2012年、日本の男女格差は相変わらず大きいまま

　　

日本の女男平等の程度、これが昨年の現状。

■国別「男女平等」実情調査、日本はほぼ最下位グループ
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2902.html
2011-10-17

日本で男女格差の改善のための具体的政策や取り組みが昨年から今年にかけてなされたわけでもありません。これは、日本国と日本人全体、いえ、日本のオトコたちに、これが問題であるといる意識がないのだととりあえず考えるしかありません。日本の政治家オトコたちは政局という名の政治ごっこ、国獲り合戦、陣取りゲーム、つまり、「オトコのオトコによるオトコのための政治」で忙しいようですし。

●東京新聞(TOKYO Web)
男女格差、日本は１０１位　主要国で最低評価続く
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012102401000828.html
2012年10月24日 10時37分

　２０１２年版男女格差報告＝（　）内は前年順位

　【ジュネーブ共同】ダボス会議で知られるスイスのシンクタンク、世界経済フォーラムは２４日、２０１２年版の「男女格差報告」を発表、日本は調査対象となった１３５カ国中１０１位となり、前年より順位を三つ下げた。順位低下は２年連続。
　女性議員が少なく、企業幹部も男性に占められていると指摘。先進国や主要国の中で最低水準の評価が続いている。
　首位はアイスランドで、上位は例年通り、北欧諸国となっている。米国は２２位で前年より順位が五つ下がった。中国は６９位で八つ順位を下げた。アジア太平洋地域ではニュージーランドの６位が最高位。フィリピンが８位で続く。

（転載ここまで）

世界経済フォーラムのレポートはこちらのページから全文を読めます。プレスリリースには日本語もあります。

●World Economic Forum
The Global Gender Gap Report 2012
http://www.weforum.org/reports/global-gender-gap-report-2012

The Global Gender Gap Index introduced by the World Economic Forum in 2006, is a framework for capturing the magnitude and scope of gender-based disparities and tracking their progress. The Index benchmarks national gender gaps on economic, political, education- and health-based criteria, and provides country rankings that allow for effective comparisons across regions and income groups, and over time. The rankings are designed to create greater awareness among a global audience of the challenges posed by gender gaps and the opportunities created by reducing them. The methodology and quantitative analysis behind the rankings are intended to serve as a basis for designing effective measures for reducing gender gaps.

The Index is designed to measure gender-based gaps in access to resources and opportunities in individual countries rather than the actual levels of the available resources and opportunities in those countries. We do this in order to make the Global Gender Gap Index independent from countries’ the levels of development. In other words, the Index is constructed to rank countries on their gender gaps not on their development level. For example, rich countries have more education and health opportunities for all members of society and measures of education levels thus mainly reflect this well-known fact, although it is quite independent of the gender-related issues faced by each country at its own level of income. The Global Gender Gap Index, however, rewards countries for smaller gaps in access to these resources, regardless of the overall level of resources. Thus the Index penalizes or rewards countries based on the size of the gap between male and female enrolment rates, but not for the overall levels of education in the country.

Read:
Download full report (PDF)
Country Highlights (PDF)
Global Gender Gap Index Data Analyser
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（転載ここまで）

各文書のダウンロードはリンク先からどうぞ。

一つ思いましたが、日本語のプレスリリースの最初にあるハイライトに「2012年、世界上位4ヶ国のうち米国、日本、ドイツの経済的なジェンダーギャップ（男女格差）は縮小、中国はわずかに拡大」と書いてありますが、誤解を誘う書き方だと思います。

英語のプレスリリースでは「Of the top four global economies, USA, Japan and Germany improved their economic gender gap in 2012; China declines slightly」と書いてあるので、「世界上位4ヶ国」ではなくて、日本語でも「世界の経済大国4ヶ国」と書くべきです。日本語のプレスリリースだけななめ読みすると「日本は男女格差ランキングの世界上位4ヶ国」と誤読される可能性大です。日本の男女格差を少しでも隠そうとする意図を感じてしまいます。

なぜなら、日本は総合ランキングでどうかといえば、昨年より順位を下げて、調査対象となった135カ国中101位なんですから。日本の男性のみなさん、この順位の低さを恥ずかしいとは思いませんか。


なお、こんなコラムがありました。男女格差を経済の面からだけ考えていてはいけないと思うのですが、これはこれで一つの分析でしょう。記録し、思ったことをメモしておきます。

●毎日ｊｐ(毎日新聞)
水説:女性が日本を救う？＝潮田道夫
http://mainichi.jp/opinion/news/20121024ddm003070090000c.html
http://mainichi.jp/opinion/news/20121024ddm003070090000c2.html
毎日新聞　2012年10月24日　東京朝刊

　＜ｓｕｉ−ｓｅｔｓｕ＞

　「女性が日本を救う」とラガルド国際通貨基金（ＩＭＦ）専務理事はいう。つまり女性の労働参加率を欧州並みに引き上げれば、日本の衰退は止まるというのだが、それは本当だろうか。
　ＩＭＦのワーキングペーパーによれば、今後２０年間で日本が女性の労働参加率を現在の６２％からイタリアという例外を除く先進７カ国（Ｇ７）並みの７０％に引き上げれば、移行期の国内総生産（ＧＤＰ）を０・２５ポイント引き上げる効果がある。北欧並みの８０％にすれば０・５ポイントの増加。
　これはまあ、相当のインパクトだ。しかし、それで間に合うかどうかは微妙。
　小黒一正一橋大准教授もラガルド発言について言論プラットフォーム「アゴラ」に寄稿している。結論だけ紹介すると「日本女性の労働参加率を北欧並みに上昇させることができれば、長期的に少子高齢化が日本経済に及ぼすマイナスの影響を１００％ではないものの、５０％程度は緩和できる可能性がある」。
　痛みが半分になるそうだ。だが、痛みは残る。
　みずほコーポレート銀行産業調査部が、２０３０年前後の経済状況についてリポートを作成した。この問題にもからんで非常に重要な仮説を提出している。山田大介産業調査部長が解説してくれた。
　まず前提として、このまま推移すれば日本経済の潜在成長率は、３０年代以降はマイナスになると見る。潜在成長率は労働力や設備、技術、知識をフルに活用した場合、実現できる最大限の成長率。まあ「実力」と考えればいい。
　これは少子高齢化で働き手がどんどん減るのに加えて、貯蓄の取り崩しが進んで投資も減っていくからだ。世界のＧＤＰに占める日本のシェアは６・３％から３０年には３・９％になる。衰退は止まらない。ただ、１人あたりＧＤＰは減らないから、不幸になると決まったものではない。
　しかし、名目２％、実質１％ぐらいの成長をしないと、国債が雪だるま式に増え管理不能になるだろう。財政の発散、ギリシャ化である。マイナス成長はやはりまずい。
　本論はここから。実は１％成長が難しい。山田さんたちは新産業創出など日本復活のためのなかなか魅力的なメニューを積み上げた。だが、目標に届かない。労働投入量が足りないのが原因だ。問題の女性活用（労働参加率）も男性の１割引きまで見積もった。それでもダメ。
　１％成長にはどうしても毎年１０万人の移民受け入れが必要だという。これは難題だ。ともあれ女性活用は必要不可欠だが、それだけでは日本を救えない。（専門編集委員）

（転載ここまで）

ひっかかるのは、「労働投入量が足りないのが原因」で、「毎年10万人の移民受け入れが必要」という説明です。移民ではなくて、「毎年出生数を10万人上げる政策」ではいけないのでしょうか？出生数を上げる政策、つまり、日本で普通の生活者が普通に家庭を持って普通に子どもを産むという人間として当たり前のことが日本社会でできるようにするためのいろいろな分野での総合的政策ではなくて「経済のために人間供給をアウトソーシングに最初から頼るような政策」を考えるのでは、日本に来る移民だって不幸になるだろうということです。

「日本で普通の生活者が普通に家庭を持って普通に子どもを産むという人間として当たり前のことが日本社会でできるようにするための総合的政策」が日本では決定的に足りないことは、その結果としての日本社会の現状が証明しています。

担税力に応じた応分の負担を高額所得者や利益をあげている大手法人に求めることで財源を確保し、「日本で普通の生活者が普通に家庭を持って普通に子どもを産むという人間として当たり前のことが日本社会でできるようにするための総合的政策」のために予算を使う、という基本的発想を日本の政治家や高級官僚が持たなければ、日本の衰退は止まらないと思えます。

なお、「女男平等」についてのうちの関連記事はこちらからどうぞ。

http://muranoserena.blog91.fc2.com/?q=%E5%A5%B3%E7%94%B7%E5%B9%B3%E7%AD%89&range=blog&is_adult=false&s=y&charset=utf-8

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