ソマリア沖海賊関係の記事への軍事優先主義的コメントに答えます

ソマリア沖海賊への軍事的対処にあらゆる角度から強い疑問を呈する趣旨で、「ソマリア沖海賊問題の非軍事的解決のために」という記事をはじめとするいくつかの記事を出してきました。

それらの記事についた、どうしても自衛隊派遣をしたい意見を書いているいくつかの代表的コメントを含むいくつかのコメントにお返事しようと思います。公開したものも、しなかったものもあります。また、これが全部というわけでもありません。反響によっては、続きをやろうかとも思います。

まず、その前に、私の過去の記事や私が言及したほかの方の関連記事で示されている論点を整理してもう一度ざっと復習します。もっと指摘できるかもしれませんが、誠実に平和裏にソマリア沖海賊問題の根本的解決をめざすなら、最低でもこれくらいの点について考えることが必要だと思います。

1. 「海賊」と呼ばれる人々が出現した原因は、多くの国がソマリアの無政府状態を利用する形で、ソマリア沖でむちゃな乱獲をおこなったり、廃棄物を投棄したことに原因がある点。
2. 「海賊」と呼ばれる者は強いのか、弱いのか？
3. 真の犠牲者はソマリア人であるということ。
4. 自衛隊海外派兵の法的整合性、違憲性（憲法9条との関連で）。
5. そもそも、根本的対策とは何か。対策は軍事的なものだけではない。
6. 海保と海自の役割を考えた時、海賊への対処は一義的に海保の役割であり、海保はその能力を持っているし、実績もある。
7. 国会審議や日本政府の派兵決定・実行の仕方に正当性はあるかどうか。
8. 海賊対処法の法律の中身について、武器使用基準が従来の「正当防衛」の範囲を大きく超えて緩和されることに問題はないのか。
9. 海賊対処法の法律の中身について、自衛隊派遣の決定に国会の承認や事後の国会報告を必要とせず、「文民統制」を無視していることに問題はないのか。
10. 海賊対処法の法律の中身について、自衛隊の海外派遣を恒常化することにより、「集団的自衛権の行使」を認める方向に解釈改憲を進めることに問題はないのか。
11. 軍事力行使だけにどうしてもこだわるなら、軍事力行使後の見通しを示すべきであること。
12. このような国際紛争の解決には、どんな場合であれ、軍事介入は最小限にするのが望ましいということを前提とすべきであること。軍事だけが政治ではないし、たとえば海賊を射殺することを最初から前提とした策は解決策とはいえないからです。多くの国がソマリアの無政府状態を利用する形で、ソマリア沖で密漁やむちゃな乱獲をおこなったり、廃棄物を投棄したことに海賊出現の原因があるならなおさらです。昨日今日何の前触れも理由もなく突然「海賊」が出現したわけではありませんから、その原因を長い間放置してきたのに今になって軍隊を派遣する世界各国の責任もたいへんに重大です。

論点をこのように整理したところで、では、いただいたコメントがどのようなものであるか、ここに公開して、上に示した視点を参照しながらお答えをしてみます。コメント受信順に並べていますが、受信したコメント全部をここに公開したものではありません。

▼その1
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1222.html#comment7133

悪い事は悪いと言わなければならないです。
どんな理由があったとしても、海賊行為は許されません。とにかく起こっている犯罪を止める事が先決です。
2009/05/14　舞

（引用ここまで）

村野瀬のお答え
こちらにコメントをいただくのは初めてですね。はじめまして。短いコメントだし、どんな方かわからないのでお返事が難しいですが…。
舞さんは、動機がたとえどんなに同情できるものだとしても泥棒を見つけたらとりあえず逮捕しなければならない、というようなつもりでこのコメントを書かれたのかなと想像します。（違ったらごめんなさい。）その部分だけに対して言えば、それは正しいと思います。（ただ、あなたが自衛隊をどうしても派遣したいのか、海保が適切であると思っているのか、海賊はどんどん射殺すべきと思っているのか、海賊を拘束して逮捕すると同時に各国の密漁や廃棄物投棄をなんとかすべきだと思っているのか、それがわからないので、そこは保留とします。）
でも、弱い相手に今までさんざんカツアゲをしてきて、ずっと我慢していた相手が耐えられなくなって貧弱な腕力で立ち向かってきた時、「弱い相手」が一方的に悪いと言うことはできないでしょう。そもそもカツアゲをした方こそが悪いのです。
海賊の出現の原因を作った、日本を含む世界各国のエゴイズムは悪いと言わなければならないです。
どんな理由があったとしても、廃棄物をソマリア沖に投棄してソマリアの漁師たちのテリトリーを荒らす行為は許されません。
そのことに思いを馳せてほしいと願います。

▼その2
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1228.html#comment7165

>世界艦隊に守られながら海賊のいる海域を突っ切りたい（？）、と考える船舶がそれほど多いとは思えません。

海自派遣反対のピースボートが海自の護衛艦の護衛を受けてソマリア沖を航行しました
身の安全を考えたら９条より護衛艦が必要だとピースボートが証明してくれましたね
主義主張より人命第一ですよ
2009/05/18　tori

（引用ここまで）

村野瀬のお答え
ソマリア人の生活が世界各国のソマリア沖での乱獲や廃棄物投棄によるという視点が抜け落ちています。
ピースボートの件を持ち出したところから見て、どうしても自衛隊を派遣したいひとだと想像しマスが、それについては、ヤメ記者弁護士（ヤメ蚊）さんがこういう的確な指摘をしていて、私も同意しますので、引用してお答えにかえさせていただきます。

●情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士（ヤメ蚊）
「ピースボート護衛受ける　ソマリア沖」を笑うを笑う
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/4f1bbc10bddef2927312f8681d5f6809

　産経新聞（http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090514/plc0905140140001-n1.htm）によると、【海賊対策のためアフリカ・ソマリア沖に展開中の海上自衛隊の護衛艦が、民間国際交流団体「ピースボート」の船旅の旅客船を護衛したことが１３日、分かった】そうで、なんとこのことが、【ピースボートは海賊対策での海自派遣に反対しており、主張とのギャップは議論を呼びそうだ。】とのこと。ふ～ん、何が議論を呼ぶんだろう？分からない。

　ピース・ボートは団体として、海賊対策で【自衛隊】を派遣することに反対している。それは確かだ。

　そして、今回、旅客の安全を期するために、護衛を受ける選択をし、その護衛は【自衛隊】が関与していた。

　矛盾でも何でもない。もし、反対した結果、【自衛隊】の派遣を止めることができていたら、【海上保安庁】の護衛を受けることができただけだ。

　反対したけれど、残念ながら、海上自衛隊が派遣されてしまい、護衛を受けるとすると自衛隊の参画はまぬかれない。でも、乗客の安全のためには、護衛を受けないという判断はできない。それだけのことでしょう。

　議論を呼ぶって、うぷぷって感じだね。
　
　こういう批判をする人って、警察批判をしたら、じゃぁ、警察に頼らないんだなっとか言ってそうで…うぷぷっ

　それって、権力を褒めたり有難がらないと権力の恩恵を被ることができないってことで、そういうことをもしメディアが言うのならば、そりゃ、権力監視なんか無理なわけで…ぞぞぞっ

（引用ここまで）

「人命第一」と言っても、こちら側の人命だけではなくてソマリア側の人命も考えなければ、それはエゴイズムになってしまいます。あなたは善意でこのコメントを書かれたのかもしれませんが、「先進国」がソマリア沖で今まで勝手に魚を獲り、廃棄物を捨ててきたことへのソマリア人の怒りを忘れたら、それは本当に単なるエゴイズムになってしまいます。

▼その3
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1232.html#comment7191

あのー。
そんなに言うなれば、村野瀬さんたちが、ソマリアなどに行って、実践してください。お手本を示してください。お願いします。

必ずのせてくださいね。
2009/05/20　ゲンソウ

（引用ここまで）

村野瀬のお答え
軍事オタクと呼ばれる人たちで、インターネット上にあれこれ書いている人の中で、自ら戦地に行って爆弾や銃弾が飛び交う中を「実践してお手本を示している」人を見たことはありません。そう言うあなたは海賊殺しを「実践」したくてたまらないのでしょうか？このようなメンタリティが軍事優先主義者の典型的な特徴だとしたら、たいへんに残念なことです。
こういう貧弱な「塹壕一発射撃型コメント」しか書けないこと、恥ずかしくないのかな。こういうコメントをふつう公開しないのは、あなたが恥をかかないようにとの思いやりなんです。

▼その4
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1232.html#comment7192

根本的解決

長文ですが、以下軍事ヲタクの戯言です。

ソマリア沖の現状
→商船が通ると、ボートに乗った「海賊」が銃撃戦を挑んでくる。
　海賊がどのくらい居るのかはよくわかっていない
　（分かっているならとっくに掃討されている）
　火力としては自動小銃、ロケット砲は基本。
　さらに23mm対空機関砲を持っているという未確認情報あり。
　<ソマリア沖で各国が違法操業をしたり、産業廃棄物の海洋投棄を行っている>
　という未確認情報があるが確認されていない。

それに対応した緊急対処的な軍事的手段をとるとしたらこれこれ。
→とりあえず艦艇をいくらか出して護衛する。（現状のまま）

当面は海賊出現海域を迂回すればいい。
→ピースボートさえ迂回はしませんでした。
　（非現実的な解決策を提示するのはやめましょう）

問題の原因にさかのぼる根本的な解決をめざした非軍事的手段
→もともとソマリ人がエチオピアにも住む同族を統一して大ソマリ国家を作ろうとして、エチオピアに戦争を挑んで敗北したのが現在も続く戦乱の原因です。
　その後政府の疲弊に乗じて多数の部族勢力が現れて勢力争いを繰り広げました。
　最終的にエチオピアに後押しされた臨時政府が大方の土地を占拠しましたが、民衆レベルでの反エチオピア感情は深く、結局は撤退しました。
　しかしエチオピア以外にこの地域を安定させられる軍隊もないので、国内はリアル北斗の拳状態になっています。

　ソマリアの主要民族であるソマリ人は統一国家意識に欠けており、部族社会ごとに団結して武力闘争を繰り広げている状態です。
　識字率ゼロに近い彼らを教育し、統一国家としての意識をもたせ、まともな法律の知識を植え付けて・・・・
　まんま中世に生きている彼らを21世紀レベルに引き上げるには、やはり何百年かは必要でしょう。

　もしどうしてもと言うのなら、まず誰かが悪役となってソマリアを占領し、悪逆非道の限りを尽くすのです。
　ソマリア人であるという理由で分け隔て無く差別を受けることで、ソマリ族を超えたソマリア人というアイデンティティが発生します。
　（そもそもアフリカに<民族国家>などというものはありません。列強が勝手に引いた境界線があるだけです）

　ここで密かに抵抗運動組織を立ち上げ、別の誰かがこれを援助します。
　この段階で悪役は徐々に統治主体を自分たちから自分たちの傀儡に移します。傀儡には悪逆な者が適しています。
　傀儡は近代兵器で武装していますが、腐敗によって十分に機能しない状態になるよう、注意深く維持されなければなりません。
　抵抗組織に対する援助を拡大し、傀儡を打ち倒させれば、「統一国家」の完成です。

　この方式はベトナムで成功しました。傀儡が有能すぎると朝鮮のように失敗しますし、傀儡が弱すぎるとフィリピンのように統一国家の強度も弱くなります。
　抵抗組織をまとめる思想も宗教絡みにしてしまうとアルカイーダのような副作用がありますから、ほどほどにしましょう。
　ソマリアの歴史上ではエチオピアがこの「悪役」を勤めそうなときもあったのですが、彼らは悪役というには弱すぎましたし、それほど非道でもありませんでした。
　やはり「僧侶のバーベキュー」くらいのパンチの効いた発言をかませる悪さがないと傀儡は勤まりません。

　ベトナム戦争の例をとれば、小競り合いに5年、占領に10年、解放闘争に10年くらいかければ、良い具合に統一国家になるのではないかと思います。
　実際に殺し合うのはソマリ人ですから、外部からの軍事力行使は最小限で済みますし、根本的な解決にもなるでしょう。
2009/05/20　 KY

（引用ここまで）

村野瀬のお答え
ソマリアの無秩序状態に乗じて魚を根こそぎ獲り、廃棄物をソマリア沖に捨てる「先進国」の船があることについては、現地で取材して現地の人々に話をきいているマスメディアの記事があり、当ブログでも紹介しています。たとえば「壊れる前に…」のうにさんの記事がそれですし、こちらで紹介されている東京新聞の記事だってそうですし、こういう報道だってあります。
●DemocracyNow! Japan
ソマリア沖のもう一つの海賊行為
http://democracynow.jp/submov/20090414-1flv
それを「未確認」とするのは、違法漁をする「先進国」の船の自白調書でもないと証拠として認めないという意味なのでしょうか？あなたの文章全体を通して、窮状にある現地の人々を尊重する気持ちが感じられないのです。特に、最後の「実際に殺し合うのはソマリ人ですから」というところで、この人は本当に問題を解決したいのだろうかと疑いました。私にとっては、たいへんに不快な「軍事ヲタクの戯言」でした。それでも承認しておいたのは、ほかの人の反応も知りたかったからですが、私はここでこのような現状について戯言で茶化すつもりでソマリアの記事を書いているわけではありません。
ピースボートの件については、上で引用したヤメ記者弁護士（ヤメ蚊）さんの指摘によってお答えとします。ピースボートが護衛を受けたことについて批判される筋合いはないと思います。
それに関連して、「海運九条の会」の見解も示します。コギトエルゴスムさんのコメントです。

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1232.html#comment7196
[C7196] 「海運九条の会」の正論
４月２８日のコメント[C7050]でひろとさんが紹介してくれた「 海運9条の会http://blog.livedoor.jp/ship9/」に於ける海運ＯＢの方たちのコメントが、一番適切な意見と思われます。既にお読みでしょうが、参照のため一部転載させてください。
↓
【禍根を残す新法可決 　(「海運九条の会」ニュース　６号の投稿記事より転載)

海賊の出没する海域を敢えて航行するのは何故か。素朴な疑間である。アデン湾を航行しない場合、日本経済に与える影響の度合いは正確に検証されているのか。アデン湾通航船の日本人乗組員の実数や通過貨物の実態などが把握されているのか。日本関係船に限定する海上警備行動の発令による海自派遣は、ソマリア沖の実態から、船員法14条の人命救助を用いざるを得ない事態に陥り、日本人乗組員よりむしろフィリッピン人をはじめとする外国人船員が配乗されている便宜置籍船を含むすべての船舶を対象とする新法制定まで突き進んでしまった。「海賊被害が深刻化する緊急事態」対処だけが最優先され、海賊をなくす方策が後回しにされていることを憂慮する。
そもそも、船主・運航者がアデン湾を就航させる選択も、一義的に経済効率性に依拠しているのであって、軍艦によって護衛してもらわなければ、航行の安全が確保されない航路を選択し、海自艦の派遣を要請するなどは、身勝手といわれても仕方がない。(尤も、自衛隊を海外派遣したくてしょうがない一部の政治家にとっては、最大限に利用する口実となるであろうが。)
他の安全な航路選択による経済損失と海自艦による護衛の効果を天秤にかける論理はあまりにも危険で稚拙である。海賊を軍事力で押さえ込むなどの発想は、軍事オタクの机上の空論であることは論を待たない。
アデン湾航路を避けることにより、海自艦船による護衛の必然性を排除することができるではないか。これこそ緊急な海賊対処ではないのか。実際、心ある外航海運経営は、そのような選択をしているではないか。
アデン湾の実情をつまびらかにしないまま、「海自派遣先に有りき」は、国民の正常な判断を誤らせる。
各国海軍艦船の派遣後、海賊襲撃が増加し行動海域もアデン湾のみならずソマリア東方沖900キロに拡大し、米軍による海賊射殺事件が発生してからは、益々状況は悪化し出口の見えない泥沼に向かつているように見える。ここは、原点に戻ってソマリアを始め周辺国の政治的安定、沿岸警備活動の支援など経済自立の援助に力を注ぐことこそ現実的な対処ではないか。急がば廻れである。
不況にあえぐ国民の「ただ遊んでいる自衛艦を使つたらいいじゃないか」という気分と「坂の上の雲」が描く「一等国を夢見る明治の高揚した気分」が二重写しに見える。気がついた時には、後戻りできない戦争への道を突っ走っていた苦い経験を想起すべきである。(H.0)】。

コギト「国民に嘘までついて、『海賊の出没する海域を敢えて航行するのは何故か』の私の答えは、『日本郵船に社外役員として禄を食む守銭奴岡本行夫のサシガネである。岡本は日本会議の会員である草刈元社長たちと『売国民』計略を謀議したのである。勿論、麻生も首謀者である』」。
2009-05-20 投稿者 : コギトエルゴスム

（引用ここまで）

▼その5
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1232.html#comment7201

タイトルなし

喜望峰迂回ルートといってもケニア沖で海賊被害が発生しちまう御時世ですからねー。餌場が変わって終わりでしょう。

陸をどうにかせいなんて言う人はまずソマリアの現状認識が甘すぎるように思います。あれは外部からどうにかできるものではありません。当人がやる気を出して統一へ動かない限りどうにもなりません。
エチオピア再侵攻で情勢混迷が予想されますししばらくは戦国時代が続くでしょう。

それと「海賊の原因は不法投棄や外国漁船が…」というのもよく聞かれますが百歩譲ってそういったものが切欠だったにせよ今はもう単なるビジネス化していますので原因論を語るのは海賊鎮圧を考える際には無意味です。

あと沿岸警備組織の育成も同時並行で進んでいますので護衛艦より云々いう議論は的外れですね。
2009/05/20　このわた

（引用ここまで）

村野瀬のお答え
まず、「エチオピア再侵攻」については、和平のロードマップのアイデアはたしかに今の私にはありません。多くの人や国際機関の知恵が必要ですが、こういうところを辛抱強く和平に動くのが本来のあり方でしょう。
次に、「今はもう単なるビジネス化していますので原因論を語るのは海賊鎮圧を考える際には無意味です」というところ、なんか自己中心的な侵略者の言い訳を聞かされているみたいで、愉快なものではありません。上でもリンクしたこういう報道
●DemocracyNow! Japan
ソマリア沖のもう一つの海賊行為
http://democracynow.jp/submov/20090414-1flv
を見て、同じ人間であるソマリア現地の人の切実な苦しみに向き合う気がないのなら、それが軍事優先主義者の典型的なメンタリティだと理解することにします。よろしいですよね。
で、仮に今は単なるビジネス化していたとして、だったら原因は免責されるのでしょうか。それなら、ソマリア沖での漁業や不法投棄にかかわるルールを国際舞台で作り、そのような「ビジネス」の必要がない状況を作るのが自然な考え方だと思うのですが、軍事介入しかしないなら、そのような「ビジネス」の芽はいつまでも残るでしょう。だって、彼らはそんな「ビジネス」でもしないと生活の糧がない状況に置かれているわけですから。
軍事優先主義は不法投棄や外国漁船が現地の人の生活の場を荒らしたことに対する反省の念を消しさる、という例証を見た思いです。

▼その6
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1232.html#comment7203
タイトルなし

ソマリアの政治的安定化支援も、ソマリアとイエメンの沿岸警備隊再建への国際的支援も賛成ですが、これが実現するまで何年かかるかわかりません。それが実現するまでの間は、海上自衛隊の派遣が必要でしょう。
喜望峰回りは、非現実的です。喜望峰を回る経費、経済的負担より、護衛艦派遣の経費の方がずっと安い。それに、喜望峰を回ると、日数もかかるわけですから、回転率が悪くなり、1年間で同じ量を運ぶのには、船舶も人員も増やさなければなりません。常識的に考えて、船舶も人員も、そう簡単に増やすことはできません。
また、紅海沿岸に向かう船などアデン湾を回避したくともできない船が年間数十隻あります。
1bit思考病なのは、海上自衛隊派遣に賛成している人たちではなく、非軍事だけにしろキィキィ!! と言っている人たちではないでしょうか。
我々は、非軍事的支援も軍事的支援も両方やるべきだと主張しています。
09/05/21　青波

（引用ここまで）

村野瀬のお答え
いろいろと質問があります。
まず、一番重要な質問です。「我々は、非軍事的支援も軍事的支援も両方やるべきだと主張しています。」とありますが、その「我々」とは誰のことでしょうか。軍事優先主義者の中にそのような人々（と呼べるほど大きな勢力）がいるのでしょうか。それは寡聞にして知りませんでしたので、そのような「人々」が書いているブログ意見がどこにあるのか、ぜひ教えてほしいと思います。その「我々」が、この記事で冒頭にあげた10以上の視点を考慮したうえで非軍事支援のことまで考えているのか、ぜひ知りたいです。
また、「それが実現するまでの間は、海上自衛隊の派遣が必要でしょう」というところ。長年ソマリアの混乱状態を放置しながらそこから密漁や廃棄物投棄をしてきた「先進国」への批判は無しでしょうか？現在、「それ」を「実現」しようとしている目に見える具体的なアクションがされているなら、（海自ではなくて）海保の派遣も海賊を拘束して裁きを受けさせるための「警備」のためにはありかもしれません。しかし、それならそれで、国会での承認や情報公開は必要でしょう。自民党のやり方はそれすら省略しようとしているのです。後ろめたくて情報を公開できないからどんどんルールを逸脱しているのではないかと思います。
また、派遣するなら海自でなくて海保であるべき、という意見は以前述べたとおりです。
また、「軍事的支援」とありますが、「軍事的対処」の間違いではないかと思ってしまいます。海保による「警備的・警察的」対処によって海賊を拘束するのならば、海賊が怖くて漁のできないソマリアの一般漁民への支援になるかもしれませんが、海賊とどんどん戦って殺してもよい、とあなたが考えているとしたら、それを「支援」と呼ぶことにはためらいがあります。何を「軍事的支援」というのか、誰に対する「支援」なのか、ぜひ聞きたいです。
そして、最後に、「先進国」の密漁や廃棄物投棄で荒らされた現地の人の生活のことは眼中にないようにあなたの文章は読めることは他のコメントと共通しています。
なお、思考のビット数は、どれだけ物事のいろいろな側面を見ようとしているかによると思います。私は、海賊でない普通の現地の人々が漁をしていて、世界連合艦隊がそれを「海賊」だと疑ってかかるという本末転倒ぶりに「世界連合艦隊」への怒りを感じるわけですが、あなたはそういう本末転倒の現実を知って怒りを感じますか？それとも、そんなことはないものとして無視するでしょうか？

▼その7
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1232.html#comment7215

タイトルなし

ブログ主様は既に、「軍事的な解決はありえない。」という「1bit病」にかかってる様に見えますねぇ（苦笑）

自分の言いたい事の殆どは、KYさんと、このわたさんがコメントなさってますので、自分は一寸した私見だけ。。。

ソマリア沖の海賊は、東方見聞録からもその存在が確認できるようですし、1990年以前においてもソマリア沖での海賊行為が報告されているようですので、海賊を職業として選択する風土が形成されていたのではないでしょうか？
ソマリア近海に外国船が侵入して魚の乱獲や武器密輸、有毒な産業廃棄物の放棄を否定する気はありませんが、それが原因で海賊が発生したと言うよりは、食い詰めた漁師達が海賊という別職業に転職した所に、内戦で使用された武器が海賊に流出したために、国際的に問題視されるほど海賊の勢力が拡大したと見るべきと思います。
となると、ソマリア沖での海賊行為はビジネスであり、生活の糧でもありますので、非軍事的方法がどこまで有効なのか疑問ですねぇ。。。
個人的には、ある程度の軍事力行使は必要なことではないかと思います。

まぁ、派遣が妥当か、海自か海保かってのはあると思いますが、自衛のための派遣はあっていいと思います。（迂回しても餌場移動された意味ないし。）
んで、警察行為つっても相手は武装している海賊ですし、装備は充実しているのに越したことはないと思います。
09/05/22　緑青

（引用ここまで）

村野瀬のお答え
「ソマリア沖の海賊は、東方見聞録からもその存在が確認」？どの章にどのような記述があるか、それを示してほしいです。ひょっとして、先進国の漁船団が根こそぎ密漁したり、廃棄物を捨てに来て生活ができなくなったから海賊になったのでしょうか？
「1990年以前においてもソマリア沖での海賊行為が報告されている」？どこから得た情報でしょう？仮にそうだったとして、今「先進国」がやっている密漁や廃棄物投棄が免責されるのでしょうか？
言い訳はやめましょうよ。
それから、「食い詰めた漁師達が海賊という別職業に転職した所に、内戦で使用された武器が海賊に流出した」というところで軍事優先主義者の底の浅さが見えた思いがします。「防衛」のためには軍備や武器が必要なんでしょう？「先進国」の世界連合艦隊が武器を使い放題なのに、自分たちの生活の場を守ろうと必死になって海賊になった者に武器を使った防衛を許さないとは、これはまたずいぶん自分勝手な話ではないでしょうか。「自衛のための派遣はあっていい」なら、「自衛のための海賊はあっていい」ということになるのではないでしょうか？
それから、海賊の武器はどこから来たのでしょうか？良い品質の先進工業国で製造された武器なら、それは武器製造側にも責任はあることになりますし、怪しげなボロ武器なら、そんなものを必要以上に怖れる必要はないでしょう。
そもそも、近代国際社会の中で、「軍事的手段だけ」が問題を「根本的に」解決した例があるでしょうか。多くの場合、多数の犠牲者を非戦闘員に出して終わっただけではなかったでしょうか。ソマリアの政情や貧困や各国の乱獲という不正が原因であるときに、それへの反省もなく、ソマリアの真の犠牲者に対する同情もなく、ただ軍だけで解決するとする考え方には、侵略的軍事優先主義の自己中心性しか見えないのです。
海賊がビジネス化しているということについては、コギトエルゴスムさんのコメントをこちらにも転載しておきます。

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1232.html#comment7218

[C7218] 金で済む問題だったのに・・
このわたさん＞ビジネス化していますので原因論を語るのは海賊鎮圧を考える際には無意味・・

ビジネス化していたからこそ、金で済む問題だったのです。人命は海賊にとって商品だったので尊重されていました。
強欲なくせにケチなアメリカが金を惜しんで、海賊を射殺するから感情問題になってしまったのです。
不景気なので交渉次第で身代金の額は下げられたのです。　更にどんどん交渉が進めば小額の現金を海賊のボートに投げ落としての擬似通行料のようにすることもできたかもしれないのに残念です。
これからは憎悪報復の血の海になってしまうでしょう（日欧米はそれが目的のようだが）。

自国の経済活動を邪魔するからと言って、海賊達を好きなように殺して本当に良いのだろうか？
いくら公海とは言え、先進国だけがどこでも自由通行の権利があるのか？
ソマリアの海賊たちは　日本やアメリカ近海や、日米近辺の公海に来たりはしないのだから、互恵の義務があるのだろうか？　
スエズ運河は法外な料金を取っているのに、その通り道のソマリアにはなんの見入りも無いことに不満を抱き海賊行為に及ぶ近海住民の気持ちも私は理解できる。
「軍艦を派遣して、小船に実弾砲撃したり、害獣狩りのように海賊を射殺して良い」と自分勝手に決める権利が、先進諸国（？）に本当に賦与されているのだろうか。

軍艦派遣による無差別な非対称攻撃によって、被害海域が拡大拡散し、益々、収拾がつかない状況になっている。
この拡散も、勿論、日米の望むところ、アフガンまでの戦域の拡大である。
↓
【Ｐ３Ｃ（海自の哨戒機）派遣は米軍支援
赤嶺議員 「海賊」法案の危険告発
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-04-23/2009042301_02_1.html】

2009-05-23 投稿者 : コギトエルゴスム

（引用ここまで）

長くなってしまいました。もっと触れるべき点もあると思いますが、ご容赦いただいて、ここで一区切りにします。

最後に、全体的な感想です。

私の過去記事やリンク先を読まないまま、または私の書いていることを理解しようとしないまま「反論」したい人がまだ相変わらずけっこういるみたいです。心当たりのある一部の方は改めてくださいね。（はぁと）

とにかく軍を動かしたい、軍を動かすことがすべてに優先する、という軍事優先主義は自分のエゴイズムを正当化したり覆い隠したりするはたらきをすると感じました。意識的なのか無意識的なのかはおくとしても。

自分たちが防衛のために武器や軍事力を使っているのに、自分たちの生活を防衛しようとする海賊は武器を使ってはいけない、というのは手前勝手な言い分だなとも思います。海賊行為は決してほめられないにしても。たとえ、海賊行為を「ビジネス」と言い換えたとしても、それは生活のためですから、「防衛」ということになるでしょう。

また、この世は軍事だけで回っているわけではないと言いたいと思います。軍事優先主義に染まると、軍事に夢中になるあまりソマリアの人々の生命と生活が見えなくなるものだなあ、と感じることも、コメントを見ていて多々ありました。

ソマリア沖への自衛隊派兵について、いろいろな角度から痛いところを突かれていると思った人が当秘書課広報室にコメントを書こうと思ったのでしょうか。みんなそれぞれ一所懸命に書いている様子は伝わってきました。でも、どれも分析すればするほど自己中心的な論理がぼろぼろと出てきます。

でも、村野瀬のところに書く以上はさすがに「軍事優先一辺倒」の主張ではまずいと思っている人もいるようにも感じられました。とはいえ、私のブログでのコメント欄に書かれた内容でもこの程度ですから、先進国（？）がソマリア沖で勝手に魚を根こそぎ獲ったり廃棄物を捨てたりすることに矛盾や後ろめたさを感じない自己中心的な考えは、軍事優先主義一辺倒の「論壇」にはかなり強く広まっていると推察できます。軍事優先主義は自分のエゴイズムを正当化したり覆い隠したりするはたらきをする、という私の仮説はますます強まりました。

最後に、私に賛成、私に反対、すべての人へのお願いです。

青波さんのコメントにあるような、「非軍事的支援も軍事的支援も両方やるべきだと主張」している軍事優先主義的なブログ記事があったら、ぜひ知りたいので、紹介してください。「我々」という程度に十分大きな勢力を形成しているか、とても興味がありますので。

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2009-05-17　週明けに豊洲新市場アセス計画書の縦覧（10日間のみ）、意見書は6月8日まで！
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10262374651.html

■2009-05-25　豊洲新市場予定地は「沼」のような泥水地域（見学会の写真つき速報）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10267170684.html

■2009-05-30　「移転したらあとは知らないよ」と書かれているようにしか読めない、豊洲新市場アセス計画書
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10270514357.html

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人気blogランキング（政治部門）（←よかったら押してね）に参加しながら自公チュー政治に「ノー」を言った後、「その代わりに望む政策をどしどし民主党に伝えよう」ミニキャンペーン中で、そこに存在する転がるひよこ豆を食べてクリーム入りの午後のコーヒーを飲みながら、消費税と社会保障と国家予算についての知られざる真実を大脇道場で学んで、多世代交流のブログ広場の中にある世界の片隅で税制についてのニュースを読んで、労働組合ってなにするところかとか、どうしたらみんななかよく多文化・多民族・多国籍社会で「人として」情報流通を促進できるかとか言ノ葉工房の浮游空間で思考して、壊れる前に人生を美しくしたくてフランス語の練習帳や「ユニオン」と「労働ニュース」のアーカイブに日本民主化の思いを書き綴りながら、とりあえずアブナイ日本で福田衣里子さんや保坂展人さんや志位和夫さんや糸数けいこさんや戸倉多香子さんたちの活躍を祈る、一寸の虫にも五分の魂のサイバー政治団体秘書です。
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