「成功者」たちへ

繁栄を謳歌するカメラ、プリンターメーカーの会長。

安い労働力を操って繁栄を謳歌する人材派遣会社の社長。

税金をどんどん自分や身内のために使う一方で、自分の立ち上げた銀行は赤字を記録していることに責任を感じている様子がとぼしく、それでいて、大型ショッピングセンターが近くにできたために売り上げががた落ちして生活が苦しくなった小売店の老夫婦について「ビジネスモデルが悪い」と評する地方自治体の首長。

あなたたちが「成功者」であるのは、偽装請負で労働者を非常に低い賃金で使う仕組みを作り、それを最大限に「利用」したから。あなたたちが「成功者」でい続けられるのは、自分のことを棚にあげてふんぞり返っていられる「特権」を使っているから。

以前聴いた洋楽の曲にこんな文句がありました。曲名も覚えていないのですが、歌詞の中のこの三行だけは鮮やかに覚えています。（曲名、アーティスト名がわかる方はいますか？）

「きみは中産階級であることを誇り
自分の生活は自分でまかなっていると言う
でも、きみは自分の使う石炭さえ自分で掘ってはいない」

成功をつかんだ人たちへ。あなたたちの成功はあなたたち一人「だけ」の手柄ではなく、あなたたちに直接的、間接的に協力した人たちの力に「も」よるのではないのですか。

あまりほめられない手段で得た成功、あるいは他人の献身のうえで得た成功を独り占めし、その蜜を存分に吸いながら、自分の成功が「たまたま」のものであるという感覚を一片も持たず、自分の成功の果実を社会や他人に分け与える気持ちを一片も持たない「成功者」たちは、文明がもたらした最も悪しき有害な存在ではないかと畏れながら申しあげます。