軍事優先主義の行きつく先 （日米共通戦略目標への中国からの反発について）

　　

中国と日米の間の「対立」についてのこの報道がこの件のすべてを報道し尽くしているわけではないことは承知していますが、ごく簡単に図式化して一言。

●東京新聞(TOKYO Web)
中国が日米共通戦略目標に反発　軍備増強で対立鮮明に
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011062801001184.html
2011年6月29日 02時02分

　中国の軍備増強に言及した新たな日米共通戦略目標について、中国政府が「わが国は平和的に活動しており、受け入れられない内容だ」と強い不快感を日本側に伝えていたことが分かった。複数の外交筋が２８日、明らかにした。松本剛明外相は来月３日からの訪中で「対中関係改善を目指す立場に変わりない」と説明する考えだ。しかし中国側は強く反発しており、軍備増強をめぐる対立が鮮明になった。
　外交筋によると、日米両政府が２１日の安全保障協議委員会（２プラス２）で共通戦略目標を発表し中国の軍事動向を明記した後、中国は外交ルートで「東アジア地域の緊張を高めるだけだ」と批判した。
（共同）

（転載ここまで）

「中国の軍備増強に言及した新たな日米共通戦略目標」についての日米側の立場は、自分たちの防衛のための戦略であって中国への攻撃のためではないのだから中国の反発はお門違いであるというもののはずです。

しかし、中国側は自国の軍備は攻撃のためではなく防衛のためであるという立場でしょうから当然反発するでしょうし、第三者的に見れば、中国側の反発には全く理がないとは言えないでしょう。

しかし、中国の軍備増強も現実であれば、日米が日米共通戦略目標で中国の軍備増強に言及したのも一定の理はあります。

しかし、中国は自国の軍備は攻撃のためではなく防衛のためであるという立場でしょうから（以下同文）

しかし、中国の軍備増強も現実であれば日米が（以下同文）

ということで、お互いに自陣に閉じこもって軍備だけいじっている限り、この手の自分と相手の軍備増強や軍事戦略は無限ループに入ることになります。お互いの軍備増強がお互いに緊張を高め、お互いの安全保障に役だっていないということではないでしょうか。こういうバカげたことを避けるには、自分のところだけ軍備をどうかすればよいのではないという認識がお互いに必要です。つまり、互いに軍備増強をけん制しあうために、できれば互いに軍備を減らそうとするために、常に緊張緩和のための外交的対話を欠かさないという作業が双方同時に必要だということです。

「中国の軍拡けしからん」といきりたつだけでは何も解決しないということです。

軍備増強について、日米中はお互いに「自分の軍備増強は防衛のためであって侵略的なものではない」と思っているのでしょうが、残念ながらそれはお互いに独善的な理由付けです。

軍備増強をめぐる対立は軍備増強で解決することはできず、国レベルでは外交的な対話によってしか解決できないという平凡な教訓をどんな場面でも忘れないようにしたいと私は思っています。

と、ここまでは日米中の間を極端に単純化した一般的な話です。

しかし、さらに付け加えたいことがあります。それと同様にもっと大切な話は、実際の日米の軍事協力はイラクやアフガニスタンなどの「他国」へのアメリカの軍事戦略のためであり、それは日本の純粋な防衛を超えた話であり、そのような侵略的な軍事戦略は沖縄の米軍基地を足がかりに展開されており、沖縄ではその負担を日米政府と本土の人々によって一方的に甘受させられているということも付け加えなければなりません。

そういう侵略的な軍事戦略の果てに沖縄に押し付けられる「負担」に沖縄から異議をとなえる最近の他のブログ記事として、こちらを心に留めたいと思います。

●海鳴りの島から
沖縄・ヤンバルより…目取真俊
宮森小学校への米軍機墜落から５２年
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/84eb2cd636afebfdf76779b5174a0327
2011-06-30 16:09:34 


さらに思い出すのが、2010年12月の新防衛計画大綱。この件をめぐっての日本の各新聞の2010年12月時の社説を次にリンクする記事に収録しました。自分の軍備や軍事的行動が相手にどのような影響を及ぼすかを考えずに「自分たちが一方的に強く出れば相手は大人しくなるだろう」という現実離れした理想主義（？）を信じる軍事優先主義思考は、軍事的緊張から軍事的危機への無限ループに向かっているようにしか見えないと改めて思うのでした。

■新防衛計画大綱をめぐる新聞社説の読み比べから、軍事優先主義思考の問題点を見る
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2204.html

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2011-06-20
築地東卸に移転反対理事長誕生！【傍聴を】6/20午前、汚染地購入の公金支出返還と差止訴訟
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10928739193.html

■2011-06-29
【6/30は傍聴を！】裁判長の異常な訴訟指揮に異議。豊洲汚染土壌廃棄（証拠隠滅）差止め訴訟公判
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10937755967.html

↑『がけっぷち社長』さん作。また、税制についての当秘書課の記事は、「カテゴリ : 税制、税金、財政」から。

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