「悪徳ペンタゴン」という植草一秀さんの言葉が示すもの

　

「悪徳のペンタゴン（五角形）」という言葉を初めて使ったのは植草一秀さんだったでしょうか。この言葉を初めて聞いたときに、これはなかなかうまいフレーズだと思いました。孤立した五つのグループがただ寄せ集まったのではなく、それぞれが協力関係や共通の利害によって緊密に結びつき、全体としてただ一つの悪徳組織のように機能している、というイメージ。

●植草一秀の『知られざる真実』
「政・官・業・外・電=悪徳のペンタゴン」との闘い
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_ec32.html

「政治屋（政）・特権官僚（官）・大資本（業）・米国（外）・御用メディア（電）」＝「悪徳のペンタゴン」が国民を誘導して政権交代を阻止し、既得権益＝悪徳権益の甘い蜜を独占しつ続けようと企んでいる。

福田政権は予想通り、消費税の２００９年度引き上げ見送りの方針を固めた。「電」は電波＝御用メディアと御用言論人の「電」である。

自民党の最大の目標は「政治権力＝既得悪徳利権の死守」である。「政治屋・特権官僚・大資本・米国」が「御用マスメディア・御用言論人」を支配して世論誘導を図る。

政治屋は国民の幸福など考えたことがない。政治屋にとって政治は自己の利益を満たすものでしかない。彼らは「目的のためには手段を選ばない」。

「郵政民営化」は小泉元首相の私的怨念（ルサンチマン）、銀行業界の熱望、米国の対日金融収奪戦略の「三位一体」の意志によって推進された「官業払下げ」である。

詳しくは『知られざる真実－勾留地にて－』第一章「偽装」２６「露見した郵政米営化の実態」を参照いただきたい。

（引用ここまで）

与党と財界はお互いに持ちつ持たれつの関係にあって、財界は与党に献金し、その見返りとして与党は法人税を下げる政策をおこなったり労働者をクビにしやすくする労働法制をつくったりします。

マスメディアはそれ自体が大資本でもあり、与党と仲良くなりながら与党の宣伝のような記事で紙面を埋めます。自民党と読売新聞の関係がわかりやすいでしょう。かつて自民党総裁をつとめた中曽根康弘氏と読売新聞社主の渡辺恒夫氏は友人関係があることがよく知られています。読売新聞は政治を監視するどころか、自民党の方針に沿った改憲案などを独自に発表して、自民党政治の重要な応援団をつとめました。政治とマスメディアが露骨に結びつくというのは、国家の政策を放送局が批判的視点を持たずにそのまま伝える中国や北朝鮮の体制を思わせます。そのような体制のもとでは、マスメディアが政治を監視するなどということはありえないことになります。つまり、自由主義ではないことになります。放送局の認可権などを政治が握っていることによって、放送局は与党の忠実なしもべになることでしょう。

同じような力関係はアメリカと日本の間にも言えます。長い歴史の中で、政治レベルでも個人レベルでも日本はアメリカの対日政策にはっきりとノーを言えない状態になっています。

あちこちにこのような協力関係や支配関係の網がはりめぐらされ、それが一人一人の個人の自由や民主社会を息苦しくさせる社会構造をつくりあげています。それを植草一秀さんは「悪のペンタゴン」、つまり「悪の五角形」と呼んだのであると私は解釈しています。なかなか効果的なフレーズだとも思います。

ただ、それだけでは足りないと思います。違憲判決を下された「イラクへの自衛隊派遣」政策を推進した政府の責任者が与党によって最高裁の裁判官に任命されました。驚くべきことでとうてい許すことができません。政治が司法の最高責任者を指名するところからくる政治と司法の癒着です。司法の最高責任者が政府寄りになれば、一般裁判官はそれに楯突く判決を出すことはできなくなります。出世という餌があるために、裁判官は行政の誤りを糺す判決が出せない傾向があることは実際によくあるケースです。

そうなると、五角形ではなくて、実際は六角形、「悪のヘキサゴン」と呼ぶべきなのかもしれません。

植草さんのブログには、手の五本の指を五つの「悪」に対応させたマッド・アマノ氏の戯画が載っていますが、そこに、「司法」というもう一本の指を加えて六本指の怪物の手にでもしたらどうかなとも思ってしまいます。

この「悪のペンタゴン」...私にとっては「悪のヘキサゴン」ですが...の網の目を切るためには、政治家の選び方に気を付けること、頻繁に政権交代をさせること、が国民から直接できる最強のアクションです。それと同時に、違憲と判断された政策をすすめた責任者が裁判所の最高責任者になるような馬鹿げたことを最高裁裁判官の国民審査で退かせることが求められます。

個々の政治家や裁判官という人物が最初から根っからの悪人なら国民にとって救いはありません。しかし、根っからの悪人はいない、人が各々の利益や安楽を求め、人の集合体としての会社や団体が各々の利益や安楽を求め、その中でできあがってゆく社会の構造の中で、人間の中のエゴイズムが拡大した結果としてあこぎな経営者団体のトップが出現したり、官僚による天下りがいつまでも保持されたり、違憲判決をくだされた政策の責任者が裁判官になったりということが生じるのだとしたら、あるいは、もともと特に権力欲や財産欲が強い者たちが特にそのような社会構造の中で上昇・出世していきやすいのだとしたら、望みはあるかもしれません。

そういう倒錯した社会を改め、悪のペンタゴンだかヘキサゴンだかを壊すことができるのは、怪獣をやっつける超人やスーパーロボットでもなく、機関銃で敵を一掃するランボーでもなく、葵の御紋で悪人をひれ伏させる水戸黄門でもなく、働く気のない失業者という虚像を作り上げてそれと戦うふりをする升添要一氏でもなく、右翼の暴力行為に味方して悪のカナダ人（？）を取り調べる警察でもなく、名もない私たち一人一人の毎日の言動なのだと思うのでした。

そのような倒錯した社会の悪のペンタゴンの各辺を一つ一つ切っていく、その絶好の機会が選挙です。

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2009-08-18　転載： 衆院選公開質問状　築地市場現在地再整備の賛否（NPO法人「市場を考える会」のブログから）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10323170781.html

■2009-08-22　解説動画テキスト版：豊洲新市場予定地の汚染・地質問題まとめ（8/11提訴記者会見でプレスに配布）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10326040360.html

■2009-08-25　築地東卸組合で意図的と思える未払い利子発生というグレー（ブラック）な決算書が強制通
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10327962637.html

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自公チュー政治に「ノー」を言った後、「その代わりに望む政策をどしどし民主党に伝えよう」ミニキャンペーン中で、そこに存在する転がるひよこ豆を食べてクリーム入りの午後のコーヒーを飲みながら、消費税と社会保障と国家予算についての知られざる真実を大脇道場で学んで、多世代交流のブログ広場の中にある世界の片隅で税制についてのニュースを読んで、労働組合ってなにするところかとか、どうしたらみんななかよく多文化・多民族・多国籍社会で「人として」情報流通を促進できるかとか言ノ葉工房の浮游空間で思考して、壊れる前に人生を美しくしたくてフランス語の練習帳や「ユニオン」と「労働ニュース」のアーカイブに日本民主化の思いを書き綴りながら、とりあえずアブナイ日本で福田衣里子さんや保坂展人さんや志位和夫さんや糸数けいこさんや戸倉多香子さんたちの活躍を祈る、一寸の虫にも五分の魂のサイバー政治団体秘書です。
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