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証言は証拠にならない?(不定期連載『決まり文句を疑う』)

「証言は証拠にはならない」ということを特に歴史論議の時に決まり文句のように持ち出す人がいます。ネトウヨコメントと呼ばれるものの中でよく観察されます。たとえば、自称「『性奴隷(従軍慰安婦)』の証言は証拠にはならない」というような言い方です。その理由は、彼女たちの証言が信用できないからだそうです。

でも、「証言が証拠にならない」なんて、変ですね。ちょっと考えてみます。

まず、「証言」とは何か、辞書で調べてみました。

「ことばである事実を証明すること。また、そのことば。証人の供述。」(広辞苑より)

「証言は証拠にならない」と歴史見直し主義者が発言したら、それはひとつの証言です。で、「証言が証拠にならない」というのが本当なら、「証言は証拠にならない」という歴史見直し主義者の証言こそが証拠にならないことになります。爆

つまり、「証言は証拠にならない」というネトウヨコメントは、自分で自分の主張を否定する、「オウンゴール型」に分類されます。(なお、それ以外のオウンゴール型は、長々とコメントを開陳しているうちにだんだんつじつまが合わなくなってきて空中分解する、というスタイルです。)

まあ、こんな簡単な「証言は証拠にならない」という主張はあまりにもお粗末ですが、もう少し考えを続けます。

「証言は証拠になる」わけですが、数ある証言の中で一部に何らかの誤りが含まれていたとします。100の証言のうち、たとえば5つが誤りであったとしましょう。5つが誤りであったからといって残りの95も誤りであるとか、これらの証言が語る事件全体が虚構だとかいうのは誤りです。

証言を一つ一つつき合わせてそれらがなす全体像に矛盾がなければ、それらの証言が語る事件はあった、ということになるわけです。

「証言一般」が証拠になるかならないかという一般論と、特定の証言が証拠として証明力を持っているかどうかという個別論とを都合よく混同するのは歴史修正主義者のいつもの手段。

また、「ある特定の」人の証言に誤りがあるから「すべての」人の証言全体も誤りであるという論理の飛躍も歴史見直し主義者のいつもの手段。

十分に気をつけようと思います。

さて、今世界中から非難されているのは、日本が従軍慰安婦を強制的に、あるいはだまして徴用した、とか、沖縄での自決は軍による強要であった、ということ以前に、その歴史的事実を上のような粗雑な主張でくつがえそうとする歴史見直し主義であり、それが手を変え品を変え文部科学省や自民党や保守マスメディアから繰り返し繰り返し出てくることではないでしょうか。

何度謝罪しても、その謝罪をくつがえす動きがひんぱんに定期的に出てくるなら、その謝罪は何度繰り返しても誰からも信用されなくなる。簡単なことだと私は思います。

日本の歴史見直し主義者は「日本は何度謝ればいいんだ」と思っているのでしょうが、元従軍慰安婦だった被害者や、日本以外の世界は「日本は何度謝罪をひっくりかえすんだ」と思っています。日本が形だけの謝罪を繰り返す一方で裏では「謝罪なんかする必要はない」とぶつぶつ言い、定期的に繰り返し謝罪を取り消そうとしていたら、まさに、日本の謝罪のことばは謝罪の証拠としては信用できないとみなされるでしょう。

歴史見直し主義者やネトウヨが必死に従軍慰安婦や沖縄の自決における「強制性」を否定すればするほど日本はみっともない姿をさらすのです。歴史見直し主義者が「強制性」を否定すれば「そうか強制性はなかったのか、では日本は免罪だ」と世界が考えてくれるわけではないのです。

日本の過去に過ちがあったことが世界から今非難されているというよりも、それに真摯に向かい合わずに今もごまかそうとしている態度が非難されているのです。

日本が過去の悪行に真摯に向かい合い反省することこそが日本をこの歴史認識の泥沼から救ってくれるのです。

もし歴史修正主義者がこれを読んでいたら、わかってくれるでしょうか...。



6件のコメント

[C245]

歴史を修正しようとする人たちには多分分かってもらえないと思うけれど(なぜって、唱道する人たちは分かっていて意図的にしているし、追随する人たちは、何かに囚われていて、修正することで心が安らぐんでしょうね)、私はすごく納得します。
  • 2007-04-02
  • 投稿者 : とむ丸
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[C249]

『反省するならサルでもできる。具体的に誠意を見せろ。』
とは良く言いますが、日本社会ではこの『誠意』と言うのは賠償金であることがほとんどです。

この『誠意』から逃れるために、歴史修正主義者たちは原因そのものを無かったことにしたいのではないでしょうか?

中国は国家賠償を放棄しましたが、個人による賠償金請求は止むことなく続いていますから。
  • 2007-04-03
  • 投稿者 : KY
  • URL
  • 編集

[C253]

ふらっとたちよったのでかきこみます 論点がずれてたらすみません

歴史を考察する上で証言は単なる参考なんじゃないでしょうか?
その証言に関連する物的ななにかが出てきてはじめて歴史的に(68%)あったかもしれない事柄になるわけで、、

例としてドイツの考古学者 シュリーマンのトロイアの遺跡の発見などがあげられるんじゃないでしょうか?
彼がその遺跡を見つけることによってある種の歴史的参考(証言)であったイリーアスにでてくるトロイアの記述は歴史的にあったかもしれない事柄になったわけです

大事なのは歴史解釈(参考による)と歴史的物的証拠に基づく年代記を分けて考えることなんじゃないでしょうか 

じゃあさよなら
  • 2007-04-04
  • 投稿者 : maxilliped
  • URL
  • 編集

[C268]

はじめまして。

証言の証拠能力についてですが、立証責任という概念が重要です。通常、ある人が真実を申し立てている場合、特に疑う理由の無い限り、その証言は証拠能力を持つと考えられます。(誰かが何かを主張しているとき、理由無く嘘だと決めつけるのは、明らかにおかしいですよね。)だから、ある人の証言を疑うことを主張する人は、疑うべき理由を提示しなければなりません。このとき、その理由について疑うべきであることを主張する人は、立証責任を持ちます。簡単に言えば、疑うべき理由が正しい根拠に基づいていることを示さなければなりません。多くの場合、慰安婦の方たちが嘘をついている、と主張する人の多くはこの立証責任を果たさずに、慰安婦の方たちが、自身の証言が真実であることを立証することを要求することがあるように思われます。しかしこれは、上記の理由から正当な主張ではなく、最初の証言の証拠能力を損なうことはできません。だから、ある証言があって、それを覆すべきいかなる合理的な理由も見つけられないときは、それ以上の根拠付け(物証の要求など)は合理性を欠くものです。
  • 2007-04-08
  • 投稿者 : (無記名コメント)
  • URL
  • 編集

[C3313]

慰安婦の頭目・李容洙(イ・ヨンス)の証言の変化

1993.10 「証言 強制連行された朝鮮人軍慰安婦たち」 その男の人は四十歳ちょっと前ぐらいに見えました。 国民服に戦闘帽をかぶっていました。(←「日本兵」とは言っていない) もう他のことは考えもしないで即座について行くことにしました。(← 明らかに、「強制」ではない!ところが、年月を経て証言が、大きく変化しています。 )
2002年6月26日 「しんぶん赤旗」
「14歳で銃剣をつき付けられて連れてこられた」
2007年3月6日  フランス「ルモンド紙」インタビュー 「日本兵がひとりいて、わたしを捕まえ、力ずくでわたしを連行したのです」
2007年4月27日 「asahi.com」記事
「私は15歳の時に拉致された」
2007年4月28日 「ハーバード大学」で行った講演
「16歳の時に強制連行され、2年間日本兵の慰安婦をさせられた」 (2008年04月15日 22時58分35秒)

これでも強制性を信用せよと?
  • 2008-04-15
  • 投稿者 : 彩雲
  • URL
  • 編集

[C3314] >彩雲様

http://ameblo.jp/scopedog/entry-10033353314.html
http://azuryblue.blog72.fc2.com/blog-entry-131.html
http://anemonefish.cocolog-nifty.com/osakana/2007/06/post_64d6.html
http://anemonefish.cocolog-nifty.com/osakana/2007/06/post_0b5d.html
http://anemonefish.cocolog-nifty.com/osakana/2007/06/post_c650.html

たとえばこれらをお読みください。

では、あなたは自分の過去のことを年月まで完璧に覚えているのですか?70歳になったとき、15歳の頃のことを正確に思い出せる自信がある、と?

記憶違いがあったら、事件全体が存在しなかったことになるのですか?

あなたの書き込みはネトウヨコメント分類学でいうと、「嫌韓本コピペ型」と「耳栓装着ワンポイント連呼型」の混合型かな?
  • 2008-04-15
  • 投稿者 : 村野瀬玲奈
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