わたしの「税の作文」（笑） (2)

　

夏休みの宿題である税の作文を書こうと思って財務省のホームページを見ました。こちらです。

■税制について考えてみよう
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeisei/index.htm

一つ一つ読んで引用しながら、感想を書き出してみました。

（引用）＞『税は、このような公的サービスの費用を賄うものです。みんなで広く公平に分かち合うことが必要であり、まさに、「社会の会費」であると言えるでしょう。』

会費は、生活に余裕がある人がその余裕の度合いに応じて払うものであり、ぎりぎりの生活をしている人からその収入で払える以上の税金を取ろうとすべきではありませんね。

（引用）＞税の三原則 「公平・中立・簡素」

この原則に特に異存はありません。しかし、です。

（引用）＞『公平の原則：　経済力が同等の人に等しい負担を求める「水平的公平」と、経済力のある人により大きな負担を求める「垂直的公平」があります。』

財務省がすすめている近年の税制変更の流れは、経済力のある人や法人の負担をどんどん軽くして、経済力の相対的に弱い人の負担をどんどん重くしようというものです。そのことを財務省はどれだけ意識しているのでしょうか。

（引用）＞『税制は、公的サービスの財源調達機能を十分に果たした上で、社会の活力や経済の発展の妨げとならないよう、社会・経済と調和したものであることが必要です。我が国は、少子・高齢化やグローバル化など、さまざまな構造変化に直面しています。税制においても、「公平・中立・簡素」の基本原則を踏まえながら、こうした構造変化に対応した見直しを進めていきます。』

その「基本原則」のいくつかは財務省や与党によって確実に踏みにじられていますね。

（引用）＞『我が国では、主要先進国でも類をみない早さで少子高齢化が進んでおり、人口の減少と超高齢化社会への移行が始まっています。』

それは、日本では国民の生活が第一とは考えられていないことの結果ではないでしょうか。十分な税金が国民生活を支えるために使われているとは言えないことの結果ではないでしょうか。もっと言えば日本は暮らしにくい社会であり、それを暮らしやすい社会に変える努力が足りないか見当違いの方向に走っているかということの結果ではないでしょうか。

（引用）＞『高齢化の進展に伴い、今後とも、年金、医療、介護などの社会保障の給付と負担は、大幅に増大することが見込まれています。』

で、「社会保障の給付と負担の推移」というグラフが載っているんですけど、福祉も社会保障もバブル崩壊以降充実しているとはとても思えない、つまりけちっていると思えるのに、なぜ「社会保障の給付と負担」が増えるのかの説明はなぜないんでしょうか。

内容を充実させるからそれにかかる金額が増える、というならわかるのですが、けちりつづけているのに「社会保障の給付と負担」が増えると得々と財務省は繰り返します。

十分に説明されていないことがある、と私は感じます。

（引用）＞『「右肩上がり経済」は終焉し、高度成長期のような量的拡大は期待できません。』

だったらなおさら、大企業内に溜め込まれて有効活用されていない内部留保を国民の生活の安定のために分かち合う知恵と実践が必要なのです。

（引用）＞『国際競争が激しさを増す中、財政・税制を考える上でも、経済社会の活力の維持向上の視点は欠かせません。』

この「国際競争」の紋所が目にはいらぬか～。ひかえろお～。爆

「国際競争力」に触れた記事でさんざん書いているように、「国際競争」という言葉に私はだまされません。

「経済社会の活力の維持向上の視点」という言葉の中に、企業、特に大企業への税負担を下げようとする魂胆を感じますが、法人税減税などやって税収を減らしたらまずいですよね。

（引用）＞『歳出・歳入の一体改革：　政府は現在、財政健全化に向けて、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」等に示された方針に沿って、歳出・歳入一体改革の実現に取り組んでいます。』

ジミントー政治は終わったのに、「基本方針2006」ですか？？

（引用）＞『歳出改革を徹底してもなお、対応しきれない社会保障や少子化に伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行なわないようにしなければなりません。』

これもよく使われる言い回しだけど、あまりにも決まり文句であるだけに中身が薄いと思います。「安定的な財源」がたとえば所得の低い層への過剰な負担を加える消費税を念頭に置いているとしたら、それは「将来世代への負担の先送り」と実質的にどう違うのでしょうか？

（引用）＞『税収は、景気の変動や税制改正といった影響により変化しています。全体の約3割を占める法人税の税収は景気動向に左右されやすい一方、約2割を占める消費税の税収は、比較的安定しています。』

最初の文に、「税収は、景気の変動や税制改正といった影響により変化」って書いてありますね。だったらなぜ、続く文章で「全体の約3割を占める法人税の税収は景気動向と法人税減税政策に左右されやすい一方」と書かないかなー。

それから、「一般会計税収の推移」というグラフがついているけど、1990年ごろのバブル崩壊から法人税収が下がって、その後一進一退を繰り返して、2002年からは法人税収はほぼ一直線に増加、...右肩上がり、って言うんでしょうか...、しています。そして、2008年度にはほぼバブル期の水準に戻っています。法人税が利益にかかる税金であることを考えたら、企業、特に大企業は大きな利益をあげていることになります。国民生活がどんどん破壊されて苦しくさせられている間に。

「法人税の税収は景気動向に左右されやすい一方、消費税の税収は比較的安定しています」という一文からは、法人税は下げて消費税を上げたいという思惑（おもわく）が見えます。

しかし、「法人税の税収は景気動向に左右されやすい」ならなおさら景気をよくして大企業に利益を出してもらって、そこにたっぷりとかける法人税を国家予算の安定財源とするべきですね。法人税減税なんてとんでもありません。

一方、消費税は生活にかかるものですから、生活の規模が変わらない限り減りはしません。しかし、税率を上げない限り増えることもありません。そして、税率を上げることは、ぎりぎりで生活している人の暮らしをさらに苦しくするという悪魔の所業になります。

こう見てくると、「法人税の税収は景気動向に左右されやすい一方、消費税の税収は比較的安定しています」という一文の欺瞞が透けて見えるのです。

（引用）＞『法人実効税率（国の法人税と地方税を合わせた企業の税負担率）の水準を国際的に比較すると、我が国はアメリカとほぼ同水準であり、それ以外の先進諸国を上回る水準となっています。ただし、法人の負担水準を考える場合には課税ベースや社会保険料の影響も考慮する必要があります。』

こういう文章の脇に、「法人所得課税の実効税率の国際比較」というグラフがあるのですが、「法人の負担水準を考える場合には課税ベースや社会保険料の影響も考慮する必要」があると言うのなら、その脇に示すグラフをなぜそのようなものにしないのでしょうか？怒

そのようなグラフにすると、社会保険料負担も含めた企業負担は、日本と西欧諸国を比較すると日本の企業負担は決して重くないことがばれてしまうからでしょうか？笑

（引用）＞『我が国の消費税率は、主要国の中では、最低の水準にあります。』

お財務省様は、西欧諸国での、生活必需品にかかるゼロ税率や軽減税率の存在になぜ触れないのでしょうか？怒


...で、お財務省様の結論は「法人税を引き下げて消費税を上げる」ことにしたいというものです。

しかし、いちいちツッコミを入れてきたように、税制について説明されていないことがお財務省様のホームページにはたくさんありすぎます。こんな不完全なホームページを読ませて「税の作文」を書かせようとすることは、百害あって一利なし、です。


このように、お財務省様のホームページを読んでみてなんだか腹が立ってきたので、今回は新しい「税の作文」は書かずに、抗議のために二年前の作文をコピーペーストしてもう一度提出することにしました。笑

こちらです。

■わたしの「税の作文」（笑）
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-847.html

そのほかの、私の税制関係の記事はこちら。

■カテゴリ : 税制、税金、財政
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-category-36.html



↑『たかしズム「ネトウヨ、バカウヨ、ネット右翼、恥さらし、売国奴、日本の恥」を語るための、たかしのブログ』さん作。税制についての当秘書課の記事は、「カテゴリ : 税制、税金、財政」から。

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