辛淑玉『怒りの方法』(岩波新書)から



教育学者の住友剛さんのブログ「できることを、できる人が、できるかたちで」に出ていた辛淑玉・著『怒りの方法』(岩波新書)からの引用を、この社会(特に日本社会)を良くするための心構えの原点として記憶するためにこちらにも転載します。
(転載ここまで)●できることを、できる人が、できるかたちで
辛淑玉『怒りの方法』(岩波新書)から
http://tsuyokun.blog.ocn.ne.jp/seisyonenkaikan/2006/10/post_9852.html
2006/10/01
以下は、辛淑玉『怒りの方法』(岩波新書、2004年)の「はじめに」からの引用。いま、青少年会館や人権文化センター、老人福祉センター、障害者会館のことで、大阪市政に対して「怒っている」人々、何か「納得いかない」と感じている人は、ぜひ、この文章を参考にして、自分たちなりの「怒り」のぶつけ方、「納得いかない」気持ちの表現方法を考えてほしい。
同時に、ネット上でこういう人々の活動や発言に対して、さまざまなバッシングを浴びせている人々にも、大阪市政改革の基本プランをつくっているような人々にも、「私はそういう人々の行動や発言、施策づくりは絶対に許さない」という「怒り」の気持ちを伝える意味で、以下の文章を紹介しておく。なにしろ、以下の文章にあらわれる「日本社会の縮図」が、今度の大阪市政改革でもあるのだから。
※以下、辛淑玉『怒りの方法』(岩波新書)からの引用。
「妥協して集まった集団のエネルギーは、大したことないんですよ。むしろそれぞれが生活の中で怒りを感じたときに、それをきちんと表現したほうが大きな力になる。一人ひとりが本気で怒ることが大事。それが結集したときには、ものすごいエネルギーになりますから」
日本社会のキーワードは、「仲間外れ」「村八分」だ。
それが怖くて、人々は同調していく。強い者に。
だから、怒りをぶつけていい対象が強い者から与えられると、人々はいっせいに動き出し、ヒステリックにその対象を攻撃しはじめる。
とくに、権力に逆らった者に対しては、権力と一緒になって容赦なく叩く。
日本社会は「判官びいき」とも言われる。たしかに弱者が物言わず耐えている間は、同情を寄せる。だが、その弱者が声を上げて主張しだすと、今度は強烈な嫌悪感と憎悪で攻撃し、そして排除する。「権利ばかり主張する奴だ」「世間を騒がせる迷惑な奴だ」などと。
声を上げた弱者や「普通」と違う行動をとった個人を、自分たちの怒りのはけ口にしては、そのことで世界中から顰蹙を買う。日本社会はこれを繰り返している。(中略)
誰かが決めた役割によって人々が動かされ、しかも役割を決めた人間はその結果に責任を取らない。この仕組みが日本社会なのだ。
直接責任のある人間に怒りをぶつけて責任を取らせることができれば、この社会の多くの問題は解決できる。だが、怒りをぶつける者は少ないし、責任を取る者はもっと少ないから、誰も責任を取らない仕組みが温存されてしまうのである。
この仕組みを壊すためには、一人ひとりが必要に応じて実験と学習を繰り返しながら、目の前の問題を解決していくことが大切なのだ。
そのように動ける人が、どんどん力をつけていく。
他人も組織も当てにならない。大切なのは、役職や肩書き、所属団体がなくても問題解決できる力をつけることだ。
自分で考え、自分で動いてこそ、自分の道は開ける。
そのためにはまず、奪われてきた怒りを奪還することだ。これは、人間性を回復することでもある。(後略)
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