「教育と競争」 （竹田茂夫・法政大教授のコラムから）

　　

「橋下徹・大阪府民主主義人民共和国」の「教育条例案」にみる教育カイカクの愚かさを経済界の失敗例から見た鋭い新聞コラムを見つけました。記録させていただきます。

●東京新聞
本音のコラム
教育と競争　竹田茂夫（法政大教授）
2011年10月6日

大阪維新の会の教育条例案は、政治家による教育目標の設定や解雇の脅しによる教育委員・教員の支配などを柱とするものだが、この恐るべき条例案はエンロンの職場統治を想起させる。
エンロンは1990年代に急成長した米国のエネルギー関連企業で、2000年末に時価総額で全米第7位という巨大企業だったが、そのわずか1年後に破綻した。エンロンは事業・会計手法・企業組織を通じて市場原理の徹底を図った。企業内外の社会関係すべてを市場取引・競争・効率性追求に還元しようとしたのだ。毎年の個人別業績評価でも下位15%の者は自動的に解雇された。職場は社員たちの生存競争の場と化した。
条例案が通れば大阪の教育で同じことが生じるのは明らかだ。権力者や校長へのおもねり、スタンドプレー、足の引っ張り合いなどで職場は荒廃し、子供たちも雰囲気を敏感に察知するに違いない。しかも、企業の利潤追求のように教育目標は本来一元化できるものではない。新自由主義とは強権によって市場原理を社会のすみずみに押し広げようとする運動。条例案はまさにその一環だ。
究極の効率的企業の幻影を追ってエンロンを破滅させた元CEO、ハーバード経営大学院卒・著名経営コンサル会社出身の経歴をもつこの人物は、証券詐欺等の罪で禁錮24年の刑に服している。

（転載ここまで）

大阪府有権者、維新の会の各議員には、この教育カイカクの愚かさに一刻も早く気づいていただきたいです。


それから、竹田茂夫氏の記事として、こんなものも見つけました。たしかにその通りです。記録させていただきます。

●より良い明日をめざして
市場原理主義は経済学の名に値しない
http://plaza.rakuten.co.jp/bluestone998/diary/201110050000
2011年10月05日

法政大学教授の竹田茂夫氏は、８月４日の東京新聞コラムで、市場原理主義を痛烈に批判している；

　市場原理主義は経済学では新古典派とも呼ばれる。想定を事実と思い込み、批判を受け付けない内輪の集団思考という点では、原子カムラ以上だ。かれらは決して危機から学ばない。リーマン・ショックに至る金融危機の犯人として経済学内部から厳しく批判されたのに、研究と教育は少しも変わらない。

　震災復興の処方箋も市場原理の活用だ。

いわく－
ゾンビと化した中小企業は倒産させて経済全体の効率を上げるべきだ、
農業や水産業に株式会社の参入を許して規模の経済と先進技術を実現すべきだ、
正社員の権利を剥奪（はくだつ）して全勤労者を非正規雇用にすべきだ、
等々。

　その根拠たるや、完全競争と完全情報を想定すれば価格が瞬時に動いて需給が調整される結果、全員がハッピーになるというものだ。アダム・スミスの「神の見えざる手」の現代版だが、神学的というより幻想的だ。

　マクロ経済学はどうか。最新の教科書では、日本人を代表する一人の消費者が遠い将来まで見通して消費・労働パターンを合理的に選択する結果、成長率や雇用率が決まることになっている。非自発的失業やバブルはそもそも発生しえない。

　今回の震災で、ケアやコミュニティーやコモンズ（共有資産）こそが人間の生存を享見ることがあらためて明らかになったはずなのに、幻想経済学にはそれらをいれる余地がない。（法政大教授）

２０１１年８月４日　東京新聞朝刊　１１版　２５ページ「本音のコラム－幻想経済学」から引用

　中小企業をつぶせとか、労働者は全員非正規雇用にしろとか、要は大資本に奉仕し大富豪優遇を推進するのが新古典派経済学で、別名新自由主義とも呼ばれる。大資本がさらに巨大化することだけを考えた、偏った学問である。世の中には「曲学阿世」という言葉があるが、この「曲学」に相当するのではないか。自民党や民主党にはこの「曲学」に毒された政治家が多いため、現在の日本は非正規雇用が増大しつつある。社会と言うものは、企業が利益を出し、労働者の生活が安定して初めて繁栄するものであるが、この曲学に毒された経済学者や政治家は、その辺の道理を理解せず、金持ちに奉仕するのが仕事だと思っている。その結果がリーマン・ショックであり、長期不況の現在である。農業や水産業に株式会社を参入させようとするのも、間違いである。株式会社というものは、利益をのみ追求するものだから、採算が取れないとなるとすぐに撤退する。しかし、農業や水産業は、自然を相手にした仕事で、赤字なら撤退などということをやっていては、自然が荒廃するだけである。農業や水産業には、自然環境を保全するという、目先の利益とは距離のある仕事もしなければならない。そこまで考えの及ばない曲学阿世の市場原理主義者は、もはや経済学者の名に値しない。

（転載ここまで）

「人間の生存を享見る」と書かれていたところはたぶん変換ミスだと思うので、私の判断で「人間の生存を高める」と直させていただきました。

なんか、前の記事で示した、「TPP推進論者は、他人を犠牲にしながら自分だけの目先の利益を得るために自説をごり押ししている」ということとも通じているではありませんか。その行く先は、エンロンの破たんのような未来...?

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2011-10-04
【傍聴をお願いします！】10/5に築地市場移転問題「公金支出金返還請求」の公判があります
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-11037538767.html

■2011-10-10
【結審せず！次回は12/19です！】10/5の築地市場移転問題「公金支出金返還請求」の公判結果
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-11043349525.html

■2011-10-10
東京都が仲卸に移転に関し「ヒアリングシート」！築地市場を考える勉強会（10/11）にもご参加を！
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-11043332408.html

↑『がけっぷち社長』さん作。また、税制についての当秘書課の記事は、「カテゴリ : 税制、税金、財政」から。

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