選挙の勝ち負けを言う前に

岩国市長選の残念な結果にもかかわらず闘いは続きます　(1)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-612.html

岩国市長選の残念な結果にもかかわらず闘いは続きます　(2)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-613.html

の二つの記事に続いて、岩国市長選だけではなくて選挙一般についてもう一つ心にとどめておきたいこと。

前にも引用したけど、出直し岩国市長選の結果をうけて、福田当選を喜ぶ人も、井原落選を悲しむ人も、この記事をもう一度読みなおすのが吉。（モジモジさん、毎度お世話になります。）

●モジモジ君の日記。みたいな。
選挙を勝ち負けで語る人たち
http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20080203/p1

2005年の総選挙も、昨年夏の参議院選挙も、今回の大阪府知事選挙も、基本的には何も変わらない。そこに昨年春の都知事選を入れてもいい。──毎度のことだが、僕が批判しているのは個々の選挙結果ではない。僕は、そこでなされた選択が「みながともに生きる」という目標に照らして過ちであることを主張した上で、それに基づいて批判している。同時に、「みながともに生きる」という目標に照らして過ちではない、という反論を受けられないことについて批判している。そのような観点から熟慮されるということが一向にない、その都度の風向きを決めている根っこにあるもののいい加減さ＝無責任さを批判している。そのような無責任さを是とする開き直りを批判している。

　このことが理解されないのは、リンク先の記事全体を貫く「勝ち負け」の発想と深い関わりがあるだろう。

　少なくとも、私たちがともに生きることを目指している限り、政治においては、ともに勝ったりともに負けたりすることしかありえないはずである。意見が仮に異なるとしても、一人一人の選択には、全体がともに生きることを目指すときのベストの選択肢は何か、ということが賭けられているはずである。自らの推す候補が落選するならば、それは「みながともに生きる」という目標に照らしての損失のはずであり、自らの推す候補が当選するならば、それは「みながともに生きる」という目標に照らしての利得のはずである。「みながともに生きる」という観点から政治に参加する者にとって、こういうことは前提のはずである。──しかし、「橋下の当選は、あなたにとってもよいことのはずだ」という観点から反論する人は皆無なのである。「ともに生きる」という目標に照らしての合理性を主張しようとは、絶対にしないのだ。

　みずからの支持する候補が当選することが「勝ち」でありその逆を「負け」とする発想そのものが、こういう人たちの政治に対する態度を証明している。自分の選択の「自分にとっての」意味しか考えておらず、一人一人に対して突きつけるものを考えてなどいないことを、自ら白状しているのである。

私は井原候補の当選と、何年も国の圧力と住民の幸福の間の板ばさみになって苦闘してきた井原候補を住民代表とした岩国市と政府の間の誠実な話し合いに期待しました。

私のその期待の根底にあったのは、国の「アメとムチ」のやり方は地方自治を破壊するものであり、やり方としても卑怯であるからやめるべきであるという立場。

実際、福田候補（新市長）は、今までのたくさんの記事でも書いたように、その姿勢に多くのごまかしがあると私は感じ、そのことを説明しようと記事を書いてきました。

私はそれらのことにもとづいて、福田氏の「中央とのパイプ」よりも井原氏の誠実な姿勢に期待したと、自分の良心に誓って言います。だから井原氏の落選が残念なのです。

とはいえ、井原氏が当選していても、「ウヨ涙目だなwww　福田ザマーミロwww」などと喜べるものではなく、とりあえずほっとする、という程度の喜び方しかできなかったでしょう。なぜなら、井原氏による交渉をもってしても国の圧力的なやり方の前には米軍配備と地方自治の調和を図るのは難しいと感じていたから。

（私はそもそも米軍がこれほど日本で必要であるとは思っていないけど、それはとりあえずおいておきます。）

国の圧力的なやり方を改めるためには、岩国で国と対峙する政治家が当選するだけでは不十分だということを改めて感じました。

新市長が決まった今となっては、岩国市の住民の方が納得する動きを新市長がすることを祈り、支持しなかった市民の意思が十分に尊重されることを願います。支持しなかった市民だって49パーセントいるのですから。

この岩国市長選をふりかえって、選挙一般について話を広げるならば、モジモジさんの言葉を借りれば、「『みながともに生きる』という観点から政治に参加する」有権者と国会議員と地方議員と自治体首長と政党をどれだけ多くできるか、それが日本の政治の最大の困難な（はい、残念ながら「困難な」）課題なのだと改めて思います。

（もちろん、官僚や財界人にも「みながともに生きる」という観点を持ってほしいと願いますが、上であげた公職や地位は、私たち有権者が直接選挙で選ぶことができる公僕、という意味です。）

私は、「日本人も外国人もともに生きる」ことをめざしますが（はっきりと、それをめざしますが）、今の自公政権・政府による、人々を分断する態度が続くなら、「日本人どうしでともに生きる」ことすら難しいと感じてしまいます。だから私は政権交代が必要だと確信しています。

今の政府・自公政権のやり方のあまりの卑怯さを見ると、自公政権に負けるということはこれからも徹底的に苛め抜かれるということであると思うから、今回の岩国市長選の負けがなおさら悔しい。これをバネにして、とりあえずは少なくとも衆議院選まではがんばらないといけないようです。


...この記事を暖めているうちに、岩国市に近い山口県内にお住まいのポチさんが今回の有権者心理にじっくり向き合った記事を書いていらっしゃいました。今回は内容に触れる余裕がありませんが、とりあえずリンクを貼ります。

●A PLACE IN THE SUN
「やむを得ない」の正体は？－－「岩国市民の別のひとり」さんのコメントに答えて
http://pochicoro.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_8c53.html

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