日経の「少子化社説」に腹が立つ。

　　

日本経済新聞が少子化を嘆く社説。日本の少子化の原因の少なくない部分を日経が代表する「経済ムラ」が作り出しているのに、日本経済新聞の社説執筆者は「経済ムラ」の責任を反省することすらしていません。反省どころか、自覚すらしていないようです。日本経済新聞の自己中心性はかなり重症です。

私はこういう社説を、以前記事にしたように、『オトコの経済アタマの限界』だと思います。

●日本経済新聞
加速する人口減への危機意識が足りない
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO42251870W2A600C1EA1000/
2012/6/6付

　2011年の出生数は105万人と過去最少になり、１人の女性が生涯に産む子供の数の推計である合計特殊出生率は前年と同じ1.39にとどまった。ともに05年を底にほぼ回復基調にあったが、ブレーキがかかった。

　死亡数は125万人と戦後最多を更新。日本の人口は約20万人の自然減になった。これは神奈川県小田原市の人口に匹敵する規模である。

　11年は東日本大震災もあって、少子化や人口減少の動きは政府が考えていたよりも急である。なぜこんな事態になっているのか。

　政府が社会保障と税の一体改革で掲げる子育て支援策は待機児童の解消を目指したもので、すでに生まれた子供に力点が置かれている。だが、少子化問題の解決には出生数が増える施策が必要だ。

　そのためには若い世代に広がる将来への不安を和らげることに、もっと目を向けるべきだ。

　内閣府の調査によると、20～39歳の未婚男女の約９割が結婚したいと考えているが、その半数以上が経済的な不安を抱いている。20～49歳の男女に、希望する数の子供を持たない理由を聞いた別の調査でも、「お金がかかりすぎる」が最多だった。

　子育て世代の年収分布（07年）をみると、20代では200万円台前半の割合が最も多く、300万円台が最多だった10年前より懐事情が厳しくなっている。30代も収入の減少傾向がみられる。

　若い世代は失業率が高く、非正規で働く人たちも多い。就業支援や非正規労働者の処遇改善は非婚・少子化対策になるはずだ。

　女性の就労対策も十分ではない。働く女性の６割が出産を機に退職する状況は、この20年間変わっていない。その４分の１は、育児と仕事を両立できず職場復帰を断念している。

　少子化が進むと、年金や医療など社会保障制度の土台は根底から揺らぐ。若い世代が安心して家庭を持ち、出産に踏み切れる施策を早急に打ち出さなければ、日本の将来は危うい。

　企業は社員のワークライフバランス（仕事と生活の調和）に力を入れ、子供を産み育てやすい環境をつくってほしい。人口減による購買力低下や労働力不足を和らげることにつながる。自社の収益にも影響を与えかねないという危機感を持って、企業も少子化対策に取り組むべきだ。

（転載ここまで）

『政府が社会保障と税の一体改革で掲げる子育て支援策は待機児童の解消を目指したもの』？バカ言ってはいけません。保育士の待遇をよくするとか、子ども一人あたりの面積を広げるとかそういう話は、上からの保育カイカク推進者からは聞こえてこないのです。子育て環境を向上させることよりも、株式会社や資本やらを参入させて子どもを野放図であこぎで無責任なただの金儲けの場にすることを目指したもの、としか思えないのです。

『そのためには若い世代に広がる将来への不安を和らげることに、もっと目を向けるべきだ。』？日経が代表している「経済ムラ」は、雇用を非正規化・不安定化し、給与を抑制し、非人間的な働き方を強制し、消費税を上げて社会保障を縮小削減することをしつこくしつこく唱え、まさに若い世代に広がる将来への不安の最大の原因になっているではないですか。この社説では、そのことを自覚しているようには見えないところがあまりにもひどい。

『若い世代は失業率が高く、非正規で働く人たちも多い。就業支援や非正規労働者の処遇改善は非婚・少子化対策になるはずだ。』？経済ムラが就業支援や非正規労働者の処遇改善を真剣に追求したでしょうか。それとは逆のことばかりやってきたのが現実です。

『女性の就労対策も十分ではない。』？女性の非正規雇用率の高さはいまさら言うまでもないくらいです。経済界に雇用調整弁としていいように使い捨てられています。

『少子化が進むと、年金や医療など社会保障制度の土台は根底から揺らぐ。』？社会保障制度の土台を根底から揺るがしているのが、日経が代表する「経済ムラ」、あるいは「経済アタマのオトコども」なんですよ！

『企業は社員のワークライフバランス（仕事と生活の調和）に力を入れ、子供を産み育てやすい環境をつくってほしい。』？？経済ムラのあんた方自身がつくるんですよ！！

説教強盗にあったような気分です。あー腹立つっ！

「子育て支援」というキーワードでうちのブログ内検索をすると、私は折に触れて怒りの記事を書いてきたことを思い出します。

http://muranoserena.blog91.fc2.com/?q=%BB%D2%B0%E9%A4%C6%BB%D9%B1%E7&range=blog&is_adult=false&s=y&charset=eucjp-win


さて、次の沖縄タイムスの社説も日本経済新聞の社説と大きく違うことを言っているわけではないのに、日本経済新聞の社説は読んでいてめちゃめちゃ腹が立ち、沖縄タイムスの社説は賛成しながら読みました。

●沖縄タイムス
［合計特殊出生率］雇用・子育て対策急げ
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-06-07_34736/
2012年6月7日 09時16分

　厚生労働省が５日発表した人口動態統計で、２０１１年の合計特殊出生率が前年と同じ１・３９にとどまったことが明らかになった。

　合計特殊出生率は女性１人が生涯に産む子どもの平均の人数で、２・０７が人口を維持するための基準とされる。０５年に過去最低の１・２６と底を打って以来、わずかながら上昇傾向が続いていたが、横ばいとなった。

　赤ちゃんの出生数も１０５万６９８人となり、戦後、最少を記録した。

　１５～４９歳の女性人口が減少したことと、第１子の出生時の母親の平均年齢が初めて３０歳を超え晩産化が進んだことが原因と厚労省はみている。

　少子化は深刻だ。少子化に歯止めをかけることができず高齢化が進めば、人口構成がいびつになり、弊害が出る。

　少子化は将来の生産年齢人口（１５～６４歳）の割合が自動的に低下していくことを意味する。現役世代が高齢者を支えている年金や医療、介護などの社会保障制度を維持することが難しくなる。

　経済に与えるマイナスの影響も懸念される。現役世代が消費の中心となるだけに、需要が収縮する恐れがある。

　少子化を招いているのは非婚化・晩婚化だ。

　同じ５日に閣議決定された１２年版「子ども・子育て白書」によると、平均初婚年齢は１０年時点で、男性３０・５歳、女性２８・８歳。５０歳までに一度も結婚したことのない「生涯未婚率」は男性２０・１４％、女性１０・６１％と過去最高となっている。

　結婚したくないというわけではない。同白書では、結婚しようと考えている未婚者は男性８６・３％、女性８９・４％と高い数値を示していることがわかる。独身にとどまる理由はさまざまだが、２５～３４歳の男性で約３割が「結婚資金が足りない」を挙げているのに注目したい。

　夫婦の出産に対する意識はどうか。子どもを産みたいが、環境が整っていないというのが実情のようだ。

　理想的な子どもの数は平均２・４２人に対し、実際に持つつもりの子どもの数は２・０７人とギャップがある。

　いずれも過去最低の数字だが、理想の子どもの数を持たない理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」（年齢別総数６０・４％）がトップを占めている。

　子どもを産みたくても、二の足を踏んでいる現状が浮かび上がる。

　若年者の雇用情勢は厳しい。非正規雇用が急増し低賃金にあえいでいる。２０～３０代の男性が既婚者かどうかの割合をみると、年収３００万円が分岐点となっている。

　依然として女性の約６割が出産を機に退職している。少子化を食い止めるには雇用と子どもを産み育てる支援策を充実させなければならない。

　１０年の合計特殊出生率を比較すると、フランス（２・０１）やスウェーデン（１・９８）が上昇基調にある。出産・子育てと就労が両立するような手厚い環境整備がなされているためである。

　政府は早急に有効な手を打たなければならない。

（転載ここまで）

政府が早急に有効な手を打たなければならないとしたら、フランスやスウェーデンが実施していることをそっくりそのまま、ものの考え方まで含めてまねるところから始めたらどうでしょう。笑


民主党議員、特に幹部議員やみなさん一人一人の選挙区の議員にも子どもが持ちにくい日本社会についての意見をメールや電話やファクスなどで届けましょう。

こちらを参考にどうぞ。
■民主党 衆議院議員一覧（他の党、参議院もあり）　http://www.eda-jp.com/link/link1.html

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2012-05-28
築地市場移転反対訴訟の先週の報道。また、関連してサンデー毎日の都議会民主党批判記事を
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-11262495512.html

■2012-05-29
【ご注目・展開を！】これでどこが業界団体容認？築地仲卸組合（東卸）土壌汚染WG中間報告
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-11263217011.html

■2012-05-30
【築地市場移転問題:傍聴をお願いします！】今日、東京地裁で汚染地購入も住民訴訟公判です
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-11264216122.html

↑『がけっぷち社長』さん作。また、税制についての当秘書課の記事は、「カテゴリ : 税制、税金、財政」から。

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