
野田首相がTPP交渉参加を表明した翌日の新聞社説をまとめて記録して、各新聞のスタンスのちがいをまとめて読み比べる資料にします。あまりにもたくさんになったため、ここでは記録だけとして、ツッコミは別の記事に譲りたいと思います。
●毎日jp(毎日新聞)
社説:TPP参加表明 日本が協議リードせよ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20111112k0000m070146000c.html
2011年11月12日
反対論が渦巻くなか、野田佳彦首相が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の参加に向け関係国と協議に入る考えを表明した。少子高齢化が進み経済活力を失った日本は、何としてもアジア太平洋地域の成長力をわがものとする必要がある。TPPはそのための有力な手段だ。首相の決断を評価したい。
国を二分する激論も当然だ。関税の原則撤廃などハードルが高いうえに、交渉分野は21にものぼる。農協が「日本農業が壊滅する」と強く反発。医師会も「健康保険制度が崩壊する」と反対に回った。
◇大きな消費者利益
しかし、貿易自由化による消費者利益は生産者のマイナスを上回る。多くの経済学者の一致した見解だ。ただ、その利益は薄く広い。一方、被害は局所的だが具体的だ。反対論が広がった理由だろう。
その典型がコメ。食糧安全保障とからんで懸念が集中した。だが、TPPに参加しなければ日本の米作は再生できるのか。先の多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)の代償措置として、約6兆円もの巨額の補助金が支出されたが、衰退は止まっていない。減反で埼玉県に匹敵する広さの耕作放棄地が生まれた。食糧安保に反する事態だ。
TPPで米価が下落しても、戸別所得補償をばらまきから農地集約の方向に転換すれば、日本のコメ農家は保護できる。競争力が強化され本格的なコメ輸出も展望できる。
また、米国は豪州産の砂糖を輸入自由化の例外としており、TPPでも譲る気配がない。日本も国益と判断すれば、あらゆるものを自由化の例外に留保する権利がある。交渉する前からカゲにおびえず、主張すべきは主張すればよいのだ。
TPPへの反対論がここまで勢いをえたのは、米国への不信と恐怖心があったからだろう。確かに米国はこれまでさまざまの機会をとらえ、米国産品の市場参入を求め各国政府に注文をつけてきた。
例えば健康保険の制約で米国の医薬品が売れないとか、たばこの箱のデザインが害毒を強調しすぎているのが貿易障壁だとか、安全と認定された遺伝子組み換え食品ならば、遺伝子組み換え食品であるとの表示は不要、などと要求した例がある。
米国がTPPでこうした要求をしてこないとは言い切れない。だが、不都合ならば拒否すればよいだけの話だ。対米警戒感はTPP参加国に共通している。ニュージーランドや豪州では、米国の医薬品業界の圧力に屈して健康保険制度を改悪することはありえない、と国民に向け政府が声明している。TPPは2国間協議でなく多国間協議だから共闘が可能である。米国も勝手なことができない。大きなメリットだ。
投資分野では、進出企業が投資先政府の措置で損害を受けた場合、仲裁機関に訴えることができる投資家対国家紛争処理条項(ISDS)が各国で問題になっている。
日本はこれまで経済連携協定(EPA)でこの条項を入れるように努めてきた。日本企業の海外進出は拡大する一方であり、途上国に対しては投資保護に不可欠という位置づけだ。ところが、TPPにからんでは「治外法権」などと論難する声が強かった。的外れではないか。
◇自信失った日本人
貿易立国を国是とするはずの日本で、TPPへの反対がこれだけ支持を集めたのはなぜだったのだろう。いわゆる「失われた20年」を経験する中で、日本人は自信を失い、競争をおそれるようになったようだ。その意味は重い。しかし、停滞を脱するには打って出るしかない。
かつて欧州から焼酎が目の敵にされた。酒税がウイスキーは半減、焼酎は3倍になって存立の危機をむかえたが、焼酎業界は品質の向上、ブランド化で需要を喚起し、滅びるどころか売り上げを急増させた。競争から逃げていたら焼酎業界の発展はなかった。
アジア太平洋地域は世界の成長センターであり、日本の未来はこの地域にかかっている。地域全体をカバーするアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を早くつくりたい。この大枠の戦略で、日本は米国と利害をともにする。TPPを拡大してFTAAPに育て上げるねらいだ。とりわけ中国の取りこみが、TPPの大きな目標である。
一方で中国は中国主導の経済秩序作りを構想している。アジア太平洋地域の経済統合がTPPで行われるか、中国主導で進むかの競争が始まっている。日本のTPPへの参加は日米同盟から自然なだけでなく、市場の透明性、公平性を重視する国として当然の選択であろう。
日本はTPPだけでなく中国が呼びかけている日中韓の自由貿易協定構想にも積極的に参加すればよい。日本がTPPへの参加を示唆しただけで中国や欧州が自由貿易協定(FTA)を打診してきた。TPPは日本の交渉力を非常に高めている。
TPPは日本再生の魔法のツエではないが、日本を陥れようとするワナでもない。農業再生を力強く進めつつ、TPPに積極参加し、日本の国益を実現するため、その交渉をリードしていこう。
毎日新聞 2011年11月12日 2時30分
(転載ここまで)
●YOMIURI ONLINE(読売新聞)
TPP参加へ 日本に有益な「開国」の決断
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111111-OYT1T01336.htm
2011年11月12日付・読売社説
新たな多国間の経済連携に加わることで「開国」に踏み出す野田首相の政治決断を支持したい。
首相は記者会見で、米国など9か国が進めている環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に向けて、関係国との協議に入ると表明した。
日本は自由貿易を推進し、経済成長を実現していく必要がある。人口減少などで内需が縮小する日本経済を活性化させるには、成長センターであるアジアの活力を取り込むことが欠かせない。
首相が「貿易立国として、アジア太平洋地域の成長力を取り入れていかねばならない」と述べたのは当然だろう。
民主党内だけでなく、野党の一部にも根強い慎重論を退け、大局的に判断した意義は大きい。
首相は、「世界に誇る日本の医療制度、伝統文化、美しい農村を断固として守り抜く。国益を最大限に実現する」と述べた。
米国などは、ハワイで12日に始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、TPPの大枠合意を目指しているが、詰めの交渉は来夏ごろまで続くとみられる。
TPPは、物品の関税撤廃だけでなく、サービス、知的財産など幅広い分野に及ぶ。貿易や投資ルールで日本に有利になるよう、主張することが求められる。
昨秋の横浜APECは、域内の貿易や投資を自由化する「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)構想を2020年ごろまでに実現する方針でほぼ一致した。
TPPはFTAAP実現に向けた重要なステップになる。日本は韓国などに比べ、経済連携戦略で出遅れた。TPPを足がかりに、巻き返しを図らねばならない。
TPP参加は、日米同盟関係も深化させる。経済・軍事大国として存在感を強める中国への牽制(けんせい)という点でも重要だ。
だが、ハードルは少なくない。日本の交渉参加には、米国など9か国の了承が要る。米国では議会承認を得るルールがあり、日本の参加時期が来春以降にずれ込みかねない。政府は米国に速やかな対応を働きかけるべきだ。
TPP交渉では、日本が何を守り、何で譲歩するのか、焦点の農業分野などの市場開放を巡って、難しい対応を迫られる。
中長期的には、農業の国際競争力を強化し、農地の大規模化や、生産性向上を計画的に図っていかねばならない。首相の重い決断を農業改革に生かすことが、日本の進むべき道だろう。
(2011年11月12日01時44分 読売新聞)
(転載ここまで)
●日本経済新聞
「攻め」のTPP交渉で日本の舞台広げよ
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E4E6E6E4E3E2E2E3E0E3E3E0E2E3E38297EAE2E2E2
2011/11/12付
野田佳彦首相が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加に踏み出した。日本の経済成長には貿易や投資を通じて海外の活力を取り込む戦略が欠かせない。決断は遅れたが、これから心機一転、新たな通商ルールづくりや国内の農業改革に果敢に挑むべきだ。
首相は記者会見で「貿易立国として繁栄してきたわが国は、アジア・太平洋の成長力を取り入れていかねばならない」と語った。同時に「世界に誇る医療制度や日本の伝統文化、美しい農村は断固として守り抜く。十分な国民的な議論を経た上で国益の視点に立って結論を得ていく」と強調した。
民主党内の慎重意見にも配慮した格好だが、個別業界などの利害を超えて大局的な判断を下した意味は大きい。反対論には誤解に基づくものも多く、政府は今後も丁寧に説明していく必要がある。
これまでの論争は、米国が推進するTPPに日本がどう対応するかという「守り」の視点が目立った。農業や医療の改革に抵抗するTPP反対論の声の大きさに押され、国内への影響は限定的との説明を政府は繰り返してきた。
TPPの実像は建設中の「家」のようなものである。基礎工事が終わり、ようやく骨組みを築き始めた段階と考えるべきだ。青写真は日本抜きで描かれたが、入居するなら、日本の国益を反映した家を建てなければならない。
日本が加われば、日本の経済規模はTPP圏の4分の1を占め、米国に次いで2番目に大きい「住人」である。交渉中の協定の細目だけでなく、必要と判断すれば設計変更を求めてもよいはずだ。
シンガポール、マレーシアなどアジアの交渉国は日本の参加を歓迎している。いまは米国の市場開放要求にアジア側が応える偏った力関係になりがちだからだ。米国とも渡り合いながら、アジア・太平洋の通商ルールづくりを主導していくのが日本の責務である。
米政府は、12日に始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、TPP協定の輪郭を固めようとしている。だが、今後の交渉期限は定まっていない。
米国では来年秋の大統領選を控え、保護主義的な勢力のオバマ政権への圧力も強まるだろう。世界貿易機関(WTO)交渉は米国の熱意が冷めて迷走状態に陥った。TPPをその二の舞いにしてはならない。今こそ自由貿易を推し進める日本の実行力を示すときだ。
(転載ここまで)
●asahi.com(朝日新聞社):社説
TPP交渉へ―何もかも、これからだ
http://www.asahi.com/paper/editorial20111112.html#Edit1
2011年11月12日(土)付
野田首相がきのう、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉への参加に向けて、関係国との協議に入る考えを表明した。
首相の方針そのものは、良かったと評価する。
だが、民主党内の強い慎重論を受けて方針決定が遅れ、きのうの衆参両院の審議で議論を深められなかったのは国会軽視そのものだった。
首相はもっと早く自身の考えを示し、みずから説得にあたるべきだった。ほとんど国民の理解が広がらないままの見切り発車は残念だ。
首相はきのうの記者会見で、「アジア太平洋地域の成長力を取り入れなければならない。十分な国民的議論を経たうえで、国益の視点に立ってTPPについて結論を得たい」と述べた。
ヒトもモノもカネも国境を越えて行き交う時代に、輪に加わらずにいるのは難しい。これからも国を開いていくのは当然のことだ。
一方で、すでに問題点や疑問が山ほど指摘されている。農業と地方の衰退に拍車がかかる。公的保険や金融などの制度見直しを強いられる、などだ。
さまざまな懸念は、杞憂(きゆう)とも言い切れない。疑問に誠実に答えつつ、日本の経済成長につなげられるか。成否を分けるのは、今後の政府の対応である。
まず、他の参加国に強い姿勢を貫くことだ。交渉に加わるには9カ国すべての同意が要る。交渉に入りたいなら、この分野で譲歩せよと米国などに求められても、安易に請け負ってはならない。不透明な「密約」が明らかになれば、国内の逆風がさらに強まるのは必至だ。
同時に、国内の合意づくりにもっと汗をかかねばならない。民主党国会議員の半数が、現時点での交渉参加表明に反対する署名に名を連ねた。野党も、みんなの党を除けば軒並み反対だ。このままでは交渉に妥結できても、国会での承認に行き詰まりかねない。
首相は、国民の不安を解きほぐす努力をするしかない。交渉で何を勝ち取るのか。「医療制度や伝統文化、美しい農村は守り抜く」というが、どう守るのか。明確にするためにも、国民との対話の場として、東日本大震災で中断したシンポジウム「開国フォーラム」を再開してはどうか。
農業対策をはじめ、しわ寄せを受ける分野へのテコ入れも急がねばならない。
首相は、対外交渉と国内の合意づくりという難しい二正面作戦を、どう指揮するのか。何もかも、これからだ。
(転載ここまで)
●東京新聞(TOKYO Web)
TPP交渉参加 優柔不断では道開けぬ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011111202000053.html
2011年11月12日
野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を「一日遅れ」で表明した。参加慎重論への配慮からだろうが、強い決意を示せぬようでは、今後の厳しい交渉や国内対策は乗り切れまい。
首相は十一日夜、記者会見で「アジア太平洋地域の成長力を取り入れていかねばならない」と、TPP交渉参加を正式表明した。
首相会見は本来、十日に行われる予定だった。翌日、衆参両院の予算委員会で行われるTPPに関する集中審議で、交渉参加の意義を説明する段取りだったが、直前になって会見を一日延期した。
一日遅れにどんな意味があるのだろう。「熟慮」すれば参加慎重派が納得するとでも思ったのか。それとも本当に、参加をめぐって最後まで揺れ動いていたのか。
首相は十一日、「迷いというよりも判断の最終段階」と胸の内を明かした。ならば十日に正式表明して、集中審議で議論を深めた方が実り多かったのではないのか。
交渉参加が前提とはいえ、首相が方針を明言しない段階で議論してもかみ合うはずがない。正式表明を一日遅らせることで、議論を避けたと思われても仕方がない。
首相は十二日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で「TPP交渉参加に向けて関係国と協議に入る」と語った。
自国に有利な貿易ルール作りがどこまでできるのか、農業をはじめ影響が避けられない国内産業対策に万全を期せるのか。日本にとって厳しい展開が予想されるのはむしろこれからだ。
それをやり抜き、国民全体の利益を守るには、首相の指導力や政治力が欠かせないが、首相の対応をみると何とも心もとない。
TPP交渉をめぐり、首相が自らの方針を明言せず、民主党内の議論を見守ってきたのは、独断専行が目についた前二代の民主党首相を反面教師とし、手続きを慎重に踏んだつもりなのだろう。
しかし、そのことは首相の決断力に対する疑問を生じさせると同時に、TPP参加のメリットとデメリットを国民に説明する努力を怠ることにもつながった。これでは国民の間にTPPに対する不安が広がっても仕方がない。
詳しいことは国民や国会に説明せず、いつの間にか国際公約をして既定方針化する。消費増税にしてもTPP交渉参加にしても、そうした政治手法のうさんくささに国民が気付き始めていることを、首相は肝に銘じるべきである。
(転載ここまで)
●Web東奥・社説
国益損なってはならない/TPP交渉参加
http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2011/sha20111112.html
2011年11月12日
野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針を決めた。12日からハワイで始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で米国など交渉中の9カ国に伝える。
民主党内で強まる反対派の動きに配慮し1日先送りしたが、既定方針通り政治決断。記者会見で首相は「貿易立国として活力ある社会を発展させるには、アジア太平洋地域の成長を取り入れなければならない」と述べ、関税撤廃で影響が大きい農業、農村について「断固守り抜く」と強調した。
関税だけでなく食の安全、医療、金融など広い分野で国民生活に与える影響を懸念する声は多い。国の将来を大きく左右する問題にもかかわらず情報不足により議論は不十分で、拙速と言わざるを得ない。
首相は、TPPによりどんな国を目指すのか語るべきだ。輸出産業は伸びても農業や農村社会、国民生活をどう守るのか。丁寧に説明し国民の納得を得る必要がある。メリット、デメリットを見極め、国益を損なってはならない。
TPPは、全品目の関税を原則撤廃し、サービスや投資の自由化も目指す包括的な協定で、2カ国間を基本とする自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)より高水準の自由貿易圏を形成する。
民主党内で本格議論を始めてから1カ月足らず。情報は少なく、あっても不明確だった。影響が懸念される項目について政府は「9カ国の交渉では議論になっていない」などと繰り返していた。それが今月に入って相次いで交渉対象となる可能性が明らかになった。
保険診療と自由診療を併用する混合診療の全面解禁や医薬品分野の規制改革、郵政や共済の保険制度の民間並みの競争、漁業補助金の原則禁止…。国民生活に影響が大きいこれら各分野のルール化を米国が要求する可能性が出てきた。
政府が情報を小出ししてきた感は否めない。何をどう守り、どこを攻めるのか、交渉戦略も見えてこない。これでは議論が深まらない。国民の合意を得ながら進めようとする姿勢が見えない。
内需拡大が見通せず貿易自由化は製造業の国際競争力強化には不可欠だろう。国内で規制緩和が求められる制度もある。だが、TPPが最善なのか、FTAやEPAでは駄目なのか。アジア市場取り込みを狙う米国流の市場原理の押しつけをのまされるのではないかという懸念が拭えない。
早期にルールづくりから参加すべきという声があるが、9カ国は来年夏から秋ごろの最終合意へ向け交渉は進んでいる。日本が実際に交渉に加われるのは早くても来年春以降とみられ、どこまでルールづくりに関与できるのかも不明だ。
会見で野田首相は「国益のために全力を尽くす」と語った。協定は最終的に国会の承認という関門があるが、国益に合わなければ交渉途中でも撤退するくらいの覚悟が欲しい。交渉入りまで時間はある。国民的議論を広げ、深めるべきだ。
(転載ここまで)
●岩手日報
論説
TPP参加表明 懸念の声は置き去りか
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2011/m11/r1112.htm
2011.11.12
結論の先送りは何のためだったのか。環太平洋連携協定(TPP)交渉の参加をめぐる推進派と反対派の溝がわずか1日で埋まるはずもない。野田佳彦首相は交渉参加を表明し、国内の火種を抱えたまま12日から米・ハワイで始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に向かうことになった。
首相は、特に反対意見の強かった農業団体などに配慮して農業の競争力や体質強化を図るため、必要な予算措置をとることを強調した。
農地の大規模化や後継者育成支援など、農林水産省が2012年度予算で要求している内容を指すものとみられる。しかし、もともと高齢化や担い手不足対策は、長年の懸案事項でTPPとは切り離すべき問題だ。
農業関係者が一番心配しているのは、TPP交渉参加によって、安い輸入品が大量に国内に入り、農業が壊滅的な打撃を受けるのではということだ。
首相は、そこの部分こそ丁寧に説明すべきだった。いまだに不信感を生んでいる大きな要因といえる。自ら地方の農家も視察したが、東日本大震災や原発の風評被害で苦しむ農家の不安の声は結局は届かなかった。
大震災後、政府は一度、TPPをめぐる議論を棚上げした。それが急に動き出したのは、米国の「圧力」が一因だ。沖縄・普天間飛行場移設問題などもあり、米国に神経を使わざるを得なかったというのが本音だろう。
来年に大統領選を控えるオバマ大統領はTPPを輸出倍増、雇用拡大のツールと位置づけている。同時にアジアが米国抜きで、まとまるのを防ぎ、中国をけん制する外交戦略でもある。
日本はTPP参加を予定しているベトナム、マレーシアなど6カ国と既に自由貿易協定(FTA)を締結・署名済みで新たな市場は限られている。TPPの枠組みでは日米が占める経済規模が圧倒的に大きく、事実上の日米FTAといわれるゆえんだ。
現在、コメの関税は778%、小麦は252%など。しかし、TPPに参加すればコメを含む農産物など約940品目で関税をなくすよう求められる。
その結果、農水省は農業と食品加工業など関連する産業だけで340万人分の働く場が失われると試算している。
交渉参加のメリットは一体何なのか。医療、金融分野などもはっきりしない。「国のかたち」に関わる肝心な点は依然、あいまいなままだ。
農業は基幹産業だ。TPP交渉参加によって農業が崩壊し「壊国」を招くようなことがあってはならない。
(2011.11.12)
(転載ここまで)
●さきがけonTheWeb (秋田魁新報)
社説:TPP参加表明 熟議なき決定は遺憾だ
http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20111112az
2011/11/12 付
野田佳彦首相は、環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加する方針を決めた。国民的な議論はもとより情報開示も国会での論議も十分ではなく、与党内ですら賛否が激しく渦巻く中での方針決定である。極めて遺憾だと言わざるを得ない。
野田首相は10日に会見して表明する予定だったが、「1日ゆっくり考えたい」として先送りした。「慎重な判断」を求めた民主党の提言を考慮したというが、国会の集中審議の前に方針を表明すれば、野党に厳しく追及されることを首相周辺が憂慮したためとの指摘もある。
TPPは農業だけでなく国民生活全般に影響を及ぼす21分野が交渉対象なのに、野田首相は国会審議でもついに態度を明らかにすることなく、昨夜の会見で参加表明して逃げ切りを図った。リーダーとしての資質と説明責任が厳しく問われよう。
会見や国会の集中審議で、野田首相は「TPP交渉に参加することによってアジア太平洋地域の成長力を取り込める」「高いレベルの経済連携と農業再生の両立を図りたい」などと強調した。だが、そうした高邁(こうまい)な言葉とは裏腹に、多くの疑問点は解消されていない。
日本の最大の貿易国である中国と韓国が参加していないTPPで、果たしてアジアの成長を取り込むことができるのか。
米国が主導するTPPへの参加は、中国抜きの自由貿易圏づくりに加担することを意味する。それによって中国が態度を硬化させ、日中間に新たな摩擦が生じる懸念は拭えない。
また、TPP参加によって関税撤廃に直面した場合、どうやって農業再生を実現させるのか道筋もよく見えない。
政府の農業再生方針では、平地での農家1戸当たり経営面積を現在の10倍以上の20〜30ヘクタールに拡大するのが柱だが、米国の1戸当たり経営面積は200ヘクタール、オーストラリアは3千ヘクタール。規模拡大による低コスト化といってもおのずと限界がある。
そもそも農業は産業政策としてだけでなく、食料安全保障や地方のコミュニティー維持など多面的な機能も勘案して対策を講じるべきものだ。食料危機が懸念される中で食料自給率向上の具体的戦略もなく、地域社会への影響も十分検討されないままのTPP参加では、国民の不安が募るのも当然だろう。
日本の経済成長のために貿易自由化の推進は重要である。ただし、国内総生産(GDP)で見れば米国と日本の合計でTPP参加国全体の9割を超えることになり、TPPを事実上、日米自由貿易協定と捉える見方もある。規制緩和など米国の圧力が強まるのは必至といえる。
医療や金融、労働など多くの分野で「日本の形」が変わる恐れがあるのに、野田首相はTPP参加に踏み込んだ。なぜTPPなのか。国益として何を守るのか。国民が納得できる戦略を示せなければ先は見えている。
(2011/11/12 付)
(転載ここまで)
●河北新報 東北のニュース
東北の知事、TPP疑問視 「農山漁村守れるのか」
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/11/20111112t71027.htm
2011年11月12日土曜日
野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針を表明したことを受け、東北各県の知事は11日、東日本大震災の被災地を中心に地域経済への影響を強く危ぶんだ。「議論は尽くされたのか」「農山漁村は守れるのか」。各知事の発言には政府方針への不安と不満がにじんだ。
交渉参加に反対してきた三村申吾青森県知事は「非常に残念だ」と不快感を示した。今後の交渉について「国内農林水産業の振興、農山漁村の活性化など、守るべきものは守るという確固たる姿勢で臨んでほしい」と注文を付けた。
村井嘉浩宮城県知事は「政府において十分な説明責任が果たされたとは言えない」と指摘。「拙速に結論を出さず、特に影響が大きいとみられる1次産業従事者の不安を払拭(ふっしょく)できるような対策を明確に打ち出してほしい」とコメントした。
「極めて遺憾だ」。佐竹敬久秋田県知事はいら立ちを募らせながら「農業をはじめ具体的な対策が示されないまま、なし崩し的に表明した。秋田の農業は壊滅的な打撃を受ける。地域経済にも大きな影響が生じるのでは」と危惧した。
吉村美栄子山形県知事は「首相が自分の判断で交渉参加を表明した以上、国民の意見を二分したという事実を真摯(しんし)に受け止め国としての戦略をもって協議に臨んでほしい」と話した。
佐藤雄平福島県知事は「総力を挙げて東日本大震災からの復興に取り組むべき時期の参加表明は誠に残念だ。震災のダメージを受けた被災地域の復興を最優先に取り組むよう強く訴えていきたい」との談話を発表した。
2011年11月12日土曜日
(転載ここまで)
●河北新報 コルネット
社説
TPP交渉参加表明/首相の決断は納得できない
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2011/11/20111112s01.htm
2011年11月12日土曜日
野田佳彦首相はきのう、環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する方針を表明した。
参加の是非を議論してきた民主党が慎重な判断を求めた「想定外」の提言に、即決すれば党内に亀裂が生じかねない事態を憂慮。1日先送りしたものの結局は「初志」を貫いた。
党提言の背景には世論の動向がある。政府による情報開示の不十分さ、説明不足から国民的な議論が尽くされたとはとても言えない。農業をはじめ、国民生活の分野でも生じた懸念はむしろ強まっている。
未来を切り開く大局的見地からの政治決断だとしても、その未来像の輪郭さえつかめず、多くの国民が参加に懐疑的な見方をする中での見切り発車だ。その行き先も定かではない。到底、納得できるものではない。
この決断が混乱を生むとすれば、責任はひとえに首相にあると言わざるを得ない。
TPP交渉には米国、オーストラリアを含む9カ国が参加。12日からハワイで始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ「大枠合意」を目指している。首相は、その場でオバマ米大統領らに交渉参加の方針を伝えるという。
「アジア太平洋地域の成長を取り込むメリットがある」。首相はそう強調してきた。「日米関係が強化でき、それによって対中関係でも日本の立場が強まる」と戦略を語る参加論者もいた。自由貿易の推進が成長を支える柱である点に異論はない。
だがTPPが目指すのは貿易自由化と共に、参加国内の金融やサービスを含む各種規制の自由化。いわば「構造改革」協定でもある。国民の格差がさらに拡大する恐れを否定できない。
むろん物品貿易の関税撤廃となれば、コメを含め高関税で保護されてきた1次産品の障壁が崩れ、農漁業が壊滅的打撃を受けかねない。震災被災地の東北では農漁業者らの復興意欲をそぐ、そんな恐れが強い。
地方の不安に加え、公的医療保険制度が崩れる、「食の安全」が脅かされるといった暮らしに関わる懸念も広がっている。
それらの対策・対応について政府の明確な説明はない。きのうの首相会見でも疑念は晴れない。残念というほかない。
結論を急いだのは早期に協定のルールづくりに参画するためだ。交渉の場に着くには9カ国の同意が要る。だが米国は議会承認を得るまで半年かかる可能性がある。最終合意の目標は1年後。それで日本の主張がどこまで反映できるのかも疑問だ。
TPP参加は普天間問題で不安定化した日米同盟を立て直す手だてだとの指摘がある。首相がそう考えているのであれば、お門違いも甚だしい。
他国の利のために国民生活を犠牲にすることなど決してあってはならない。会見で首相は農業を「断固守り抜く」「国益のために全力を尽くす」と語った。その交渉姿勢を貫くべきだ。
政府には交渉に関わる情報を包み隠さずオープンにしてもらいたい。それも踏まえ、われわれはとことん議論しTPP参加の是非を見極めていきたい。
2011年11月12日土曜日
(転載ここまで)
●みんゆうNet -社説・福島民友新聞社-
TPP交渉参加/首相は重い責任を背負った
http://www.minyu-net.com/shasetsu/syasetu/111112s.html
2011年11月12日付
野田佳彦首相は、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針を決めた。国内世論が分かれている。幅広い議論が尽くされたとはいえないなかでの決断だ。
参加方針を決めたことで賛否の問題が決着するわけではない。今後は交渉のテーブルに着くことでルール作りというハードルが待ち受ける。日本にとって有利な条件ばかりが認められるとは限らない。
交渉参加は、国の形を変える可能性もある。食の安全や医療など国民の暮らしにさまざまな影響を及ぼすとの指摘もある。交渉のなかで国益をどのように追求していくのか。日本の交渉力、外交力が問われることになる。野田首相は、自ら極めて重い責任を背負ったといえよう。
野田首相は、当初、10日とみられていた交渉参加表明を11日に延期した。早期の参加表明に対する反発が党内に高まっていることを配慮したとみられている。野党などからも反対する意見が強まっており、国会運営への悪影響を避ける狙いもあったのだろう。だが、重大な決断を先送りにしたことで、リーダーとしての資質も問われる結果となってしまったのではないか。
交渉では物品の原則10年以内の関税撤廃などが検討されることになる。交渉の範囲は21分野にも及ぶ。関税がゼロになれば、日本の基幹産業である自動車や電機などの輸出が促進される、との期待感が経済界などにはある。
一方で、日本のコメなど重要産物は高い関税のために安い輸入農産物との価格競争から保護されている。関税が撤廃されれば、海外から大量に農産物が輸入されて国内農業が大打撃を受けかねない、との懸念が農業団体を中心に高まっている。
特に本県では、東日本大震災と、東京電力福島第1原発事故からの復旧、復興が思うように進んでいない。原発事故による放射性物質は、農林漁業など幅広い分野に風評被害を含めて甚大な影響を及ぼしている。TPPは農業再生の足かせになるとの危機感を強めている。
医療分野でも、規制緩和が進むことで医療格差が広がる恐れがある、などとして不安が広がっている。
野田首相は「国益は最大限守る」と述べている。交渉にあたって日本の競争力を高めるような戦略が求められる。TPPが日本にもたらすメリット、デメリットに関する政府の統一的な試算も明確にされず、国民が納得できるような説明がなされてきたとは言い難い。さまざまな疑念に答えられるよう正確な情報を提供する責任もある。
「福島の再生なくして日本の信頼回復はない」とこれまでに何度も繰り返してきたのも野田首相だ。TPPが本県の復興や農業の再生の妨げになってはならない。
(転載ここまで)
●茨城新聞ニュース
TPP交渉参加 生活に影響必至、農家「不安だらけ」
http://ibarakinews.jp/news/news.php?f_jun=13210223746216
2011年11月12日(土)
「今後の行方が分からず不安」「産業再生に期待」。野田佳彦首相が11日、環太平洋連携協定(TPP)交渉へ参加する方針を表明した。参加の是非をめぐり、国論は沸騰し真っ二つ。関税撤廃が原則とされるTPP交渉は、農業のみならず、生活に関わる多くの分野に影響が見込まれるだけに、県内関係者の間にも賛否の意見が交錯した。
「国は、今後の農業について農家が理解できる形で方針を示すべき。それを示さないで戦略的、多角的と言われても分からない」
城里町のコメ農家、仲田一司さん(77)は蔵の中に積まれた新米を前にため息をついた。地域では今も、後継者問題や近年の米価下落などの課題が山積。その上、TPP参加で778%のコメの関税が撤廃されれば、安価な外国産米との価格競争を迫られる。明確な農業対策が打ち出されないままの交渉参加表明に、不安は尽きない。
桜川市、コメ農家、谷島秀夫さん(58)は「TPPの実態が分からず不安だらけ。日本とアメリカなどでは、農業の規模が違い過ぎる。いくら日本の農家が大規模化を進めても価格競争では歯が立たない」と訴える。
JA茨城旭村(鉾田市)の飯島行雄組合長(62)は「メロンなど施設園芸や養豚への影響も大きい」とコメ以外の作物への影響も懸念。さらに「残留農薬をなくすなど、日本の農家が取り組んできた農産物の安全安心の基準が緩和されてしまう」と危惧する。
一方、TPPをチャンスと捉える生産者もいる。つくばみらい市でトマトを生産する「グリーンアート」の阿部昌由社長(31)は「価格競争にのまれないようにやっていくだけ。海外に視野を広げれば、商機も広がる」と意欲的。今後を見据え、高付加価値の加工品開発にも力を入れている。
行方市、農業生産法人「くらぶコア」代表の五十野節雄さん(59)は「農産物輸入の自由化は、日本の農業が海外に出て行く機会でもある。基本的に賛成だが、政府は情報公開しないまま、交渉参加を表明したことはいかがなものか」と政府の姿勢に疑問を投げかけた。
(転載ここまで)
●新潟日報社 netpark
TPP交渉参加表明 論議を深める出発点だ
http://www.niigata-nippo.co.jp/editorial/20111112.html
2011年11月12日
野田佳彦首相は11日、環太平洋連携協定(TPP)へ交渉参加する方針を正式に表明した。12日からハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、オバマ米大統領らTPP関係国首脳に伝える。
交渉参加表明は10日に行われるはずだった。ところが、首相は党内外の反対・慎重論に配慮、「1日じっくり考えたい」と先延ばししたのだ。
結果は変わらなかった。一体何を考えたというのか。野田式安全運転による「ガス抜き」である。
「議論が熟した段階では結論を出すことが必要だ」。従来、首相は政治決断の大切さを強調してきた。
◆大義が判然としない
だが、果たして議論は熟したのか。否である。議論しようにも情報が足りない。各種世論調査で国民の多くが、政府の「説明不足」を指摘している。「議論が熟した段階」には程遠く、拙速のそしりは免れまい。
「政権の最優先課題は震災の復興」と首相は繰り返してきた。国民一丸となって復興に取り組まねばならない今、なぜ国論を割り、政局を招くTPPなのか。その大義が判然としない。
むしろ米国へのおもねり、日程・結論ありきが透けて見える。
「12日からのAPECが交渉参加表明の最後のチャンス」-TPP推進派はそう言い募ってきた。
「ずるずる交渉参加を引き延ばすと、ルールが決められてしまう。早く交渉に入って日本に有利なルールづくりをしなければ」。これがTPP推進派が早期交渉入りを促す論拠である。
本当にバスに乗りさえすれば、運行に関与できるのか。今のところハンドルを握っているのは米国である。
バスに乗るためには、郵政、保険などの分野で規制緩和のチケットを買えと要求される可能性もある。
◆大切なのは「国民益」
バスに乗れたとしてもさまざまな圧力がかかってくる。
「(TPPは)メリットとともに多くの懸念があるのは承知している。(交渉で)守り抜くべきは守り、勝ち取るものは勝ち取る」。首相は交渉参加方針を表明するに当たって、「国益確保」に総力を挙げる姿勢を示した。
これまでTPP問題に関しては、関税の原則撤廃に絡んで「農業保護か産業空洞化回避か」の2項対立で語られることが多かった。
TPP反対論者も推進論者も互いに聞く耳持たずの一方通行で、論議がかみ合わなかった。
しかし、交渉の対象分野は関税にとどまらない。金融、電気通信、労働、知的財産問題など計21分野に及ぶ。
交渉に際しては、その一つ一つを精査し、国民にとっての利害得失を明確にしなければならない。
加えて、こうした情報を国民に十分開示して、国民論議を喚起すべきだ。
食料の安全保障や医療の混合診療解禁の是非といった問題は、私たち一人一人の生活に密接にかかわる。
首相の交渉参加表明は、まさに国民論議のための出発点でなければならない。これからが真の論議である。
「平成の開国」などといった芝居がかった言葉に踊らされる必要はない。
TPPは一発逆転のホームランではないと心得るべきだ。だが、日本が「農」を基本として文化、伝統を築いてきた一方で、海外との貿易で暮らしを立ててきたことも忘れてはならない。
ただし、経済の物差しだけで計れないものは多い。この物差しだけを優先した結果が、福島原発事故だったことを肝に銘じたい。
冷静に「国民益」を考えよう。
◆離脱の覚悟も必要に
交渉参加表明の会見で、首相は農業振興策の拡充に取り組む姿勢をあらためて強調した。
それには、政府が先にまとめた農業の再生に向けた基本方針・行動計画案を戦略性を持って組み立て直し、真の再生に結びつくよう確実に実行に移していくことである。
TPPに参加しようがしまいが、日本農業は危機的状況にある。とりわけ激しい過疎と高齢化に見舞われている中山間地は崩壊のふちにあるといっても過言ではない。
ここでも経済の物差しだけで計ることはやめたい。生半可な規模拡大などでは米国、オーストラリアなどとまともに勝負にはならない。農業政策と農村政策は分けて考えるべきである。
TPPのルールづくりは、現在9カ国の関税撤廃をめぐる立場の相違が表面化し、調整が難航している。交渉を主導する米国は「来年中の妥結」を一つの目標としているという。
こうした中で日本が交渉にどう関与し、立場を主張していけるのか。粘り強い駆け引きが不可欠となる。
仮に交渉がまとまらず、結果が「国民益」に反した場合は、政府の選択はただ一つであろう。ちゅうちょすることなくバスを降りることだ。
国論を二分する問題に乗る政治決断を下したからには、降りる覚悟も今からしっかりと持たねばならない。
新潟日報2011年11月12日
(転載ここまで)
●信濃毎日新聞[信毎web]
TPP表明 政権運営に不安を残す
http://www.shinmai.co.jp/news/20111112/KT111111ETI090012000.html
2011年11月12日(土)
野田佳彦首相がTPP(環太平洋連携協定)交渉に参加する方針を打ち出した。
米国を中心に太平洋を取り囲む9カ国が進める自由貿易協定である。関税撤廃をはじめ、さまざまな分野で共通のルールづくりを目指す。日本の経済・社会を大きく変える可能性をはらんでいる。
重い決断のはずだが、プラスとマイナスはなにか。どんな影響が予想されるのか。首相の会見を聞いても、最後まで疑問は解消されなかった。
土壇場になっても説明責任を果たせないようでは、国民の合意を得るのは難しい。
首相は12日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議において、「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と述べた。APEC直前の文字通りの「かけ込み表明」である。
方向性は示したとはいえ、「交渉に参加する」と言わないで「協議に入る」とするなど、あいまいな表現にとどまった。「さらなる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経たうえで結論を得る」とも語っている。
協議の行方によっては引き返すことができる―。そんな解釈もできる玉虫色の表現だ。慎重・反対派に配慮したのだろうが、かえって混乱を助長しかねない。
首相は、9月の日米首脳会談でTPP問題に「早期に結論を出す」と約束して以来、APECに照準を合わせて政府・民主党内の議論を加速させてきた。
だが、国民に向けた説明はあまりに乏しかった。交渉中の21分野の状況ですら、政府が公表したのは10月中旬になってからだ。
藤村修官房長官は「交渉参加国からの間接情報だったので、情報自体が少ない」と釈明している。限られた状況であっても全力で情報を集め、丁寧に伝えることが政府の責任ではないか。
首相の11日の国会答弁も、アジア太平洋地域の成長力を取り込むといった総論以上のものは伝わってこなかった。本来なら国会の場できちんと方針を表明し、交渉参加の理由や将来像を具体的に語るのが筋だろう。国会軽視との批判が出るのは当然だ。
就任当時、低姿勢と安全運転の評価のあった首相だが、TPPと米軍普天間飛行場の移設問題では強引にアクセルを踏んだ印象が強い。国民の声よりも「日米同盟」に配慮したと批判されても仕方ないだろう。
一連の対応は、野田首相の政権運営に不安を残した。
(転載ここまで)
●福井のニュース :福井新聞
TPP交渉参加 これで議論尽くしたとは
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/31476.html
2011年11月12日午前7時11分
野田佳彦首相は、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針を決めた。民主党内を二分する議論をまとめられず、「熟慮したい」と判断を1日延ばしたのは一種のパフォーマンス。「先に結論ありき」で慎重論を押し切った。12日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でオバマ米大統領らに参加方針を伝える。果たして首相の言う「日本の未来を切り開き、国益を実現する」ことにつながるのだろうか。
TPPは米国が主導、参加9カ国の交渉をリードする。輸出拡大による雇用改善で再選を引き寄せたいオバマ大統領の思惑がある中、強引な手法で攻勢をかけることも予想される。
TPPは工業製品や農産物の関税撤廃が原則である。全国や本県の農業団体などは、高い関税で守られている日本のコメが安価な輸入米に圧倒され、「国内農業が崩壊の危機にひんする」と反発。西川知事も慎重姿勢を求め「不安のない農業環境の整備が先決」と悪影響に懸念を表明してきた。
たとえ耕作面積を20~30ヘクタールに拡大、集約化を図っても、広大な面積の米国や豪州には太刀打ちできない。食の安全、地域の農業が持つ多面的な機能価値をどう守り、発展させていくか、政府の食と農林漁業の再生策からは解が見えてこない。
一方で産業界は、2国間の経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)で韓国に後れを取ったが、TPP参加で一挙に挽回でき「日本企業の競争力が高まる」と期待を寄せる。
TPPは域内をカバーするアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現に向けた取り組みの一つ。新しいルール作りに関与すれば、FTAAPにも日本の主張を反映できるというのが外交・通商当局の狙いだ。
しかし、TPPは関税だけでなく医療や金融など21分野、24作業部会で幅広いテーマが議論されている。国民生活全般への影響を心配する声は多い。輸入食品の安全基準引き下げや混合診療解禁による国民皆保険制度の崩壊、漁業補助金の原則禁止などを懸念する声もある。
世論調査ではTPPについて賛否が拮抗(きっこう)している。首相はこれまで議論の透明化と熟議を強調してきたが、国民に説明責任を果たしたとは言い難い。「高いレベルの経済連携と農業の両立」に関しても、丁寧に具体策を語ったことはない。
日本にとってメリット、デメリットは何なのか。肝心な情報開示について、藤村修官房長官は「不十分だった」と認めている。これで野田政権から将来展望を見いだすのは困難だ。
交渉参加には先発9カ国の承認が必要だ。米国は議会了承を得るため独自の要求を日本に突きつけてくるとの指摘もある。難航は必至。承認手続きでの論議も含めて交渉経過を迅速にしっかりと説明すべきである。
既に、世界での日本の存在感は政治的、経済的にも薄れている。世界の成長センターといわれるアジアだが、米国がにらむ先に中国があるのは自明の理である。「何もしなければ日本は縮む」(玄葉光一郎外相)との危機感は国民が共有できるかもしれない。だが外交・通商戦略も交渉力も弱い日本が果たして交渉の主導権を握れるのか。何の保証もない。
(転載ここまで)
●京都新聞 社説
TPP参加 拭えぬ懸念、国民守る交渉を
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20111112.html
2011年11月12日
野田佳彦首相が、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を表明した。12日(日本時間13日)から米国・ハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で関係国に伝え、協議に入る運びだ。
政府は1年前、菅直人首相の当時にTPPについて情報収集に入り、参加を検討した。野田首相も参加に前向きな姿勢を示し、記者会見で「アジア・太平洋地域の成長力を取り入れたい」と交渉参加を決断した理由を説明した。
なぜ、今「国を開く」なのか。なぜ、アジアで大きな位置を占める中国や韓国が入っていないTPPを優先するのか。今の時点でも疑問は消えない。
疑問点を積み残したままの交渉開始は将来に禍根を残し、21世紀の私たちの暮らしを展望できるものではないと指摘したい。
影響を受けるのは、農業分野だけにとどまらない。医療や食品の安全面など国民生活に深くかかわる交渉分野は多い。
それだけに、TPP参加の賛否をめぐって世論を二分し、与党である民主党内にも反対論、慎重論が多かった。全国の知事も慎重派が多く、農業に壊滅的または大きな影響があるとする知事は31人にのぼる。しかし、国会での議論は参加表明の直前に衆参両院の予算委員会で計7時間、集中審議が行われただけだ。
足りない首相の説明
交渉参加を表明した記者会見でも、野田首相の発言は具体性に欠けた。交渉への参加理由を「貿易立国であるわが国の国益を第一に考えた」「日本の存在感を示すこと、経済を中心に考えた」と述べて、指摘される日米関係への配慮よりも、経済的な利益に重心を置いて考慮を重ねたと強調した。
農業への影響については、「自分はのどかな農村で幼いころを過ごした」と切り出したうえで「美しい農村を守り、分厚い中間層が支える社会を再構築したい」と話すにとどまった。厳しい状況に追い込まれる恐れのある農業の再生に向けた対応や中身のある政策説明がなかったのは残念だ。
一方で、国会審議のなかでTPP参加の意思を何ら示さなかったことについては「民主党内と政府の意思決定のプロセスであり、結果的にそうなった」と釈明した。衆参の予算委員会で、野党側から「国会で交渉参加を一切言明せずに、APECで交渉参加を表明するのは国会軽視だ」と批判されたことを受けた発言だ。
米国の存在感圧倒的
2006年にシンガポールやブルネイなど4カ国で始まったTPP交渉は現在、米国や豪州も加わり9カ国が参加している。投資など4カ国でのスタート時にはない項目も加えて21分野で交渉しているが、主導するのは米国だ。
参加国の中では、米国の存在感が圧倒的に大きい。日本が加わると、日米両国で参加国の国内総生産(GDP)の9割を占める。
米国以外の経済規模の小さな国々の内需は十分見込めず、関税が撤廃されても、これらの国々との貿易で日本のメリットは小さい。
米国の関税も自動車が2・5%にすぎず、日本のメーカーの多くは現地生産しており関税ゼロにする利益に乏しい。
政府試算でも、TPP参加による経済効果は「10年間で2・7兆円」と小さく、円高が進めば帳消しになってしまう。農業分野ではコメや小麦の関税がなくなり、安い農産物が流入することへの農家の不安は拭えていない。
米国や豪州の農家の平均耕作面積は、日本の100倍以上の規模だ。影響緩和には1兆円を超す追加補償が必要とされる。政府は水田耕作面積を現状の10倍に相当する1戸当たり20~30ヘクタールに増やし、大規模化を促す所得補償など競争力強化策を示したが、太刀打ちできる状況ではない。
TPP参加に慎重な超党派の国会議員らは、こうしたことを論拠に、APECでの参加表明に反対を唱えてきた。輸入食品の安全性には、京都の生協やNPO法人なども懸念の声を挙げている。
中国、韓国と連携急げ
今後、始まる交渉は難しいものになることが予想される。現在、APEC開催中のハワイで担当閣僚会合を重ねており、12日に予定される交渉参加国首脳会合で包括的なルール作りについて大筋合意する見通しだ。
周回遅れの参加になったわが国は、先行国の合意を丸のみすることから交渉が始まる恐れがある。TPPが掲げる「例外なき関税撤廃」交渉は今後、合意形成が本格化する。いったん参加を表明した以上、国益をかけた交渉だけに強い姿勢を貫くべきだ。交渉からの途中離脱も選択肢に持ちながら、国民の視線に立った主張を展開してほしい。
国内の農業をどう守るのか、食の安全や国民の健康を確保するかなど、国民として譲れない線があることを明記しておきたい。
わが国にとって不利な条件の存在を国民に隠すような交渉はあり得ない。透明性の高い国民への説明は交渉参加の大前提である。
参加決定に至る政府の説明不足を補うために、国民的議論の呼び水となる地域や産業別の公開の対話集会やシンポジウムの開催も提案しておきたい。
TPP交渉と並行して、2国間の経済連携交渉を早急に進めるべきだ。とくに、アジアでの貿易の核となる中国、韓国との交渉促進は急務ではないか。円高に欧州ユーロ危機が追い打ちし、わが国の経済は不透明さが増している。アジアの友人同士として、経済連携の深化はむしろTPP交渉に先がけて実現すべきだ。
[京都新聞 2011年11月12日掲載]
(転載ここまで)
●神戸新聞|社説
TPP協議へ/「日本を守る」議論を尽くせ
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0004613513.shtml
2011/11/12 09:12
野田佳彦首相はきのう、環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加に向けて、関係国と協議に入る方針を表明した。
反対の声に配慮し、結論自体は先送りした形である。それでも事実上、参加へ大きく踏み出したことは間違いない。
貿易立国として活力ある社会を発展させるため、アジア太平洋地域の成長を取り入れ、国益のために全力を尽くす。首相はこう述べ、国民に理解を求めた。
自由貿易を強化するというTPPの目的自体は、日本の利益に合致する。
昨年10月に当時の菅直人首相が参加検討を打ち出して以来、賛否をめぐる議論は平行線をたどってきた。
国の将来を左右する問題である。TPPが国益に本当に結び付くのかどうか、議論をもっと積み重ねるべきだ。
◇
国論が二分する最大の要因は、TPPが掲げる関税撤廃という原則にある。
経済団体は、日本経済を支えるテレビや乗用車の輸出に有利だとしている。
しかし、米国の関税率を例に取れば、テレビは5%、自動車で2・5%にとどまる。為替相場が数円ほど円高ドル安に振れれば、相殺される水準だ。
政府は日本がTPPに参加した場合、国内総生産(GDP)を2・7兆円押し上げると試算しているが、これは現状のGDPの0・5%にすぎない。
この数字にとどまるのなら、TPP参加にそれほど大きなメリットがあるとはいえない。
農業再生の具体策を 特に農業は打撃を受ける可能性が高く、農業団体の猛反発を招いている。
国内農家の保護を目的に、コメは778%、乳製品は360%の高関税をかけている。何の対策も講じずに撤廃されれば、日本とけた違いの広大な農地を持つ米国や豪州には太刀打ちできない。
全国の首長や地方議会にも反対論が根強い理由は、この点にある。
首相は、TPP参加に際して日本の農業を「断固守り抜く」と明言した。
高齢化や後継者難に苦しむ農業の再生は、TPP参加の有無に関わらず、日本にとって急務だ。農産物輸出市場の開拓や、農産物の加工と販売を組み合わせた6次産業化など、さまざまな手だてを組み合わせた振興策が欠かせない。
18年前、日本がウルグアイ・ラウンドでコメの市場開放を決めた際には、6兆円を超す農業対策費を投じた。しかし大半は公共事業などに費やされ、肝心の農業再生には結び付かなかった。
食の基盤を強くするため、今度こそ実効性ある対策を練る必要がある。
TPP交渉は関税撤廃に加え、安全基準や越境サービスの活性化、公共事業の開放など、21の分野で規制緩和や自由化を議論している。
これらに反対する動きは、医師会や消費者団体にまで広がる。医療や保険分野の規制緩和などが海外企業の進出を利する形になれば、命や健康を守る仕組みが崩されかねないとの懸念からだ。
政府によると、こうしたテーマはTPP交渉で議論されていないというが、米国は日本に対して、これまでから医療や保険分野の規制緩和を求めてきた。輸出倍増を掲げるオバマ大統領にとって、日本市場の開拓はTPPの目的の一つであり、今後、交渉のテーブルに上がることは十分に考えられる。
首相は「守るべきものは守り、勝ち取るべきものは勝ち取る」とし「医療、伝統文化、農村は守り抜く」と述べた。その決意を忘れないことだ。
そのためにどんな戦略で臨むのか。政府は国民に明確に示さねばならない。
国民の声に向き合え 米国やシンガポールなどTPP交渉に参加している9カ国はきょう、大枠で合意に達する見通しだ。しかし関税撤廃など重要案件の協議は難航している。
国益をかけた各国の交渉は、厳しい局面を迎えつつある。
日本が正式に交渉参加を表明したとしても米議会などの承認が必要で、実際にテーブルに着けるのは来年春以降とみられる。今は積み残した国内の課題を整理し、議論を深めることが大切だ。
特に、国民生活に直結する問題については、協議の場で得られた情報を積極的に公開することが欠かせない。
その上で関係団体や現場の農家の声などを聞きながら農業再生の具体策を練る。それが政府、与党の責務である。
国内農業の再生への道筋を付けることが、日本がTPP参加を検討する大前提になる。そのことをなおざりにしてはならない。
ところが、TPP参加をめぐって、民主党内では激しく意見が対立している。離党も辞さないとの姿勢を示す慎重派に配慮するため、首相は交渉参加の表明を予定より1日延期した。
今は野党も含めて政治の総力を結集する段階といっていい。対立が政局に発展するような事態になれば、政治不信がより一層増すことになる。
首相は「十分な国民的議論を呼び掛ける」と語った。そのためにはまず政府が十分な情報を国民に発信せねばならない。その言葉を直ちに実行に移し、日本の将来を国民みんなで考えたい。
(2011/11/12 09:12)
(転載ここまで)
●山陽新聞地域ニュース
[社説]TPP交渉参加 国益を踏まえ、したたかに
http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2011111209252326/
2011/11/12
急速に進む貿易自由化の動きに乗り、日本はより開かれた国づくりに活路を見いだす選択を示したことになる。
米国やシンガポールなど9カ国が協議している環太平洋連携協定(TPP)について、野田佳彦首相が交渉への参加を表明した。
TPPは関税の原則撤廃や規制緩和が柱になっている。環太平洋諸国との貿易拡大、関係強化によって日本経済の活性化が期待できる。一方で農業を中心に大きなダメージを受ける恐れもある。
首相は「活力ある社会を発展させるには、アジア太平洋地域の成長力を取り入れなければならない」と交渉参加の意義を強調した。
各国の利害が交錯する中で、総体として日本にプラスになるような交渉力が問われる。影響が生じる分野への支援策も示す必要がある。それでも国益に反するような流れになれば、交渉からの途中離脱をためらうべきではない。
情報開示の徹底を
首相の参加表明は、12日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での参加伝達に合わせたものだ。ただ、予定より1日遅れとなった。予想外に強かった民主党内の反対派に配慮したためとみられる。
それでも“見切り発車”の感は否めないが、賛成、反対派の主張で強い違和感を覚えたのは、極端な意見が目立ったからだろう。
交渉に参加すれば、農業が壊滅的な打撃を受け国が滅びる。逆に参加しなければ、貿易が縮小し国力が衰退してしまうといった内容だ。
背景の一つには情報不足が挙げられよう。TPPの対象は21分野に及ぶ。農業、医療など多岐にわたる上、交渉の席に着いていないだけに不確実な情報も飛び交った。このため疑心暗鬼が増幅され、極論につながった面がある。
今後、国民的な議論を深めるには正確な情報が欠かせない。農業に限らず幅広い分野でさまざまな影響が考えられる。日本にとって不利な内容はもちろんのこと、情報開示を徹底しなければならない。
多国間交渉生かせ
TPPの特徴は、現在主流になっている自由貿易協定(FTA)など2国間協議と違い、多国間で交渉を行う点にある。エリアの広い自由貿易圏の形成が狙いだ。
反対の理由の一つに、TPP交渉が米国主導で進められている実態への反発がある。景気低迷下の米国が、自国に都合の良い形で条件をまとめ、輸出拡大を図ろうとしているとの指摘は多い。
確かにそういう面は否定できまい。存在感を増す中国をけん制する思惑もあるようだが、TPPで策定される貿易・投資のルールは将来、アジア太平洋地域の基準になる可能性がある。このため中国やカナダなども関心を寄せているといわれる。
日本がルールづくりに関与していく意義は小さくない。米国との2国間交渉より、アジア諸国とともに対応する方が発言力は強まるだろう。
農協や医師会などが懸念するような影響は、交渉の過程で振り払わねばならない。多国間交渉のメリットを十分に生かし、日本やアジアの利益につなげるようなしたたかさが求められる。
問われる手腕
今回の問題では、国会議員の在り方もあらためて考えさせられた。「交渉への参加」と「協定への参加」は意味が異なる。むろん交渉入りの是非は議論すべきだが、有力な賛成、反対勢力にあおられるような形で冷静さを欠いた面はなかったか。
交渉に参加すれば、何を譲り、何を勝ち取るかが焦点になる。議員は交渉過程に目を光らせ、国会で厳しくチェックしていくのがより重要な責務といえる。最終的に国際協定を受諾するかどうかを決める批准審議も国会の仕事である。熟議を期待したい。
もともと資源の少ない日本にとって貿易と農業の両立は重要なテーマだ。TPPの中で両立させていけるのかどうか。経済界や農業団体なども説得力のある提言を示すべきだろう。また、日本が築き上げてきた国民皆保険制度が交渉の結果、崩れるような事態を招いてはなるまい。
首相はAPECでオバマ米大統領との会談に臨むことになる。首相の手腕が問われるのはこれからである。
(2011/11/12 9:25)
(転載ここまで)
●中国新聞
TPP交渉参加へ 国民置き去りの判断だ
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh201111120080.html
'11/11/12
野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針を表明した。米ハワイできょう始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、米国など関係国に伝えるという。
民主党内の反発は強く、表明は予定より1日遅れた。きのうの衆参予算委員会の集中審議でも反対や慎重意見が相次いだ。
政府の答弁は抽象論が目立った。論議が尽くされておらず、判断は拙速というほかない。
野田首相はきのう夜の記者会見で「交渉参加に向け関係国と協議に入る」と回りくどい表現をした上で、参加の必要性を力説した。
一つは、アジア太平洋地域の成長力を取り込むためという。
ところが、TPP参加9カ国に日本を加えた実質国内総生産(GDP)を見ると、米国が7割、日本が2割を占める。TPPが実質的に米国と2国間の自由貿易協定(FTA)とみなされる理由だ。首相の説明は説得力に欠ける。
首相はさらに「十分な国民的議論を経た上で、国益の視点に立って結論を得たい」とも述べた。
日本が交渉に加わるには9カ国の同意が要る。米国は議会の承認が欠かせず、手続きに半年近くかかる可能性もあるという。
限られた時間の中で途中参加の不利益をはね返すのは難しかろう。しかも国論は二分されている。国益を守るというが、十分な交渉力が発揮できるだろうか。
首相は農業については、営農規模の拡大や6次産業化などに向けて「必要な予算措置を取る」と約束した。
だが農家1戸当たりの耕地面積は2ヘクタール足らず。10倍に増やしても3千ヘクタールのオーストラリア、200ヘクタールの米国には太刀打ちできまい。土地利用型農業は壊滅的な打撃を受けかねない。農家への戸別所得補償の財源をどう捻出するかも、政府はきちんと説明していない。
輸出倍増計画を掲げるオバマ米大統領は来年の改選を控え、国内受けする政策に力を注ぐ可能性が高い。関税の撤廃だけでなく、さまざまな非関税障壁についても規制緩和の要求を強めてきそうだ。
政府は「国民皆保険制度は守る」と断言してきた。しかし混合診療を解禁するよう圧力が高まる可能性は否定できない。食品の安全基準も、TPPによって揺らぐ危険性が指摘されている。
国民の暮らしや命にかかわる分野で安易な妥協は禁物だ。
米国とFTAを結んだ韓国では国会での批准を前に、投資家保護条項などをめぐって批判が強まっている。トラブル時の仲裁ルールが米国寄りとされるためだ。TPPでも同様のルールが適用される懸念がある。
「日本の医療、伝統文化、農村は断固として守り抜く」と野田首相は明言した。とはいえ具体策に乏しく、国民の不安は消えない。
共同通信が今月上旬に実施した世論調査では、賛否はともに3割台で拮抗(きっこう)している。本来なら、国民に信を問うてもいいはずだ。
(転載ここまで)
●徳島新聞社
TPP交渉参加 農業再生への道筋を示せ
http://www.topics.or.jp/editorial/news/2011/11/news_132105999769.html
2011年11月12日付
野田佳彦首相が、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を正式に表明した。早期参加を求める経済界と、断固反対を貫く農業界の対立が先鋭化し、国民も戸惑いをみせる中での政治決断である。
きょうからハワイで始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、オバマ米大統領らTPP関係9カ国の首脳に交渉参加の方針を伝える。
首相はかねてから「アジア太平洋地域は世界の成長エンジンになり得る。その活力を取り込めるよう全力を尽くす」とし、TPP交渉への参加に意欲を見せてきた。
民主党内の慎重派に配慮して表明を1日遅らせたものの、首相の決意は変わらなかったようだ。
日本は戦後、安価で良質な工業品を海外に輸出する「貿易立国」として歩んできた。それが今日の繁栄を築き上げる原動力になったと言っていい。首相の決断は、今後も「貿易立国」として生きていく道を選択するということだろう。
日本の基幹産業である製造業が国際競争力を維持していくには、幅広い国々との高いレベルでの経済連携が欠かせない。その意味で、工業品などにかかる関税を原則撤廃し、内外価格差を縮小させるTPPへの参加はプラスになる。
だが、参加国の間で人やモノの流れを自由化するTPPの対象範囲は広い。歴史的な円高や国内市場の縮小に苦しむ経済界が活力を取り戻すきっかけとなる一方、農業や医療、食品表示などの分野は、制度の抜本見直しに迫られる可能性が指摘されている。
とりわけ悪影響が心配されているのが農業分野だ。
高齢化の進行など、日本の農業を取り巻く環境は極めて厳しい。現状のまま主力農産物の関税が撤廃されれば、外国産の流入で深刻な打撃を受けるのは間違いない。貿易が自由化されても生き残ることができる農業へ、競争力の強化と体質改善は待ったなしの課題である。
TPPへの参加をめぐり経済界と農業界が対立していても、そこからは何も生まれない。政府は、経済成長と農業再生を両立させる具体的なビジョンを早急に示し、実効性のある施策を官民で強力に進めていかなければならない。それは東日本大震災からの本格復興とともに、日本の将来を懸けた取り組みである。
TPP交渉への参加が認められた場合は、例外品目の設定などで日本の主張を明確に示した上で、関係国の理解を得ることに全力を挙げる必要がある。米国主導で進んでいる交渉に参画し、日本の国益をしっかりと実現してもらいたい。
交渉の過程で、国民へのきめ細かな情報提供と丁寧な説明が欠かせないのは言うまでもないことだ。
日本の針路を決める最重要政策にもかかわらず、TPPに参加した場合のメリットやデメリットなど、政府からの情報は極めて貧弱だった。このため国民は、TPPに賛成、反対それぞれの立場から出される試算や推測に振り回され、不安を募らせている。
国民と真摯(しんし)に向き合う姿勢をおろそかにした政権運営は、今回限りにしてもらいたい。
(転載ここまで)
●高知新聞:高知のニュース
社説
【TPP交渉】世論をまとめる努力こそ
http://203.139.202.230/?&nwSrl=282000&nwIW=1&nwVt=knd
2011年11月12日08時16分
日本の戦後政治史の中でも、難しい決断の一つには違いない。
態度表明を1日先送りした野田首相は昨夜、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を正式に表明した。民主党のプロジェクトチーム(PT)は、党内論議を踏まえ政府に「慎重に判断する」よう提言しており、首相は自らの政治判断を優先させた。
外交は内政と表裏一体の関係にありTPPという外交交渉の基盤となるのは世論の動向だ。参加表明の直前になっても、多くの国民が政府の説明不足を感じる事態は看過できない。
12日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で政府方針を伝えるという野田首相は、世論の統合にもっと努力すべきだ。
戦後の国際社会は、人類に多大の惨禍をもたらした第2次大戦への反省から出発している。その一つが世界貿易の在り方で、大恐慌後の高関税による保護貿易主義が貿易量の減少を招き、ひいては不況の長期化、大戦の遠因につながったとの見方が生まれた。
新たに目指したのは多角的で自由な貿易ルールで、具体的には関税などの貿易障壁を削減、撤廃する方向が打ち出された。この任務を担ったのが1948年からの関税貿易一般協定(ガット)で、この趣旨は現在の世界貿易機関(WTO)に引き継がれている。
WTOは加盟する国・地域、取り上げるテーマが増えるにつれて交渉が難航し、新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は開始から10年たっても合意していない。それを補完する形で登場したのが2カ国以上による自由貿易協定(FTA)で、WTO体制では一定の条件下で設立が認められる。
現在、米国、オーストラリアなど9カ国が交渉するTPPもFTAの一種だが、激しい賛否の論議が起きるのは従来の貿易交渉より自由度が格段に高まるためだ。例えばドーハ・ラウンドでは日本のコメなどの重要品目には例外的に関税を認めることが議題になっているが、TPPは関税撤廃を原則にしている。
この上、TPP交渉は政府調達、金融サービス、投資など多くの分野を対象にしている。影響の広がりを考えると、今、なぜTPPかという問いに政府は正面から答える責務がある。
不足する情報
野田首相は記者会見で、TPP交渉参加の意義を「アジア太平洋地域の成長力を取り込むため」と説明するとともに、対策強化を通じて日本の農業を「断固守り抜く」など国益確保に努めることを強調した。
今月初旬に行われた共同通信の世論調査では、8割近くの人がTPPに参加した場合の影響を政府は説明していないと感じていた。民主党PTの提言も十分な情報提供を求めている。
交渉参加前という事情を差し引いても、とても正常な姿ではない。事実、混合診療、郵政、保険などの規制緩和が論議される可能性が明らかにされたのは最近のことだ。これでは国民の間に疑心が広がるのも無理はない。
焦点の農業分野でも対策強化は容易ではない。平均耕作面積の10倍計画にしても、この50年でようやく2倍という現実を忘れることはできない。この一方では39%の食料自給率を50%に引き上げる目標もあり、TPP参加との整合性はどうなるのか。
首相が国益を確保するというのなら情報提供と対策強化の中身が厳しく問われることになる。
(転載ここまで)
●西日本新聞
TPP交渉参加表明 「開国」に踏み出すからには…
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/273001
2011年11月12日 10:39
野田佳彦首相が懸案の環太平洋連携協定(TPP)問題で、交渉参加の方針を表明した。12日からハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の場で関係各国に伝える。
賛否をめぐり世論や民主党内が二分した難題である。土壇場で表明を1日延期した結論は「交渉参加に向けて関係国と協議に入る」(会見)とまどろっこしい表現だが、ともかく「決断」したことは「先送り」より望ましい。首相なりの覚悟と受け止めたい。
ただ、TPPは日本の将来を大きく左右しかねない内容をはらむ。「平成の開国」に踏み出すのであれば、国益を踏まえた粘り強い交渉と情報開示、国内対策の強化を切に求めたい。
◇ ◇
TPPは米国、オーストラリアなど環太平洋9カ国が交渉を重ねている。「関税の原則撤廃」に加え貿易、投資、競争政策など21分野に及ぶ共通ルールを設ける枠組みだ。日本がルールづくりに関与するには次期APECでの参加表明がぎりぎりの時期とされる。
賛否の意見は出尽くしている。
推進派の論拠はこうだ。
少子高齢化で生産年齢人口が減少する日本は、内需拡大が期待できない。超円高定着で製造業は海外移転が加速し、空洞化懸念が高まる。国も地方も世界経済の成長センターであるアジア・太平洋地域の勢いの取り込みが欠かせない。であれば域内の貿易や投資の自由化を加速させ、需要や雇用の落ち込みをカバーすることが重要だ-。
対する反対・慎重派は、アメリカンスタンダード(米国基準)の押しつけで、日本が守るべき固有の制度が崩壊しかねないと主張する。
特に農業分野は危機感が強い。「関税廃止」となれば、安い海外農産品の流入で競争力の弱い国内農業が壊滅的な打撃を受ける、と心配する。医療や保険、郵政、労働市場などの分野も、自由化や規制緩和で影響を免れない、との懸念が広がっている。
産業界も経済学者や自治体トップらも賛否に分かれ、溝が埋まらない。
九州も同様だ。農業産出額で全国の2割を占める一方、自動車や半導体など製造業は全国でも輸出比率が高い。TPPへの利害は相反する。
どうすべきか。TPPで私たちは「議論を深めて前向きに動きだす」よう求めてきた。どちらの主張が正しいかとの「二者一択」の判断ではない。参加に伴う痛みや影響を承知で、全体としては将来の国づくりに役立たせなければならない、と考えるからだ。
資源の乏しい日本は戦後、一貫して自由貿易の恩恵で成長してきた。
バブル経済崩壊、失われた20年の停滞を経たいま、市場縮小で「内向き」の日本は投資先としての魅力も色あせる。超円高の今年は31年ぶりの貿易赤字転落が現実味を帯びる。危機が深まっていることを直視すべきだ。
閉塞(へいそく)状況を打ち破るには改革と変化が要る。逆に、何もしない現状維持と前例踏襲では、痛みは少なくても国の未来は開けないのではないか。
米国には、東アジアの自由貿易ルールづくりで先行し、将来、これに台頭する中国を誘い込む思惑もある。
狙いは理解できる。中国はアジアの広域自由貿易協定(FTA)で動きだしつつある。日米がTPPで連携すれば、今後の対中交渉で「中国ペース」をけん制できる公算が大きい。
とはいえ、TPPに関する政府の姿勢や対応は問題なしとはしない。
反対・慎重派の不信を増幅した一因は、正確な情報を素早く開示しなかったことにある。野田首相も「安全運転」に徹し、参加への気概を語ったのは11日夜のぎりぎり最終局面だ。これでは推進派から見ても不満が残ろう。
そもそも民主党は菅直人前首相が昨秋、交渉参加の方向を示しながら、国内利害の調整や国民への説明はたなざらしだった。これは怠慢である。厳しく指摘しておきたい。本来なら、まず先に国の在るべき将来像を示し、それに向けた成長戦略にTPPをどう生かすか早々に議論すべきだった。
◇ ◇
交渉に参加するなら、こうした過去への反省が絶対に欠かせない。
つまり、TPPで予想される犠牲と利益、最後まで守るべき「国益」を国民に具体的に語らねばならない。交渉経過は不利な情報でも漏れなく開示し、率直丁寧に説明することだ。
国内農業は、たとえTPPに参加しなくても将来展望は厳しい。先に決定した「食と農林漁業再生に向けた基本方針と行動計画」を深め、予算確保の見通しを明確に示す必要がある。
外交交渉は戦いだ。TPPも難交渉が必至だろう。「途中離脱も」では見透かされる。必要な規制は維持する。品目によっては関税削減で着地点を探る-。何を守り何を攻めるか。「国益追求」の原点を貫いてほしい。
その際、くれぐれも注文したい。国内の関連業界だけではなく、消費者や一般国民の立場を重視することを。
TPPの対応で、経済産業省と農林水産省が反目し合う現状は見過ごせない。国を挙げた課題である。政府内に統括する部署を設けて臨むべきだ。
TPP論議は交渉参加で終わりではない。今後も続く。日本はどう生きていくのか。どんな国にするのか。国民全体で不断に考えていきたい。
=2011/11/12付 西日本新聞朝刊=
(転載ここまで)
●佐賀新聞の情報コミュニティサイト ひびの
TPP交渉参加 国民への説明足りない
http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2082647.article.html
2011年11月12日
野田佳彦首相がようやく、環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加することを表明した。党内外に反対論が広がるのを受けて、「じっくり考えたい」と10日の会見予定が11日夜になった。首相は衆院予算委員会でのTPP集中審議でも抽象的答弁に終始した。党内の不満は収まっていないし、野党は国会無視と非難している。野田政権は正念場に立たされている。
国民にとっても、日本に何がメリットで何がデメリットかの説明が足りていない。農産物や医療分野で不安を訴える声も多い。交渉に入れば、政府は交渉過程を丁寧に説明し、著しく不利な場合は途中撤退も辞さない覚悟で臨んでもらいたい。
首相は会見で「アジア太平洋地域は世界の成長のエンジンになる。この成長力を取り込むためにもTPP交渉参加が必要。国益確保に全力を挙げる」と述べた。12日からハワイで始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、オバマ大統領と会談し、参加を伝える。
TPP交渉への参加の是非を検討してきた民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT)は、賛成派と反対・慎重派が激しく反発し、議論が紛糾した。PT役員会は当初、首相の判断に委ねる形を取っていたが、慎重意見が多かったため「慎重に判断する」ことを求める提言となった。
党が慎重さを求める中で首相が交渉参加を表明したことは、党内融和を掲げてきた首相の政局運営にダメージとなりそうだ。連立を組んでいる国民新党も交渉参加に反対しており、自民・公明・社民の各党は交渉参加表明への反対決議案を出して否決された。今後の政局の火種となることは避けられないだろう。
反対・慎重派が最も危惧するのは、農産物への影響だ。交渉国には米国、豪州、ニュージーランドなど農業輸出大国が入っている。現在、米778%、小麦252%、バター360%などの関税で国内農業は守られている。これが撤廃され、安い農産物が入ってくると、国内農業は相当の打撃を受ける。
県内でも、反対運動が盛んに行われた。佐賀市の大規模集会には県内の農家や漁業者ら1100人が参加。街頭で市民に理解を訴えた。県農協青年部協議会の若手農業者約130人がTPP交渉参加反対を訴え、JR佐賀駅前で24時間の座り込みを行った。
逆に経済・産業界は、関税撤廃で日本企業が国際競争力を持つことができる、と交渉参加を歓迎する。特に電機、自動車などでは欧州連合(EU)、米国と関税撤廃の協定を結んだ韓国と対等に競争できることを強調する。
医師会は「米国型の弱者切り捨ての医療が日本に入ってくる可能性がある」とTPP交渉参加に反対している。外務省は最初、日本で原則禁止されている「混合診療」の解禁がTPP交渉で議論されることはない、と言っていた。しかし、最近になって、議論の対象となる可能性もある、と修正した。
このようにTPPの中身については、政府自体も情報が交錯している。国の将来を左右する大きなテーマだ。野田首相には、米国に参加の意思を示すギリギリではなく、十分時間を取って国民に丁寧に説明してほしかった。信念を示さなければ、国民は判断のしようがない。(園田 寛)
(転載ここまで)
●miyanichi e press (宮崎日日新聞)
TPP交渉参加へ ノーサイドの笛吹かせない
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/index.php?itemid=41949&catid=15&blogid=5
2011年11月12日
一夜漬けの結論では道を誤ると訴えてきた。よもや、一日一晩先延ばししただけで「一夜漬け」ではないと言い張るつもりか。
しかも、12日開幕するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で環太平洋連携協定(TPP)への参加を表明する。国内では一日の猶予も置かないどさくさ紛れ同然の日程だ。
野田佳彦首相の耳には民主党内の反対意見も、地方の不安の声も「参加ありき」の大前提でかき消されてしまった感がある。
本県経済にとって掛け値なしで「存続の危機」に直結するTPPという巨船に、十分な旅支度も心構えもないままに乗り込もうという首相決断。独断専行としか言いようがない。
■影響は県内隅々に■
本県の基盤産業が農業だからという理由だけで、TPP参加に拒否■反応を示しているわけではない。農業への打撃は県内隅々に広がり、流通や観光、サービス業などあらゆる業界に波及するはずだ。
TPPの原則は完全な関税撤廃。参加すれば安い輸入品が大量に国内に流入する。補償制度の拡充などによって農家の収入を守ったとしても、農業を基幹産業とする地域を一挙に崩壊させる危険性をはらむ。
JAグループ宮崎の試算では、県内の農業産出額で約1500億円の損失が生じるという。また、東北の被災農家にとって、とりわけ厳しい追い打ちとなる。
経団連が主張しているように、TPP参加によって新たな利益を期待できる業界、業種もあるだろう。農業者にも賛成派がいる。だが、大半は過渡期の痛みに耐えられないのではないか。
■教訓を無視した決断■
リーマンショック時のように米国の不況によって日本経済が凍り付くと、必ず内需の重要性が叫ばれる。食料自給率が下がれば、将来の食の不安を訴える声が強まる。TPPへの参加はそれら過去の教訓を無視した決断ではないか。賛成している人間はその問いに一体どう答えるのか。
9日夜、民主党の経済連携プロジェクトチームも国民への十分な情報提供を行い、同時に国民的議論を行うことが必要とし、「(交渉参加は)慎重に判断を」と提言した。
それを受けての決断だが、反対・慎重派も「やるだけやったが駄目だった」と論争にピリオドを打ってほしくない。
民主党の本県関係国会議員3人は引き続き、力を緩めず首相に対して手段を選ばずに働き掛けてもらいたい。
参加表明を覆すか、県民世論が納得するような説明がない限り、自分たちにも責任があるという自覚を持つべきだ。交渉参加後の離脱は国際的な常識として、ありえないという指摘もある。だが、それも状況次第だろう。
このままノーサイドの笛など吹かせてはならない。
(転載ここまで)
●くまにちコム (熊本日日新聞)
TPP交渉参加 国のありよう考える好機に
http://kumanichi.com/syasetsu/kiji/20111112001.shtml
2011年11月12日
野田佳彦首相は11日、環太平洋連携協定(TPP)交渉へ参加する方針を表明した。農産物を含めた関税の原則撤廃や医療分野の論議など不明な点は多く、国論を二分したままの見切り発車である。とはいえ、政治決断した以上は、メリット、デメリットを見極めながら、粘り強い交渉で国益につなげてほしい。
●米国主導グループに
TPPの母体は2006年、チリなど4カ国でスタートしたが、米国の加入により大きく変容した。リーマン・ショックで経済が低迷した米国の狙いは成長市場であるアジアへの進出だ。正式参加となれば、米国が主導する経済連携グループに組み込まれることを意味する。
TPPは貿易や投資などで高水準の域内自由化を目指しており、日本の輸出産業は新たな市場獲得に期待している。半面、オバマ大統領が掲げる「5年間で輸出倍増」という公約実現のターゲットにもなる。現在「大枠合意」を目指し交渉中だが、米国以外は小国が多く、貿易依存度の高い国ばかりだ。市場の大きい日本の参加は焦点ともなっている。
一方、TPPは域外国に対する排他的な側面もある。気になるのは日本の最大の貿易相手国である中国の反応だ。日本は東南アジア諸国連合(ASEAN)に中国と韓国を加えた、アジア中心の経済連携の枠組みを目指してきた。TPP交渉参加は、米中のはざまで日本の立ち位置が問われることになる。
●農業をいかに守るか
交渉参加に際し、最も懸念が大きかったのは農業分野だ。農林水産省は国内生産額の半分に相当する約4兆円が消失、39%と先進国中最低水準の食料自給率(カロリーベース)は大きく落ち込むと予測する。
首相は会見で「日本の農業を断固守り抜く」と述べた。政府は先に農林漁業強化の基本方針・行動計画を決定。柱は規模拡大によるコスト削減だ。農地を貸し出す側への協力金制度などを新たに導入するとしたが、長年の懸案である割には予算規模も小さく、実効性は不透明だ。もっと大胆な施策を打ち出すべきだ。
拡大が進んだとしても米国やオーストラリアとの差は歴然。価格差を埋める新たな対策が不可欠だが、詳しい説明はない。農業団体や生産者が不安を募らせるのも当然だ。特に中山間地域の規模拡大は容易ではない。農業経営が行き詰まれば、ますます耕作放棄地が増加。地域経済の崩壊にもつながりかねない。
コメについては、世界的な食料不足の懸念や国土保全の観点などを材料に、関税撤廃の例外化に最大限努力すべきだ。参加国には品目により例外化を求めている国もあり、余地がないわけではない。
これを機に農業政策は関税で守るやり方だけでなく、価格差を直接生産者に補助金として支払う戸別所得補償制度の拡充を図る必要が出てこよう。同時に、担い手に重点を置く制度に抜本的に見直すべきだ。
参加表明の直前になって、米国がTPP交渉で医薬品における関税撤廃などを重点的に要求していることが分かった。健康保険証を持っていればどこででも医療を受けられる「国民皆保険」崩壊の懸念も浮上。このほか郵政や保険、食品添加物などでも規制緩和が求められそうだ。
●徹底した情報提供を
首相は交渉に当たり「国民的議論に供するよう情報を提供していく」と強調した。情報提供と丁寧な説明を政府が怠ったことが、TPPをめぐる対立を先鋭化させたことへの反省もあるのだろう。今後は都合の悪い内容を含め、徹底した情報開示をする必要がある。
どのような国を目指すのか。TPP交渉は将来の国のありようを考える好機ともなり得る。明らかに国益を損ねる要請があった場合は勇気ある撤退も選択肢だろう。協定批准には国会承認も必要になる。議論を深めねばならないのはこれからだ。
(転載ここまで)
●鹿児島の情報は南日本新聞
社説
[TPP交渉] 見切り発車の参加表明
http://www.373news.com/_column/syasetu.php?ym=201111&storyid=36268
2011/11/12 付
野田佳彦首相は環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針を、予定より1日遅れて表明した。ハワイで12日から開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に、オバマ米大統領に伝える見通しだ。
交渉参加をめぐっては、菅前政権がTPP関係国と協議を開始すると決めた昨年11月から、世論は賛成と反対に割れてきた。先月中旬に始まった民主党プロジェクトチームの議論も、土壇場まで紛糾した。
この1年間、議論がかみ合わないどころか、むしろ対立が激しさを増した理由は、TPPの中身がよく分からないことに尽きる。首相が国民の不安に答えないまま、見切り発車で参加を表明したのは残念だ。
TPPで最も打撃を受けるのは農業である。鹿児島県が昨年11月に発表した試算によると、関税撤廃で県内農業の生産額は約4割、1813億円の損失を被るとした。関連産業や地域経済まで含めれば、損失は推定5667億円に上る。
首相は「TPPと農業再生を両立させる」と繰り返してきた。だが、財源の裏付けがある具体策は示していない。農家と地方が不安を募らせるのは当然だ。
安い農産物が入ってくることは消費者にはありがたい。しかし、今後の交渉次第では、食品添加物や残留農薬基準、遺伝子組み換え食品表示など、日本の厳しい安全基準が変更を求められる可能性がある。
交渉に参加している9カ国は関税のほか、金融などのサービスや政府調達、知的財産権など幅広い分野で協議を重ねている。国民皆保険制度が崩壊するとして日本医師会が反対するなど、TPPは「国のかたち」を大きく変える恐れもある。
首相は日本の国益にかなった協定とするため、早期にルールづくりに参加する意義を強調した。参加国の中には米国の「独走」に日本が待ったをかけるとの期待もある。守るべきルールは断固守るとの強い覚悟で、TPPを主導する米国との交渉に臨まなければならない。
日本は自由貿易体制から多くの利益を得てきた。世界から孤立すれば衰退するだけだ。だが、TPPは世界貿易機関(WTO)や経済連携協定(EPA)など、これまで日本が関わった貿易自由化に比べ、格段にハードルの高い協定である。
日本が守るべき国益とは何か。首相はその中身こそ国民に丁寧に語らなくてはならない。
(転載ここまで)
●沖縄タイムス
[TPP交渉参加]バスはどこに行くのか
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-11-12_25905/
2011年11月12日 09時27分
すったもんだの末に野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を表明した。
野田首相が11日夜の記者会見で明らかにしたのは、正確に言えば、「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」ということである。「交渉参加表明」と、参加に向けた「協議入り表明」とは、どこがどう違うのだろうか。
実質的には何も違わない。違わないにもかかわらず、あえて文言を柔らかくしたのは、党内外で反発が強まっているからだ。
TPPの狙いは、関税を撤廃して貿易や投資の自由化を進めることにある。自由化の性格上、プラスとマイナスの両面があるのは当然である。県内でも賛成、慎重、反対の意見が業界業種ごとにまだらに広がっていて、決して一様ではない。
だからこそ、積極的な情報開示と丁寧な説明が必要なのだ。議論を積み上げコンセンサスを得る努力を国会においても尽くすべきなのである。だが、野田政権は、説明が不足し、情報開示も不十分なまま、交渉への参加を正式表明した。
予想されるさまざまなマイナス面に正面から応えるよりも、日米関係を重視した見切り発車の判断、だと言わざるを得ない。
野田首相は、12、13日にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でオバマ米大統領と会談し、TPP交渉参加を伝える。米軍普天間飛行場移設のための環境影響評価書の年内提出を米側に伝えたのと同じ構図だ。
11日の衆院予算委員会集中審議で、社民党の福島瑞穂氏は「参加するんだったら国会でいいなさいよ」と野田首相に詰め寄った。夜の記者会見でも記者団から「なぜ、交渉参加の意志表明を国会の場でしなかったのか」との質問が出た。
首相は、早い時期に国会で方針を明らかにし、TPP参加後の国の将来像を語るべきであった。そのプロセスを踏まず、11日の国会でも交渉参加を表明をしなかったのは、説明責任を放棄したのに等しい。
TPP交渉参加問題を「国益VS農業」と位置づけるのは間違っている。「1・5%を守るために98・5%が犠牲になっている」という指摘も一方的だ。
もっとバランスの取れた議論が必要なのに、議論がすれ違ったまま、「時間切れ交渉参加表明」という事態に至ってしまった。
賛成派は「早期に参加してルールづくりに加われ」と主張し、慎重派・反対派は「行き先も確かめずにバスに乗ってはいけない」と言う。
TPPの影響は、農業分野だけでなく、医療・保険、雇用、食の安全など、広い範囲に及ぶ。TPPのバスに乗って、日本はどこに向かっていくのか。野田政権からはまだ何も示されていない。
TPPについて「中国の台頭を牽制(けんせい)する狙いがあり、本質的に安全保障の問題」だと指摘する声もある。その点の議論も極めて不十分だ。
(転載ここまで)
●琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
TPP交渉参加 「国民不在」の見切り発車だ
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-183956-storytopic-11.html
2011年11月12日
野田佳彦首相は環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に向け、関係国と協議に入る方針を表明した。
「国のかたち」が大きく変容する恐れがあるにもかかわらず、十分な情報開示はなく、国民議論が熟したとも言えない。慎重意見が大勢を占める中、安易に参加決断を下せる状況ではないはずだ。
アジアの貿易自由化推進が目的というが、中国、韓国、フィリピン、インドネシアなどアジアの主要国は不参加だ。
TPPは国民の利益を生み、メリットをもたらすよう、機能するのか。政府から十分な説明はない。
むしろ参加すれば農業だけでなく金融、医療、保険、通信、司法など幅広い分野で米国流の「新自由主義」ルールに基づく規制緩和、自由化を迫られる。
国外から安価な労働力が流入して失業率は高まり、国民皆保険制度が維持できなくなる恐れもある。
貧富の格差が広がり、日本が根底から変質しかねない懸念は到底、払拭(ふっしょく)できていない。
首相は日本の農業を断固守り抜くとしつつ「貿易立国として活力ある社会を発展させるには、アジア太平洋地域の成長力を取り入れなければならない」「国益のため全力を尽くす」と語った。
だが、米国の思惑はTPPなどの貿易交渉を通じ、輸出倍増、国内の雇用促進を追求することだ。欧州が財政危機にあえぐ中、その実現にはアジア太平洋地域が頼みの綱だ。同時に「米国抜き」でアジアがまとまるのを防ぎ、中国をけん制する外交戦略でもある。
TPPの本質は自国のグローバル企業に有利なルールを適用させるというものだ。日本に有利な条項は米国には不利になる可能性が高く容認されるはずはない。米企業に日本市場が席巻され、国益が損なわれるリスクは否定できない。
TPPについて、政府はそのメリット、デメリットを明確かつ丁寧に説明することを怠っている。国民が得る利益と不利益をしっかり検証し、国民に示さねばならない。そうした作業を抜きにしたTPP交渉参加表明は国民不在の見切り発車だ。
日本はこの十数年で格差が拡大し、深刻な社会問題になっている。TPPはこうした格差社会を増長させる懸念はないのか。TPP参加によって、日本社会の格差が縮小し、国民の幸福、国益の向上につながるとの確信があるのか。首相は分かりやすく説明すべきだ。
(転載ここまで)
●北海道新聞[社説]
国民の不安を直視せよ TPP交渉参加表明
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/331558.html
2011年11月12日
野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加を表明した。
12、13日にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議で、オバマ米大統領らにこの方針を伝える。
道内をはじめとする農漁業者の強い反対や足元の民主党にも広がった慎重論を振り切っての結論だ。
参加をめぐっては国民合意どころか、議論が本格化したばかりだ。
経済成長をはじめ、TPPと農業の両立などが本当に実現できるのか。このまま交渉参加に突き進んでいいのか、大いに疑問が残る。
首相は多くの国民が懸念や不安を抱えていることを直視すべきだ。
メリットが見えない
首相はきのうの記者会見で「交渉参加に向けて関係国との協議に入る。国民議論を経た上で結論を得たい」と述べた。慎重・反対論に配慮し、なお論議を進める姿勢は示した。
一方で「貿易立国として活力ある社会を発展させるにはアジア太平洋地域の成長を取り込む」とも強調している。国内調整よりも交渉参加に軸足を置いているのは明らかだ。
具体的な交渉戦略や農業の国内対策を示したわけではない。
アジアの成長を取り込むといっても、TPPには中国や韓国、インドネシアなどが参加していない。日本の最大の貿易相手国は中国である。
日本が交渉に加われば、経済規模から見て事実上、日米間の自由貿易協定(FTA)になる。これでアジアの成長と関連づけるのには無理があろう。TPPに加わってのメリットが見えてこない。参加の意義があいまいでは説得力に欠ける。
TPPは米国や豪州などの9カ国によって、貿易や投資などの新たなルール作りが進行中だ。関税撤廃を含め、金融、政府調達など対象は21分野と多岐にわたる。首相はこれに積極的に加わって、日本の主張を反映させる道を選んだようだ。
ルール作りはかなり進んでおり、日本が加わっても主張は通らないとの見方もある。米国を筆頭に関係国との事前協議の段階で大幅な市場開放を求められる可能性もある。
オバマ米大統領は来年の大統領選に向けて、TPPを輸出倍増と雇用拡大の手だてと位置づけている。
米国の厳しい対日要求をはねのける交渉力があるのか心もとない。農産物以外でも、医療保険制度の切り崩しや食品の表示義務の変更などの心配も出ている。日本がずるずると譲歩を繰り返さないか気がかりだ。
将来に禍根を残してはならない。
自由貿易を進めることは大事だが、国民生活の観点から交渉の途中離脱も選択肢とすべきだ。
もっと丁寧な説明を
首相の参加表明に至るまでの経過はいかにも性急だった。首相の指示で政府、民主党が本格論議を始めて、わずか約1カ月である。
結論を急いだのは、米軍普天間飛行場問題でぎくしゃくした米国との関係改善を重視したことも背景にあるようだ。日米関係は大事だが、国民生活よりも「対米配慮」を優先するのならば本末転倒である。
国のかたちを変え、10年、20年先の日本社会の姿を決定づけるかもしれない協定である。
ところが政府は当初、議題に上っていないとした混合診療の全面解禁の可能性を一転して認めるなど、都合の悪い情報は小出しにしてきた。
全国の世論調査では参加の賛否こそ拮抗(きっこう)するものの、8割近くが「政府の説明が足りない」と指摘している。重要な問題で国民を置き去りにする姿勢は許されない。
これまでの対応をみると、交渉参加について、政府や民主党幹部に覚悟があるのかも疑わしい。
TPPで何が協議の対象となるのかも明確ではない。今後も国民論議を進めるのであれば、十分な情報提供と丁寧な説明が欠かせない。
国内農業を守らねば
TPPでは日本の主要農産物の市場開放が大きな焦点となる。
世界貿易機関(WTO)での農産物の自由化や日本が結んできた経済連携協定(EPA)に比べ、TPPは格段に厳しいようだ。
米国はTPP交渉で砂糖を関税撤廃の例外品目にするよう求めている。日本のコメや小麦、乳製品などの例外扱いが認められるかどうかは定かではない。
関税が撤廃されれば地域経済が崩壊しかねないとの懸念が強い。政府はこうした声を真剣に受け止めねばならない。首相は「農業を断固守り抜く」と述べた。ならばコメなどの例外扱いを実現させるべきだ。
政府は先に農業再生の基本方針・行動計画案をまとめたが、TPPに対応した国内対策とは別だろう。
関税撤廃なら道内に多い専業農家ほど打撃は大きい。政府には食品加工や運送、観光など関連産業へも目配りする責務がある。
大事な食料自給の論議も深まりを欠いている。世界的な人口増加や気候変動を原因とする万一の食料危機にどう備えるのか。後の世代に不安のつけを回してはならない。
(転載ここまで)
●愛媛新聞社ONLINE
社説
TPP交渉参加表明 もう、まやかしは通用しない
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201111136715.html
2011年11月13日(日)
たった1日で何が変わったというのか。「熟慮する」として会見を延期した野田佳彦首相は結局、環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加する方針を表明した。
賛否の溝が急に埋まるはずもない。首相は言い回しに注意を払い、民主党内の慎重派が「交渉参加」ではなく「事前協議」と解釈できるよう逃げ道を用意した。党内手続きを優先しただけのことだ。
特に憂慮を示す農業団体への配慮を強調した。だが、講ずる予算措置の内容は農地の大規模化や担い手育成支援など、積年の課題を挙げたにすぎない。そもそも国内農業の体質改善はTPP対策として論じる筋合いではない。
活力ある社会のために「アジア太平洋地域の成長を取り入れていかなければ」とも述べたが、説得力を欠く。すでに日本はTPPの枠組みにあるベトナムやマレーシアなど6カ国と自由貿易協定(FTA)を結んでおり、市場の伸びしろには限界がある。経済規模からして実体が「日米FTA」ならば、なぜ米国との直接協議を求めないのか。
会見では自他ともに認める保守政治家らしい愛国心をも吐露したが、非常に個人的な心情だ。普天間飛行場移設問題などで関係がぎくしゃくした米国の顔を立てておきたいというのが本音だろう。
国民が納得のいく説明を尽くしたとはいえない。国内に火種を残したまま、首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)に臨むことになる。
もう、まやかしは通用しない。交渉参加と言おうが事前協議と言おうが、対外的効果に何ら変わりがないと、首相は覚悟するべきだ。関係国との対話で判明した内容は可能な限り国民に報告してもらいたい。自国に不利な情報までそろってこそ、まともな国内論議ができるというものだ。
懸念は農業や医療の分野だけにとどまらない。公共工事の入札では、関係書類の英語表記化が強いられる可能性のあることが、ようやく分かってきた。米国にしてみれば言葉の壁さえ「参入障壁」というわけだ。英語が使えない者は市場参加の資格がないとして排除されるのか。地方の小規模自治体や中小業者はたまったものではない。
輸出主導の雇用拡大を狙う米国が日本に求める役回りは投資と消費の場としての貢献だ。「閉じるばかりでは未来が開けない」との言い分はもっともだが、ろくなセーフティーネット(安全網)を張りもせずに開けばどうなるか。ここ20年の「改革」で痛いほど身にしみたはずである。
野田首相は会見で「分厚い中間層が安定する社会の再構築」を掲げた。もっと具体的な戦略が聞きたい。この国をどんなかたちにしていくかをまず語ってこそだ。
(転載ここまで)
築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2011-10-25
【築地市場官製地上げ】今日汚染対策工事説明会!明日はコアサンプル廃棄差止訴訟最終口頭弁論です!
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-11058406325.html

↑『がけっぷち社長』さん作。また、税制についての当秘書課の記事は、「カテゴリ : 税制、税金、財政」から。
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もいい曲だと思いますTakeshi政権政党に有利に作られている、選挙の高額供託金という参入障壁制度 選挙供託金制度は1920年代に普通選挙が導入された際、無産政党の参入を阻止するために制定されました。
これとセットになっているのが無産政党の活動を制限する治安維左の人日本に人道主義を導入して定着させよう。自民党政府の非人道性を見過ごせない。 #入管法改悪反対人権を嫌悪する者が付和雷同し、嫌がらせの言節を放っているのに食傷。 こんばんは。私も村野瀬さんも十数年にわたってSNSの言論の場に身を置いていますが、特に近年、「物事を丁寧に書き示す」より「対象物を手っ取り早くぶん殴れる」言節が伊東 勉広島サミットについての批判的メモサミットとは?そもそもサミットとは?
欧米列強&欧米列強の悪い部分ばかりマネしてそのおこぼれにあずかろうとしている日本が、これまで作り上げた国際秩序と自らの覇権を確保するため閉口首相公邸で遊ぶ岸田文雄一族。前近代的な日本の姿自民党は前近代的な世襲政治家が多い政党です。
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日本は難民として認定すべき人を難民として認定していません。
それを改正するどころか改悪して難民閉口不祥事で議員辞職する維新議員はほとんどいない。こんな政党を支持・容認したり批判せずにいたりすることは維新の不祥事を支持するようなものだ。 #維新は最悪の選択肢 いわゆる「身体検査」が機能していないのでしょうね。日本共産党や公明党は選挙資金は党が負担するのが大前提です。大切な党のお金を使うのですから、候補者の選定基準も左の人袴田巌さんの完全無罪を勝ち取り、無罪の者を無理に有罪にして真犯人を逃がした検察の過ちと暴力を解明すべき。検察の指向性と日本政府の無謬性主義はパラレル 泉田裕彦に裏金を要求した星野伊佐夫元新潟県議が不起訴になりました。女性に強制性交すべく女性に受傷させたプロ野球選手は,不起訴の可能性が高いとも言われています。Takeshi差別主義経営者のいるホテルチェーンと日本サッカー連盟との不適切なナショナルチームパートナー契約郵便局の窓口でアパホテルカレーを販売中郵便局に行ったら,窓口にアパホテルの元谷芙美子社長の写真が載ったアパホテルカレーが390円で販売されていました。買いませんでした。アパホテルは自民党に要望し,自民Takeshi#奪マスク #脱マスク を他人に強制しようとするな。徹底的に抵抗する。>ewkefcさん>自動車事故に遭わないため、遭わせないためには自動車を運転しないことなのね。
「生きているといろいろな問題があって大変です。だから、それらの問題を避けるためには村野瀬 玲奈#奪マスク #脱マスク を他人に強制しようとするな。徹底的に抵抗する。No title『#奪マスク #脱マスク を他人に強制しようとするな。徹底的に抵抗する。』に対する意見
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-9123.html
>コロナウィルスに感ewkefc#奪マスク #脱マスク を他人に強制しようとするな。徹底的に抵抗する。 マスクの効果は偉大ですよ。私のようなブサイクでもマスクをつければ堂々と人混みを歩けます。堂々と女性と会話することもできます(笑)。目の前でふんぞり返っている市左の人自民党のおかげで日本のGDPはG7最下位になった。 もっともっと貧しくなるでしょうね。
新自由主義をやめないからです。何でもかんでも非効率だとこの30年間国内の産業を空洞化させてきました。曰くこれからは金融だエ左の人の死刑FAQ (適宜更新)この世はダブル・スタンダードにあふれている。 差別はいけないと多くの人が言います。ところが自分の息子や娘が死刑囚の子と結婚するとなったら猛反対して必ず結婚をつぶすでしょう。「お前が結婚するということは,殺Takeshi#はだしのゲン を隠そうと大日本帝国主義勢力が広島はじめ各地で裏で動いていることが、この戦争漫画が戦争推進者の本質を突いていると証明している。 #はだしのゲンを無くすことに抗議します教育行政の犯罪・不当行為(広島県) 2003年3月に広島県尾道市立高須小学校で就任1年の民間人校長の慶徳和宏さん(56)が校舎正面1階の壁面に体をさらして自殺しました。2年半後,遺族の請求に対し,地方公務Takeshi大阪府 #堺市長選挙 では、維新の利益よりも市民全体の利益が重要。維新の利益は市民の利益を削ったところで生まれる。だから維新現職から野村ともあき氏へと #堺市長を変えよう 維新=犯罪組織「あなたが維新も自民も支持しないとしても、維新首長はどんどん落選させるべきです。そうでないとつけあがりますから。」
野村氏の言うとおり。
入管による「殺人」の被害boof同意の無い性行為を性的暴行として処罰するスペインの法改正性暴力を受けた苦しみは一生続く。yaping20 野田正彰さんは,海南島リー族の元従軍慰安婦の精神鑑定を求められ,現地に赴いたそうです。
〇〇さん(79歳)は14歳のとき,村に押し入った日本兵に拉致され,駐屯地Takeshi「東電の電気を使っている人は原発を支持していることになる」という勘違いああいえばこう言うの典型ですね「反体制も無謬性を訴えている訳ではありませんが、何か?」とこのツィに言い返しても問題はありませんよ。
こんなのを聞いていたら、自分が間違えた時に引き返せなくて周アンドリュー・バルトフェルド自民党のおかげで日本のGDPはG7最下位になった。No title『自民党のおかげで日本のGDPはG7最下位になった。』に対する意見
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-9120.html
>自民党は日本を経済的に貧しくすることにewkefc軍拡(防衛)財源確保特措法案が通ると、日本を完全な戦争国家に固定してしまい、国民生活への良い影響は一つもないと予測される。永山則夫死刑囚の予言は的中するのか。 永山則夫死刑囚は,ノート8(1970.5.25~6.27)の中で次のように述べています。
一言的に表現すれば,帝国主義国家であるかぎり,人間精神は五十歩百歩で進歩しないTakeshi