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「リスクの社会化」の考え方が、不慮の事故・災害や将来の生活についての国民の不安を解消する。



「広範な薬害被害者救済をなぜ国はためらう?責任がどこにあろうとも。」
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-531.html
の記事で「リスクの社会化」という概念について触れたところ、「白鳥一声」のbirds-eyeさんから「勉強になった」との感想をいただきました。この概念をより多くの人が理解し、多くの人に広めることは住みよい日本を作るうえでとても有益であると私は確信しますので、改めて独立した記事として書いておきます。

「リスクの社会化」でググってみると手軽に関連サイトが出てきます。

●JANJAN
私の参院選争点(3)社会保障・個人リスクの社会化を
http://www.news.janjan.jp/election/0705/0705296358/1.php
(↑「広島瀬戸内新聞ニュース」でおなじみのさとうしゅういちさんの記事です。)

●SENKI
個人が負いきれないリスクは社会が引き受ける(北海道大学大学院教授 山口二郎さんに聞く(上))
http://www.bund.org/interview/20060215-1.htm
(↑私が「リスクの社会化」という用語を知ったのは、山口二郎教授の著書からです。その山口教授のインタビュー。)

●大阪市職
「リスクの社会化」は世界の常識 小泉路線では命を金で買う社会に
http://www.osaka-shishoku.or.jp/koza/info060327.html
(↑これも山口教授の講演録要約ですね。趣旨は同じです。)

●民主党東京総支部連合会
『小泉政治への対抗軸』政策研修会を開催
http://www.tokyo.dpj.or.jp/news/o/0406kensyukai.html
(↑これも山口教授の講演録要約ですね。趣旨は同じです。)


「リスクの社会化」とはそんなに難しい概念ではありません。これらを読んでいただければわかるのですが、やさしく言うと、誰もが人生と社会の中で出会うリスクに対しては個人で備えるよりも社会全体で備えたほうがずっと効率的で安心できる、ということになります。

小泉政治では、公的部門(公務員など)に対する一般国民の不満を利用して「官から民へ」とか「郵政民営化は、あらゆる改革につながる本丸。」とか、なんとなく改革的なイメージを振りまくスローガンを流して公的部門を縮小していき、誰もが人生と社会の中で出会うリスクを個人の責任に帰した、というのが方針でした。改革は改革でも、一般国民の生活基盤を弱めるものでした。

しかし、個人で人生や社会の中のあらゆるリスクに対応することは不可能です。病気、自然災害、さまざまな人為的災害、犯罪被害...。幸いにもこれらと無縁であったとしても、誰もが避けて通れない「老い」もあります。これらに対して社会として対処するために、福祉があり、健康保険政策があり、失業保険があり、生活保護があり、年金があるはずです。「財政再建」のためにこれらを優先的に削っていったら、それは人々の生活の足元を直接掘り崩すことになります。

今ホットな政治課題である薬害肝炎被害の救済の件は、このようなリスクにあう可能性は誰にもあるのだから、社会全体でそれを引き受けようという「リスクの社会化」の考え方を広めるきっかけになるかもしれません。いえ、被害者に対して補償を実現させるとともに、そのような考え方を広めるきっかけにしたいものです。

ところで、ちらりと見た今日の東京新聞に気になることが書いてありました。年金で慎ましい生活をするお年寄りからの投書が第一面下のコラムで紹介されていたのです。ちらりと見た記憶を頼って書きますが、「薬害肝炎被害者が救済を訴えるのも理解できるのだが、そこにお金が使われるというのは、苦しい生活をしている私も払っている税金が回りまわってそこに使われるということであり、納得できない気持ちもある」というような趣旨でした。

たぶん、このお年寄りは、税金が自分のためにも使われている、政治や行政が自分のことを考えて施策を決めて実施している、という感覚が持てないままきてしまったのでしょう。(私も今の政府を見ている限りでは、そういう感覚がどうも持ちにくいのですが、それでも、まだなんとか良い方向に変えられるはずだと思ってこんなブログを書いているわけです。)仮に、「リスクの社会化」という考え方が社会に定着していてそれに沿った政治や行政が存在していれば、人々は自然に社会に対する信頼感と自分の生活の安心感を持つと思うのですが、このお年寄りの投書は、実際にはそうなっていないことの現れであるように思います。特別な利益を与えるわけではなくて、国の失政で被害をこうむった人に補償をすることにもこのような抵抗感が一般の人々の中のどこかに残っているとしたら、それは弱者どうしの足の引っ張り合いであり、なんと悲しく不幸なことかと思います。

現在のように、政治や行政が政治家自身や中央官庁の役人やそれに連なる利権集団やさらには日本を実質的に支配するアメリカのためにだけ行われて、日本の一般の人々のために行われていない状態が長い間続くと、人々は無力感におちいり、社会から受けるべき当然の救済や援助にさえも疑問や反感を持つようになってしまうようです。(これは、心理学で言う「学習性無力感」という概念に通じるものがあると思います。)このような状態は、社会を支える前提である人と人との連帯感や社会全体に対する信頼を掘り崩し、人々が肯定的に社会にかかわろうとする気持ちを消してしまうでしょう。これはある意味では、財政赤字よりも危機的なことではないかと思っています。財政赤字は目に見えますが、人々の無気力化は目に見えないという意味で。

社会に対して一般の人々が信頼感を持っていない国というのはもろいと私は思います。「リスクの社会化」と社会への信頼感は車の両輪のように一対となって社会を前進させる原動力だと考えています。

一般の人々の幸福のために政治は行われるべきであるという、政治の本来の姿を一刻も早く取り戻さなければならない理由がここにもあります。自公政権が政権にあるままでは、政治の本来の姿を取り戻すことは不可能です。そのための政権交代を次の選挙では実現させたいと強く望みます。

そのキーワードの一つが、「リスクの社会化」。それをもとにした政策があれば、人々はいざというときの安心感をもって生活でき、人心も社会も安定させやすくなる、ということです。


関連エントリー
国民の不安を減らせないすべての政権と政策は失敗である
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-394.html

「リスクの社会化」、救急医療では、例えばこういうこと。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-544.html



自公チュー政治に有権者、納税者からの「ノー」を!

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8件のコメント

[C2019]

 どうもです(^^;)
 「リスクの社会化」、いつも感じていることを的確に言い表せる便利な概念なので、これからもビシバシ使わせていただこうと思っています。教えていただけて、本当に良かったです。
 「社会への信頼感」との関連は僕には新鮮な視点で、なるほどと思いました。
  • 2007-12-27
  • 投稿者 : birds-eye
  • URL
  • 編集

[C2020] 有難うございます!

ああ、これだ…!と思いました。
ウンウンうなりながら、頭を抱えて考えていたことが、サラリとこちらに書かれています。
私の苦しみは一体なんだったんだろう…
ひとえに勉強不足のせいだと思います。

有難うございます!
  • 2007-12-28
  • 投稿者 : アイスゆず
  • URL
  • 編集

[C2021] 私のブログに転載して良いですか?

村野瀬 様
こんばんは

リスクの社会化と政治
そして
個人で人生や社会の中のあらゆるリスクに対応することは不可能
だから
福祉があり、健康保険政策があり、失業保険があり、生活保護があり、年金があるはず

読んでてその通りだと思いました。
この記事
私のブログに転載して良いですか?
  • 2007-12-28
  • 投稿者 : eye sees truth
  • URL
  • 編集

[C2023] コメントありがとうございます

>birds-eyeさん

いつも有益な視点をありがとうございます。
社会への信頼感、という見方も、目には見えないけれど社会を前進させ住みよい社会をつくるうえで大切なものだと思います。まさに、今の政治や行政のやっていることのかなりの少なくない部分は社会への信頼感を傷つけるもので、いつかその傷が拡大して回復不能なほどの重症になることを恐れています。今でも十分に重症だと思いますが、まだ回復が可能だと信じてこうしてブログで書いています。

>アイスゆずさん

こちらこそいつもありがとうございます。お互いに良い影響を相手に及ぼしながらお互いに考えを深めていきましょう。

>eye sees truthさん

コメントありがとうございます。

記事に共感していただいたのであれば、転載、引用、リンクは歓迎です。事前、事後の連絡も特に要りません。私も共感した人様の記事も私自身どんどん紹介、リンクしていますし、すでにほかの方々も私の記事に共感した方はそうなさっています。
お手間でなければリンクURLやブログ名まで書いていただければさらにうれしいですが、それを強要するつもりはありません。共感を呼んだ考え方が広まることの方が大事です。

逆に、記事に共感しない方々も批判や非難のために引用したりリンクしたりする場合もありますが、それはそれで私の方でも参考になりますし、荒らしにつながらない限り問題だとは思いません。反対者にも私の記事を見てほしいと思いますので。

これからもよろしくお願いいたします。

>2007/12/28(金) 03:25:45の非公開コメント様

どうもありがとうございました。おっしゃる内容から受けた示唆は私なりに消化した上で今後の記事になんらかの形で反映させたいと思います。
  • 2007-12-28
  • 投稿者 : 村野瀬玲奈
  • URL
  • 編集

[C2025] 揚げ足を取らせていただくならば、

「『パブリック・セクターによる』リスクの社会化」と、『パブリック・セクターによる』をつけなければいけません。民間保険会社による医療保険・年金保険も「リスクの社会化」です。

山口二郎インタビューでも明らかなように、小泉自由化路線は「パブリック・セクター」への信頼性の破壊行為と一体です。「パブリック・セクター」の健全性というのも右肩上がりの経済の中で何とか格好が付いていたように見えるだけで、社会保険庁での怠業は自民のでっち上げとばかりも言えません。
現時点で、改めて「リスクの社会化」提起するには、「パブリック・セクター」の再建も含めた議論をしないと、政策的には有効なものにはならないと思います。そこまで議論を広げるのは個人ブログでは難しいでしょうが。
  • 2007-12-28
  • 投稿者 : ゴンベイ
  • URL
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[C2188] 週刊東洋経済【格差なき成長は可能だ! 「北欧」はここまでやる。】

週刊東洋経済−東洋経済新報社
2008年1月12日号(2008年1月7日発売)/定価570円(税込)
COVER STORY
格差なき成長は可能だ! 「北欧」はここまでやる。
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/2008/0112/index.html

きょうも歩く: 1/9 高福祉高負担を正面から紹介する東洋経済「北欧」特集を読む
http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2008/01/post_e0a3.html
にも簡単な紹介が記されているが、「増税路線」追認に利用されかねない論旨・論調もあるので要注意。

以前もコメントしましたが、北欧の福祉に対する考え方は厳しい自然風土の上に立脚しており、社会民主主義についても英仏独などとも違う独自なものであり、右から左に真似のできるものではなく、簡単に受け入れられるような精神風土の類似性が日本にあると思ってもならないと思います。
  • 2008-01-12
  • 投稿者 : ゴンベイ
  • URL
  • 編集

[C2196] >ゴンベイさん

いつも情報提供ありがとうございます。

週刊東洋経済のこの号は確かに意欲的だと思います。なんらかの形で自分の記事に反映させたいと思います。

右から左に真似のできるものではなく、簡単に受け入れられるような精神風土の類似性が日本にあると思ってもならない、そうかもしれません。だけど、まったくそこから学ばないのももったいない話だと思います。
  • 2008-01-12
  • 投稿者 : 村野瀬玲奈
  • URL
  • 編集

[C2463] 「医療再生を願うネット市民の会」

「医療再生を願うネット市民の会」 は、次の3つのスローガンをこころがけることによって、医療崩壊からの再生を願う、ネットで活動する市民の会です。

 1. コンビニ受診を控えよう
 2. かかりつけ医を持とう
 3. お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう

活動内容
会員は、3つのスローガンを記したバナーを、ホームページやブログに貼ります。会のホームページ管理者は、会員サイトへのリンクを作成します。入会申請は、掲示板で行います。会のホームページ管理者が不適切と判断したサイトへのリンクは、行わないことがあります。入会申請からリンクの作成までに、日数がかかることがあります。

ホームページはこちらです。
http://saisei.aikotoba.jp/index.htm

私は、医療の知識が全くありません。医療関係者の方々のブログを読ませて頂くようになったのも、つい最近のことで、まだまだ勉強不足です。でも、皆様と一緒に、「医療崩壊」と「医療の再生」について勉強したいと思います。

アイスゆず  m(_ _)m
  • 2008-02-09
  • 投稿者 : 「医療再生を願うネット市民の会」会員
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[T6988] とめよう9条改憲! ―大阪意見広告運動のご案内―

先日、私のもとに郵送されてまいりましたチラシを、情報発信元(中北龍太郎弁護士)の許可をいただき、ここにその内容を掲載させていただいております。 ※以下全文転送・転載・メール通知大歓迎です! 『意見広告2008年5月

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村野瀬 玲奈

Author:村野瀬 玲奈
日本の民主主義化運動のため、国会議員、行政機関、マスメディアに主権者、納税者、生活者の声を届けるお手伝いをするサイバー政治団体(笑)「世界愛人主義同盟」秘書。護憲派アマゾネス軍団労働組合所属(笑)。派遣秘書としてこちらにもときどき勤務(笑)。
この秘書課広報室備え付けの国会議員の政党別・委員会別・都道府県別などの名簿の一覧と使い方はこちら。たとえば、非正規労働を正規化せよと民主党幹部に要望の投書をするなど、ご活用ください。名簿の最終更新日は2008年1月23日。
現在、こちらの通り、コメントは「管理人承認制」、トラックバックは「承認なしでの表示、事後の承認または削除」としています。

憲法は国の誤りと暴走から国民を守る基本法

憲法は、国から国民への命令書でも「日本の伝統」の定義文書でもありません。

パンダバナー

「壊れる前に...」のうにさんのアイデアをもとに「Gazing at the Celestial Blue」の碧猫さんが作製。一方、国民主権や基本的人権を制約することをめざす自民党新憲法草案全文(2005年10月28日発表)はこちら。(1946年現憲法との比較付き。) 自民党新憲法草案(2005年10月28日発表)と現憲法(1946年憲法)とを読み比べするシリーズ記事はこちら。 ジャッカルさんによる自民党新憲法草案全文(2005年10月28日発表)徹底検証はこちら。 護憲派アマゾネス軍団で遊びたい方は、まずこちらの案内をお読みの上、こちらこちらでお待ちしています。

Save our world-famous Tsukiji

Like a rolling bean-Tsukiji_SOS_logo4_small
(↑Please read this link, so that the world-famous Tsukiji fish market should not be relocated to an old gas works site at Toyosu, highly polluted with multiple contaminants.)

Think of these children in Gaza

children_of_gaza_by_shady111

(from deviantART "Gaza")

「世界愛人主義同盟」(笑)は死刑に反対です

『司法の現実の中では、死刑とは何でしょうか。12人の男女の陪審員。2日間の審問。事件にまつわることがらの奥底まで触れることは不可能。そして、数十分、時には数分で罪悪性についての非常にむずかしい問題に断定的に判断をくだす。それ以上に、ほかの人の生死を決定するという恐ろしい権利もしくは義務。12人の人が、ある民主主義国で、次のようなことを言う権利があるというわけです。「こいつは生きていてよい、こいつは死ななければならない!」と。私ははっきり申します。この司法の構想は、自由の国のそれではありえません。』

1981年9月17日、フランス国民議会、死刑廃止法案の審議における、法務大臣ロベール・バダンテール Robert Badinter の演説から引用)
死刑についての当秘書課広報室の記事はこちら
死刑廃止論FAQはここをクリック。

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