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今回の記事は、『
「限定正社員」について考える (1)』の続きです。読むべき記事をいくつか記録しますが、「限定正社員」について、十分にその周辺の問題まで含めて知っておくべきこと、意識しておくべきことがあるということを私は強く感じました。
まず、労働相談を中心に若者の格差・労働問題に取り組むNPO法人POSSE代表の今野晴貴さんがダイヤモンド・オンラインに寄稿した記事。
●ダイヤモンド・オンライン
解雇規制緩和がブラック企業激増を招く――NPO法人POSSE代表 今野晴貴
http://diamond.jp/articles/-/38611
http://diamond.jp/articles/-/38611?page=2
http://diamond.jp/articles/-/38611?page=3
http://diamond.jp/articles/-/38611?page=4
http://diamond.jp/articles/-/38611?page=5
http://diamond.jp/articles/-/38611?page=6
http://diamond.jp/articles/-/38611?page=7
http://diamond.jp/articles/-/38611?page=8
【第5回】 2013年7月10日
「解雇規制の緩和が実現すれば、ブラック企業がますます猛威をふるうようになる」
そう強く主張するのが、労働相談を中心に若者の格差・労働問題に取り組むNPO法人POSSE代表の今野晴貴氏だ。さらに今野氏は、政府が行う「限定正社員改革」について、ただ解雇をしやすくしたいだけという目的に沿った「偽物」の改革ではないか、と指摘する。(本アジェンダの論点整理については第1回の編集部まとめを参照)
(中略)
ある雑誌に掲載された、企業法務の弁護士と企業の法務担当者の座談会では、次のような発言がなされている。
「実際問題、例えば100人解雇したとして、いったい何人が訴えるか。1人か2人は労基署に駆け込んだり訴訟を提起したりするかもしれませんが、そんなに訴える人はいないものです。訴えられても、きちんとした理由があり、手順を踏んでいればそう簡単に負けることはないですし、最悪、裁判で負けそうならば、給料2、3年分を払えばなんとかなりますよという話です」(『BUSINESS LAW JOURNAL』2010.8)。
これが、現実の労務のプロの実感なのであろう。上の「自己都合退職」の偽装と併せて考えれば、現実には、日本の職場では法律が守られておらず、労働側が違法を意識していても守らせることができず、解雇規制についても「有名無実」のようになっている実態は否めないのである。
だから、「自己都合」に偽装されていない解雇についても、多くが違法な内容で、押し通されているということも推察できる。労働政策研究・研修機構(JILPT)の濱口桂一郎氏の調査によれば、「俺的にだめだから解雇」といった、完全に無法な解雇が横行しているのが日本の解雇の実情である。
日本で、もし「解雇が厳しい」という実態があるとすれば、それは大企業の、それも交渉力の強い労組があるところだけの話だ。だが、そうした大企業でも、上乗せ退職金などを対価とした退職勧奨で、人員整理は現実に行われてきたし、JILPTの調査によれば、そうした退職勧奨による人員整理で不足が生じたことは、これまでにない。
つまり、そもそも日本では、不当解雇を含む、企業の違法行為に対してほとんど労働側は是正することができず、労働現場が「無法地帯」のようになっていることの方が問題なのである。そして、法律通りの運用が行われている職場でも、プレミア退職金さえ払えば、必要な人員調整はできているということなのだ。
(中略)
「解雇規制緩和で労働環境が改善する」。近年繰り返させるフレーズである。
だが、なぜ、違法行為を繰り返すブラック企業が存在するのに、規制を緩和すると突然彼らが法律を守り始めると考えるのか。また、なぜ規制を緩和すると、突然労働環境の改善に、ブラック企業が乗り出し始めるというのか。
これらの論者の主張には、論理性がまったくない。
(中略)
ここまでを踏まえ、政府の正社員改革についての考え方も示しておこう。今、解雇規制緩和の議論は、正社員改革と称した限定正社員導入論に収れんしつつあるからだ。確かに、日本型の終身雇用・年功賃金と過重労働の組み合わせを温存することが、正しい答えではないし、正社員改革自体は必要である。
(中略)
だが、現在の限定正社員導入の議論には、いくつもの懸念がある。
・懸念1 「解雇自由化」へのすり替え
第一の懸念は、限定正社員の議論が、「解雇自由化」にすり替えられているということだ。現在の議論の過程を見ていると、国の審議会の多くの議員は、過重労働の減少を意図しているのではなく、不合理な解雇を認めさせることを目的にしている。
「この場合には解雇できるようにしよう」という、「解雇できる条件」を法律に書き込むことを主張する意見が、これを象徴している。
(中略)
それなのに、あえて条文に「解雇できる場合」を書き込むことを求めている背後には、本来であれば不合理だと判断されるような解雇も、「上からの力(立法)」によって、認めさせてしまおうという意図が透けて見える。
実際に、「解雇できる条件」の中身の議論では、「不合理な内容」が目立っている。「限定正社員」の合理的な解雇の理由に、例えば、「コミュニケーション能力」も含めてもよいのではないか、との意見も出されている。
これでは、もはや命令が限定されていることから発生する「合理性」とは何らの関係もない。「コミュニケーション能力」など、客観的にはかりようもないから、要するに気に入らない社員に対し、「お前はコミュニケーション能力がない」という言い方でいくらでも解雇できるようになってしまいかねない。
(中略)
・懸念2 現実に「限定」が守られない
第二に、前半で述べたように、日本ではそもそも契約や法律が守られていないのに、「限定正社員の場合には、こういう場合に解雇できる」ということが明記されてしまえば、その条文が独り歩きし、本当は限定されていなくても、「お前は限定正社員だから、解雇しやすいのだ」と、違法解雇が横行する恐れがある。
また、条文の書かれ方によっては、そうした「本当は限定されていなかった」という事情を、労働者の側が立証しないことには、解雇が合理的だ、という判断が原則になってしまうかもしれない。そうなると、ただでさえ違法行為を争えない日本で、さらに争いが行いにくくなることも懸念される。
・懸念3 「解雇理由の偽装」
さらに、現状の違法状態の蔓延を前提にすれば、本当は合理的な理由が存在しなくても、解雇が横行してしまう可能性が高い。「この職務はなくなった」という偽装の横行である。だが、これは、本来は必要性が生じていない場合の解雇であるから、限定正社員の契約を結んでいたとしても違法である。
あえて法律の条文を作り出すことで、実態と異なる「偽装」が蔓延する懸念があるということだ。
・懸念4 日本型正社員の「無限定化」
(後略)
(引用ここまで)
「解雇規制緩和がブラック企業激増を招く」という危機感を表明して、「限定正社員」という制度を、現実を踏まえて批判的に検討しています。
補足として、こちらのTogetterもメモ。
●Togetter■「限定正社員」は「論外」なのか?(『ブラック企業』著者・今野晴貴氏)
http://togetter.com/li/518777■【論争編2】「限定正社員」は「論外」なのか?
http://togetter.com/li/520532次に、今野晴貴さんの下の意見をふまえて、「限定正社員」の法制化のプロセス(政治の場での審議)に含まれる根本的な問題をシンプルに整理した河添誠さんのツイートをごらんください。
『解雇規制の緩和とセットではない「限定正社員」制度など、いくら待っても出てこない。敵の狙いは、解雇規制の緩和だからだ。』経済強者による政策決定プロセスを身も蓋もなく観察すれば、政府・経済界の目的は「解雇規制の緩和」ということでしょうね。
●国会議員への投書のための「議員名簿」→
http://www.eda-jp.com/link/link1.html●マスメディアへの投書のための「News for the people in Japan」マスメディア問い合わせ用リンク集→
http://www.news-pj.net/link/media.html●他の社会系ブログに行くにはうちの「私的リンク集 (適宜更新)」経由で→
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-136.html
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ひとりは近衛内閣の書記官長を務Takeshi「性風俗業は不健全」としてコロナ給付金の対象から除外することは政府による差別である。政府はすぐに差別をやめて、給付金を該当者に支払うべき。セックスワーカーへの給付金不支給は差別であり,合理性がない。 村野瀬さんの御意見に賛成です。
セックスワーカーであってもきちんと納税している限り(納税していない子どもたちにも支給されているのに),給付金の支給を行わないTakeshi出入国管理法の改悪は、日本政府による反人道的行為であり外国人虐待である。廃案にすべき。管理人様へこの手の話での自身の意見の開陳は「公務員法違反」の恐れがありますのでTakeshiさんが紹介していたアムネスティの意見に対して「別の視点からはこんな見方がありますよ」こっぱなお役人(流水管理中)「靖国神社思想の本音」 (メモ)日中戦争は侵略戦争だったことの証拠 「満州事変 政策の形成過程」(緒方貞子・岩波書店)から引用します。
将来戦ノ状況ヲ考察スルニ内愈々国力ノ充実全国民ノ訓練総動員的計画ニヨル全戦争能力ノ統制整Takeshi「靖国神社思想の本音」 (メモ)大正時代における靖国神社批判「戦没者合祀と靖国神社」(赤澤史朗・吉川弘文館)に1910年代から20年代における靖国神社批判に関する文章が載っていたので,紹介したいと思います。
吉野作造が彼の友Takeshi出入国管理法の改悪は、日本政府による反人道的行為であり外国人虐待である。廃案にすべき。Re: ちょっと政府(出入国在留管理庁)の立場でTakeshiさんに反論こっぱなお役人(流水管理中)さん、
これは、政府の本音を解説することが目的でしょうか。それとも、Takeshiさんの意見は正しくないと言いたいのでしょうか。その点はっ村野瀬 玲奈出入国管理法の改悪は、日本政府による反人道的行為であり外国人虐待である。廃案にすべき。ちょっと政府(出入国在留管理庁)の立場でTakeshiさんに反論>1 収容の目的を限定し,法律に明記すること
収容の目的は、「送還(国外追放)をすること」、その準備として拘束するということです
「正式な許可を得た」以外の外国人こっぱなお役人(流水管理中)「靖国神社思想の本音」 (メモ)「琉神神マブヤー」に見る沖縄の心 私は見たことがなかったのですが,「琉神マブヤー」というヒーローもののテレビ番組が2008年10月から12月にかけて,毎週土曜日6時45分から沖縄で放送されてたそうです。
Takeshi放射性物質で汚染された水を日本が海洋に長期間、大量投棄するなら、日本国と日本人全体が環境テロリストとみなされても文句は言えない。 #汚染水の海洋放出に反対します日本政府は諸外国にけんかを売っているのか。 放射能汚染水の排出についてはアルジャジーラもトップで大きくとりあげました。諸外国から日本政府の方針について好意的なものは皆無のように見えます。
海洋は日本だTakeshi「靖国神社思想の本音」 (メモ)大東亜戦争肯定論を批判する。 大東亜戦争肯定論というものがあります。戦争はやむにやまれず起こった自衛のためのものであり,欧米帝国主義からアジア諸国を解放するものであった,という論です。
Takeshi昭和は輝いていなかった、少なくとも1945年までは。 (テレビ番組「武田鉄矢の昭和は輝いていた」への批判的感想)テレビ番組について思う。 武田鉄矢が扮する「水戸黄門」は国民的なテレビ番組であるものの,権力に頼って権力を打ち負かし,平民がありがとうございますと感謝するのは,日本人の奴隷根性を増長さTakeshi出入国管理法の改悪は、日本政府による反人道的行為であり外国人虐待である。廃案にすべき。今でさえひどい入管法をこれ以上改悪してはならない。 アムネスティ・インターナショナル日本支部は2019年2月19日に国際人権基準に則った出入国管理及び難民認定法改正を求める意見書を発表しています。
日本の入管収容およTakeshi「靖国神社思想の本音」 (メモ)靖国神社と東京裁判東京裁判は「勝者による裁き」として,これを拒否する右派陣営の声が絶えることがありません。
サンフランシスコ講和条約の調印(1951年9月8日)は,配線後の日本を連合Takeshi出入国管理法の改悪は、日本政府による反人道的行為であり外国人虐待である。廃案にすべき。こんなことをやっていたら日本は難民条約に加入していますが、難民の受入れには否定的、世論もそれを支持しています。
事の発端はそこにあります。
そして外国人は受け入れても技能実習生の名のもと閉口出入国管理法の改悪は、日本政府による反人道的行為であり外国人虐待である。廃案にすべき。Re: 反世界・反人間な日本、最も罪深い共犯者は無関心な国民だ。無記名コメント様
コメントありがとうございます。
経験上、無記名コメントは公開しないことが多いのですが、いくつかの無記名コメントは内容を見たうえで公開してい村野瀬 玲奈出入国管理法の改悪は、日本政府による反人道的行為であり外国人虐待である。廃案にすべき。反世界・反人間な日本、最も罪深い共犯者は無関心な国民だ。Kurukuru89という人物のブログに詳しく記載されているのですが、もともと日本人というのは、人を「自分に都合のいい『モノ』」としか見ないという特性があるようです。立場(無記名コメント)「靖国神社思想の本音」 (メモ)A級戦犯と靖国神社「創られた天皇制」(裴富吉・同時代社)から引用します。一部重複する表現もありますが。
昭和天皇は,敗戦直後からの戦犯訴追の危機を「すべての責任を東條におっかぶTakeshiデジタル監視法、デジタル関連税金浪費法となるであろう #デジタル改革関連法案 は国民のためにならないと言える。 #デジタル監視法案に反対します #デジタル庁はいらないどさくさに紛れて法案が衆議院を通過 重大な法案であるにもかかわらず,デジタル監視法案が衆議院を通過しました。
審議時間はわずかだったと聞きます。
国民は新型コロナに心がいっぱいで,政府は五輪Takeshi天皇の記者会見から憲法関係の部分をカットするNHKは誰のために報道しているのか?明治天皇とは誰だったのか「創られた天皇制」(裴富吉・同時代社)から引用します。
1850(嘉永3)年1月 大室虎吉(のちの大室寅之祐=明治天皇)誕生。
1865(慶応1)年3月 全国の勤皇志士Takeshi天皇の記者会見から憲法関係の部分をカットするNHKは誰のために報道しているのか?天皇制は奴隷制か 藤田省三は「天皇制国家の支配原理」(みすず書房)の中の「『諒闇』の社会的構造」で次のように言っています。
昭和元年は周知のように一週間に過ぎない。一週間が一Takeshiデジタル監視法、デジタル関連税金浪費法となるであろう #デジタル改革関連法案 は国民のためにならないと言える。 #デジタル監視法案に反対します #デジタル庁はいらない国民監視・圧迫の「ジャパンアズナンバーワン」樹立かもな一昨日タイトルのようなことを書きましたが、お友達に利益をばらまき、さらに彼らから自らへの献金を受け、国民を監視し圧迫する自民党政権を、「だって他に政権任せられる(無記名コメント)自民党が作りたいらしい「こども庁」の目的と政策を予想するそれに沈黙して「容認」し続ける国民も国民。さらに、「子供は国の宝」などというのは建前で、本音は「邪魔者」でしかなく、「性行為のメタファー」であるとさえ思っているのが、この日本という国なのでしょうね。こん(無記名コメント)カードの暗証番号を聞きたがる業者を特殊詐欺と疑うのが当然であるのと同じく、 #デジタル改革関連法案 を疑う。 #デジタル監視法案に反対します #デジタル庁はいらない「日の丸損壊罪」とか、馬鹿じゃねえの?記事の内容と関係ありませんが、「国旗損壊罪」なる狂気の法案が通りそうだったとのことです。
単なる布切れを破いたりしたら罰するぞという下らないものなのですが、少し(無記名コメント)「不法滞在」とはどのような犯罪なのか。 (「とほほのとほほ空間」からメモ)名古屋入管で死亡したスリランカ人女性 2021年3月6日,留学生だったスリランカ人女性(30代)Sさんが名古屋出入国在留管理局の収容施設で死亡しました。
Sさんはスリランカで大学卒業後に英語を教えていまTakeshi佐川宣寿国税庁長官の罷免を求める署名運動佐川宣寿に対する告発状が返戻された。「森友事件とは,長期政権を誇った当時の内閣総理大臣の国政私物化を本質とする政治的犯罪である。最高権力者である時の内閣総理大臣による国政私物化を実現する官僚の犯罪Takeshi