旗をめぐる「礼儀作法」 （オーストラリアのアボリジニの旗を例に） （「壊れる前に…」から）

　

「旗」をめぐる「礼儀作法」とは何か、ということを考えさせられる話を「壊れる前に…」のうにさんが紹介しています。オーストラリアのアボリジニの旗をめぐる話です。

●壊れる前に…
先住民族の旗
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-5501.html

Aboriginal flag row erupts in Tasmania - オーストラリアのタスマニアでは今年、州議会の会議場の議長席の後ろに先住民アボリジニの旗が掲げられることになった。しかし、それに対し、この水曜日、強い反対の声が上がり、議場の傍聴席は騒然となった。

旗を掲げることに反対しているのは、他でもないアボリジニの人たち。この議場では、アボリジニを搾取する法律がたくさん作られた。その「彼ら」の場所に自分たちの旗を掲げられるのは許せない、という主張だ。

旗を掲げるというきれいごとでは、相手を尊重し、負の過去が帳消しになるわけではない、という教訓のような話。

（引用ここまで）

「旗を掲げて旗に礼をすることだけがどんな立場・思想のどんな人にとっても『礼儀作法』であり、それ以外のすべては『礼儀作法』ではない」という単純二分化思考、別名「1ビット思考」の人には決して理解できない話でしょう。

白人系オーストラリア人の中にもオーストラリアの旗とアボリジニの旗についていろいろな考え方はあるでしょう。アボリジニの中にも、ひょっとしたら「アボリジニの旗が議場に掲げられることは良いことだ」と考える人もいるかもしれません。（いないかもしれません。）簡単に言うと、人それぞれ。たった一つの絶対的結論なんてないのです。だからこそ、「『旗』を使いたい人（国家）が、いろいろな立場・思想のいろいろな人の意向を無視して、『自分だけ（国家だけ）』の基準で他人に押し付けること」は一方的で自己中心的な行いといえます。

このように、「旗」への特定の態度や恭順を強制する人がしばしば持ち出す口実である「礼儀作法」とは、双方向的・多方向的な合意をつくることにつながることは決してなくて、自分のただ一つの都合や好みをすべての他人に強制することにすぎない、はっきり言ってしまえば一方的な暴力である、ということをこのアボリジニの旗の件は象徴的に教えてくれるように思いました。

うにさん、示唆に富む記事の紹介をありがとうございました。



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