東電と政府の責任を問い、補償させること。信頼できるデータを政府や東電が出すこと。

　　

原発事故に伴う「風評被害」についてあれこれ思いをめぐらせてきました。とりあえず、今思っていることをまとめておきたいと思います。

まず、人災と呼べる福島原発事故を一日も早く収束させるよう、東京電力が自力で責任を最後まで果たすことは言うまでもありません。それがすべての大前提です。

そのうえで、全農産物、全海産物を検査して核種と数値を隠さずに数値で明示し、基準を厳格に守って合格品だけを原産地証明と検査結果を付けて流通させることを提案したいです。自分の累積被曝量を自分で管理したい人たちのためにそうすることは有力なアイデアだと思います。健康についての人それぞれの判断を尊重するために、「基準以下は『非検出』」という表示では不十分だと思います。

また、汚染されているものは市場から回収し、あるいは、市場に出さず、東京電力が全額補償することです。

それから、放射能汚染の度合いが高い地域の住民は東京電力や国の費用で避難させることをもっと徹底し、その地域の除染ももっと東京電力と国の費用で行うべきです。そのために、犯罪者が被害者に補償するように東京電力は自らの身を削るべきです。（額の話はしません。）

これらのことを徹底せずに消費者が漫然と放射能が検出された食物を食べ続けていたら、また、東京電力や政府に補償や対策をとらせないなら、東京電力や政府の責任はすべて免罪されてしまうでしょう。日本国民の願いはこれほどの事故を起こした東京電力を免罪することではないと思いますから。

知ることがまず第一歩。

情報を隠せば隠すほど、あるいは数値を示さずに安全だと言えば言うほど、あるいは三カ月遅れで以前の発表内容を訂正すればするほど、人々が疑心暗鬼になることを止めることはできないからです。情報が十分に出されないから福島県産の農産物全部を不安に思う人を責めてすむ話ではないと思います。不安に思う人を責めるのではなくて、信頼できる情報を出さない政府や東京電力をこそ責めるべきだとやはり思います。

「正しく怖がる」ことが必要という言葉をいろいろなところで何度か聞いてきました。恐怖という感情は理性だけでコントロールできるとは限りませんが、それができる人はできるだけやってみましょう。私も努力します。

しかし、「正しく怖がる」ためには「正しくて信頼のおけるオープンな情報」が絶対に必要なのです。

データが隠されているから、「誤った怖がり方」しかできないのではないかと思います。

信頼できるデータがない状態、政府は信頼できるデータを出していないということを多くの人が感じている状態では、「怖がる人」を責めても何もはじまらないと思います。「怖がる人」を責めるのではなく、信頼できるデータと、怖がる人を守ろうとする社会全体の意思こそが何よりも必要だというのが今の私の思っていることです。


...てなことを書くときに、下のような記事を読みましたと申し添えます。

●毎日ｊｐ(毎日新聞)
社説：放射能と健康　追跡調査を早く丁寧に
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110607k0000m070141000c.html
2011年6月7日　2時30分

　原発事故で自分や子どもがどれだけ放射線を浴びたのか。今後も浴びる恐れがあるのか。それが将来、健康にどう影響するのか。
　東京電力福島第１原発の周辺に住む人々の大きな関心事だろう。
　福島県は福島県立医大などと協力し、県民を対象とした健康追跡調査を実施することを決めた。国も協力するという。
　こうした追跡調査は、住民の不安に応え、長期にわたる健康管理を徹底するために不可欠だ。今回のように低線量の被ばくが長く続く場合の健康影響を知る上でも欠かせない。住民のプライバシーや心情に十分留意しつつ、丁寧な調査を早く進めてもらいたい。
　事故が発生した当初、政府は「ただちに健康への影響はない」という言葉を繰り返した。しかし、多くの住民が心配しているのは、将来の発がんのリスクである。
　ところが、その心配に答える情報は十分に示されてこなかった。
　たとえば、事故発生から数日の間に原発で爆発現象が相次いだ。大量の放射性物質が放出され、特定の地域に多く降り注いだ。この時に住民がどれぐらい放射性物質を吸い込んだり浴びたりしたかは、よくわからない。
　初期の爆発以降、原発からの放出は大幅に減ったものの、住民は地面に沈着した放射性物質から放射線を浴びてきた。舞い上がる放射性物質による内部被ばくの恐れもある。食品からの被ばくも無視はできない。
　追跡調査では過去にさかのぼり個人個人が受けた放射線量を総合的に推定する必要がある。そのためのデータを政府は整理して出すべきだ。
　個人への影響を評価するために、もっときめ細かい汚染マップ作りを進める必要もある。詳細な汚染マップは、今後の被ばくを最小限に抑えるためにも欠かせない。
　一人一人の被ばく状況を推定するには、記憶が消えないうちに行動の記録を書き留めてもらうことも大事だ。簡易線量計を住民に配り、被ばく線量を直接測る必要もあるだろう。全身の計測装置による内部被ばくの実測も必要に応じて進めてほしい。
　調査に当たって、住民によく説明し、同意を得るのは当然のことだ。強制するようなことがあってはならない。個人情報の保護や、差別の防止にもよく配慮してもらいたい。精神的なケアも必要だ。
　これまで、放射線による発がんリスクは広島・長崎やチェルノブイリ事故のデータが参考にされてきた。しかし、今回の事故にはこれらと異なる面がある。後世のために科学的なデータを残すことは大事故を起こした日本の責務でもあるはずだ。

【関連記事】
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放射性物質：小中高に線量計　福島県教委が配布
毎日新聞　2011年6月7日　2時30分

（転載ここまで）


●福島老朽原発を考える会　（フクロウの会）
【福島原発震災（９８）】江東区のお母さん汚泥焼却施設からの放射能放出を告発！
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/06/post-9383.html
2011/06/07


●3パピヨンと、いつも一緒♪
汚染地図公表
http://hatata.blog82.fc2.com/blog-entry-461.html
2011-05-11


ということで、『「今は戦争状態、次の悲劇を防がないといけない」　（小出裕章先生）』の記事で紹介した小出先生の発言の中にある「生産者を守るためにも大人は食べるべき」という主張は、小出先生を尊敬する私でも、上に書いた理由でそのまま賛成することはできないのです。東京電力を免罪することはできませんから。

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2011-06-01
豊洲新市場予定地の汚染は「飛散防止」、しかし液状化で拡散済み（3/30環境新聞記事とコメント）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10909499293.html

■2011-06-06
ETV特集『続報　放射能汚染地図』（原子炉由来の高沸点核種検出と区域外のホットスポット）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10914508840.html

■2011-06-13
豊洲新市場予定地も：対流で地下のあちこちから汚染物質が流れこむ、汚染地での液状化のメカニズム
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10921782116.html

↑『がけっぷち社長』さん作。また、税制についての当秘書課の記事は、「カテゴリ : 税制、税金、財政」から。

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