「専守防衛核武装論」について （海舌さんへのお返事）

私の意見とは重要な相違があるすごいコメントとトラックバックが私と友好的なブロガーからきてしまいました。まずはお読みいただきたいと思います。ふだん私のブログを信頼して読んでいらっしゃる方は、びっくりするかもしれませんけど...。

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1254.html#comment7333

[C7333] 専守防衛核武装論

専守防衛核武装論は海舌の持論です。中学生の頃から考えてきました。まず、徹底的な護憲です。9条堅持です。次の、当然ですが侵略戦争の放棄と海外派兵の絶対的否定です。また、先制攻撃の絶対的否定です。さらに、自衛隊不要論です。日本国土は、最も、防衛に向きません。その上、産業構造がシステマチックに全国に繋がっており、一部の攻撃で完全ある機能麻痺を起します。このような日本国を自衛隊で守ることは不可能です。
また、外交努力は当然です。防衛は、１%、0.1%、或いは、それ以下の危険性に対しての用意です。
憲法を守り、先制攻撃を否定し、自衛隊の機能不全を予期した場合、外交努力によっても戦争が避けがたい場合に備えて、日本が取れる唯一の方法は「圧倒的な核武装」による抑止力だと思います。
勿論、このために、誠実に過去の侵略戦争を真剣に恥じ、日本の民主政治を一層より良いものにし、政治過程を真剣に透明化し、官僚政治を完全に打破することが前提です。
　嘗て、「小異を守って大同に付く」というようなことを書きました。今度は、大異です。
2009-06-05 投稿者 : 海舌

（引用）

トラックバックされてきた記事はこちら。

●『海舌』　the Sea Tongue by Kaisetsu
http://blog.kaisetsu.org/?eid=749372

日本国が専守防衛堅持する必要十分条件は「日本の圧倒的な核武装」である。
2009.06.01 Monday
（メモ）

専守防衛核武装論

1. 憲法9条は専守防衛を求めている。日本国は海外（日本領土の保全に必要な範囲以外）に自衛隊を派遣してはならない。日本は先制攻撃が出来ない。自縛しているのである。（但し、正当防衛、緊急避難という超法規的作用（「殺されるなら、法も道徳も無視する、という態度）は残されているが、事前に法的に処理するというのは、国家秩序を国家が無視することに繋がる。）
2. 日本は経済国家として今後も発展するべきであり、防衛費は徹底的なコスト・ダウンが必要である。
3. 日本列島は、勿論、細長い島国であり、幹線都市機能が魚の骨のように連続して細長く帯状に繋がっており、空路、海路によって容易に侵略可能である。つまり、近代兵器が充実した世界の紛争現状によって、陸海空軍による日本の領土保全は専守防衛によっては至難の業である。陸海空軍による、どのような重装備をしても、一旦、日本列島への攻撃が開始されたら全てを防ぐことは絶対的に困難であり、即座に、回復困難な被害が生じる。しかし、日本は専守防衛に徹する必要がある。
4. 金満国家は、常に外敵からの武力行使の最も餌食になり易い対象である。
5. 核武装は、抑止力であり、抑止力とは、諸外国の先制的攻撃意思を挫く力であり、専守防衛に徹するためには、圧倒的な抑止力を持つ必要がある。つまり、日本の一部が消滅しても、事後的に、敵国の全国土が灰になる、圧倒的な抑止力があれば、敵は攻撃を諦める。
6. 日本は自由民主国家のアジアにおける優等生であり、より一層、国家制度の民主化と国民の啓蒙を促進し、官僚制を解体し、政策決定過程を完全に透明化し、軍備に関する利権構造を徹底的に潰し、民間電力の原子力使用を徹底的に削減し、水力など自然力による発電へ全面的に切り替え、また、先の太平洋戦争について、ドイツの方法を十分に参考にして、戦争被害国が日本の専守防衛の意思を十分に理解し、核武装容認への方向に誘導するのが外務省の役割である。
　外務省の役人の評価が、アテンド力や外国首脳の評価で決まるような現行の基準は売国奴を増産しているようなものである。
7. 日本国の国連の常任理事国入りなどは不要で有り、このような相対的な事象（効果の曖昧な事象）に、エネルギーを費やす必要はない。また、名誉や権威を日本国自体が金や努力を使って求める必要は無い。防衛は、絶対的な防衛力を目的にするべきであり、専守防衛という自縛憲法を持つ日本国は、圧倒的な抑止力を持つ必要がある。
日本のような被爆国こそ、核使用を徹底的に控えるのであり、核武装する資格がある。
8. 日本は原子力技術において世界的に見ても優秀な技術国家であり、また、経済的にも圧倒的な抑止力を持つ可能性のある国家である。侵略戦争を放棄した日本国に、過剰な陸海空軍は不要である。（大陸の大国には陸海空軍の十分な整備が必要でるが、日本列島のような地理的条件の国家は、膨大な費用を費やしても、その効果は頗る小さい。）
　日本は、9条の趣旨を堅持し、専守防衛に徹し、侵略戦争を完全に放棄して、自衛隊の海外活動を禁止し、諸外国の軍備増強を誘発する可能性が常に存在する海外への金銭支援（ODA)を即時に中止して、「専守防衛核武装」に向かうしか手は無いのである。
　また、日本の武器製造技術を輸出するなどは絶対に禁止し、日本国は他国の紛争に巻き込まれることを絶対に避けるべきである。また、日本の防衛は日本の技術で行うべきである。

（引用ここまで）

核武装論というと、戦争が起こった場合や核兵器を実際に使用した場合に引き起こされる惨禍への反省や責任感もなく、やたらに軍事力行使のハードルを下げて、文民統制も無視して、憲法も無視して、先制攻撃も辞さず、そのために国民生活は犠牲になってもかまわないと言いたげなものをつい考えてしまいます。現実にはそういう核武装論が日本では幅を利かせているように思います。安倍晋三の核武装論なんかその代表格だと思っています。そのような核武装論は話になりません。

ところが、この海舌さんの核武装論は「専守防衛核武装論」であり、たとえばアベシが百万年かかっても到達できない地点にあります。もしこれを本当に実行するとしたら、その前提条件はとても厳格なものです。海舌さんのコメントから列挙しましょう。

徹底的な護憲。
9条堅持。
侵略戦争の放棄と海外派兵の絶対的否定。
先制攻撃の絶対的否定。
自衛隊不要論。
外交努力は当然。
誠実に過去の侵略戦争を真剣に恥じる。
日本の民主政治を一層より良いものにする。
政治過程を真剣に透明化する。
官僚政治を完全に打破する。

これ、単純な核武装論者は絶対についてこられないでしょうね。この内容には私も大筋で賛成です。

では、これらのことが実現したとして、その後の核武装は？

日本「だけ」が平和裏に核武装できてそれが日本を巻き込んだ戦争の抑止力、ひいては全世界の戦争抑止力になるという現実的な現実的な道筋が私にはどうしても想像できないので、私は日本の核武装には賛成できません。その点では確かに海舌さんと私のこの件についての意見の間には「大異」があります。

だけど、上に列挙した「前提条件」のところはまずぜひとも厳格に実現したいと思います。これはたいへんな大仕事ですから、ひょっとしたら、単に核兵器を日本に配備するよりも難しいかもしれません。難しいかもしれませんが、絶対にやらなければなりません。海舌さんも、アベシ風の安易で自己中心的な核武装ではないことを内外に納得させるためにこれらの前提条件が絶対に必要だと判断しているのだと推察します。

で、それらの「前提条件」が実現したら、そのうえで日本に核武装が必要かどうかは、その後で決めてもいいのではないでしょうか。「私と海舌さんが」「今」討論して「急いで」結論を出すことはないと思います。＞いかがでしょうか、海舌さん

私は核武装には賛成しないし、アベシ風の「安易で自己中心的な」核武装論を容認するつもりもないのですけど、海舌さんと私の間にあるこの「大異」を「まあそのままでもいいか」と海舌さんが容認されるなら、海舌さん、これからもよろしくお願いいたします。

一つだけ再検討をお願いしたいところがあるとしたら、トラックバックをいただいた記事のタイトルです。「必要十分条件」という言葉は、こちらに説明があるとおり数学もしくは論理学の言葉ですが、日常的にも使われている言葉で、あまり目くじらをたてる必要はないのかもしれません。でも、厳密に言えば「核武装」するための厳格な前提条件が上に列挙されている通りたくさんありますから、それらの前提条件があることもタイトルに盛り込みたいと個人的には思います。タイトルが長くなりすぎるかもしれませんけど。

とはいえ、「日本の圧倒的な核武装」という言葉を見て読みに来た軍事優先主義思考の人が「憲法9条は専守防衛を求めている」とか「先の太平洋戦争について、ドイツの方法を十分に参考にして、戦争被害国が日本の専守防衛の意思を十分に理解し」とかいう部分を読むことは悪いことではないかもしれませんので、論理学的意味で厳格ではない記事タイトルをそのままにするのもありかなとも思います。

私は核武装には賛成ではありませんが、私自身の意図が誤解されるかもしれないと心配しながらも、海舌さんからのコメントとトラックバックを拝見して、これはお返事しなければと思って、この記事を書きました。

なお、核武装についてどう考えるかについては、「日本が本土防衛のため武装するのはギャグ...かもしれない、本当に。」という以前の記事でリンクしている『AmlethMachina's Headoverheels』ブログのいくつかの記事も一読に値すると思います。（AmlethMachinaさん、最近どうしているの～？）

特に、これ。

●AmlethMachina's Headoverheels
なぜ軍拡主義者は腹をくくらないのか？
http://amleth.blog119.fc2.com/blog-entry-108.html

それから、「冷静に考えれば根拠のない恐怖。その一方、楽観論が西川善文氏から宣伝されているけどよく考えると根拠がある恐怖。」という記事で紹介したこの↓記事もいいですよ。

■日本征服を企む悪の組織の首領になったつもりで考えてみた。
http://amleth.blog119.fc2.com/blog-entry-33.html

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2009-05-17　週明けに豊洲新市場アセス計画書の縦覧（10日間のみ）、意見書は6月8日まで！
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10262374651.html

■2009-05-30　「移転したらあとは知らないよ」と書かれているようにしか読めない、豊洲新市場アセス計画書
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10270514357.html

■2009-06-03　お東京都様の豊洲移転洗脳資料、疑問解消BOOKの「誰がどう見ても疑問炸裂」な点（4）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10273085922.html

■2009-06-04　今年の築地市場移転中止デモ「壊すな築地　６．２７　東京大行進II」のテキスト版チラシ
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10274269214.html

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