「タイガーマスク運動」を国全体で富の再分配につなげることが日本を救う

　

前の記事、「タイガーマスク運動は政治と報道と強欲経済の悪をあばき、日本再生のともし火になるのではないでしょうか。」に引き続き、タイガーマスク運動が日本社会に問いかけるもの、提唱しているものについて、さらに書こうと思います。

「タイガーマスク運動」を慈善、あるいは寄付、あるいは個人の善意とだけとらえるのは、見失うものが多くて「もったいない」です。

結論を先に言ってしまうと、この運動を個人的な寄付や慈善や善意として見るのではなくて、「社会全体での再分配」、つまり「政府を通じた富（税）の再分配」につなげようと政治（政治家）に求め続けることが、日本社会の閉そく感をなくすのではないでしょうか。そして、日本社会を「自分さえよければ他人はどうでもよい」という自己中心主義社会から、「すべての人が安心して暮らせる共生連帯社会」に変えてゆける可能性を開くのではないでしょうか。

自分の目先の損得を考えずに、金銭的・物的資源が十分でない施設などに個人的に援助する人がこれだけいて、そのことがこれだけの感動を呼び、お祭りのような喜びに満ちた報道の連鎖という結果となって現れたのです。ならば、その担税力や持てる富に応じた応分の税金を払い、それを必要とする人々に再分配するという税金の基本的な「再分配機能」を社会全体に徹底させるチャンスだと考えることができます。

私が所属する「世界愛人主義同盟」（笑）が仮に今政権にあって（笑）、私が総理大臣であるなら（笑）、私は「応分の負担による再分配機能」を国民に、そして、何よりも財界に訴えようと想像します。まずは、誰もが安心して暮らせる社会保障、福祉、医療、教育、労働法制を作る。そのために、富める者や法人がその富に応じて多くを負担し、貧しい者はその負担力の範囲で負担をする税制をつくろう、と。

最初は財界の反発を買うかもしれません。しかし、悪魔の税である消費税を上げて一般国民を犠牲にするよりもずっとましです。

それは、担税力の弱いところから優先的に税を強奪してそれを経済強者に移転するという、「消費税値上げと法人税減税とキャピタルゲイン課税緩和の維持」を続けるよりもずっと意味があることです。社会保障は削られ続け、雇用は不安定にされ続け、給与は下がり続けて人々は生活に疲弊しているのですから。仮に私が総理大臣なら（笑）、ぜひそういう仕事に挑戦したいところです。（笑）なによりも、それは日本社会全体を覆う閉そく感を解消することは疑いがない、と何度でも言いたいです。

「タイガーマスク運動を政治にも取り入れさせよう！」と言いたいのです。

そこで個人的に思い出すのは、フランスで1986年からずっと続いている、貧しい人々や失業者に食料を提供する「心のレストラン」という社会運動のことです。過去にこれを全部で8回にわたる連載記事、「誰もが運命のいたずらで仕事や住居を失って明日ホームレスになるかもしれないという思いのもとに」にしてありますが、その中から、この種の社会運動や政策を社会に浸透させるうえでとても大切なことを改めて思い出すことができます。まだこの連載記事を読んでない方にはぜひご一読をお願いしたいのですが（記事のリサイクルにもなるしwww）、ここで言いたい要点をざっとまとめてしまうと、次のようなことです。

この「心のレストラン」は慈善運動でもありますが、社会の富を効率よく再分配することへの挑戦であるという方が適切です。たとえば、余剰食糧を、食料を必要としている人々に最小限の経費で回すことができるように考えて運動をすすめていて、現場の運動の集合なだけあって、現場で援助や運営のアイデアがたくさん出ています。

この運動はもちろん慈善の側面も持っていますが、運動の創立者であるコリューシュ（Coluche）は、人気芸能人であるという自身のキャラを最大限に活用して、企業への援助要請を行い、右派から左派まであらゆる党派の政治家を運動に引き込み、芸能人や有名人まで動員して祝祭の雰囲気と連帯を演出しました。「コリューシュ精神」とでも呼べるそういう考え方はしっかりした実務面とともに、運動の後継者にしっかりと引き継がれています。

運動には困難や問題もありますが、必ず道はあるという参加者の信念に支えられています。ここに手を差し伸べようとする人々の広がりも、フランス全土、あらゆる年齢層に及んでいます。

そして、ゆとりのある人々が一方的に貧しい人々に寄付するというのではなく、寄付する人も援助される人からの精神的に受け取るものがあります。

このような社会運動すべてが、フランス社会に連帯感をかもしだしています。このような社会運動にもかかわらず、フランスの貧困はいまだに解決していませんが、このような社会運動が続いていることそれ自体がフランス社会に良い影響を残し続けていると思います。慈善は偽善だとか効果はないとか論じているよりも、行動が起こされたことが、社会が冷笑主義と無力感におちいることを防ぎ、人々に良い影響を与えているように思います。

（まとめここまで）

運動のボランティアの一人、それも、家族の一人を亡くしたらしいことが文面からうかがわれる人が、運動の拠点に県知事の訪問があったときのことを思い出して書いた一つのエピソードを、『「誰もが運命のいたずらで仕事や住居を失って明日ホームレスになるかもしれないという思いのもとに」（5）　（貧困と闘う、フランスのある社会運動）』で紹介しました。その一部をここに転記します。

県知事は、帰るとき、ここの代表者が私であるというので私と握手しました。彼はこう言いました。
「これらすべて、みなさんにとっては明白なことのようですね。」
「ご存知のように、これは良識の問題なのです。何か問題があれば、解決策を探すものです。」
知事は笑いました。
「すべてがこのように簡単であればいいのですけどねえ！」
私は彼のこの発言を図々しいと感じて、こう答えました。
「簡単であることなどほとんどありません。しかし、なんとか解決策が見つかることもよくあるのです。」
「いずれにしても、援助を必要としている人々のためにみなさんが行っているあらゆることに対しての謝意をお受けください。」
「いえ、援助を必要としている人たちこそが私に多くのことをもたらしてくれるのですよ…」
これは県知事様にとってとどめの一撃でした。彼は私を見ましたが、私の言葉を理解していませんでした。

県知事には決してわからないでしょう。私は彼には言いませんでした。物質的になにも不自由していない私の人生を、生活を、命を「心のレストラン」がいかに救ってくれたかは彼にはわかる由もありません。人が倒れないのを見ることでもたらされる喜び、あるいは、人がしっかりと立ち直るのを見ることでもたらされる喜び。私が「心のレストラン」で出会った多くの友達。チーズを一人分の分量に切り分けながら、あるいはトラックに荷積みを行いながら楽しく過ごした夜。年末の楽しいお祭り騒ぎ。

（引用ここまで）

この種の社会運動が一方的な施しではないということがこれほどよく表現された文章を私はほかに知りません。


長くなってしまいました。まとまりのない文ですが、このへんにして、今回の結論にいってしまいましょう。

◆政治家（国会議員、地方議員）にできること

人や法人がその担税力に応じて税金（所得税、法人税、証券課税、消費税など）を払い、それが弱者に適切に再分配される制度を確立する。

具体的には、黒字企業、特に内部留保をためている大企業の法人税はむしろ上げ、所得税は高額所得者に応分の負担を求め、社会の中で応分の責任を果たすように求める。それが日本社会全体を救うと説く。

◆企業にできること

すでに利益は内部留保という形で積み上がっているのだから、それの一部を活用して雇用を創出すること、給与を上げること、あるいは社会運動への寄付のような形で社会に還元することは企業のイメージにとってプラスになりこそすれ、決してマイナスにはならない。ある意味では、利益を溜め込むだけのケチで冷血な企業だと思われるよりも良い宣伝効果にすらなると考えられる。

そもそも、経済活動から得た富を社会や労働者に還元してお金の流れを作ることこそが、経済効果を生むのだから、富を財界で独占することはかえって経済効果を殺すことを自覚する。

◆個人にできること

身の回りでそれぞれのできる範囲でできることをする。

強欲企業を支持しない。強欲政治を支持しない。富の再分配を政治家に求め続ける。

シニカルにならない。

（まとめここまで）

当たり前の、恥ずかしいくらいに単純な結論ですみません。だけど、当たり前のことを愚直に実行することだけが社会を救うのだという結論にどうしても戻るのです。


関連記事三つをご案内します。

●身近な一歩が社会を変える♪
寄付にまつわる微妙な気持ち
http://newmoon555.jugem.jp/?eid=220

●広島瀬戸内新聞ニュース（さとうしゅういち・主幹）
タイガーマスクと政治
http://hiroseto.exblog.jp/13980823
2011-01-14 12:50

●ススムが進む
タイガーマスク現象を本物の運動に・・・・。
http://blog.livedoor.jp/u_ono_u/archives/52628596.html
2011年01月14日



↑『たかしズム「ネトウヨ、バカウヨ、ネット右翼、恥さらし、売国奴、日本の恥」を語るための、たかしのブログ』さん作。税制についての当秘書課の記事は、「カテゴリ : 税制、税金、財政」から。

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2011-01-17
築地市場「現在地再整備」とまるで異なる「現在地再開発」の構想になぜか東京都の市場運営部門が
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10770834183.html

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身近な一歩が社会を変えるきまぐれな日々の中でそこに存在する良き人生と生活への切実な望みを民主党にわからせるために、低気温のエクスタシーの中のアブナイ日本が壊れる前に、生まれてきて良かったと感じられる社会にしたいけどとりあえずどうしたらいいかkimeraれない人とみんななかよく、イル・サンジェルマンの散歩道のくろすろーどにあるアダージォな午後のカフェの窓辺でお茶にクリーム入れながら、世界の片隅で税制についてのニュースや広島瀬戸内新聞や虹の日記やvanacoralの日記や黙然日記やフランス語の練習帳や「ユニオン」と「労働ニュース」のアーカイブや琉球新報や沖縄タイムスや辺野古浜通信を読んで、沖縄問題と北アイルランド問題を同じように考えてみようと思って、消費税と社会保障と国家予算についてのマスコミに載らない海外記事を1947年教育基本法の理念の今日行く審議会とスーパー小論文ハイスクールとアジア連帯講座と内田樹の研究室で超左翼おじさんと見て、大脇道場と言ノ葉工房と内田樹の研究室と知られざるアフガン・イラク・北朝鮮と日本とカナダde日本語をはげしく学び、はげしく遊んだところで、労働組合ってなにするところだろうとか、どうしたら湯浅誠さんや戸倉多香子さんや保坂展人さんのために団結は力ですくらむ組んで多世代交流のブログ広場の多文化・多民族・多国籍社会で「人として」転がるひよこ豆のように情報流通を促進できるかとか、明日も晴れの空と風と、月と、星のもとで白砂青松の雪裏の梅花やブーゲンビリアや古い寺を多く見て日常で思った事、感じた事をつらつら好き勝手に書きながら国会議員定数削減・比例削減に反対するInternet Zoneのサイバー政治団体秘書のおしごと日誌。
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