海賊対処法成立の後に、「海賊対処法」推進側・「自衛隊派遣」推進側にこそ必要なこと

ソマリア沖海賊への対応を理由にした海賊対処法（海賊新法）にあらゆる角度から強い疑問を投げかけるために、『海賊新法の問題点を指摘することをやめません　（「労働組合ってなにするところ？」ブログから）』という記事をはじめとするいくつかの記事を出してきました。

さて、東京新聞の2009年6月20日の社説がこの海賊対処新法について重要な指摘をたくさんしています。いつまでもインターネット上にあるかどうかわからないので、全文メモさせていただきます。私が今までの記事、たとえば、「ソマリア沖海賊関係の記事への軍事優先主義的コメントに答えます」で箇条書きにしてみた問題意識や、「日本政府のソマリア支援の国連分担金の扱いのぞんざいさ」で書いた点など、重要だと私が強調したい点には下線を引きました。

●東京新聞　(TOKYO Web)
【社説】海賊法成立　外交的努力が肝要だ　2009年6月20日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009062002000086.html

　ソマリア沖で海賊対策に従事する自衛隊活動の新たな根拠法が成立した。政府は活動の実効性アップを期待するが政情安定化へ外交的努力を傾注することが肝要だ。あとは自衛隊にお任せでは駄目だ。

　衆参ねじれ国会下で、もはや見飽きた光景である。政府提出の海賊対処法が参院本会議で否決後、衆院本会議で三分の二以上の賛成多数で再可決の上、成立した。

　自衛隊の海外派遣に当たっては、幅広い勢力の賛同があるのが本来望ましいのに、与野党は修正合意へ汗を流さなかった。迫る総選挙を前に、国会審議が消化試合と化したのは遺憾である。

　政府は三月、自衛隊法に基づく海上警備行動発令で海上自衛隊の護衛艦二隻を派遣。十八日までに二十八回、計八十七隻の日本関係船を護衛する一方、対象外である外国船救助に六回出動している。

　新法は、海賊対策のための自衛隊派遣を随時可能にした上で、外国船も護衛できるようにし、武器使用も一部緩和して海賊船への船体射撃のケースを認めたのが柱だ。これまでの活動の制約を一定程度外して「各国と連携して海上の安全と秩序の維持を図る」（麻生太郎首相）方針という。

　国際貢献が重要なのは論をまたない。が、留意しなければいけないのは、それに伴って平和憲法の「枠」が緩んでいる点だ。自民党防衛族には、今回の新法を発射台に、今後の海外活動の範囲や武器使用権限のさらなる拡大を狙いたい思惑もうかがえる。

　なし崩しに安全保障政策が変容することがあってはならない。その観点からも国会はチェック機能を果たしているのか。

　ロケット砲などを備える海賊との銃撃戦が発生すれば、死傷者が出かねない。自衛隊員には危険の伴う任務となる。ただ、各国海軍の「力」の対応が真の解決にはつながらないことは、今年の海賊発生件数が既に昨年を上回っていることが容易に物語っている。

　軍事面以外の取り組みが重要だ。その分野こそ、日本の出番ではないか。海上保安庁が主導して、マラッカ海峡の海賊を一掃したノウハウは積極活用したい。沿岸国支援も当然だ。何より海賊発生の根源ともされるソマリア情勢の治安改善を、各国とともにどう進めるのか、日本外交の地力が問われる局面である。

　「出口」の見えぬ自衛隊派遣だ。いつまでも続くようでは、政治は無策ぶりをさらすことになる。

（引用ここまで）

憲法第9条との関係や、専守防衛の原則をはずれることや、海自と海保の役割のことなど、いくつかの点を特別に問わないとしても、「海賊対処法」推進側・「自衛隊派遣」推進側は当然、次のことを考え、実行する重い責務が確実にあります。（そういう責務があるのに、「海賊対処法」推進側・「自衛隊派遣」推進側にはそれに全くと言っていいほど無頓着であることも、私がこの「海賊対処法」に全く賛成できない理由でもあります。）

それは、自衛隊派兵は、国民の税金から行われるということです。つまり、際限ない期間にわたって大規模な派兵を続けることはできません。社会保障にはお金がかかるから安定財源が必要であって消費税増税が必要だと主張する人の「決まり文句」（笑）を皮肉を込めて使わせてもらうなら、「その『派兵』、安定財源はどこから出るんですか？」（笑）ということです。かかった費用と効果の検証が定期的に必要です。

ところが、日本政府・自公与党はこういう出費とその効果については国会で検証する気が全くないのです。この「海賊対処法」にはただ自衛隊を海外に派兵したいだけ、という動機しかない、と私が考える理由の一つです。

日本政府は、この自衛隊派兵が侵略的戦争を自ら行ったり参加したりするためのものであるとか、この自衛隊派兵が永久に続くことは正常な状態であるとか言うとは思えませんから、かかる費用（税金！）とその効果を隠すことなく堂々と説明できるはずなのです。しかし、政府・自公与党はもとより、自衛隊派兵にだけこだわる人も、費用と効果を検証しながら引き際をきちんとしよう、という考えをきちんと主張できる人は皆無に近いのです。自衛隊派兵という名の軍事優先主義思考には、金銭管理感覚、税金を払っているという主権者感覚が致命的に欠けているということの証明だと思います。

自衛隊派兵に強くこだわる軍事優先主義の方々は、しっかり日本政府を監視する重い責務が確実にあると私が思う理由です。

私は東京新聞の社説を引きましたが、「労働組合ってなにするところ？」のみどりさんは、毎日新聞の社説を引きながら、別の観点からですが、海賊対処法の適用は引き続き監視し続けなければならないと訴えています。その通りだと思いますので、こちらも引用させていただきます。（毎日新聞の社説の部分はリンク先でどうぞ。）

●労働組合ってなにするところ？
海賊対処法の適用は監視され続けなければならない
http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10286923120.html

新法が成立してわずか４日後に、もう新法に対応した護衛艦を派遣することが可能であるというのが自衛隊の現状です。日本が武力を行使し、殺し殺されるという事態が遠からぬ将来に起こってしまうかもしれません。

こうした動きが進んでいくことに、私たちは鈍感であってはならないと思います。

そして、何処かでこの流れを塞き止め、私たちが殺し殺されるような日本になってしまうことに歯止めを掛けなければならないと思います。

何度も言ってきたことですが、ソマリア沖に派遣される自衛隊員も、ソマリア沖で海賊行為を行なっているソマリア人も、私たちと同じ”庶民”です。こういう言い方を挑発的だと感じるならば、私たちと同じ人間ですと言い換えてもいいでしょう。自衛隊員の方たちは”私たち庶民を守るために犠牲になるべき特別な人たち”ではありませんし、ソマリア沖で海賊行為をしているソマリア人たちは”殺されて当然の特別な人たち”ではありません。

私たちと同じ人間が殺し殺されることを”解決法”として安易に受け入れることをしてしまっては、私たち自身も殺し殺されることから逃れられなくなります。

自分自身が殺すことも殺されることも嫌だと思う以上、私は他の方法を採るべきだと言い続けたいと思います。

（引用ここまで）

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2009-06-20　【転載熱望】 築地市場移転反対請願署名が始まっています
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10284114228.html

■009-06-24　都議選候補への公開質問状（築地移転賛否）結果：自民はほぼ無回答、公明は一括賛成
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10286301069.html

■2009-06-28　築地市場移転反対デモ「壊すな築地６．２７東京大行進II」のご報告
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10288899418.html

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人気blogランキング（政治部門）（←よかったら押してね）に参加しながら自公チュー政治に「ノー」を言った後、「その代わりに望む政策をどしどし民主党に伝えよう」ミニキャンペーン中で、そこに存在する転がるひよこ豆を食べてクリーム入りの午後のコーヒーを飲みながら、消費税と社会保障と国家予算についての知られざる真実を大脇道場で学んで、多世代交流のブログ広場の中にある世界の片隅で税制についてのニュースを読んで、労働組合ってなにするところかとか、どうしたらみんななかよく多文化・多民族・多国籍社会で「人として」情報流通を促進できるかとか言ノ葉工房の浮游空間で思考して、壊れる前に人生を美しくしたくてフランス語の練習帳や「ユニオン」と「労働ニュース」のアーカイブに日本民主化の思いを書き綴りながら、とりあえずアブナイ日本で福田衣里子さんや保坂展人さんや志位和夫さんや糸数けいこさんや戸倉多香子さんたちの活躍を祈る、一寸の虫にも五分の魂のサイバー政治団体秘書です。
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