治体制を持つ半面、人々はそれに「適応」して忠誠心を持ち、「強い国家の懐に抱かれている」幸福感を味わっているのかもしれない、という意味で。

先の記事、「北朝鮮問題を平和的恒久的に解決する方策について」 (by Looperさん)で考えてほしかったことの一部には、そんな思いも含まれます。北朝鮮が国家として犯してきた誤りや犯罪行為については、それとして扱うべきですが、単に北朝鮮を不気味なモンスター扱いして軍事力で脅かし経済制裁を使ってこちらの要求をのませようとするだけでは、北朝鮮の「愛国心」に火がついて何も進まないのではないでしょうか、と思って想像をたくましくしてみました。



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5件のコメント

[C4147] 人はなぜ絶望的な環境下でも生きていけるのか?

生命の不思議というか、どんな環境下にあっても殆どの人は恋をする。
すると、好きな人のいる空間が天国になる。
どんなにみすぼらしい場所も、そこに好きな人がいるだけで、薔薇色に輝く。

拉致被害者帰国の日、蓮池薫さんはタラップから降りながら咄嗟に祐木子さんの手をとって歩き出した。その2人の姿は非常に印象的だった。
帰国後しばらくすると、公の場所で、ふたりが手をつなぐ姿は見られなくなった。
(家庭内では勿論、仲が良かったことは間違いない、が、ふたりは帰国後すぐに“日本の伝統的空気”を思い出して、公衆の面前で手をつなぐことを自粛したにちがいない)。
こんなに性が乱れている国であるにもかかわらず,この日本にはオカシナ締め付けが数多く残っているのだなあと、(帰国後の二人の行動の変化を見て)私は思った。
もしかしたら、日本より北朝鮮のほうが「愛の表現の自由」はあるのかもしれない。

そして、もうひとつ、漠然と思ったことは、「もし拉致されなかったら、日本で祐木子さんは薫さんと結婚できたのだろうか?」ということ。
  • 2008-06-19
  • 投稿者 : コギトエルゴスム
  • URL
  • 編集

[C4148]

原文を読んでいないので詳しくは分からないが、この部分で一体何を興味深く思えるのか、今ひとつ分からない。
階層やらなんやらによって「満足している人」もいるのは当然だろうね。
いくら独裁でもそりゃ当然でしょ。

雨宮処凛が北朝鮮へ行って何ら制約なしに自由に歩きまわって、“この国は駄目で金日成は無能”と本音告白でもしてくれる人民と会話できるとは全然思わない。
実際にそんな機会と遭遇したら、そちらのほうが予想を裏切るので、こちらとしてはよほど「面食らう」だろう思う。
まあ、価値観の相違なんかあっさり超えて、現実に脱北者が大勢来るというので終わってると思うけど。
  • 2008-06-19
  • 投稿者 : abcd
  • URL
  • 編集

[C4149] 将軍様のモデルは

天皇陛下万歳!の思想を植えつけた某国でしょう。
「ほしがりません勝つまでは」
「進め1億火の玉だ」
「いずれ神風が吹く」

どこかの国も、戦争の原因を徹底的に究明することよりも、「陛下」の「おことば」で前だけみて経済復興をすすめりゃよかった。

アメリカも、「将軍様」を味方につけて「利用価値」のある国にするのが、最大のポイントでしょうね。
  • 2008-06-19
  • 投稿者 : ×第二迷信
  • URL
  • 編集

[C4163]

実は、北朝鮮は旧ソ連からも「わけのわからない国」と言われていました。
その国家モデルはどう見てもファシズム時代の日本に最も近いです。
しかし、こういう見方は、20世紀イデオロギーの牢獄に幽閉されている人にはどうしてもできないようで、マスコミでは相変わらずタブーですね。
似たようなことが、以前、「朝まで生テレビ」でありました。
在日韓国人の辛淑玉さんが、「北朝鮮と米国は似ている」としてその類似点を論じようとしたところ、在日台湾人の金美齢さんが「北朝鮮と米国が似てるなんてとんでもない」とわめき出すということがありました。
金さんにとっては、「米国と北朝鮮は違うもの」というのが大前提なんですね。
ただ、金さん世代の人はともかくとして、最近は若い人が非常にイデオロギッシュになっている。これがなんとも不可解です。
  • 2008-06-19
  • 投稿者 : Runner
  • URL
  • 編集

[C4165] 逆も何とやら

 雨宮氏の短い一節から確実に読み取れるメッセージは、
「ものごとは逆から見ると意外な発見がある。」
これだけ読み取れれば十分でしょう。

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