
『
フランスの経済学者トマ・ピケティに注目する』の記事の続きを。
アベノミクスが失敗した厳然たる事実は日本のある種の報道機関以外の国際社会(日本以外の報道)でも指摘されています。そういう現在、トマ・ピケティの話題の本「21世紀の資本」の邦訳が2014年12月に出る直前の今、一人でも多くの人にこの本の重要性を伝えたいと思ってこの記事を作っています。私は著者や訳者や出版社に何の義理もありませんがw、できれば本を買ってほしいという気持ちもあります。(安くないですが...。)
この本は経済の本ですが、驚くべき引用があります。冒頭の目次と謝辞の後、本の内容を補足するインターネットサイトの案内の後、そしてイントロダクションの前に、1789年つまりフランス革命の時の人権宣言の第一条の中の一文が引かれています。私は経済書という分野の本をほんの少ししか読んだことがありませんが、普通は経済の本には人権宣言など引用されないものであることは想像がつきます。そこにこのピケティの本の独自性が象徴的に示されていると思います。ピケティが引用したその一文をここで紹介したいのですが、フランスの法務省のサイトにはフランスの歴史を刻む歴史的文書としてそのフランス革命の時の人権宣言が全文記録されているので、全文を参照したい人のためにも、また、私自身のためにも、ピケティが資本主義についての自著のために引いたその一文をそこから記録しておきましょう。
●Ministère de la Justice
Déclaration des droits de l'Homme et du citoyen de 1789
http://www.textes.justice.gouv.fr/textes-fondamentaux-10086/droits-de-lhomme-et-libertes-fondamentales-10087/declaration-des-droits-de-lhomme-et-du-citoyen-de-1789-10116.html
(前略)
Les distinctions sociales ne peuvent être fondées que sur l'utilité commune.
(後略)
(引用ここまで)
この人権宣言の全文を訳している方がいらっしゃるので、リンクして、ピケティが引用した一文の訳だけ取り出しましょう。人権宣言の全文を日本語で読みたい方はご参照ください。
●On va a Paris!
フランス人権宣言(原文訳)
http://yaplog.jp/onvaaparis/archive/11
September 27 [Sun], 2009, 23:59
「Déclaration des droits de l'Homme et du citoyen de 1789」
1789年の人間と市民の権利の宣言(人権宣言)
(前略)
社会的差別は、共同の利益においてしか、正当化され得ない。(後略)
(引用ここまで)
ここでは「差別」と訳されている"distinction"という言葉は、「区別」とした方がよいと思うのですが、意味するところは明らかでしょう。犠牲者と受益者を生む社会内区別は許されないと言っているのです。現在のアベノミクスでは、富者を優遇し貧者を虐待するという差別行為が行われていることを思い出しましょう。
さて、この本への注目を示すように、多くの紹介記事や紹介コメントが報道の中だけではなくツイッターやブログにも見られます。前回の記事以来のそれらを再び記録しましょう。
日本語版の翻訳者のブログとサイトも紹介しましょう。この記事を読むだけでも、そして、経済の専門家ではなくても、この日本語版の出版にどれほどの熱意が込められているかがわかります。そして、この本の内容が重要であることもわかるはずです。リンク先でぜひどうぞ。
●山形浩生 の「経済のトリセツ」
■ピケティ『21世紀の資本』
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20140711
2014-07-11
(前略)
なんかみんな天地鳴動大地震撼の革命的な本だと思ってすっごい期待しているようだけれど、本書に書かれていることはとても簡単だ。各国で、富の格差は拡大してます、ということ。そしてそれが今後大きく改善しそうにないということで、なぜかというと経済成長より資本の収益率のほうが高いから、資本を持っている人が経済成長以上に金持ちになっていくから。その対策としては、世界的に資本の累進課税をしましょう、ということね。たとえば固定資産税は資産額が大きいほど税率高いようにしようぜ。おしまい。
(後略)
■ピケティ『21世紀の資本』スライド
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20141009/1412861233
2014-10-09
■ピケティ『21世紀の資本』サポートサイト
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20141011/1413008960
2014-10-11
(引用ここまで)
「本書に書かれていることはとても簡単だ」と訳者は言っていますが、900ページを超える大著なのに、目次を見るとその短さ、シンプルさに驚きます。目次はたった2ページしかありません。私は経済学の専門家ではないことをお断りしたうえで目次だけ訳すとこうなります。(日本語版でどう訳されているかは知りません。)
第一部 所得と資本
第一章 所得と生産
第二章 経済成長: 幻想と現実
第二部 資本と所得の関係の力学
第三章 資本の変容
第四章 古い欧州から新世界へ
第五章 長期的な資本と所得の関係
第六章 21世紀における資本と労働の分かち合い
第三部 不平等の構造
第七章 不平等と集中:最初の目印
第八章 二つの世界
第九章 労働の所得の不平等
第十章 資本の所有の不平等
第十一章 長期間にわたる功労と遺産
第十二章 21世紀における資産の世界的不平等
第四部 21世紀において資本を調整する
第十三章 21世紀のための福祉国家
第十四章 所得への累進課税を改めて考える
第十五章 資本への世界的課税
第十六章 公的負債の問題
結論
(翻訳転載ここまで)
資本主義社会の現状の分析...「富の不平等」...と、それに対する処方箋...「高額所得への累進課税」...という構成です。こう要約してしまうとこの本を買う人が減りそうですが、この本を買うことは、原題の資本主義の暴力的展開、さらには、アベノミクスは誤りであるということは証明し尽くされているという安心感を買うことでもあると思いました。
ちなみに、ピケティではないですがこんな研究者もいます。資本主義が生み出す経済格差の非道と、富者の利益が労働者に還元されるという「トリクルダウン」信仰の詐欺的な誤りを証明しているのです。
さて、ピケティの本に戻ります。なんと、安倍自民党の宣伝放送局であるNHKのサイトでもピケティのこの本が肯定的に紹介されています。サイトから消されたらもったいないので記憶のためにお持ち帰りで読みます。
●NHK NEWS WEB
格差論争 ピケティ教授が語る
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2014_1017.html
2014年10月17日 13時10分
格差は拡大しているのか。どこまでの格差なら許容できるのか。そんな世界的な論争のきっかけとなった本が「21世紀の資本論」です。著者は、フランスのパリ経済学校のトマ・ピケティ教授(43)。アメリカではことし春の発売以降、半年で50万部のベストセラーとなり、多くの言語に翻訳されています。“ピケティ旋風”の裏にあるのは何か、経済部・飯田香織デスクの解説です。
300年のデータで実証
「21世紀の資本論」は英語版で685ページにも及ぶ、漬け物石のような分厚い本です。特徴をひと言で言えば、何となくみんなが思っていることを「実証」しようとしたことです。ピケティ教授は、20か国以上の税金のデータを、国によっては300年前までさかのぼって集め、「所得」と「資産」を分析。日本については明治時代から調べています。その結果、▽資産を持つ者がさらに資産を蓄積していく傾向がある、▽格差は世襲を通じて拡大する、と指摘しました。
ピケティ教授は、NHKとのインタビューの中で、次のように語っています。
Q:「21世紀の資本論」で伝えたかったことは何ですか?
ピケティ教授:欧米や日本などでは、暮らしは楽にならないのに、金持ちばかりがいい思いをしていると感じている人が増えています。多くの人が今の資本主義の姿に疑問を持つようになっているのです。 私は、誰のもとにお金が集まってきたのか、歴史をさかのぼって明らかにしたいと思ってきました。所得税制度が作られたのは、フランスなど欧州各国やアメリカでは1900年前後です。日本ではもう少し早く始まりましたね。相続や資産に関するデータについては、イギリスやフランスでは18世紀にまでさかのぼることができます。無味乾燥なデータが、実は、私たちの暮らしそのものを表しています。
Q:調べた結果、何が分かりましたか?ピケティ教授:とりわけヨーロッパや日本では今、20世紀初頭のころと同じくらいにまで格差が広がっています。格差のレベルは、100年前の第1次世界大戦より以前の水準まで逆戻りしています。Q:資本主義が問題なのですか?
ピケティ教授:資本主義を否定しているわけではありません。格差そのものが問題だと言うつもりもありません。経済成長のためには、ある程度の格差は必要です。ただ、限度があります。格差が行きすぎると、共同体が維持できず、社会が成り立たなくなるおそれがあるのです。どの段階から行きすぎた格差かは、決まった数式があるわけではありません。だからこそ過去のデータを掘り起こして検証するしかないのです。
水はしたたり落ちなかった
富裕層と一般の人の間には、はじめは大きな格差があっても、経済成長による賃金の上昇などを通じて、上から下に水がしたたり落ちるように富が広がり、格差は徐々に縮小していくと言われてきました。しかし、ピケティ教授は、20か国以上のデータを分析した結果、日本を含めたすべての国で、そうではなかったと指摘。例外は、皮肉にも2つの世界大戦の時期で、このころだけは格差は縮小したとピケティ教授は言います。なぜ格差は広がったのか。富を手に入れる方法を単純化すると、▽一般の人のように、働いて賃金やボーナスを受け取る方法と、▽資産家のように、金融資産の利子や株式の配当などを受け取る方法があります。ピケティ教授は、富裕層の資産が増えるスピードが一般の人の賃金などが増えるスピードを上回っていることが問題の根源だと強調。つまり、働いて稼ぐよりも相続や結婚などを通じてお金を受け取るほうが手っ取り早いというのです。そして、▽資産を持つ者がさらに資産を蓄積していく傾向がある、▽格差は世襲を通じて拡大すると結論づけました。
分厚い経済専門書がいったいなぜここまで幅広く受け入れられたのか。ピケティ教授は大きな背景として、次のように述べています。今、世界では、排外的な動きや極右の動きが広がっています。この裏には、格差問題を簡単に解決できず、それにみなが気づいていることがあります。国内で平和的に解決できないと、国どうしの緊張、世界レベルの紛争につながってしまいます。こうした不安に加えて、私は、富裕層の側にも、このまま格差が拡大して分厚い中間層がなくなると、ビジネスが成り立たなくなるという警戒感があることも背景にあると思います。これは、アメリカの企業経営者や政府関係者と話していて、特に感じることです。
低成長、人口減少の日本
ピケティ教授は、日本についても語っています。低成長、人口減少が続くと、格差が拡大しやすくなると警鐘を鳴らしました。日本は見事に逆戻りしています。1950年から1980年にかけて目覚ましい経済成長を遂げましたが、今の成長率は低く、人口は減少しています。成長率が低い国は、経済全体のパイが拡大しないため、相続で得た資産が大きな意味を持ちます。単純に言うと、昔のように子どもが10人いれば、資産は10人で分けるので、1人当たりにするとさほど大きな額になりません。しかし、1人っ子の場合、富をそのまま相続することになります。一方、資産相続とは縁がなく、働くことで収入を得て生活する一般の人たちは、賃金が上がりづらいことから富を手にすることがいっそう難しくなっています。その結果、格差が拡大しやすいのです。
では、どうする?
それでは、いったいどう対応すればよいのか。この論争で賛否が激しく分かれているのが「解決策」です。ピケティ教授は、富裕層に対する課税強化を訴えています。格差を縮小するには、累進課税が重要で、富裕層に対する所得税、相続税の引き上げが欠かせません。国境を越えて資金が簡単に動かせる今、課税逃れを防ぐために、国際的に協調してお金の流れを明らかにするなど、透明性のある金融システムを作ることが必要です。これには、世界中の富裕層などから猛烈な反発が起きました。稼いでもその多くを税金として納めるとなると、新しいアイデアやビジネスを生み出す意欲がそがれて、経済全体が停滞してしまう、というのです。富裕層の富の拡大を抑えるのではなく、最低賃金を引き上げたり教育の機会を充実させたりして、一般の人の収入を底上げするべきだという意見も出ています。
広がる論争
この格差の問題、最近、国際会議でも大きなテーマになっています。また、この夏以降、アメリカの大手金融機関や格付け会社が相次いで「行きすぎた格差がアメリカ経済を弱くする」などと指摘。資本主義をいわば象徴する組織の報告書に、正直驚きました。世界の議論は、格差のあるなしではなく、「格差は拡大している」というのを前提にして、いかに是正していくかという、新しい段階に入ったと私自身は感じています。日本を含めた各国で、どう議論が深まっていくのか、注目して見ていきたいと思います。この論争に一石を投じたピケティ教授の本の日本語版は「21世紀の資本」として12月に発売される予定です。すでに「21世紀の資本論」として広く知られているため、この特集ではそのように統一しました。
(転載ここまで)
毎日新聞でも。
●毎日新聞
特集ワイド:貧富の差拡大は資本主義の宿命 米でベストセラー「21世紀の資本」 日本でどう読む、ピケティ氏の主張
http://mainichi.jp/shimen/news/20141119dde012040003000c.html
毎日新聞 2014年11月19日 東京夕刊
日本でも人々の心をつかむか−−。棚に並ぶトマ・ピケティ著「Capital in the Twenty‐First Century」=東京都千代田区の丸善丸の内本店で2014年11月13日、内藤絵美撮影
米国でベストセラーとなり資本主義の本質を巡り激しい議論を巻き起こした本「21世紀の資本」(英題は「Capital in the Twenty−First Century」)の邦訳が、12月8日に発売される。富の不平等、すなわち貧富の格差の拡大は資本主義の宿命だ−−とする衝撃的な主張を、この国でどう読むべきなのか、考えた。【内野雅一】
◇進む「少数による利益独占」/ブレーキなき経済への警鐘
「21世紀の資本」は、フランスの経済学者でパリ経済学校教授のトマ・ピケティ氏(43)が昨年著した。今年4月に米国で英訳が出版されると、696ページ、厚さ約5センチの大著にもかかわらず50万部を超すベストセラーに。JR東京駅そばの丸善丸の内本店の洋書コーナーにもずらりと並んでいる。
「経済の専門書だからゆっくり出せばいいと考えていましたが、米国で評判になったので前倒ししました」。うれしい「誤算」を語るのは、邦訳を売り出す「みすず書房」編集者、中林久志さんだ。
間もなく「日本人のためのピケティ入門」を出版する経済評論家でアゴラ研究所所長の池田信夫さんに、解説をお願いした。
「ピケティ氏の主張を要約すれば、資本主義のもとで貧富の差が拡大するのは当然だ、その理由は『資本収益率』というものが『経済成長率』をずっと上回ってきたからだ……ということです」
資本収益率とは、株や不動産投資の利回りを指す。一方、経済成長率は国民総所得(GNI)の伸びだが、ピケティ氏はこれを、労働者が得る賃金の伸び率とほぼ同じと捉える。そのうえで、18世紀以降の平均値を比較し、資本収益率の5%が経済成長率の1〜2%を上回っていると指摘。資産家が「高利回り」の投資で財産を増やす一方、労働者はわずかな賃金上昇に甘んじるしかなかったというのだ。
欧米で戦争もなく消費文化が花開いた19世紀末から20世紀初頭は「ベルエポック(良き時代)」と呼ばれる。だが、工業化の恩恵は一部の資本家しか享受できず、ピケティ氏が言うように貧富の差が著しく拡大した。彼によると、1910年の米国では上位1割の富裕層が国全体の資産の8割を占めたそうだ。
しかし、2度の世界大戦を経て格差は縮小する。この時期を分析した米国経済学会の重鎮、サイモン・クズネッツ氏(1901〜85年、71年にノーベル経済学賞)は「経済発展の初期段階を過ぎれば工業化が進み、所得が増え、格差は縮小する」と結論づけた。「クズネッツ氏の研究は『資本主義の素晴らしさを示すもの』と受け止められ、経済学も『経済発展とともに資本収益率と経済成長率は等しくなる』と教えてきました。これらの定説を、ピケティ氏は真っ向から否定した。そこに驚きがあったのです」(池田さん)
ピケティ氏は、集めるのに15年かかったというフランス、英国、米国、日本など20カ国以上の過去300年にわたる税務統計を詳細に分析。第二次大戦後に格差が縮まったのは、戦争で資産が破壊され富裕層への課税も強化されたことによる「例外」に過ぎず、80年代以降は再び格差が拡大。今やベルエポックのそれに近づきつつある−−と警告する。
事実、経済協力開発機構(OECD)によると、米国では上位1%の所得が81年には全体の8・2%だったが、2012年には倍以上の19・3%に達した。失業や貧富の差の拡大に「我々は(上位1%に入れない)99%だ」と不満を爆発させた米国の人々が11年に、ニューヨーク・ウォール街を占拠したのは記憶に新しい。
「21世紀の資本」が訴える内容は、日本人にとっても人ごとではない。日本での貧困層の増加を指摘し続ける京都女子大学客員教授(労働経済学)の橘木俊詔さんは言う。「日銀が追加金融緩和を決めたが、こうした資産家優遇の政策を続けていくと、資産家がさらに資産を増やし、格差がこれまで以上に広がる可能性がある」。非正規社員は4割近くに達し、貯金のない世帯は3割に上る。
東京大大学院教授(マクロ経済学と金融)の福田慎一さんは「先進国の成長率は低下し、社会保障などの所得再分配も財政事情から絞られる傾向が強まっています。日本はアベノミクスで金融市場だけが踊っていますが、実体経済の歯車を動かさないと所得の不平等が深刻化する」と心配する。
「資本主義の終焉(しゅうえん)と歴史の危機」を今年著した日本大学教授(マクロ経済学)の水野和夫さんは「資本主義は誕生以来、少数の人間が利益を独占するシステム」と言い切る。1人当たり実質国内総生産(GDP)が世界平均の2倍以上を有する国の人口比率を調べたところ、工業化が進んだ1800年代半ばから01年にかけての平均は14・6%だった。水野さんは「近代の定員15%ルール」と呼ぶ。
「15%の『中心』が残り85%の『周辺』から利益を吸い上げているのが資本主義です。19世紀、英国はインドを搾取し、20世紀の米国はカリブ海の国々を貧しくした」。途上国の犠牲のうえに先進国が豊かさを享受する、国の外に「周辺」をつくり出す帝国主義の側面である。中国が高成長を遂げて新興国となり、アフリカが資源開発され、外に「周辺」をつくりづらくなった。どうしたか。「国内に『周辺』をつくるようになったのが21世紀の特徴です。米国は貧しい人にサブプライムローン(信用力の低い人向け住宅ローン)を組ませ、日本は非正規社員を増やし、EU(欧州連合)ではギリシャやキプロスを貧しくしている」と水野さんは指摘する。
資本主義が生きながらえてきたのは「暴走を食い止めた経済学者らがいたから」と水野さん。18世紀、アダム・スミスは「道徳感情論」で金持ちがより多くの富を求めるのは「徳の道」に反すると説き、19世紀にはカール・マルクスが資本家の搾取を見抜き、20世紀になると「失業には政府が責任を持つべきだ」とジョン・M・ケインズが主張した。
だが、新自由主義が唱えられ始めた21世紀、ついに「ブレーキなき資本主義と化してしまった」(水野さん)。
そこに警鐘を鳴らすのが「21世紀の資本」だ。マルクスの「資本論」をほうふつとさせる題名だが、ピケティ氏はテレビのインタビューで語っている。「私は資本主義を否定しているわけではなく、格差そのものが問題と言うつもりもありません。ただ、限度がある。格差が行き過ぎると共同体が維持できず、社会が成り立たなくなる恐れがあるのです」と。
ネット炎上、ヘイトスピーチ、「誰でもよかった」殺人の多発−−日本で広がる不気味な動きに、その兆候はないか。資本主義を問い直す時に来ている。
(転載ここまで)
新自由主義者で歴史修正主義とも親和性が高く、でたらめな詭弁も多い池田信夫が「日本人のためのピケティ入門」という本を出すことに呆れますが、毎日新聞の解説はピケティの主張に沿ったものになっていると思います。
以下、いくつかのブログ記事もご案内しましょう。
●kojitakenの日記格差論争 ピケティ教授が語る(NHK)
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141018/14136049342014-10-18
●LGMI『21世紀の資本論』の衝撃 ~フランス田舎暮らし(35)~
土野繁樹
http://lgmi.jp/detail.php?id=2200今回の記事は日本語記事の紹介でお茶を濁させていただきましたが、実のところ、この大著も要約すると、訳者の山形浩生氏が言うように、
『なんかみんな天地鳴動大地震撼の革命的な本だと思ってすっごい期待しているようだけれど、本書に書かれていることはとても簡単だ。各国で、富の格差は拡大してます、ということ。そしてそれが今後大きく改善しそうにないということで、なぜかというと経済成長より資本の収益率のほうが高いから、資本を持っている人が経済成長以上に金持ちになっていくから。その対策としては、世界的に資本の累進課税をしましょう、ということね。たとえば固定資産税は資産額が大きいほど税率高いようにしようぜ。おしまい。』
という内容を地道にデータで証明している、ということに尽きます。そこにひとこと付け加えるなら、現在の日本ではこの本はアベノミクスの我田引水的な自画自賛を粉砕する役割を果たすことになるのではないか、ということです。
緻密な論証の書であるピケティの「21世紀の資本」は、資本主義がもたらした結果をデータをもとに示しました。その結果、むき出しの資本主義がいかに恐ろしい思想であるかを浮き彫りにしているように私には思えてなりませんでした。「共産主義」という言葉に恐怖を感じる人は多いのですが、人が恐怖を感じるべき対象はむしろ「資本主義」ではないかと強く思ったのです。また、この本に触れて、アベノミクスは単なる失政ではなくて、「恐怖の対象」と言った方がよいのではないかとも思いました。
(最後に、念のために付け加えますが、この記事は「共産主義」という言葉の定義や「共産主義」への賛否を扱ったものではありません。資本主義のもたらした恐ろしい結果そのものを分析した書物の紹介を通じて、資本主義そのもの...もう少し正確に言えば「むき出しの資本主義」についての意見を表明したものです。誤解なきようお願いします。)
●国会議員への投書のための「議員一覧ポータルサイト」 (1)→
http://taro-yamamoto.jp/お知らせ/【反tpp・反秘密保護法!】全国街宣キャラバンス/ ; (2)→
http://publistella.jp/●マスメディアへの投書のための「News for the people in Japan」マスメディア問い合わせ用リンク集→
http://www.news-pj.net/link/media.html●他の社会系ブログに行くにはうちの「私的リンク集 (適宜更新)」経由で→
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-136.html
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>まだまだ闘わなければ日本の民主化は成し遂げられません。あきらめた時が負けです。
>決して腐ることなく、戦い抜きましょうと、多くの人に呼びかけ津木野宇佐儀自国維公が国民の医療アクセスの命綱を切る作業を本格化させた2023年6月2日。民主主義者にとって自国維公に殴られ始める屈辱の日。 #保険証廃止法案の成立に抗議します私はマイナンバーカードを持ちません。 私もマイナンバーカード取得強制に反対でコメントを2日前から投稿したのですが,F2ブログからはねられていました。よくあることですが。
私のもとには過去に市役所Takeshi問題なく使われている現行健康保険証廃止は自国維公(地獄行こう)から日本国民への暴力的攻撃。抗議と反対を続ける。 #保険証廃止法案の採決に抗議します まだまだ使えて誰も不便に思ってない道路をわざわざぶっ壊して新しい道路を作るようなことは東日本大震災の被災地ではよく見る光景です。復興という錦の御旗があれば無駄左の人問題なく使われている現行健康保険証廃止は自国維公(地獄行こう)から日本国民への暴力的攻撃。抗議と反対を続ける。 #保険証廃止法案の採決に抗議します朝日の劣化ここ数日で「朝日は滅びろ」というのが強くなりました。
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最アンドリュー・バルトフェルド首相公邸で遊ぶ岸田文雄一族。 (2)くだらん擁護が悪目立ち青瓦台で同じことがあれば、トチ狂ったように連日報道業者が喚き散らします、絶対に。
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「野党第一党は立憲と維新でどちらがいいか?」という設問ですが、それを自民党や公明党の支持者に左の人死刑FAQ (適宜更新)死刑再開を議論しなかったノルウェーについて思うこと 村野瀬玲奈さん,情報提供ありがとうございました。
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2年ほど前、私の住む街の上空を、オスプレイが2度(3度も?)飛津木野宇佐儀死刑FAQ (適宜更新)Re: ノルウェー政府庁舎爆発及びウトヤ島での銃乱射事件Takeshiさん、いつもコメントありがとうございます。当時のことを思い出すために、ここに私の当時のメモを記録します。
テロの犠牲になった悲しみのノルウェーの民主社会村野瀬 玲奈首相公邸で遊ぶ岸田文雄一族。岸田翔太郎が首相秘書官を辞職 岸田翔太郎が2023年6月1日付けで辞職するとのこと。6月1日付けというのは,ボーナスを全額もらうためでしょうか。岸田首相自分自身は責任をとらないのでしょうか。馬鹿息Takeshi死刑FAQ (適宜更新)戦争と死刑の間にあるもの 人は人を殺してはいけない。
個人が故意をもって他の個人を殺害すれば違法であり,死刑に処せられるというのが過去から現在に至るまでの世界的なルールです。現在は死Takeshi首相公邸で遊ぶ岸田文雄一族。岸田翔太郎はどこまでウダイに近づくのか。 独裁者の馬鹿息子としてウダイ・サッダーム・フセイン(1964.6.18~2003.7.22)が有名です。サッダームの長男として生まれてから、両親に甘やかされて育てられたと言われTakeshi死刑FAQ (適宜更新)ノルウェー政府庁舎爆発及びウトヤ島での銃乱射事件2011年7月22日,アンネシュ・ブレイビクは,、オスロ中心地にある政府庁舎を爆破し8人の命を奪った後,ウトヤ島で労働党の青年部の関係者69人を銃で殺害しました。単独犯行Takeshi立法根拠が無い #入管法改悪反対 。No title事実上難民を受け入れないのは条約違反=憲法98条違反なんですが
岸田はこの愚行で何を守ろうとしてるんですかね…津木野宇佐儀(「月乃兎」改め)石垣島への陸上自衛隊配備について住民投票を求める規定数以上の署名を集めたのに住民投票実施を行政からも司法からも却下された異常事態沖縄は今も本土の捨て石にされている。 沖縄は大東亜戦争で日本本土の捨て石にされ,莫大な民間人犠牲者を出しました。戦後も裕仁天皇の越権行為により,米軍基地が半永久的に配備されました。選挙で民意を示しTakeshi政権政党に有利に作られている、選挙の高額供託金という参入障壁制度No title 日本において高すぎる供託金が立候補の妨げとなり、結果として新しい候補や政治勢力の台頭を阻んでいます。先進民主主義国家と言われる国の中では非常識に高い供託金は、クテシフォン少女時代(소녀시대、Girl's Generation) 「다시 만난 세계」 (Into The New World、また巡り逢えた世界) (不定期連載、「気まぐれK-POPプレイリスト」)これらの曲もいいと思います。 ポーランド・ロックのシンガーソングライターであるKaśka Sochacka(カシカ・ソハッカ)のCiche Dni(静かな日々)とSpaleni Słońcem(太陽に灼かれて)
もいい曲だと思いますTakeshi政権政党に有利に作られている、選挙の高額供託金という参入障壁制度 選挙供託金制度は1920年代に普通選挙が導入された際、無産政党の参入を阻止するために制定されました。
これとセットになっているのが無産政党の活動を制限する治安維左の人