日本で「いじめ問題」が解決しない理由。

　　

教育の場でのいじめ問題。被害児童の最悪の結果を招いた後の、学校側や教育委員会や文部科学省の最低の対応。世論の暴力的な沸騰による加害者の吊るし上げ。

...これでいいわけがありません。日本の教育における「イジメ対応」は何かが決定的に間違っているのです。

お子さんをいじめが原因で亡くした親御さんに心からお悔やみを申し上げながら、日本の「いじめ問題」への対応に深くひそむ問題について、考えてみました。

まず、今回の本題とは直接の関係はないですが、こんなエピソードを読んでみたい方はどうぞ。

●らばQ
何年も経ってからいじめっ子に出会ったことはある？どうなった？…大きな反響を呼んでいたエピソード
http://labaq.com/archives/51502912.html
2010年09月17日 15:24

（転載ここまで）

このエピソードを読んだ方も読まなかった方も、ここからが本題です。

これから書くことは、日本で最近あった特定のいじめ事件の分析というわけではなく、それらも含めていろいろな事例を見て私がとりあえず結論したこと、私が提言したくなったことです。


いじめは悪であるとの単純な認識「だけ」のもとに、いじめの事例数についてイジメ減少の努力目標を設定して、文部科学省、教育委員会、校長などなどの「上からの指導や通達」でいじめの数を減らすように促したり、さらにはそれを学校どうしや地域どうしで比べたり、一つの学校の中で統計をとっていじめが増えたとか減ったとか、数の比較に重きをおくのが日本でよくあるいじめへの教育行政からの取り組みの図式だと思います。

しかし、このやり方は、「現実のいじめ問題を解決しようとする努力」を促進するのではなくて、「いじめがないふりをする態度、いじめがあったことを隠す態度」を促進するのではないでしょうか。

まるで、原発事故を公にしたり大げさな原発安全対策や避難訓練をやったりすると原発に対する不信感が高まるという心配のもとに、原発を運営する電力会社やあるいは原子力発電行政が、数々の事故隠し、トラブル隠し、情報操作、安全対策の手抜きを長年積み重ねた末に大事故がおこってやっと、原発について今までやってきたことは間違っていたと気づくような話ではないかと思うのです。

みなさんは、今のいじめ対策が効果をあげていないように思いますか？それなら、発想を変えるべきです。

「いじめ問題」を解決したかったら、逆に、一種のいじめ解決コンテストをしたらどうでしょう。

いじめの例を公開し、どのようにして解決したか、広く発表しあうのです。いじめ問題の解決法やその取り組みを、教育研究会など教員の世界の外にも広く公開するのです。

そのうえで、ある学校でいじめがあったという事実に非難を向けるのではなくて、いじめはあったが学校や教師や親や当人の努力のもとで解決したという取り組みを称賛するのです。

人間社会あるところにいじめはつきものであるという認識にもとづいて、いじめ問題がないふりをするのをやめるのです。

「いじめがこの学校にある」と文部科学省や教育委員会や親や思われたら学校や自分の評判が下がって自分の地位も危うくなる、という現場心理や教育行政的制度・仕組みを教育現場から一掃することが「いじめ問題」の解決のために絶対に必要です。

いじめをいくつ減らしたかを数で競わせるから、文部科学省や教育委員会や学校や教員や親が「うちには（日本には、当校には、当地区には、うちの子には）いじめなんてありません」というふりをするようになるのです。

文部科学省や教育委員会や学校や教員や親に「いじめなんてありません」という態度をとるように仕向ける教育行政制度、教育哲学などをすべて根本から転換しなければならないから、簡単ではないかもしれません。しかし、子どもが死を選ばなければならない教育環境を変えるのは責任ある大人の責務です。

「いじめのないこと」に褒賞を与えるのではなくて、いじめの現実を表に出して、学校、教育委員会、教員、親、それに当の子どもが協力してそれをどう解決したかという取り組みに褒賞を与えるようにしないと、現在の日本にあるいじめの事例は解決しないし、「いじめ問題」はいつまでも深刻なままであり続けるんじゃないでしょうか

もちろん、いじめっ子の写真や親の個人情報をインターネット上にばらまいたり脅迫や怒りの攻撃をいじめっ子とその親に向けることは、ある種の正義感によるのでしょうけど、それは「いじめ問題」の解決にならないだけではなく、有害です。

人間の悲しい性（さが）として、学校から、人間社会から、「いじめ」は根絶することはたぶんできないでしょう。しかし、学校現場や社会全体で個々の「いじめ問題」を解決しようと取り組むことはできます。その取り組みを包み隠さずに行なうことができるように教育環境と社会環境と人間の考え方を変えなければなりません。

「いじめの数という『結果全体』を減らそうとしてはいけない」のです。「個々のいじめを個々の現場と当事者で個々に解決しようとする努力と取り組みという『個々の経過』を前向きに評価する」ことが「いじめ問題」への唯一の有効な道だと思います。


ちなみに、冒頭であげておいたらばQの記事で紹介のエピソードへの反響の中で、私が何回も読み返して涙とともに味わったのが次の二つでした。

・オレのいじめっ子は、後にオレの兄弟になった。彼の父親が俺の母親と結婚したんだ。何年も経ってからの再開で、教会の結婚式で同じタキシードを来て握手をしたが何も言わなかった。
　その後家族同士で仲良くなり、彼がどんな境遇だったのかもよく理解できた。彼の母親は小さいときに亡くなり、ほとんど父親に育てられていた。いじめっ子であった彼の側面を理解し始めて、自分の中でつじつまが合った。
　いじめっ子も人だし、誰かの兄弟なんだ。

・僕は小学校、中学校といじめられたこともあったけど、ちょうどその頃、自分も弱い子をいじめていた。彼には友達がおらず、誰の助けもなかった。殴ったことはなかったが、怖がらせたり、今にも傷つけるようなことを言った。これは18年前のことだ。
　もしチャンスがあるなら彼に謝りたい。自分もいじめられたことがあるので、それがどんなに間違っていたかわかっている。最悪の人間で終わりたくない。フェイスブックで彼のことを探したけど、ありふれた名前で何千もの検索結果が出てくる。彼のことを考える度に、満ち足りた生活をしていて欲しいと切に願う。
　ジェイソン、もしこれを見ていたら、ゴメン。

（引用ここまで）

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2012-07-25
訂正【7/26（木）14時公判！傍聴を】築地市場官製地上げ証拠隠滅差止訴訟
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-11311130148.html

↑『がけっぷち社長』さん作。また、税制についての当秘書課の記事は、「カテゴリ : 税制、税金、財政」から。

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