2008年の「橋下徹 対 高校生」の討論で橋下に泣かされた高校生が大人になって橋下思想の害毒について当事者の立場で語った主張を支持したい。

　　

前回の記事、『大阪ダブル選での橋下維新（おおさか維新）一派の勝利に思ったこと』の続きのメモです。

その記事で書いた、「たゆみなく種を蒔き続けていなければならない」という行動の一つとして、次の記事を紹介し、記憶しようと思います。

『「『子どもが笑う』 とは皆さんが笑うことではない」橋下大阪府知事が女子高生を泣かせたハシズム全開討論』という宮武嶺さんの記事でも紹介されていた2008年の「橋下徹 対 高校生」の直接論争のことを思い出していただけるでしょうか。その論争の場では橋下が政治と大人の責任を放棄した冷酷で無責任な攻撃発言をして女子高生たちを泣かせました。その女子高生が大人になってその時のことを振り返って述べている次のインタビューを熟読して広めていくことが、「ニンジンの種を蒔く」ことの一つだと思いました。リテラに掲載されていますが、「kojitakenの日記でも記録紹介されています。

ここでは私が特に重要だと思ったところを抜粋して記録し、記憶しようと思います。

●LITERA／リテラ　本と雑誌の知を再発見
【大阪ダブル選挙直前特別インタビュー】
７年前、橋下徹に恫喝されたあの“女子高生”が声をあげた！ 橋下が放った冷酷な言葉、そして今、大阪に起きていること
http://lite-ra.com/2015/11/post-1702.html
2015.11.21

（前略）

貧困家庭に生まれたのも、勉強してそこから抜け出せないのも自己責任だという考え方です。でも、ほんとうは教育って学力競争だけじゃない。生きづらさを抱えている子に、生きる希望を与えるものでしょう。横で聞いていて、悲しかったし、許せないと思った。

（中略）

　自分の苦しさを必死で訴える高校生に、橋下さんは「府財政の現状をわかってますか？」「日本のGDPはどれぐらいだと思います？」などと逆質問をぶつけてくるんです。こちら側は答えられず言葉に詰まる。さっき言ったように泣いてしまう人もいる。テレビはそういうところだけを切り取って流すんです。ほんとうは、私たちの側も「自己責任だけで語ってほしくない」「教育は学力だけが目的じゃないはず」と、言うべきことも主張した。それなのに、「わがままな高校生たちが自分勝手な甘えた主張をして、橋下さんに論破された」という印象のニュースに仕立てられる。『ミヤネ屋』のアナウンサーや、フジテレビのニュースの木村太郎さんなんかは「私学助成は憲法違反だ」と言っていたのを覚えています。

　そういう報道を見た人たちから、学校に抗議や嫌がらせが相次いだそうです。「甘えたことを言うな」「どんな教育をしてるんだ」って。私の卒業後には、「あの学校は日の丸を掲げてないらしい」「授業で貧困問題など余計なことを教えているようだ」という話に広がっていったとも聞いています。私が今回、SEALDs KANSAIでスピーチしたことに対しても、動画がネット上に出ると、誹謗中傷の書き込みが拡散されました。写真と名前、職場名とともに「共産党の手先」などと書いたコラ画像などがいくつも出回っているのを確認しています。ネットの反応などを見てると、私のような主張をする人間が許せないんだそうです。多くが維新の支持者のようですが、それだけじゃない。橋下さんのような考え方に世の中の多くの人が染まっているような気がします。

（中略）

　サークルを立ち上げたのは、周りで教職を目指す子たちの教育観にすごく違和感を覚えたからです。いかに効率よく資格を取るか、模擬授業のハウツーをいかに身に付けるかといったような話ばっかりしていて、本来の教育のあるべき姿はなんだろうと考えない。私は、教師というのは生徒たち一人一人に寄り添う伴走者であるべきだと思います。橋下さんの言うような競争偏重、一部のエリートだけを育てる教育では子供たちを救えない。むしろ、そこからこぼれ落ちた子たちに孤独を感じさせ、学校現場を荒れさせるだけです。それは、生きづらさを抱え、自己責任論と劣等感にさいなまれた自分だからこそ確信できます。私は、あの高校の先生たちに出会ったことで救われたんです。

　大学1年の終わり頃に東日本大震災があり、卒業までの約3年間に被災地へ何度も行きました。ただでさえ今の教育に疲れている子供たちが、被災し、親を亡くして傷ついているのに授業再開を急ぎ、子供の減った学校を簡単に統廃合してしまうことに違和感がありました。だから、私はできるだけ子供に寄り添いたいと思った。

（中略）

　橋下さんと維新の議員によって、教育基本条例が府と市で定められました。教員を評価と処罰で徹底的に管理し、締め上げる内容です。また、彼らは教員に対し、国歌の起立・斉唱を強制する条例も作った。誰のための教育かという視点が全くなく、すべてにおいて上から管理して従わせる発想なんです。これを安倍首相も評価している。つまり、大阪の「教育改革」は、国の先を行ってるんです。もちろん、悪い方向へ。

　その結果、大阪の学校現場では荒れる生徒が増え、不登校も増加している。何より深刻なのは、そういう状況だというのに、「大阪でだけは教師になりたくない」と志願者数が減っていること。今ここで維新政治を終わらせておかないと、大阪の教育現場はこれからもますます荒廃し、子供たちが生きづらくなっていくばかりです。そして、それはいずれ全国に広がっていくでしょう。ほんとうにそんなことでいいんですか。大阪の実情を有権者に知ってもらい、真剣に考えてほしいと私は願っています。

（引用ここまで）

この記事の中で象徴的だと思うのは、高校生が自分の窮状を訴えた時に、橋下はそれに答えず、「府財政の現状をわかってますか？」「日本のGDPはどれぐらいだと思います？」などと問い詰めた部分。そんなもの、高校生の責任では全くありませんよね。子どもがお腹をすかせているときに、「家計が苦しい」などと言いながら、親はたらふく食べながら、子どもの食事だけ減らすような橋下の発言です。しかも、なぜ「家計が苦しい」かといえば、それは「大人が浪費をしているから」でしょう。

そして、このような橋下の発言の悪いところを拡大増幅して伝えるテレビやニュース制作者、それを見て高校生に嫌がらせをしたり的外れの批判を加えることにためらいのない多数の大人の存在...。橋下政治、橋下思想の害毒の影響が日本の至る所に拡散しているのです。その先にあるのは何かといえば、社会と政治から子ども切り捨てや教育軽視の姿勢と思想が日本全体に広がることによって日本人全体の知性が弱体化することです。そうなったら、本当にもう取り返しがつきません。

●kojitakenの日記
７年前、橋下徹に恫喝されたあの“女子高生”が声をあげた！ 橋下が放った冷酷な言葉、そして今、大阪に起きていること（リテラ）
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20151122/1448173300
2015-11-22


橋下を支持する人たちの中に、橋下発言のひどいところを正論であるかのように演出して流すテレビ局とニュース制作者たちや、この高校生に見当違いの批判や嫌がらせを加える一般の大人たちが多いことは、近い将来の日本と日本人がますます冷酷な国、残酷な国民になっていく絶望的なまでの前触れです。私の社会的危機察知センサーはそう告げています。

それでも、絶望に心を完全に支配されないように自分に言い聞かせながら社会改善の種を蒔き続けることが成熟した大人の務めだと私は信じて、こうして記録を続けます。

最後に、上の記事で語られているこういう冷酷さや嫌がらせが橋下維新政治支持の人々から噴出していることを、良心的な人間だと自分では思っている橋下維新支持者自身にこそ、危機感をもって深刻に考えてもらいたいと思うのですが...。

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