人に優しい社会を『制度化』することが今の日本には必要。 (2)

　　

すこし前の記事、「人に優しい社会を『制度化』することが今の日本には必要。」で書いた時にはまだ見ていなかった毎日新聞の記事が目にとまりました。前の記事に追記するよりも、改めてもう一つの記事にした方がよいと思い、多くの人に読んでもらいたいこの毎日新聞の記事を記録させていただいて、それを「心温まる話」としてだけ終わらせないために必要なことは何かを書き添えたいと思います。

●毎日ｊｐ(毎日新聞)
■Ｌｉｓｔｅｎｉｎｇ:タイガーマスク運動「元祖・伊達直人」さんの幼少期
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20131028org00m010003000c.html
2013年10月28日

　漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人を名乗る匿名の人物が、全国の児童養護施設や小学校にランドセルなどを届ける「タイガーマスク運動」。２０１０年に前橋市の児童相談所にランドセルを贈り、運動の先駆けとなった男性（４０）が２７日、東京都足立区の児童養護施設「クリスマス・ヴィレッジ」の交流イベントに参加した。匿名を条件に「元祖・伊達直人」さんに思いを聞いた。【榊真理子】

　「伊達さん」はヴィレッジに寄付を続けて１６年。顔見知りの子どもたちに「大きくなったなあ」と声を掛けた。
　３年前の１２月１８日。例年通りヴィレッジにクリスマスプレゼントを届けた時、施設で暮らす前に保護される「一時保護所」の子どもが増えている、保護所では学校へも行けない、という話を職員に聞いた。「ランドセルも入学式もない子が増えると思うと、心が震えた」。自宅のある群馬県への帰路、「地元の保護所にも子どもたちがいるはずだ」と、伊勢崎市内のショッピングセンターに立ち寄り、ランドセル１０個を買った。２５日未明、前橋市の児相玄関前に運び、１人で並べた。「児相にもサンタは来るよと、不安になる子どもを元気づけたかった」。孤児院に寄付を続けた漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人を名乗って−−。
　報じられると、匿名の寄付が全国に広がった。「想像もしなかったことで驚いた。後に続いて広げてくれた方々に感謝の気持ちを伝えたいとずっと思っていました」
　男性は福岡県出身。母は３歳の時に亡くなり、実父とされた人物には「俺の子じゃない」と言われ、親戚らの家を転々とした。あだ名は「捨て子」「みなしご」。１１歳の時に預けられた家で「お前がいるから家庭がぎくしゃくする。謝れ」と言い放たれた。「生まれてきてごめんなさい」と口にした時、「この人生を受け入れよう。大人になったら自分のような子どもの力になろう」と決めた。
　２２歳で就職して上京。２年後、近くにクリスマス・ヴィレッジがあった縁で、月１万円の寄付を始めた。ある日、子どもに「お父さんとお母さんがいないから、僕にはサンタさんは来ない」と言われた。小学１年の時、サンタクロースに「ランドセルが欲しい」と手紙を書き、かなわなかった思い出がよみがえった。群馬に引っ越した今もヴィレッジで「サンタ役」を続けている。
　この日は、プロレスの初代タイガーマスクで「初代タイガーマスク基金」を設立して各地の施設を支援する佐山聡さん（５５）も訪れた。男性も昨年６月から同基金に参加。佐山さんは「彼の熱意を強く感じる。その後の広がりを日本の誇りに思う」と話す。
　「自分の過去は変えられなくても、子どもの未来は変えられる」。施設の子どもたちの笑顔を見ながら男性はほほ笑んだ。

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　■ことば
　◇タイガーマスク運動
　２０１０年１２月２５日朝、群馬県中央児童相談所の玄関前に新品のランドセル１０個が置いてあるのを職員が見つけた。漫画「タイガーマスク」の主人公、伊達直人の名前で「子供たちのために使ってください」とのメッセージが添えられていた。これがきっかけで、匿名による善意の品々を施設や学校に届ける輪が全国に広がった。


■伊達直人さん:自分の過去と重なり「子の未来変えられる」
http://mainichi.jp/select/news/20131028k0000m040109000c.html
http://mainichi.jp/select/news/20131028k0000m040109000c2.html
毎日新聞　2013年10月28日　07時30分

初代タイガーマスクの佐山聡さん（中央）を囲んで喜ぶ子どもたちを見つめる「元祖・伊達直人」の男性（右端）＝東京都足立区で２０１３年１０月２７日、榊真理子撮影

　漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人を名乗る匿名の人物が、全国の児童養護施設や小学校にランドセルなどを届ける「タイガーマスク運動」。２０１０年に前橋市の児童相談所にランドセルを贈り、運動の先駆けとなった男性（４０）が２７日、東京都足立区の児童養護施設「クリスマス・ヴィレッジ」の交流イベントに参加した。匿名を条件に「元祖・伊達直人」さんに思いを聞いた。
　「伊達さん」はヴィレッジに寄付を続けて１６年。顔見知りの子どもたちに「大きくなったなあ」と声を掛けた。
　３年前の１２月１８日。例年通りヴィレッジにクリスマスプレゼントを届けた時、施設で暮らす前に保護される「一時保護所」の子どもが増えている、保護所では学校へも行けない、という話を職員に聞いた。「ランドセルも入学式もない子が増えると思うと、心が震えた」。自宅のある群馬県への帰路、「地元の保護所にも子どもたちがいるはずだ」と、伊勢崎市内のショッピングセンターに立ち寄り、ランドセル１０個を買った。２５日未明、前橋市の児相玄関前に運び、１人で並べた。「児相にもサンタは来るよと、不安になる子どもを元気づけたかった」。孤児院に寄付を続けた漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人を名乗って−−。
　報じられると、匿名の寄付が全国に広がった。「想像もしなかったことで驚いた。後に続いて広げてくれた方々に感謝の気持ちを伝えたいとずっと思っていました」
　男性は福岡県出身。母は３歳の時に亡くなり、実父とされた人物には「俺の子じゃない」と言われ、親戚らの家を転々とした。あだ名は「捨て子」「みなしご」。１１歳の時に預けられた家で「お前がいるから家庭がぎくしゃくする。謝れ」と言い放たれた。「生まれてきてごめんなさい」と口にした時、「この人生を受け入れよう。大人になったら自分のような子どもの力になろう」と決めた。
　２２歳で就職して上京。２年後、近くにクリスマス・ヴィレッジがあった縁で、月１万円の寄付を始めた。ある日、子どもに「お父さんとお母さんがいないから、僕にはサンタさんは来ない」と言われた。小学１年の時、サンタクロースに「ランドセルが欲しい」と手紙を書き、かなわなかった思い出がよみがえった。群馬に引っ越した今もヴィレッジで「サンタ役」を続けている。
　この日は、プロレスの初代タイガーマスクで「初代タイガーマスク基金」を設立して各地の施設を支援する佐山聡さん（５５）も訪れた。男性も昨年６月から同基金に参加。佐山さんは「彼の熱意を強く感じる。その後の広がりを日本の誇りに思う」と話す。
　「自分の過去は変えられなくても、子どもの未来は変えられる」。施設の子どもたちの笑顔を見ながら男性はほほ笑んだ。【榊真理子】

　◇タイガーマスク運動
　２０１０年１２月２５日朝、群馬県中央児童相談所の玄関前に新品のランドセル１０個が置いてあるのを職員が見つけた。漫画「タイガーマスク」の主人公、伊達直人の名前で「子供たちのために使ってください」とのメッセージが添えられていた。これがきっかけで、匿名による善意の品々を施設や学校に届ける輪が全国に広がった。

（転載ここまで）

（同じ内容ですが、記事のタイトルが違っていてそれぞれ意義あるタイトルだと思うので両方記録しました。同じ文章を二度読まされたと怒らないようお願いします。）

●毎日ｊｐ(毎日新聞)
竜巻:タイガーマスクが１０万円寄付　被害の小学校に
http://mainichi.jp/select/news/20130906k0000m040067000c.html
毎日新聞　2013年09月05日　21時07分（最終更新　09月05日　21時29分）

タイガーマスクを名乗る男性が北部小に寄付した「１０万円が貯まる本」＝野田市提供

　２日の竜巻で校舎の窓ガラスが割れるなど被害を受けた千葉県野田市立北部小に「タイガーマスクジュピター」を名乗る男性が４日現れ、対応した教頭に「学校のために使ってください」と、１０万円を寄付した。男性は名前を明かさず立ち去った。
　市によると、４日午後４時半ごろ、タイガーマスクのお面をかぶったマント姿の男性が自転車で同小に現れた。５００円硬貨を本に収めて貯金する「１０万円貯まる本」に入った１０万円を本ごと教頭に手渡したという。手紙が添えられており「心ばかりではありますが、義援金を寄付します。復旧や児童たちの心のケアのためにお使い下さい」と書かれていた。
　被害に遭った同小は３日まで休校。清次一平校長は「（寄付の）意向に沿い、子供たちのために役立てたい」と話し、防災用品の拡充などに充てるという。【橋口正】

（転載ここまで）

社会が互いに無関心な多数の人間たちの無秩序で自己中心的な集まりでないようにするためには、このような「行ない」を個人に頼るのではなくて、社会全体で行ない、それを社会制度、政治として実践していくことが必要です。

このような「行ない」を政治が直接実行することがより安心できる社会のために必要です。

多くの人はこのような恵まれない子どもたちや被害を受けた学校に直接「寄付」こそしていないですが、「税金」は払っているわけです。このような善行に感動したら、その感動を他の無名の「個人」だけが行うように願うのではなくて、自分が「税金」として払ったお金が弱者、問題をかかえる人々、窮地に陥った人々のために使われるように政治を変えることこそがこういう「善行」に感謝するということなのです。

こういう呼びかけをすると、「困った人を助けたいのならお前のカネでやれ」ということをコメント欄に書き込む人たちがいます。生活保護受給者や障がい者など社会的に弱い立場にある人たちに対して政治の支援を求める訴えをしても、「困った人を助けたいのなら税金を使わずお前のカネでやれ」とコメント欄に書き込む人たちです。そういう人たちがどういう人たちなのかわかりません。「景気対策」のために税金を使って自分の働く業界だけは何とかしてほしいと思う人たちなのか。中国の軍事的脅威に対して税金を使って自衛隊が何とかしてほしいと思う人たちなのか。そういう人たちにはこう言ってあげたいくらいです。「自分の業界の景気を良くしたいのなら対策はお前のカネでやれ」、「中国の軍事力が怖いのなら対策はお前のカネでやれ」と。

この皮肉でわからない人に対して少し説明を加えるなら、みんなが払う税金はこの社会に生きる人たちが尊厳ある生を持てるように適切に正当に使われるべきだということです。「困った人を助けたいのならお前のカネでやれ」というのは、自分にも税金が使われていることへの視点がない、自己中心的な言い分なのです。

何度でも下記の過去記事をご案内します。「自力で生活できない人を政府が助けてあげる必要ないと考える人が世界中で最も多い」冷酷な日本人。そういう国民意識は変わってほしいと強く願うのですが...。

■弱者に冷酷な日本人？
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-3733.html
2012-09-18

そこで上のタイガーマスク運動についての毎日新聞の素晴らしいスクープをもう一度読みましょう。「自分の過去は変えられなくても、子どもの未来は変えられる」。「元祖・伊達直人」さんの素晴らしい言葉だと思います。

大人の自分だけがいい思いをして子どもの未来と将来の日本社会を荒廃させて何とも思わない日本人ばかりではないことを私は心から願います。

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