生活保護の縮小は困窮者を命の危険に追いやることですよ。

　　

厚生労働省が、増え続ける生活保護受給者数を抑制するために生活保護法「改正」案の今国会提出を検討しているのに対して、当事者や支援者が２月１５日、申し入れ書を厚労大臣に提出して、第一に、検討会の開催日時や場所、検討内容を公表すること、第二に、法改正の検討にあたっては当事者や支援者の意見を十分に反映させること、第三に、議論を財政問題にわい小化させないことの三つの申し入れをしたとのことです。そう報じる連合通信の記事を紹介した「労働組合ってなにするところ？」のみどりさんが、この問題について次のように述べています。

●労働組合ってなにするところ？
生活保護法改悪の動き　当事者の声踏まえた検討を（連合通信・隔日版より）
http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10806793325.html
2011年02月20日 00時33分32秒

（前略）
指定都市市長会がこうした動き（管理人注：受給期間の限定や、医療費の一部自己負担を求めること）を起こすのは、生活保護制度がナショナル・ミニマムを保障するための制度であるにも関わらず、地方自治体に一定の割合の財政負担を求めているからでしょう。ですから、生活保護受給者の増加は地方自治体の財政圧迫につながるので、「北九州方式」に代表されるような水際作戦、硫黄島作戦が繰り返され、本当に生活保護を必要としている人が受給できずに困窮し、最悪の場合は死に至るということが実際に起こってきたのです。

三郷生活保護裁判の証人尋問 において、三郷市のケースワーカーが「生活保護は最後の砦」「生活保護は最後の拠り所」という発言を繰り返したことをご紹介しました。その言葉を、ケースワーカーは「だから簡単に受給させることはできない」という意味で使っていましたが、実際は「だから受給できなければ命に関わる」ということを認識すべきだと思います。

ですから、受給期間の限度を設けることにも、医療費の一部自己負担を求めることにも私は反対です。いずれも命に関わることだからです。

ところで、この件について申し入れを行なった団体の報告がないかと探してみましたら、ＮＰＯ自立生活サポートセンターもやい様のホームページで紹介されていました。下記のＵＲＬです。

特定非営利活動法人　自立生活サポートセンターもやい

生活保護法改訂問題で申入・記者会見を行いました

http://www.moyai.net/modules/d3blog/details.php?bid=1061

上記の記事の終盤に書かれていますように、マスメディアでは「生活保護の不正受給」についての報道が目立ちます。ですが、三郷生活保護裁判のように、行政側の違法行為についての報道はなりを潜めています。これはフェアでないと思います。

確かに不正受給者は存在するかもしれません。ですが、不正は不正としてしかるべき対応をすべきであって、不正を防ぐために本当に制度を必要としている人を排除するのでは本末転倒ではないでしょうか。本当に生活保護を必要としている人でも申請権を行使することすら拒まれている実態があることも報道するべきです。

三郷生活保護裁判の考察でも引用しましたが、生活保護法の目的は次のように定められています。

生活保護法
第一条　　この法律は、日本国憲法第２５条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

生活保護法の目的の第一は生存権の保障であり、「自立を助長すること」とは、自立できる見通しがない人に何が何でも自立をするようにと精神論を説くことではなく、自立に必要な条件を整え、その人の能力が最大限に発揮されるように支援することです。

その目的を果たすために、受給期間の限度を設けることや医療費の一部自己負担を求めることが資するとは思えません。

生活保護法の改定を検討するなれば、当事者の意見をきちんと聴き、十分議論することが必要だと思います。

（引用ここまで）

私も、いくつかのことを言いたいと思います。

一つには、生活保護という困窮者支援の制度があるのに、それを使わせないようにすることは、政治の空洞化、憲法の無効化、民主主義の縮小であるということです。国にお金がないことを理由にするなら、なぜもっとも困窮した者のための予算から削るのですか。最も恵まれた者のための予算から削るべきではないのですか。私は、お政府様にこう言いたい。生活保護の縮小は困窮者を命の危険に追いやることだと思う、と。

二つには、生活保護を使わせないことでは困窮者の問題は何も解決しないということ。なぜ困窮しているのか、その原因を取り除く政策が必要なのにそれをせずに困窮者の生活をさらに困窮させることは、困窮者を殺す発想とどうちがうのでしょうか。たとえば、就労させたいのなら、就労のための支援、いえ、そもそも、雇用の創出が必要でしょう。それらとセットになっていない生活保護の縮小は、まさに困窮者をゆっくり殺す発想にほかなりません。

三つには、不正受給者の存在を理由にして、制度を本当に必要にしている人たちをまとめて罰することは間違いであるということです。そもそも、不正受給とはどのくらいの程度の問題なのか、マスコミはそのことを正確な数字で報道しているでしょうか。こちらの記事で不正受給が多いようにミスリーディングする報道の問題を扱いました。

■生活保護の不正受給、救急車のタクシー利用、病院のサロン化は本当に「重大問題」？？
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1061.html

上の記事でも書きましたが、不正受給なんてほんのごく一部でしかないんです。小さな問題を大きく扱うのは政治を誤ります。小さな問題を大きく扱いたがる報道機関は、逆に大きな問題を小さく扱いたがるものなんです。

いっしょに、報道の偏見や、不正でないものを罰するやり方への抗議を書いた記事もご案内させていただきます。

■不正があると、不正のない者まで咎められるのは間違っている　（障害者団体郵便割引制度不正について）
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1282.html

■公設派遣村をめぐる「偏見報道」と「お役所仕事」が、貧困との闘いにブレーキをかけています。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1585.html

困窮者支援のための制度があるのに、それを使わせず、困窮者のための雇用創出や就職支援もない日本は、店構えやメニューだけは立派なのに高くて不味い料理しか作れないレストランのようなものというか、保険料を納めているのにいざという時に保険金を払おうとしない詐欺のような保険会社のようなものというか...。要するに、日本は羊頭をかかげて狗肉を売る国家ということでしょうか。福祉国家としての矜持も、国民主権や基本的人権の尊重をうたった憲法も何も日本には定着していないことの証明です。

お政府様、恥ずかしくないのですか。私は生活保護の縮小に対して抗議します。

もう一つだけ私の過去記事から引用して終わりにします。

■「財源はどこに？」　（不定期連載『決まり文句を疑う』）
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1337.html

新たな政策を実施しようとすると呪文のように対立派から出てくる「財源はどこにあるキイキイ」という「批判」。

それを言うなら、すべての政策について「財源はどこにある？」と問わなければなりません。しかし、現実には、「財源はどこにある？」という「批判」は、教育、福祉、医療、生活保障など、ほとんど特定の分野にしか向けられません。一方、たとえば政府が新たな兵器を導入するとき、また、米軍に無条件に協力するとき、法人税減税を行おうというとき、高級官僚のための再就職斡旋機関を作ろうというとき、国営漫画カフェを作ろうというとき、などなどには、「財源はどこにある？」という批判はなかなか出てきません。教育、福祉、医療、生活保障などに「財源はどこにあるキイキイ」と文句を言う陣営は、これらのことにも「財源はどこにあるキイキイ」と叫ばなければならないはずなのですけど。

このことだけでも、「財源はどこにあるキイキイ」というだけの「批判」は薄っぺらで一方的なものであり、聞くに値しないことがわかります。別の言葉で言えば、「財源はどこにあるキイキイ」という言葉が向けられる対象が何かを観察することによって、お政府様やお財界様やおマスコミ様がどのような政策をやりたいか、あるいはやりたくないかがわかるのです。

ついでに言うと、なにかというと「財源はどこにあるキイキイ」という文句をかかげる新聞は思考停止か不公平かその両方かですから、お金を出して読むに値しないと断言してよいと思います。

（引用ここまで）

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2011-02-28
築地東卸理事長選4度目同数で3/4検討へ（重要新刊『貧困都政――日本一豊かな自治体の現実』）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10815586430.html

↑『がけっぷち社長』さん作。また、税制についての当秘書課の記事は、「カテゴリ : 税制、税金、財政」から。

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身近な一歩が社会を変えるきまぐれな日々の中でそこに存在する良き人生と生活への切実な望みを民主党にわからせるために、低気温のエクスタシーの中のアブナイ日本が壊れる前に、生まれてきて良かったと感じられる社会にしたいけどとりあえずどうすべきかkimeraれない情報の海の漂流者と、イル・サンジェルマンの散歩道のくろすろーどにあるアダージォな午後のカフェの窓辺でお茶にクリーム入れてみんななかよく鍋パーティーして、世界の片隅で税制についてのニュースやルンペン放浪記やペガサス・ブログ版や転成仁語やイラク・ホープ・ダイアリーや広島瀬戸内新聞や虹の日記やvanacoralの日記や黙然日記やフランス語の練習帳や「ユニオン」と「労働ニュース」のアーカイブや社会科学者の時評や琉球新報や沖縄タイムスや辺野古浜通信や高江の現状を読んで、沖縄問題と北アイルランド問題を同じように考えてみようと思って、消費税と社会保障と国家予算についてのマスコミに載らない海外記事を1947年教育基本法の理念の今日行く審議会とスーパー小論文ハイスクールとアジア連帯講座と内田樹の研究室で超左翼おじさんと見て、大脇道場と言ノ葉工房と内田樹の研究室とアフガン・イラク・北朝鮮と日本と山口県上関町の祝島と地元紙で識るオキナワと海鳴りの島と知られざる晴天のカナダで虹のカヤック隊も一緒に沖縄・辺野古海上基地の問題を中心にはげしく学び、はげしく遊んだところで、「どこへ行く、日本。」とか、労働組合ってなにするところだろうとか、どうしたらさとうしゅういち（佐藤周一）さんや湯浅誠さんや戸倉多香子さんや保坂展人さんやテルヤ寛徳（照屋寛徳）さんのためにレイバーネットの団結は力ですくらむ組んで多世代交流のブログ広場の多文化・多民族・多国籍社会で「人として」日本ジャーナリスト会議で転がるひよこ豆のように情報流通を促進できるかとか思いながら、明日も晴れの空と風と、月と、星のもとで白砂青松の雪裏の梅花やブーゲンビリアや古い寺を多く見て日常で思った事、感じた事をつらつら好き勝手に書きながら国会議員定数削減・比例削減に反対するInternet Zoneのサイバー政治団体秘書がシジフォスにも負けずにウェブにはびこるネトウヨどもを滅多切りして「なんくるないさぁ～やってみれ～♪」と歌うおしごと日誌。
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