アベノミクスの「現実」 （新聞報道から）

　　

アベノミクスの現実を記録した最近の新聞報道を記録。アベノミクスに期待したり、アベノミクスを推進する安倍政権自民党政府に期待することはむなしいどころか有害であると言えましょう。

●東京新聞(TOKYO Web)
■アベノミクスを問う＜１＞輸出入産業　職人の育つ環境を
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130618/CK2013061802000148.html
2013年6月18日

手作業で金属加工をする北代さん。こうした職人は減少している＝横浜市南区で

　第二次安倍晋三内閣の発足後、日本銀行の大規模な金融緩和などで円安が進み、国内製造業は息を吹き返したといわれる。確かに、県内でも大手企業は利益を増やした。しかし、地場産業や小規模な製造業の経営者らは「むしろコストが上昇している」「政府や大企業は為替相場よりも、人材育成に投資をすべきだ」と冷ややかに捉えている。
　「仕入れ値はどんどん上がっている。国内需要が細る中で、影響は小さくない」
　創業六十年超の老舗シルクメーカー「丸加」（横浜市南区）の蟹江信之社長（５６）は話す。
　絹貿易は戦後復興を支えた「横浜の基幹産業」だったが、産業構造の変化で生糸の供給元は中国に代わった。近年の中国の労働コスト上昇に加え、年明け以降は円安の影響も受けている。
　さらに、ファッションの傾向も変わり、スカーフの需要も減っている。「安倍政権の言うように、これから景気が盛り上がれば良いが…」。販路開拓などの努力を続けながら、コスト上昇にはしばらくは耐えるしかない。
　「それよりも」と蟹江社長は語気を強める。模様を手作業でプリントする「捺染（なっせん）」をする人材が高齢化していることが問題だという。日本の捺染職人は、世界最高水準の技術を持つ。「技術力は日本の強み。国には高い付加価値のシルク商品を売る後押しをしてほしい」と考えている。
　生糸などの輸入を手掛ける商社「西田通商」（横浜市中区）も同じ問題を抱える。もともと、輸入専門だったが、輸入だけだと円安の影響をじかに受ける。そこで昨年から、洗浄用のスーパーアルカリイオン水製造機の輸出も始めた。西田吉彦営業副部長は（４５）「為替相場の動向に左右されない事業構造にしないと、生き残れない」と、最近の乱高下する相場に警戒感を示す。
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　「円安でもうかるのは大企業だけ。下請けまで増益分が行き渡るようにすべきだ」
　創業七年目の金属加工業「キタダイ製作所」（横浜市南区）の北代吉礼（きただいよしゆき）代表（４３）は、一部の製造業だけが利益を抱え込み、下請け業者に厳しいコストダウンを押しつける構造を問題視する。
　主に医療器具を製造。材料費は円安の影響で徐々に上がっている。だが、販売価格に上乗せさせるのは難しい。「うちは高い付加価値がある品を作っているからまだ大丈夫だが、同業者はどんどん少なくなっている」という。
　金属に細かい数字を刻んだり、極端に細くしたりする加工は、手作業でないとできない。ただ、機械加工で作れる大量生産品の海外調達が増えた結果、こうした職人は激減している。
　高度な技術を持つ職人がいなくなれば、日本の製造業の強みは失われる。
　「大企業は利益を還元すべきだ。でないと、将来的に自分の首を絞めることになる」
　円安で一時的に業績を回復させるのではなく、「職人が育つ環境をつくらないと、製造業は足元から崩れていく」と、危機感を強調した。（志村彰太）
　安倍内閣の経済政策は、私たちの暮らしを本当に豊かにするのだろうか。参院選を前に、県内のさまざまな人たちに聞いた。


■アベノミクスを問う＜２＞農業　ＴＰＰ交渉　食の安心、どう担保
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130619/CK2013061902000132.html
2013年6月19日

「食の安全と安心を担保できるのか」と、ＴＰＰの弊害を懸念する田中康介さん＝小田原市で

　「政府は、日本の食の安全と安心を本当に担保できるのか」
　小田原市久野で百五十アールの茶畑を営み、製茶工場も持つ田中康介さん（６１）は重い口を開き、表情を曇らせた。
　アベノミクスの恩恵がまったく感じられない中、農業への打撃が懸念されている環太平洋連携協定（ＴＰＰ）の交渉に政府が参加する時期が近づき、不安が増している。
　「自民党は、昨年の衆院選ではＴＰＰ交渉への参加は表明していなかった。米国の大規模農園と競争しろと言われても、価格面では勝てない」
　安倍内閣はＴＰＰ対策として、農業の国際競争力の強化を議論している。しかし、田中さんは憤る。
　「デフレ脱出と言いながら、なぜ農畜産物だけ安く輸入しなければならないのか説明がない。競争力強化といっても限度があり、海外で日本の農産物が高く売れても農家の収入増とはならない」
　ＴＰＰは、輸入品の関税を十年以内にほぼ１００％撤廃するのが原則。政府はコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物（サトウキビなど）の重要五品目は関税撤廃の例外を設けるとするが、田中さんは「十数カ国相手に例外を守るだけの交渉力が日本政府にあるのか」と、疑問も投げかける。
　沖縄の離島のサトウキビ農家は、関税撤廃の例外が守られなければ、すぐに廃業し、島は無人になると警告する。「無人化をきっかけに、尖閣諸島や竹島のような領土問題が新たに生じない保証はない」
　ＴＰＰは、農村や農業が担う、金では表せない里山の景観、コミュニティーづくりなどのさまざまな機能が崩壊する危機をはらんでいる。
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　「正組合員約一万人の生活を守るためにも、ＴＰＰ交渉反対は最後まで言い続ける」。こう断言するのは、ＪＡかながわ西湘の安藤俊之常務理事（６１）だ。
　ＴＰＰの原則に従えば、現在のコメの関税率７７８％（従価税換算）は、十年後には０％。十キログラム当たり五千円だった海外のコメが、十分の一近くになる。「出荷はおろか、自家用のコメすら作らず買うようになるだろう。成長戦略も大切だが、守るべき歴史や食文化がある」と訴える。
　完全自由化で輸入農産物の量が増えれば、検査が煩雑になる恐れも指摘する。「米国で未認可の遺伝子組み換え小麦が見つかった。今回は輸入されなかったが、自由化でどうなるのか」と、食の安全と安心を危ぶむ。
　所得の減少、後継者不足などの問題にも直面する農家。政府のＴＰＰ交渉参加で、廃業する仲間が増えることを懸念する田中さんは祈るように言った。
　「最後は消費者の選択で決まる」（横光竜二）


■アベノミクスを問う＜３＞商店街　見えない地域支援
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-20/2013062001_03_1.html
2013年6月20日

客足が落ちた商店街をどう立て直すか。思いを巡らす「遊行通り４丁目商店街」の村上徳義理事長＝藤沢市で

　「何も変わらない」（生花店）、「むしろ客足は落ちている」（ラーメン店）、「購入はいずれ、というお客さまばかり」（宝飾店）‥。
　鉄道三路線（ＪＲ、小田急、江ノ電）が乗り入れる藤沢駅周辺は、湘南地域で最も商業施設が集まり、栄えてきた。駅周辺の商店街で、約三十人の店主に「アベノミクスの効果はあるか」と尋ねたが、歯切れの良い答えはなかった。
　カレーショップを経営する野田直希さん（３７）は、アベノミクスがもたらした急激な円安に悩まされている。
　「短期間のうちに、輸入鶏肉が一キロ当たり百円値上がりした。お客さんの入りは落ちている。値上げには踏み切れない」
　近くで薬局を営む村上和宣さん（４５）は、安倍政権が市販薬のインターネット販売の原則全面解禁を打ち出したことに「副作用の強い薬を使用する人の安全性をどう保障するつもりなのか」と、疑問を投げ掛けた。
　そもそもアベノミクスは、地域で活動する商業者にまで、目配りができているのだろうか。
　藤沢商工会議所の田中正明会頭（７１）は、安倍政権の経済政策の問題点として大手重視の姿勢を挙げ、「中小や地域への支援が、どの程度盛り込まれるのか、全く見えてこない。成長戦略を議論する産業競争力会議のメンバーも、大手の方ばかりだ」と指摘した。
　「このところ目に見えて客足が落ちている」。小売りを中心に約百店が加盟する商店街「藤沢銀座土曜会」の日比政彦理事長（７４）は、先行きに不安を募らせる。
　駅から時宗総本山の遊行寺へつながる「遊行通り四丁目商店街」の村上徳義理事長（７７）も「お客さまの財布のひもが固い。欲しいものもボーナスまで待とう、と言われることが多い」と、厳しい現状を口にした。
　二人は、安倍政権が今年初めに組んだ総額三百億円の補正予算の中に盛り込まれた「商店街まちづくり事業」に申請書を提出し、仮採択された。商店街に防犯カメラや発光ダイオード（ＬＥＤ）照明などを取り付ける費用に充てる。
　しかし、これはあくまでも「一時金」。商店街の継続的な振興につながるか、見通すことはできない。
　村上さんは「ちょっとした頓服（対症療法）みたいなものだが、次の一歩を踏み出すきっかけになるかもしれない」と期待を込める。しかし、日比さんは「一時的に助かるかもしれないが、その後はどうしてくれるんだ、とみんなが思っている」と、率直な思いを口にした。（加藤木信夫）

（転載ここまで）

●しんぶん赤旗
アベノミクスで材料・経費高騰
価格転嫁できず７割
中小企業を全商連調査
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-20/2013062001_03_1.html
2013年6月20日(木)

　全国商工団体連合会（全商連）は、安倍内閣の経済政策（アベノミクス）・急激な円安による中小企業・小規模事業への影響を緊急に調査した結果を１９日、発表しました。すべての業種で材料、経費が高騰し、価格に転嫁できずにいる実態が浮き彫りになりました。
　昨年末に比べて「材料・経費が上昇している」との回答は５７・６％。コストの上昇分を「価格に転嫁できていない」は７０・５％にのぼります。
　調査の一言欄には、業者の悲鳴がつづられています。
　「小麦、油脂、チョコレート、ナッツ類…すべての原材料が急激な円安により上昇幅が大きい。現況で価格転嫁は極めて困難。アベノミクスは自営業者を殺す気か！」（パン製造業者）、「マヨネーズ、小麦粉、油など価格上昇。仕入れ先がどんどんつぶれている」（仕出し業者）、「塗料、シンナー他仕入れ値が上昇。燃料代も増加。どちらも価格転嫁できない」（車部品）

（転載ここまで）

アベノミクスに期待することは「自殺行為」に等しいです。

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