犯罪被害者へのさまざまな支援をもっと。 （「billabong」より）

　

私は死刑制度に反対し、死刑廃止を望んでいます。「死刑廃止」カテゴリーの記事で書いている通りです。

そのように言うと、「死刑廃止は被害者と遺族のためにならない」という趣旨の意見が出てくることがよくあります。では、死刑制度は被害者遺族の利益のためにある制度なのでしょうか？死刑制度「だけ」が被害者遺族を「支援」する役割を持っているのでしょうか？

そうではないと私は考えています。

死刑制度は廃止し、それと同時に犯罪の出にくい社会環境・経済環境をつくる努力をし、それと同時に犯罪被害者と被害者遺族への支援制度をさらに充実させるべきである、と私は考えます。

なぜなら、死刑制度だけに犯罪被害者と被害者遺族への支援の役割を持たせようとする考え方は、犯罪被害者と被害者遺族への本当の支援にならないと考えるからです。（なお、過去の記事で、犯罪被害者の親族の方からのコメントと対話をしたこともあり、犯人を死刑にすることを望む親族の感情も私は理解します。しかし、死刑制度にかかわる論点は遺族の感情だけではないので、遺族の感情を理解しながらも、死刑制度の存置に賛成はできないのです。）

そこで、犯罪被害者への支援とはどうあるべきかについての記事を、あずーるさんのブログ「billabong」から抜粋します。

●billabong
犯罪被害者の権利と回復と犯罪をおこさない社会にするために
http://www.mypress.jp/v2_writers/wallaby97/story/?story_id=1686266
2008年12月17日

４．犯罪者、犯罪被害者、それ以外の普通の人にも手軽に精神的なことについて相談できる専門機関をふやす

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私は死刑には反対ですが、犯罪被害者についても金銭的にも精神的にもケアがもっと必要だとおもっています。

冤罪とおなじで、犯罪被害者にされたり家族がまきこまれる可能性はわたしたち誰にでもあるのですから。

で、たまたまビックイシュー
http://www.bigissue.jp/index.html

ボンジョビの表紙の81号07年10月15日を読んでいたら特集で「悲しみ、絶望からの帰還ー犯罪被害者の権利と回復のために」という記事がありました。

下記に抜粋しておきます。

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P12-21

■「これくらいでへこたれてどうするんよ」と自分を痛めつけてきたので、自分をほめることができないんです


負わされた全身90％のやけど。
そして治療費（400万以上）請求される

94年2月、当時22歳だった岡本真寿美さん（長崎在住）は、職場の同僚のAさん（女性）と交際していた加害者（男性）にAさんのお客であったBさん（男性）の住所を聞かれ、わからないと応えた。すると、突然何の理由もなく、4リットルのガソリンをかけられた上、ライターで火をつけられたのだ。・・・・

治療費の支払いをめぐって医事課の執拗な請求が続く中、思い余った真寿美さんの両親は、高額の治療費のために、生活保護を申請。

だが、当時の保護課の担当者は、「犯罪にまきこまれているのだから、加害者に請求すればいい。生活保護を受ける必要はない。」と拒否。

真寿美さんの父親や兄は仕事を休んで奔走する。
・・・最終的には申請が通ったが、入院から申請するまでの最初の2ヶ月間は最後まで認めてもらえなかった。・・・

生活保護が支給されているあいだ医療費は無料になるが、なくなると自己負担になる。・・・

「あなたみたいな犯罪被害者がこの街にいたら、この街まで被害にあうから、受け入れられない」と生まれ育った街の役所の担当者は保護をうち切った。

やむを得ず真寿美さんは、退院後の3年間、隣町にすむ祖母と同居して生活保護をうけ、98年にやっと自分の生まれ育った街に戻る。

しかし、生活保護が定める基準は画一的・・・

やけどで発汗作用が十分でない真寿美さんに夏のクーラーは必需品だが、それさえも贅沢品だと言われ、脱水症状で病院に駆け込んだ後ようやく認められた。

加害者の訪問を恐れる真寿美さんには2ヶ月に1回の担当者の予告なしの自宅調査も苦痛をもたらした。

さらに退院してからも、医事課から解決していない治療費の督促がくる。
「病院はウソのカルテまで作ったんです。私と同じような犯罪被害にあった人がいて、刺されて重症でこの病院に運ばれたけれど、治療費は、その人が全部払ったと言われた。

その方がどういう支払い方法をしたのか、教えてくださいといったら、結局そういうカルテはないと白状しました。」・・・

「ムリをすると皮膚がやぶけ化膿して、即その日に入院というのが、日常茶判事だったんです。精神的にもボロボロの状態で、家族もどうしていいかわからない。どこにも訴える場所がなかったんです。1日1日どう生きていくのかが、精一杯だった。1日が本当に地獄でした。」・・・

6年後刑期を終えて出所しているはずの加害者から家族の安全を確保すること、真相を究明し加害者に何らかの補償を求めたいことから、民事裁判について弁護士などに相談をしたが、加害者に支払い能力がないという理由でとりあってもらえなかった。

孤立無援のなか、２千年１月、新聞で「全国犯罪被害者の会」（あすの会）を知り、・・・
これまでの苦しみや思いを話すことのできる仲間と出会う。・・・

テレビに出たことで・・・
「人の噂も75日といいますが、75日以上あったような気がしますね。いつまで、この噂は続くんだろうと。
・・・友達は失う。仕事もなくす。住所も失う。生活費もなくす。信頼する人もいない。ところが、真実を訴える場所をいただいたことで、わかってくれる人がでてきました。テレビを見て、手のひらを返したように変わった人もたくさんいるんです。」・・・

（あずーる：私が真寿美さんのような被害にあったら、自殺していたかもしれない。）

■憎しみだけでは生きていけない。でも今も２つの時間を生きている

　　高校１年生の長男（聡至さん）を少年10人の集団リンチでなくした高松由美子さんは自身の体験をもとに、今日も被害者遺族の裁判傍聴支援を続けている。

（あずーる：自分が、このお母さんのような立場になったら加害者を同じ目にあわせて殺してやりたいと思うに違いない。）

・・・「なんで加害者に家の敷居をまたがすんや？とも言われましたが、聡至の写真、遺骨を加害者に見せ、私達も加害者を見続けるということしかなかったんです。

聡至が非行から立ち直って、僕は農業すると言った矢先のことやから、頑張って生きていくというのを聡至の前で約束してほしいというのがあった。地域も一緒だし、それしかなかった。

それでやっと高松さんの気持ちがわかったという人もいます。悔しいけれども私達にはそれしかない。私らは見続けることで、あの子らは何もしないだろうと。再犯させない、被害者を増やさないことを言い続けることしかないと思います。」・・・

★NPOひょうご被害者支援センター
犯罪などの被害者および家族にたいする支援を行うことを目的に設置された民間の被害者支援団体。電話相談、面接相談を行う。遺族、弁護士、精神科医、臨床心理士などが活動をバックアップ

●電話相談　火、土曜日（祝日を除く）
　10時から16時　TEL:[phone]
●面接相談（予約制）
　毎月第2・4金曜日（祝日を除く）
　13時から16時

■背負った悲しみや苦痛、それを伝えることは新しい生、犯罪予防につながる

窃盗で奥さんを人質にとられ、銀行口座から数百万ひきだされたが、奥さんは殺されマスコミの過剰報道で被疑者2人を自殺においやられた高橋さんの例

★おかやま犯罪者サポート・ファミリーズ
犯罪、交通死などの事件、事故、自死、突然死などで大切な人を失った人のためのわかちあいの場を岡山市内で開催（毎月第3土曜日）
また電話相談も行っている
（毎週土曜　午前10時～午後4時
　　TEL:[phone]）

■「あすの会」顧問弁護士、高橋正人弁護士にきく

・・・
裁判がおわっても、後遺症や、家族を失った悲しみに終わりはない。国は、被害者が死亡した場合、見舞い金として遺族給付金を支払うが、その金額は20歳前後の死亡に320万円、50歳前後で1573万円くらいだという。
・・・

1級の障害者が介護人を雇うには最低でも年間500万円程度はかかり、20～60歳の40年間だけでも2億円が必要です。しかし、被害者が20歳前後だと、支払われるのはトータルでもおよそ500万円くらいで、これですべてです。
・・・

ドイツの場合
被害前後の年収差額の42.5％を一生涯、年金方式で払っているし、さらに、これとは別に介護費用はすべて国が負担することになっている。

「ドイツでは、国家は市民から武器をとりあげたのだから、市民を犯罪から守る義務があると考えています。犯罪が起きた場合、国家が責任をはたせなかったと考え、国家が賠償するのです。」

犯罪被害者に支払われた補償額（年間）
＊あすの会調べによると
ドイツ：352億円
フランス：779億円
米国：233億円
日本：11億円

（引用ここまで）

犯罪被害者に支払われた補償額の、日本と米独仏との間の違いが印象的です。犯罪発生数は日本の方が低いという点や、各国の人口比の違いなどを考えに入れるとなおさら、日本は犯罪被害者への支援をとことんけちっているとしか思えません。死刑制度が犯罪被害者やその遺族のためのものであるという説明がむなしく聞こえます。

「billabong」ブログのこの記事は、「死刑FAQ」に入れました。


犯罪被害者、犯罪被害者遺族への支援に触れた当秘書課広報室の関連記事はこちらです。

■犯罪被害者遺族が本当に必要とすることって何だろう。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-439.html

■「被害者支援」と「死刑廃止」の連帯　（アムネスティの資料から）
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1201.html

■犯罪被害者支援施策の周知と改善と充実を
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1742.html



↑『たかしズム「ネトウヨ、バカウヨ、ネット右翼、恥さらし、売国奴、日本の恥」を語るための、たかしのブログ』さん作

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2010-07-16
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ＜10＞（公金支出返還訴訟と汚染問題解説）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10591706916.html

■2010-07-19
おさらい：なぜ築地市場の官製地上げ（組合潰しと各種デマ）とその後に来る物流支配が危ないのか
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10594605064.html

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